2024年8月18日 (日)

名古屋戦~熱き勝利

2024年8月17日 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 トヨタスタジアム

 

 台風一過の影響か、尋常じゃない暑さに汗が滴り落ちる。豊田市駅からの道はひたすら真っ直ぐなものの直射日光が拷問のように照りつける。そしてスタジアムは見えてきたのに歩いても歩いても近づかない。まるでそれは月のように近づくにつれ遠ざかってるかのようだった。

 その為、スタジアムに辿り着くとホッとした。周囲には田畑が広がり長閑な風景。このロケーションで、どこから人が湧いて来るのか不可解であった。そしてスタンドに入ると屋根があるお陰で日差しから逃れることができたのはありがたく、体感温度がスッと下がったような感覚があった。

 選手のアップが終わり日が落ちてくると両ゴール裏は満席に近い状態となった。4万人の収容人数を誇るこのスタジアムがほぼ埋め尽くされてるのは圧巻だった。

 そこに照明が落とされる。瞬間スタンドのペンライトが煌めく。そんな中でのメンバー紹介。音響がこだます中、野上、稲垣、森島、パトリックと元サンフレッチェの名前が呼ばれると盛り上がってしまう。そしてゴール裏のチャントが繰り出されると選手は入場した。サンフレッチェは前節と同じメンバーだった。

 森島によるキックオフ。ロングボールの応酬にボールが宙を行き交っていたものの落ち着きを見せると名古屋は引いて守るのだった。結果後ろでボールは握れるものの前に進めない。前方にパスの出しどころがないのだった。最終ラインで左右に揺らしていくものの食いついて来ない。そこに業を煮やし縦パスを入れる。バクっと食いつくようにカットされカウンター。懸命な戻りで何とか食い止めたものの嫌らしい。油断がならない。ああ、長谷川監督はいつもこうやって悩ます。サンフレッチェにとっての障壁。どこのチームで指揮をしてもやり難い戦いをしてくるのだった。

 後ろで回す分には取りに来ない。そこで不用意なバックパスをGKに出すとそこを狙ってプレスを掛けてくる。なので中盤を飛ばしロングボールを放つ。これに満田が抜け出しシュートレンジに入る。DFによるスライディング。これをかわしてぎゃくを突きシュート。が、これが枠を大きく外してしまう。切り返しをしたまでは良かったものの枠に入らない。そこにぼくらは天を仰ぐのだった。

 ところがこの日の満田はいつも以上にシュートの意識が高く遠目からでもミドルシュートを放つ。強力な弾道でCKを誘発する。前目のポジションで出場してるだけに得点へのこだわりを見せている。そしてGKへのバックパスには誰よりも猛烈なプレスを掛けにいく。それによりキックにブレが生じさせることで相手ボールになるのを防ぐのだった。

 ただ、そんな満田の奮闘も空しく前半はスコアレスのまま終わる。そこそこ有利に進めてい流ものの何処となく決定的な崩しがない。後半から交代によりギアを上げるかと思いきやそのままだったのはバランスを優先したんだろう。ワントップの加藤も頑張ってはいるがなかなかそこを起点としての形ができなかった。それだけにCKを得た時にはそれを生かしたかった。名古屋の守備が崩れないだけにこのチャンスをものにしたい。

 しかし、新井からのキックは味方に渡ることはなかくこぼれた。ただその瞬間を見逃さず荒木がシュート。が、壁に当たりリフレクション。それを拾い右への展開から新井のクロス。左に流れ再び中野が入れるとゴール前のゴチャゴチャした中を荒木が脚を振る。当たり損ね。が、これが相手の間隙を縫うシュートとなりゴールに吸い込まれたのだった。

 ドワーッと立ち上がるアウェイゴール裏。激昂した荒木がスタンドへ駆け寄る。DFである荒木のゴールなどそう滅多に観れるものではない。それがこの緊迫した試合で風穴を開けたことに狂喜乱舞するのだった。

 先制の勢いは続き相手への自由を奪う。特にワントップのパトリックは荒木がガッチリとマークして収めさせない。ただワントップの比較で言えばサンフレッチェも加藤陸次樹のとこで起点になりきってない。加藤も奮闘はしている。裏抜けを狙ったり強烈な弾道のボールをトラップで収めたり。だがストライカーとしての存在感が薄いのは否めないのだった。

 現実に先制点を奪ったのはDFの荒木。そこにボールを入れたのもDFの中野。やはり本職のワントップに入るべき選手がみんな怪我をしてるのでこういうとこで点を取らないといけない必然を感じてしまった。

 そしてそんなDFの貢献はそれで終わらなかった。パス回しの中で右サイドから中野が同サイドの新井に出すことで前を向く。最終ラインに張ってた満田に出すと背後のDFから逃げるドリブルから松本泰志へ預ける。ワンタッチで叩いたのは右サイドのスペース。ここに中野がオーバーラップしていた。GKランゲラックと1対1。だがコースがないとゴール前を横切るパス。ここに詰めたのが加藤。転がりながらもゴールに叩き込むのだった。

 決まった、決まった、決まった。加藤が決めた。中野の守備から攻撃への切り替えも凄かったがこれまで献身的にワントップをやっていた加藤にゴールが生まれたことにアウェイゴール裏は喜びを爆発されるのだった。

 繰り出される陸次樹コール。もはやこれで決まった。むしろここからもっと記録を伸ばすべく点をとっていきたい。そんな気運に押され加藤、川辺を下げ井上愛簾、トルガイを入れるのだった。

 すると名古屋はパトリックに代えユンカーを出してきた。動くにしては遅い気がした。ここから2点差は追いつけるはずがない。そんな感覚に囚われていた時、押し込まれたことでブロックを敷いてゴール前を固めると左サイドからの展開。稲垣に入りゴール前へクロス。最終ラインの隙間を捉えるとそこに入ってきたユンカー。頭に当て決めた。ほんの一瞬のプレーだった。そこを突いてきた。それを決めるのがユンカーなのだった。

 いつもいつもユンカーには決められる。1点差になったことで余裕がなくなった。もはや点差を開くという野望よりも堅実な勝ち点3が優先されるようになった。前線へ出るとボールキープに固執する愛簾。だが若さ故か簡単に力負けしてしまう。勢いのある時はいいがこういう時に相手の嫌がるプレーというのができない。なので無難にクリアする場面が増えてくる。アディショナルタイム5分が掲示されタイムアップの笛を待ち焦がれる。相手ボールがラインを割ると一層大きな歓声がアウェイゴール裏から発せられる。ユンカーのマークは荒木が離さない。全体的に下り目になるのは致し方ない。もはや守りに徹することでついに鳴った。終了のホイッスルが鳴り響くとピッチに崩れ倒れたのはサンフレッチェの選手なのだった。

 勝ち点3。最後はユンカーの脅威に曝されつつも10年ぶりにこのスタジアムで勝った。そんなに長く勝ってなかったことに気が遠くなっていたものの一定の区切りがついたことに安堵する。そしてこの勝利に沸騰するようなコールがアウェイゴール裏から繰り出される。

 この結果により2位に浮上した。まだまだ苦しい戦いは続く。怪我人の多いFWの中で加藤にゴールがあったのは明るい材料であるが流石に加藤一人では負担が大き過ぎる。そんな不安要素を抱えながらもとりあえずはこの勝利を喜ぶ。暑い暑い名古屋での一戦はより熱く次戦への希望を繋いでいくのだった。

2024年4月 7日 (日)

湘南戦~大橋の2ゴールで勝利

2024年4月7日 サンフレッチェ広島 vs 湘南ベルマーレ エディオンピースウィング広島

 

 中3日、3連戦の最終節。サンフレッチェは外国人選手5人を含む8人が負傷離脱している。中でも不動のCBだった荒木の欠場は大きい。そこに入る中野も前節では新たな可能性を見せてくれたものの今回はトップに屈強なフィジカルを持つルキアンがいる。そこをどれだけ抑えられるかが大きなポイントとなりそうだった。

 そんなルキアンとのマッチアップは開始早々に行われる。前からのプレッシャーで嵌めようとすると奪ってから右サイドのスペースに出される。縦へとドリブルで駆け上がるルキアン。喰らいつく中野。ただここでカットインされると完全に入れ替わられたまらず身体を当てて倒す。FKの判定。嫌な位置。ただこれはゴール前で跳ね返すことができたものの明確なターゲットとなる選手がいるというのは脅威なのだった。

 その後もガイプレッシャーを続ける中で剥がされるとルキアン目掛けてボールが飛ぶ。マンマークの中野。競り合いに入る。前を向かせない。そして今度は中野が勝負を制し逆にファールを貰うのだった。中野も負けてない。むしろそれ以後は対人で負ける場面がなくなったのだった。

 それでも湘南のハードワークは冴え渡りサンフレッチェに押し上げを許さない。むしろ押し込まれていくことで重心が低くなりついにはボックスに入られ決定的なグラウンダーのクロスを入れられる。あと一歩のとこで身体を投げ出しブロック。その危険度は間違いなく湘南の方に分があった。ボールへの寄せの速さ、激しさは前を向かせてもらえない。その状況に胃の締め付けられる想いがするのだった。

 ところが相手のプレスの僅かな隙間をパスで通すと一気に前線が開けてきた。駆け上がる東に満田。全速力のプレイスバックに対して足元のスキルでかわし前へ運ぼうとすると倒される。そんな場面が何度か続き徐々に前向きのプレーができるようになる。が、相変わらずセットプレーがゴールに結びつかない。前半終了間際、満田のCKから佐々木がヘッドで競り勝つも田中のブロックに遭ってしまう。やはり決められない。決めれないものだから心置きなくファールで止めてくるしCKにも逃げられる。そしてそれ以上に膠着した試合を出し抜くことができないのだった。

 スコアレスのまま前半を終え、後半に入り右サイドの新井を越道に交代する。するとこの越道が縦への突破をすることによって右サイドが活性化される。加藤も右で受け縦への姿勢を見せつつカットイン。中へ切れ込む、切れ込む、そして最終ラインを切り裂くゴール前へのスルーパス。そこへ抜け出した大橋。GKソンボムグンも処理しきれずルーズボールになり反応した大橋が倒された。完全に腕で掴んだことによって阻止された。間髪入れずホイッスルが鳴りPKへ。この時点で腰を浮かして歓喜の雄叫びを上げるも更にGKソンボムグンへレッドカード。相手が1人少なくなるアドバンテージを得たのだった。

 ただここで決めれないと何にもならない。キッカーは大橋。自ら得たPKを自ら蹴りに行く。交代で入ったGK馬渡。ホイッスルが鳴るとゆっくりとしたモーションから助走を入れシュート。ど真ん中に蹴ったもののGKが飛んでいた為見事にネットに突き刺さったのだった。

 先制。大橋の2試合連続ゴール。やっとこじ開けた。昨シーズン、アウェイでこの湘南の壁をこじ開けることができなかった。そして失点してしまったもののそれを決めたのが大橋だった。その大橋がサンフレッチェに来て湘南の壁を打ち破ったのだった。

 リードした上に数的有利。ここから畳み掛けたい。実際にここから怒涛の攻撃が始まる。サイドで受け無理なら下げてやり直し逆サイドに振る。相手を動かすことで消耗させていきたい。だがそんな中でも奪った後のカウンターには力強さがあった。バイタルエリアまで入るとルキアンがDFの集まった狭い箇所を強引にこじ開けシュート。枠には入らなかったものの湘南は全く心が折れてないのだった。

 1点差だとわからない。相手を押し込めてる内に追加点を入れたい。そんな折に相手ブロックの裏へ浮き球が出ると松本泰志がポケットに入る。そこから折り返しを越道が打つ。が、これがGK真正面。カウンターから満田がゴール前で相手をかわすもシュートはブロック。更に攻守に渡ってピッチを駆け巡った川村が筋肉系のトラブルで野津田と負傷交代してしまうのだった。

 その後も東のCKを佐々木がヘッドで合わすも枠外。東のクロスに満田が頭で合わすもこれもGK馬渡ブロック。入らない。ゴールのわずか数メートルのとこまで来てるのに入らない。そんな決定力の低さを見せていると後のない湘南は交代で入った石井が右サイドを切り裂いてくる。ドリブルで入ってくると奪えない。そして隙を見るやカットインしてクロス。GK、DF共に動きづらい際どいとこに入れてくる。それにターゲットのルキアンの存在も相まってこの1点リードが薄氷の上に立っているものと認識せざるを得なかった。

 それでも満田に代えドリブラー小原を入れて最後まで攻める姿勢を貫く。それが功を奏しCKを得るもこれも不発。転じて湘南が反撃に出てくる。残り時間は少ない。ボールホルダーに対してはチェックにいく。それでも湘南のパス回しが続く中で塩谷がカット。前線の加藤に縦パス。マークを受けながらも中央へと落とした加藤。すると大橋がフリーで受ける。前方の広大なスペースに向かってドリブル。持ち運び、持ち運び、持ち運ぶとDFが戻りコースに入るとかわす。そしてもう一人かわすとシュート。グラウンダーのボールがゴールの隅に吸い込まれていったのだった。

 決まった、決まった、決まった。2点目。もう勝負はあった。そんな歓喜の雄叫びをあげた一方で無情にもオフサイドの判定。がっくりと肩を落とす。が、試合が止まった。VARでのチェックが入る。長い沈黙。固唾を飲んで見守る。そして下された判定。ゴール。大橋のゴールはオンサイドと判定されたのだった。

 再び拳を突き上げる。正直オフサイドではないと思ってただけに正常な判定をされたことにホッとする。これで大橋2ゴール。他の選手が決めきれない中で唯一決めきれる選手なのだった。やはりこの選手の加入は大きかった。今更ながらそれを痛感する試合となってしまった。

 2-0。このまま試合は終わり開幕からまだ無敗が続いている。だけど負傷者が続出してる中で川村の負傷退場も気になる。そして満田、加藤といった大橋以外のアタッカーに点が取れないのも気になる。ただそんな中でも越道や小原が可能性を見せていったことはプラスである。そんな中での試合は綱渡りでもしているかのようでもある。それだけに勝利の意義を深く噛み締めることができるのだった。

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    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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