2019年8月18日 (日)

FC東京戦~熱帯夜の勝利

2019/08/17 FC東京 vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム

 一体何度あるんだ。
 アウェイゴール裏で座ってると滞留した熱によってじっとりとした汗がしたたり落ちる。日は落ちていくものの気温が下がることはなく、時間と共にスタンドの密度は増していくことで尚更熱が籠もる。そこに疲弊しながらも選手が入場するとコールが始まり気持ちの温度も上がる。内も外も熱くなるのだった。
 とはいえこのモワッとした暑さ、選手の消耗は相当なものであろう。90分を睨んで、動きの少ない立ち上がりだった。
 後ろからビルドアップでゲームをつくろうとするサンフレッチェに対して東京は前からのプレッシャーは掛けてこない。その分ボールは持てるものの東京のブロックを崩すスイッチを入れるボールをなかなか入れられない。それは明らかに悪い奪われ方をするのを恐れてるようだった。縦に速い攻撃、それは東京の最も得意とするものだった。
 サイドを使って持ち上げる。右のハイネルの突破が効いている。逆に左の柏のとこでは停滞する。回して回して突破を仕掛けようとするとコースを塞がれるのでやり直し。隙を伺ってるつもりでいるものの、そのもどかしいパス回しはフィニッシュに至らず終わってしまうのだった。
 もどかしい。どことなくまったりとしてる。とはいえその試合運びは理解もできた。なにせ暑い。座って観てるだけで汗が噴き出る。ピッチの選手にしてみればあまり前半から飛ばしてると最後動けなくなるのは目に見えていた。
 そんなコンディションのせいかピッチでうずくまる選手も現れた。全くボールと関係ないとこで東京の選手が倒れた時、審判は一旦試合を止める。サンフレッチェが攻めてただけにその判定には不満の声が上がる。だが選手の安全を考えれば致し方ないとドロップボールの判定を受け入れた。そしてそのボールは当然サンフレッチェに返してくれるのだと思っていた。が、東京は構わずマイボールとしてそのまま攻めてきたのだった。
 アウェイゴール裏から猛烈な抗議の声が上がった。あれではピンチになれば倒れればいいではないか。そんな不満からサンフレッチェの応援はヒートアップする。理不尽な判定はサンフレッチェに火をつけたのだった。
 前半スコアレス。でも相手にチャンスらしいチャンスは与えなかった。サンフレッチェの方がボールを支配してるように見える。かといってシュートシーンをつくれないのであと一押しだろう。その一押しの為に期待が掛かるのが青山だった。
 後半15分。その青山が東との交代でピッチに入ると声援は一層大きくなる。正確で意表を突くキックは相手の牙城を崩す。あれほど入り込めなかった東京のブロックに綻びが生じる。そして柏がボールを持った時、スルーパスへ反応した川辺。ゴール前で受けると落とすと柏が猛然と突っ込んできた。DFの間を抜きシュート。走った勢いも相まってその弾道はGKの掌をはじき飛ばしゴールに入り込んだのだった。
 ドワアアアアアアアアァッ!
 一斉に立ち上がったアウェイゴール裏。怒濤のような歓声が沸き、ゴールを決め勢い余った柏が駆け寄った時には柏コールが響き渡った。大きい、あまりにも大きい先制点だった。
 ここで受け身に回ってはいけない。追加点も狙っていきたい。攻めるにはリスクを伴う。そこがミスにつながり東京にボールが渡ってしまう。そして一旦東京の攻撃が始まるとなかなかそれを断ち切ることができないのだった。
 サイドを起点にクロスを入れられる。ハイネルは守備でもがんばって走り回る。それでもゴール前の密集地帯に入れられるとGK大迫はパンチングで弾く。セカンドボールを拾われる。なかなか攻撃を断ち切れない。そんな前掛かりに来られた攻撃を食い止めロングボール一本蹴ると広大なスペースが広がってる。ハイネルがドリブルで駆け上がる。ただし東京の帰陣も速くゴールまでは至らない。その内にそんなカウンターの場面が訪れてもハイネルが上がってこれなくなった。限界だった。ピッチにうずくまったハイネルはサロモンソンに交代した。
 それからも引きこもって防戦一方。そして奪ってカウンター。柏がドリブルで抜け出した時にはゴールの目の前まで来たのに全速力で戻ったDFに食い止められてしまった。あと少しだった。だけど相手も必死だ。アディショナルタイムの表示が5分と出た時、あまりにも長く感じてサンフレッチェ・サポーターからどよめきが起こった。
 シュートには身体を張ってブロックする。もはやつなぐよりも前方に大きく蹴り出すのが精一杯。一体今何分経った?プレーが進む毎に時間が気になる。そこで東京のファールによってプレーが止まる。大きく安堵する。リスタートはGK大迫がゆっくりと始める。そして蹴ったとこでタイムアップの笛が鳴ったのだった。
 ドオオオオッ!という歓声が上がる。誰も彼も喜び讃え合う。勝った。勝った、勝った、勝った。首位のFC東京に勝った。この暑い一戦を制した。思えばホームでFC東京に負けてから連敗が始まった。そしてその借りを返した。そんな想いが折り重なってサンフレッチェ・コールが響き渡るのだった。
 額から汗がしたたり落ちる。それをタオルマフラーで拭き取る。気づいたらそれはすでにぐっしょりと濡れていた。ぐしょぐしょのレプリカユニフォームに、まるで自分もプレーをしてたかのような錯角を覚える。いや、ぼくも闘っていた。そしてゴール裏皆が闘っていた。そんな疲労感と達成感が湧き上がる勝利にいつまでも高揚は収まらないのだった。

2019年8月14日 (水)

天皇杯金沢戦~3回戦突破

2019年8月14日 天皇杯3回戦 サンフレッチェ広島vsツエーゲン金沢 エディオンスタジアム広島

 出場機会の少ない選手で組まれたメンバー。とはいえ松本泰志、サロモンソン、吉野、渡のように一旦スタメンとして定着したのに失った選手にしてみれば格好のアピールチャンスである。ここでいいパフォーマンスを見せたい。
 そのモチベーションはキャプテンマークを巻いた清水であっても一緒だろう。更に若い東や松本大哉も一緒だ。そして開始早々に松本大哉がミドルシュート。パンチの効いたシュートだったものの、枠に入らなかった。それでも幸先のいい展開であった。この調子でどんどん攻め続けていきたい。
 パスでつないで相手をはがす。パスはつながる。だが前にいったかと思うと戻してしまう。結果最終列の安全なエリアでパスを回さざるを得ない。金沢の守備の圧力に押し返されてしまうのだった。
 相手は一つ下のディビジョンのチーム。もっと前線をかき回してガンガンとクロスを送り込むシーンを観れるだろうという期待は見事に外されてしまった。それどころか攻めあぐねてる内にボールを奪われカウンター。ゴール前まで守備に戻ったサンフレッチェ。ところがサイドからクロスを入れられる。低い弾道のボールが密集地に飛ぶ。松本大哉が見逃した。井林も見逃した。それにより金沢の選手に渡りシュート。それが入ってしまった。文句の言いようのないゴールだった。
 まずい、まずい、まずい。これだけ攻め手のない中で決められてしまった。追いつくことは可能なのだろうか。それはとても望みのないことに思え、すでに敗退を覚悟してしまった。やっぱりこのメンバーでは駄目だったのかと悲嘆に暮れるのだった。
 変化を求める為、ハーフタイムで野津田が青山と交代した。中盤の底から青山からパスが散らされる。それにより相手の守備にスペースができる。そこへまた味方が入ることでトップまでボールが供給される。それによりトップにもボールが入る。渡が受けた時、トラップで切り返すことでマークを外してシュート。FWらしい動きでよかったものの、枠を外した。前半でもグラウンダーのクロスを決めきれなかった。せっかくシュートシーンをつくっても決めきることができないのだった。
 パスを回す。縦へ入れるとすぐにプレスが来るのですぐに下げる。上げたり下げたりの繰り返し。金沢の守備が嵌ってる。前線へ入れる、下げる。入れる、下げる。それを繰り返すと青山がトラップで浮かす。それを東がダイレクトシュート。GKの頭上に向かったものの強烈な縦回転により落ちた。ゴールの中に落とし込んだのだった。
 追いついた、追いついた、追いついた。ルーキーの東が決めた。欲しい時に取ったというのが勝ち越しゴールへの機運も高まる。それにより追加点を狙うべく切り札のドウグラス・ヴィエイラが入るのだった。
 キープ力のあるヴィエイラは金沢の守備に混乱を与えた。それにより中央に出したボールを東がスルーすると右サイドの広大なスペースに出た。駆け上がった松本大哉がクロス。回転の掛かったボールがゴール前へ入る。そこに飛びつくが如く渡がダイレクトシュート。グラウンドを叩きつけたボール。GKも処理しきれなく入ったのだった。
 決めた、決めた、決めた。決定的チャンスを外し続けた渡が3回目にしてようやく決めたのだった。これで勝ち越すことはできた。あとは逃げ切るだけ。いや、ここは追加点を取ってとどめを刺してやりたい。
 ところがシュートまでたどり着かない。いいように回せてるようでフィニッシュまでたどり着かない。それなら無理をしないで後ろから建て直せばいい。そんな勝ってるチームの常套手段を行うも残り時間に持てる力全て振り絞って金沢が攻めてきた。ゴール前へクロスが飛ぶ。ブロックするもCK。跳ね返してもセカンドボールを拾われる。明らかに風向きが変わった。もはやクリアボールを遠くへ飛ばすだけが精一杯。一発勝負の天皇杯では確実なプレーが求められるのだった。
 もはやつなぐことよりも時間を使いたい。安全にロングボールを蹴る。そして大きく蹴りだしたとこでタイムアップの笛が鳴った。ホッと胸を撫でおろす。ノルマである3回戦を勝ち抜くことができたのだった。
 後半になって明らかにいい形で攻めれるようになった。青山一人出るだけでここまで変えてしまうとは。だが交代した野津田にしてみれば悔いが残るだろう。そんな各選手にとってそれぞれの意味合いを持つ勝利なのだった。

2019年8月11日 (日)

ガンバ戦~ペレイラの同点弾

2019年8月10日 ガンバ大阪vs サンフレッチェ広島 パナソニックスタジアム吹田

 連日の猛暑は熱中症による死者まで出している。その殺人的な暑さは日が落ちても地上に滞留している。体力の消耗が激しそうだ。できる限る走りたくはない。省エネのサッカーをやりたい。が、そんな気温にも関わらず最初から前線から積極的なプレスを掛けていく。高い位置でのボール奪取を目論んでるのだった。
 ところがボールが奪えない。プレスをかいくぐられ前線へはこばれる。その結果、自陣に引きこもるしかない。そしてそれが防戦一方の展開へと導かれるのだった。
 一方でそれは相手をわざと前掛かりにするという効能もあろう。実際トップで張るヴィエイラが収めると味方の上がりを促した。中盤で森島がマークを引き剥がすと広大なスペースが広がってた。川辺がドリブルで駆け上がるとそのままゴールまで行けそうな気がした。が、そのどれもフィニッシュまでたどり着かない。ガンバの守備の網に引っ掛かってしまい中途半端な攻撃で終わってしまうのだった
 そこに気をよくしたガンバはサイドからの崩しを積極的に仕掛けてくる。守備に追われる柏とハイネル。2人共攻撃において本領を発揮してもらいたいのに守備でどんどん体力を奪われる。そうこうしてる内にマークを外されクロスが入る。ゴール前の密集地帯。危ないと思いつつもそこは荒木がガツンと弾き返すのだった。
 前半の内、ほぼそのペースは変わることなく続いた。ただ、それでもゼロで抑えたことに光明があった。きっと後半は戦況が変わるだろう。城福監督もここで策を講じるに違いない。そんな期待を胸に挑んだ後半戦、またしても前線からのプレスで始まるのだった。そしてまたしてもそれをかいくぐられる。ああ、これではまた自陣に籠るしかなくなるではないか。それを繰り返していてはさすがに厚く張った守備網も崩されるような気がした。
 何か変化を起こしたい。そこで呼ばれたのが青山だった。チームの顔、エンジンと呼ばれた背番号6がピッチに入る。それだけでチームに華を与える。が、開幕から膝の怪我で長く実践から離れてただけに果たしてどれだけできるか。この交代が仇になるのではないか、そんな不安を抱えた。すると青山の縦パスから一気にチームが前を向けたのだった。
 あれだけ重心の重かったチームが攻撃へと舵を切ることができた。やはり青山は別格である。ハイネルと柏が高い位置を取ることができるようになった。当然ガンバのDFはゴール前に人数を掛けてくる。跳ね返されてもセカンドボールが拾える。これはゴールが奪えるかもしれない。更に攻勢を高めるべく、疲労の見えるハイネルと川辺を下げサロモンソンと新加入のレアンドロ・ペレイラが入る。前所属の松本では活躍できなかったペレイラ。ここで結果を期待するのはあまりにも唐突過ぎる気がするのだった。
 そんな気分に陥ってた時、ガンバにボールが入ってしまった。懸命に戻るサンフレッチェ。それまでに時間を掛けさせることはでき人数は揃った。だが守備が落ち着く前に逆サイドに振られる。ドリブルでペナルティエリアに入られてシュート。GK大迫、セーブ。だが処理しきれずに手前に弾くとどこからともなく表れた倉田がシュート。それまで苦心して築いてきた壁をぶち壊すかのようにゴールに叩き込まれるのだった。
 やられた。残り時間を考えると絶望的だった。強烈なシュート、そのこぼれを狙うポジション取り。それらは人数の揃ったゴール前の守備に対してねじ込んだといった感じだった。さすがにこれはもう諦めた。あともう少し堪えればせめて勝ち点1だけでも取れたことに深い落胆を感じるのだった。
 アディショナルタイム。追いつきたい気持ちはあるものの最終ラインからビルドアップしていく。そしてある程度の位置まで来ると中へ放り込む。さすがにこれははじき返されるもセカンドボールを拾えたのが幸いした。ガンバの守備陣形が少しバタついた。すかさずバイタルエリアの森島へボールが渡る。ファーサイドへクロス。なだれ込んだ両チームの選手。が、頭一つ抜けていた。長身のペレイラ。頭に当てるとGKの逆サイドにコロコロコロとボールは転がっていき、ゴールの中に吸い込まれたのだった。
「入った、入った、入った。ペレイラ、ペレイラ、ペレイラーッ!」
 レアンドロ・ペレイラ。新加入の選手がいきなり決めてくれた。しかもそれは貴重な貴重な同点ゴールである。高さがある。しかもヴィエイラと並ぶと2つもターゲットができる。更にそこに合わせたのが森島のキックだ。ここ数試合の得点はいずれも森島のキックから生み出されてる。もはや替えの利かない選手となりつつあるのだった。
 一瞬にして負けを回避した。そのしぶとさは相手に愕然とするものを与えたはずだ。引き分けはあくまでも引き分けである。だが、負けなかったというのが大きい。土壇場で追いついたというのが素晴らしい。
 暑い夏はまだ続く。すぐに天皇杯もあって週末には首位FC東京戦。身も心も熱くなる日は続くのだった。

2019年8月 4日 (日)

札幌戦~良きサイクルの充足感

2019年8月3日 サンフレッチェ広島vsコンサドーレ札幌 エディオンスタジアム広島

 身体の内側に溜まった熱が外気に晒されることによって一層燃えさかる。ジトーッとした汗が滲み出て不快度が上がる。夜へと橋渡しする時間になってもこの気温。熱い、熱い、熱い。暑いではなく完全なる熱を感じるのだった。
 この高温多湿の中、同じフォーメーションの札幌との対戦。どちらの精度が上か、どちらの走力が上か、どちらが体力があるか。そんな戦いであるのは明白だったものの、試合の入りは両者共スタミナを意識したゆっくりとしたものだった。
 サンフレッチェは後ろからのビルドアップにより隙を探し前線へ入れる。すると密集地奪われロングボールを出されるとサイドの広大なスペースを縦へ抜かれクロス。それをゴール前のジェイがヘディング。GK大迫の真正面だったことが得点には結びつかなかったものの、この後何度となくこういう場面を迎えるのだった。ボール支配を高めても攻撃へのチャレンジのパスは止められる。対して札幌はカウンターによって左右からのクロスという形は中に長身のジェイがいることによって十分に脅威になっている。井林も荒木も競り合うことすらできない。シュートの精度のなさに助けられたものの、効率面から考えると札幌の方に分があるのは明白だった。
 高い位置からのプレスは思った程嵌らない。プレスを掛けてくる相手に対して外すというスキルはミシャの下、札幌でも植え付けられてる。どんなチームに行っても自分の色に染めるミシャはやっぱり指導者として秀でている。それでもあと一歩のとこで頭打ちになる。勢いに任せて一本調子になる。失点をせずにハーフタイムを迎えると後半はチャンスがあるのではないかという気がした。
 すると左サイド柏に入ると相手を引き付ける。ここからドリブルで縦へ行くのかバックパスで立て直すのか迷いを生じさせる。すると次のプレーはそのどちらでもなく縦のスペースへ放り込んだ。スプリントを掛ける森島。だがDFも引き連れてるだけに少々無謀な挑戦に見えた。が、追いついた森島。ただゴールまでのコースには入られて壁となっている。カットインから切れ込もうとするもドリブルには無理があると思われたその時、折り返しのパスを送った。するとこのマイナスで転がるボールに猛然と走りこんできたのがボランチの稲垣。ファーサイドへのシュート。GKも身体を倒して反応するも、及ばずゴールに入ったのだった。
「おおっしゃああああぁぁぁっ!」
 ボールを持ってるようでいてシュートまでたどり着けないもどかしさの中、先制をした。しかもそれが稲垣という後ろのポジションの選手である。決してシュートの上手い選手ではないがなぜかこういうところに顔を出しミラクルなシュートを決める。誰よりも走ることによってこういうスポットライトの当たるプレーを起こす。改めてサッカーとは色んな能力を持った者による総合力なのだと思い知らされた。そしてサンフレッチェのこのスタイルを築いたのこそ札幌のベンチにいるミシャなのだった。
 当然のことながら失点した札幌は前に出てくる。自然、サンフレッチェのディフェンスラインも下がる。札幌の攻撃が続く。ただ、前半あれだけやられた左の白井には突破を許さなくなった。後ろに人数を置いたことによって守備のカバーが来れる。ただその分チャナティップが色んなところでドリブルで仕掛けてくるので捕まえきれない。それによりペナルティエリアに入られてシュートを打った時には決められたかと思った。が、ここは井林がしっかりコースを切っていたのである。
 更に札幌の猛攻は続くも最後の最後では荒木が絡め捕る。そして前線へ送るもヴィエイラ一人なのでままならない。それでも収めた時にはビッグチャンスが生まれる。ドリブルで駆け上がる。それに反応し森島も駆け上がりスルーパスを受ける。追走するDF。他に選択肢はなくシュート。ギリギリの条件で放ったシュートは枠に飛んだ。GKに防がれはしたもののCKである。時間が稼げた。そして何よりも引いて守ってるだけでなく常にカウンターの機会を狙ってるという驚異を与えることができた。
 その森島も終盤に近付くとプレーの精度が落ちてきた。さすがに中2日のスケジュールはキツイ。ユニフォームは汗でびっしょりと濡れている。あと1点入れば試合を決めることができるものの渡と交代した。
 アディショナルタイム5分。長い。それでも跳ね返すだけでなくとどめを刺す意識は持ち続けている。それがハイネルのパスカットを生みカウンターへとつながる。スピードのなるハイネルのドリブル。スペースへのパスをヴィエイラが受けるとペナルティエリアへ。ただ札幌の戻りも速くシュートコースが阻まれるもマイナスのパス。これに途中交代の青山。決定的だったがシュートは枠の上に飛んでしまったのだった。
 今シーズン初出場の青山。ここで決めればその盛り上がりは計り知れなかっただろう。そして9試合ぶりに先発をした野津田も目に見える結果を残したかっただろう。だがそれらは叶うことなく終了の笛を聴いた。勝った、勝てた。それでいながら選手個々の事情を考えると色んなものが交錯してそうだった。逆に言うとそれだけ今チームは競争がしっかりと確立されてるということかもしれない。
 最後まで足の止まらなかったサンフレッチェ。疲労感より出場への渇望があるのだろう。本当は渡だってもっと観たい、青山や野津田だって先発で観たい、佐々木の負傷で出場してる井林だっていいパフォーマンスを出していた。サロモンソンだって負傷離脱から戻ってきた。一つの勝利と共にそんないいサイクルを感じさせてくれるのだった。

2019年7月20日 (土)

松本戦~負けに等しい引き分けから学ぶ

2019年7月20日 松本山雅FC vs サンフレッチェ広島 サンプロアルウィン

 アディショナルタイム。あとワンプレー、ツープレーで終わりのはずなのに最後の最後が切れない。ヘディングでブロックしつつもセカンドボールを奪われまた防戦。防いで防いでボールを追うもののたどり着けず真ん中ミドルゾーンからシュート。たった一つのフェイントに全員の選手がつられてしまいシュートコースを空けてしまった。一人の選手に2人も3人も着いていてブロックさえできない。そして距離がありながらもGK林は触ることすらできなかった。最後の最後に決められ無残にも勝ち点2をうしなってしまったのだった。
 情けなかった。あまりにも打つ手がないというのが空しい。先制したのはサンフレッチェだった。でも追いつかれそしてまた勝ち越したものの、あとわずか1分を耐えることができず引き分けで終わった。勝てないチームの典型のような試合である。この失点間際のバタバタ感はどういうことだろう。仮にもこれが日本代表に選出される選手のいるチームなのだろうか。
 試合の始まりはゆっくりだった。ボールの持てるサンフレッチェはブロックを敷く松本の壁を崩せなかった。そんな中でもわずかな隙を突き柴崎がシュートを放つもゴールポスト。川辺がペナルティエリアでラストパスを受けるもバーの上。ヴィエイラがDFを剥がして打ったシュートはGK真正面。どこからどうやっても入らない。もしかしてこのままスコアレスドローのまま終わるのではという気さえしてくるのだった。
 ところがドウグラス・ヴィエイラのポストプレーが柏の裏への飛び出しを生みゴール前へドリブル。GKを前にしながらもニアにぶち込み先制点を決める。これが大きく優位になるはずだった。
 ここで追加点を狙うべく勢いを増していくはずだった。が、追いつこうという山雅の気迫の方が優っていた。中途半端なパスはガツンと獲られると前線へフィード。たった一人しかいない山雅の選手に渡るとそれを2人掛かりでも取れない。そしてペナルティエリアまで入られると折り返されダイレクトでシュートを決められた。たった2人の選手に4人で守って決められた。
 そこで振り出しに戻ったことでパトリックが入る。依然として山雅のゴール前は固い。サイドからも真ん中からも崩せない。まるで岩山に釘を刺してるようにもどかしく至難のプレーを続けてたが、1本の裏への浮き球が出るとパトリックが抜け出した。GKを真正面にしたものの、チップキックによりループシュート。ゴールに吸い込まれたのだった。
 勝った。この時はさすがにそう思った。ピッチにもそんな空気が充満したのだろう。それがいけなかった。どこかヌルっとした感覚になりパスはずれボールキープもままならない。交代で入った渡など、サイドで時間稼ぎをしようとするも自らファールをして相手ボールにしてしまう。それは強豪チームが魅せる試合の終わらせ方ではない。正に弱いチームの慌てふためいたドタバタの中で山雅がどんどん押し込んでいく。余裕のないハイネルはファールで止めようとして自爆してしまう。ゴール前に全選手がいることによってセカンドボールが拾えない。そもそも1人の選手に2人も3人もついてボールが奪えないのである。あの時間帯、まるで草サッカーのチームにでもなり下がったかのように拙くなってしまい、その隙を狙って同点弾を決められた。あと1分、守ることができなかった。本当に守備の下手なチームだと認めざるを得なかった。
 点を入れて追いつかれる。決めたら追いつかれる。もう最初から引き分けになるのが決まってるような試合だった。むしろ山雅が最初から積極的に守備に来てたら負けたかもしれなかった。ビビッてくれて助かった。守備の弱さを突かれなかったのが幸いした。
 でもこの対戦を分析すると押し込んでしまえばシュートさえ打てば入るとバレてしまっただけにこの後の試合は苦しくなる。むしろそれが分かっただけに負けに等しい引き分けは意義があったのかもしれない。

2019年7月14日 (日)

鳥栖戦~誤審に助けられつつ勝利

2019年7月13日 サガン鳥栖vs サンフレッチェ広島 駅前不動産スタジアム

 鳥栖に負けてから調子を崩した。
 昨シーズン、圧倒的勝ち点で首位を走ってたのも、鳥栖の敗戦から失速した。そして今シーズンも連敗中戦いまたしても負けた。いつしか大きな壁として立ちふさがり、鳥栖に勝つのは至上命題となるのだった。
 選手もそれは意識してるようで立ち上がりから速いプレスで鳥栖の自由を奪う。そしてボールを奪ったら前を向く。きっちりマークにつかれても前線の森島はターンをして敵陣へと突き進む。それによってチーム全体が押し上げられる。サイドからクロスが出る。するとパトリックがどんな体勢でもボールに合わせる。そんな強引さに鬼気迫るものを感じた。
 ところがよかったのはここまで。その後は前を向く意識が薄れバックパスが多くなり、いつもの遅行へと移るのだった。あくまでも自分たちの安定を優先する。だがその間に相手はみんな自陣に戻ってしまい網を張られてしまう。結果縦へのパスが通らなくなるのだった。
 最後尾から横パス、横パスと繰り返し、縦へとチャレンジのパスを入れれば捕らわれる。サイドで張るクエンカに渡るとボールを取れない。ドリブルのテクニックは異端だ。そこに原川が絡んで深くえぐりこむのでたまったものではなかった。
それでも何とか跳ね返す。そこまではいいもののセカンドボールを拾われてしまうので2次攻撃とつながっていく。何度食い止めても止まらない。ああ、悪い展開だ。いつもここからやられている。でもまだ集中力は続いていた。クロスは上がるもののそのほとんどをDF陣は跳ね返したのだった。
 一進一退。ボール支配率もイーブンで進むも後半に入ると一方的に攻められる時間に入る。全員が自陣に戻り守備に徹する時間。60分辺りから出るこの逆境。何かを変えないといけない。だけど変えるには均衡を壊す怖さがある。それでも城福監督はここで守備に強い稲垣に代わって松本を入れる。それはこの試合を引き分けで終わりたくないという明確なメッセージだった。
 そのせいか、ボールが前出るようになる。しっかりとした守備の後、柏につなげることができる。前へ運んでいきシュートにつなげる。そして相手のパスもカットでき再び前を向ける。ハイネルがスルーパスを狙う。柴崎が裏への飛び出しを狙う。サイドでのパス回しに柏も入るとCKを得ると渡が入った。セットプレーで競り合いに強い渡を入れるのは抜群のタイミングだった。
 CKはゴールにつながらないもののセカンドボールを逃さない。森島が倒されながらもサイドからクロスを入れる。中で合わないがルーズボールをパトリックが全力で追いハイネルにつなげる。クロスが入る。クリアされるももう一度入れる。またしてもクリア。それでもその落下点での競り合いにより柏がファールを貰ったのだった。
 直接は狙えないがいい位置でのFKである。蹴るのは森島。敵味方一列に並んだゴール前のスペースにギュンと落ちるボールを入れる。抜け出したパトリックの頭。折り返すと真ん中で合わせたのは荒木。GKの脇をかすめて入ったのだった。
 ただ、これはパトリックの出だしが早かった。オフサイドだろうと笛のなるのを待っていたものの笛は鳴らない。歓喜の渦にいるサンフレッチェの選手。認められたのか?どうやらゴールとして認められたようだった。
 思わぬ形で先制した。でもどこか居心地が悪い。勝って欲しいのは山々だがこのまま1点差で勝つと単に誤審で勝っただけとなる。それは許されない。絶対に追加点を取らないといけない。間違いなく勝ったという証明を出さないといけない。
 とはいえ先制点により勢いが増していき、鳥栖に攻撃の芽を与えない。中盤ではぽっかり空いたスペースで渡が受けることができ、サイドのハイネルに出すと自分もそのまま前線に向け猛ダッシュ。裏へのスペースへ出る動きにつられたDFによりカットインしたハイネルは余計中へ入ることができシュート。グラウンダーのボールはスルスルスルッとゴールの脇に吸い込まれていったのだった。
「よっしゃあああああぁっ!」
 立ち上がり吠え上がった。今度は純粋に喜ぶことができた。そして今度こそは間違いないゴールである。残り時間10分。勝利をぐっと手繰り寄せるゴールだった。
 鳥栖も豊田を入れパワープレーに出る様相だ。何度かサイドをえぐられるも最後はDFがよく跳ね返す。そしてセカンドボールも収まる為に防戦一方にならない。そこに余裕が生まれ前線のパトリックのスピードを生かすロングフィードが生きるのだった。
 そしてタイムアップを迎え、3試合ぶりの勝利に喜びを分かち合う。誤審により先制するもその後追加点が入ったことで心置きなく喜ぶことができる。久々に勝った。まるでもう何年も勝ってなかったかのような感覚だ。
 鳥栖の呪縛を解くことができた。そして運にも助けられた。これは良い兆候が生まれつつあるのでは。照明の光によって雨足がはっきりと浮かぶ中、そんな心地よい気分に浸るのだった。

2019年7月 6日 (土)

セレッソ戦~あと一歩勝てない

2019年7月6日 サンフレッチェ広島vs セレッソ大阪 エディオンスタジアム広島

 ボールが取れない。ブロックをつくって守備に徹する。守って守って守り続ける。攻撃を止めてクリアしても最前線に構えるパトリックは見事にボールを収めない。それに引き換えセレッソはキープ力がある。間を通すパスが上手い。はっきり言って個人能力自体差があるように思えた。これが本当に同じディビジョンのチーム同士の対戦なのだろうか。
 連敗を続けることにより戦い方を一新して前から積極的にプレスを掛けるスタイルが見受けられない。むしろ守って守ってカウンターを狙うも前に収まらずまた守備に戻るというまさに負けてる時の姿そのままだった。そしてあまりにも守りの時間が続くとやってしまう。危険な位置でのファール。右サイドからの直接フリーキックを与えてしまうのだった。
 壁をつくって備えるものの、水沼が蹴ったボールは閃光のようなスピードでゴールに突き刺さった。GK林も対応できなかった。単純にキッカー対GKの対決と考えれば完全に林の負けだった。
 また同じパターンでの失点。サンドバックのような状態になり耐え切れなくなっての失点という意味では完全にいつもの失点パターンである。ただ違うのがいつもはこの悪癖を60分頃から始まるのが試合開始からやってしまったことである。退化、これを退化と言わずに何と言うのだろう。
 そんな不平不満がとめどなく溢れる。悪態をつく。溜息が止まらない。ああ、もうこの試合は終わった。ハーフタイムを迎えどう修正するのか見当もつかない。だが、城福監督の出した答えはボランチの交代だった。吉野に代えて稲垣。中盤に運動量を求めた。
 その効果だろうか、途端にボールが持てるようになる。両サイドが機能する。特に右サイドのハイネルが高い位置でボールに絡むことができる。ドリブルで勝負。ショートパスで揺さぶる。そしてクロス。ゴール前、パトリックが飛び込む。GKもパンチングに出る。だがこの競り合い、パトリックが勝つとヘディングのボールはゴールへ流れた。
 入った、入った、入った。パトリックが決めた。久々のスタメン起用に応えた。やっぱりパトリックは力強い。今シーズン、なかなか試合に絡むことができなかっただけにようやく活躍できたとこに歓喜したのだった。
 やはりパトリックにボールを出せば決めてくれる。そんな確信から次々にゴールに襲い掛かるようになる。クロスを入れ弾き飛ばされてもセカンドボールを拾う。2次攻撃、3次攻撃と続いていくと柏のドリブルからフワッと浮いたクロス。跳んだパトリック。頭にヒットして入ったと腰を浮かしかけた。が、ポストにガツンと弾かれてしまったのだった。
 ああ、あともう少しだったのに。首を振り過ぎたか、それともほんのちょっと芯に当たらなかったか。それでもゴールの予感は高まる。もっともっと攻撃の圧力を高めていきたい。
 そして今度はFW皆川を入れパトリックとの2トップに。前の圧力を強める。3バックから4バックへのポジションチェンジ。そんな変更を試合中に行えるというのは一つの驚きだった。そして最前線からの落としから縦へポン、ポン、ポンとボールがピンポン球のように動き、皆川がシュート。だが外した。あああああああ、皆川。それを外すかよ。せめて枠には入れてくれよ。そんな叫びをするものの、いずれは入る気がしていた。
 ところが時間はどんどん過ぎ去っていく。精度が段々と落ちていく。そんなわずかなズレが相手の反撃を生み守備の時間へと移る。ここはしのばなければならない。絶対にやられてはいけない。そうでありながらもこうして守備をしている時間がもどかしい。早くボールを奪え、すぐに攻撃へ転じろ。失点への恐怖と共に時間の経過という焦りを感じるのだった。
 それでもセレッソの攻撃を食い止めるとセカンドボールを収めることができ、最後の最後で攻撃へと転じる。カウンターへとつなげるとこをファールで止められる。もう時間は残されてない。残りワンプレーというとこでFKをゴール前へ入れると競り合いの中からもシュートをゴールに飛ばすことができなかった。そこであえなく終了。お互い1点ずつ分け合う結果となってしまったのだった。
 追いついた。そこの部分は評価できる。でも勝てなかった。2試合続けての引き分け。勝てないのはあと一歩が足りないのだろう。そのあと一歩として試合中のフォーメーションチェンジであったり効果的な選手交代もやった。それなのに勝てない。リーグ戦に関してだが本当に勝てない。改めて勝つことの難しさを噛みしめるのだった。

2019年7月 5日 (金)

天皇杯沖縄戦~勝利によりアピール

2019年7月3日 天皇杯2回戦 サンフレッチェ広島vs 沖縄SV 福山市竹ヶ端運動公園陸上競技場

 リーグ戦も折り返しになってきた時にはまされる天皇杯2回戦。ついついその存在を忘れてしまう。その為、うっかりとモチベーションを落としてしまいJ1のクラブが格下にやられるというのはそう珍しくもない。実際サンフレッチェもFC今治によって敗退という屈辱を味わっている。それ故、地域リーグのチーム相手とはいえ決して油断はできないのだった。

 そんな不安は前半の拮抗した展開により一層強まる。だがそれ以上にもどかしくもある。というのもここに出てるのはここ最近出場機会を減らしてる選手。格好のアピールの場であるはず。こんなんでいいのか。こんなものしかできないのかと失望を感じて来だした。
 そんな停滞感を打破したのが渡だった。サイドを抉るとそのままラインを割るかと思いきや中央へクロス。無理な体制からでも上げることができた。そして真ん中で待ちかまえていた皆川がヘッド。ドンピシャなタイミング。しかしこれがGK真正面でゴールならないのだった。
 それでも渡の突破から何度もチャンスが生まれる。トップに収まるべき選手と思っていたがこういうチャンスメイクをする役割もいい。そんな新境地に心躍りながらもゴール正面にFKを得た。これを野津田が蹴ると魅惑的な回転が掛かりGKはファンブル。こぼれ球を東が押し込んだのだった。
 これから活躍して欲しい、若手の東が決めたことで堰を切ったように勢いを増す。この後ゴールになだれ込むような展開になると中央から右の松本大哉へ。ゴールへ向かう勢いそのまま、シュート。ファーサイドに突き刺さった。よく決めた。攻撃の選手でないだけにシュート以外の選択肢はないと言わんばかりのプレーにまたしても色めき立ったのだった。
 後半も半ばで2-0。もはや勝利は手中にしたようなもの。だけどアピールしたいのは若手だけではなかった。途中出場した青山は長短交えたパスを繰り出すとパトリックはゴールを目指して襲いかかる。ゴール前の狭いエリアを狙う。GKもセーブできない、ちからの抜けたシュート。それを決めたのを観た時、パトリックのコンディションの良さを感じさせてもらえた。そして、稲垣のプレスからのカウンターをいとも簡単にゴールに流し込んだ時、これからの爆発を予感せずにはいられないのだった。
 4-0、快勝である。でもそれ以上にここで出場した選手たちが活躍したのが嬉しい。ただ唯一皆川だけは決めきれなかった。他がよかっただけにどうしても心に引っかかる傷であるのだった。

2019年7月 1日 (月)

鹿島戦~土壇場での同点ゴール

2019/06/30 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマサッカースタジアム

 霧雨の降りた空気に天井下からのライトが降り注ぐ。空気の流れが視覚できる。その天気を見越して屋根の掛かってるイーストゾーンの席を確保したものの、席は濡れていた。
 そんな覚束ない天候の為客足は悪く試合への盛り上がりに心配を寄せる。が、それ以上に心配なのはこの日の勝敗だ。鹿島との3連戦の最終戦。ACLでは負けてしまった。だからこそリーグ戦では勝ちたい。勝ちたい、勝ちたい。これで負けてしまったら何と惨めなことか。それにより鹿島には何度やっても勝てないという負の感情が植え付けられてしまいそうだ。
 靄掛かった視界の中、選手がピッチに踊り出すとアウェイゴール裏の紫のサポーターのコールが塊となって響き渡る。それによりホームとアウェイの応援の声がぶつかり合う。サンフレッチェは人数は少ないものの決して負けていない。その情熱、情念を白いアウェイユニフォームを纏ったサンフレッチェの選手達もくみ取ってくれただろうか。
 キックオフの笛が鳴る。鹿島ボールで始まった為にサンフレッチェの選手は前線からプレスに走る。するするっとかわした鹿島は簡単にゴール前まで侵入してきてシュート。何とかブロックしたものの逆サイドに落ちたセカンドボールはレオシルバ。シュートを放つ。前で構えていたDFに当たるとコースが変わりGK林も反応できずゴール。ああ、決められた。開始1分もしない内にやられた。あそこであれだけフリーで打たすとこういうことになってしまう。
 はあ~。大きく溜息をつく。これでもう今日の勝利はなくなった。追う展開のサンフレッチェにゴールを決めれる気がちっともしない。そしてその予感は悲しくも当たってしまうのだった。
 ショートパスでつなぐサンフレッチェの攻撃は全てカットされる。読まれている。やることなすこと全て読まれている。鹿島のラインは高く、それ故カットすると即ゴール前へとつなげることができる。おい、しっかりしろよ。パスが弱い、前への推進力がない。ゴールへ向かえよという不平をこぼしてしまう。
 するとラインの高い鹿島に対してサイドの選手がスペースへ走るようになった。左の柏、右のハイネル。縦へ抜けるとそこから中へ切れ込む。柏がドリブルでチャレンジするも止められる。それでも両サイドの上がりは続きハイネルが縦へ抜ける。フリーで深く抉ると一直線のクロス。ゴール前へ集まる。そして合わせた。入った。決めたのは逆サイドの柏だった。
「うおおおおおおおおっ!」
 立ち上がり雄たけびをあげる。振り出しに戻すことができた。これにより俄然、ぼくらの気は大きくなり、サンフレッチェも攻撃への勢いが出てくるのだった。
 2人に詰められてもボールを失わない。むしろそこで空いたスペースを使ってより前への推進力を高める。トップのヴィエイラへ渡った。「打て!」と叫んだもののパスをする。確実なプレーを選択したつもりかもしれないが、ボールはクリアされて終わってしまった。ヴィエイラ、川辺の2人は前線のポジションであるにも関わらずあまりにもシュートへの意識が低い。そしてもう一人、シャドーの森島は再三相手のゴールを脅かそうというプレーを意図するも鹿島のディフェンスにいいように蓋をされてしまう。そしてこんなもどかしいプレーを繰り返していく内にどんどん鹿島にペースを握られてしまうのだった。
 堪える、堪えるサンフレッチェ。全員が自陣に下がり相手の攻撃を食い止める。ところが苦労してボールを奪ってもその後のプレーに精度がないものだからまた鹿島のボールになる。特にボランチの吉野のパスは皆敵に渡ってしまう。周りが見えてないのだろう。そして川辺はどんどんプレーの質が落ちている。疲労なんだろう。森島も消える時間が多くなった。こちらも疲労なのかもしれない。それらの危険要因があったにも関わらずまだ選手交代を行わない。そしてCKからのボールをクリアしようとした川辺のキックは当たり損ね、再びCKとなってしまった。そして中央に蹴られたボールは一度は跳ね返すもセカンドボールをシュート。距離のあったシュートはGK林もなす術もなく入れられてしまったのだった。
 ああ、やられてしあった。またしてもシュートの場面でフリーにしてしまった。そしてその前に悪い予感はしてた。大体60分辺りからサンドバック状態になる癖があり、それを10分以上続けるものだからどこかでブロックが決壊してしまう。大体いつもこのくらいの時間に同じような状態になって同じようにやられてるのに未だに修正できてない。どうしてこうも同じことを繰り返してしまうのか不思議でしょうがないのだった。
 意気消沈したぼくはガクッと項垂れ、すでに帰路のことを考えていた。失点後、先の3人に代えて稲垣、野津田、パトリックと入っていったものの一度傾いた戦況はそう易々と変えることはできなかった。
 遅い、遅すぎた。どうしてもっと早く決断しなかったんだろう。そんな怨嗟の感情が城福監督に向けられる。選手も苛立ちが積もりファールが多くなる。余裕がない。もはや沈着さを持ち合わせてない。それに従いホームの声援はより一層活況を呈するのだった。
 ああ、このまま終わるのか。実に上手い具合に試合を進められた。鹿島の方が一枚上手だった。そんな打ちひしがれる想いでいたその時だった。前線にいたパトリックが粘りからボールを前に出すと走りこんだ野津田。サイドではあるがゴールライン際で受けるとすかさず浮き球を上げると鹿島のDFは触ることもできずゴール前へ詰め込んだ柏のとこへ。そこでシュート。入った。入った、入った、入った。柏2点目。そしてそれは貴重な同点ゴールだった。もうほとんど残ってない時間の中で、最後の最後で柏が決めたのだった。
 程なくして試合終了。引き分けであったものの最後まで諦めず走り回った末でのゴール。そして何気に城福監督の采配が当たったことに驚くきつつ、あんな土壇場で追いついたことに血管の血が噴き出しそうになるのだった。
 挨拶に来た選手達。ヒーローの柏は少し遅れて現れると柏コールが繰り出された。いつまでもいつまでも鳴りやむことのないコール。勝ちたかったのはやまやまなものの、ずっとこのまま賞賛のコールを叫びたい気分だった。

2019年6月26日 (水)

ACL鹿島戦~当てにならないVAR

2019年6月25日 ACLラウンド16 サンフレッチェ広島vs 鹿島アントラーズ エディオンスタジアム広島

 3-2、この試合に関しては勝利することはできたものの2戦合計ではスコア合計で負けてしまった。アウェイゴールを与えたのが全てだった。与えてはいけない失点だった。しかも2点も与えた。それが全てであっただろう。負けるべくして負けた。もはや予定調和の感さえあった。
 実はこの試合を前後して日本代表の試合もあった。一つは南米選手権。もう一つは女子ワールドカップ。そのどちらも勝てなかった。応援してるチームが立て続けに大会を去ることになった。そして奇しくもその全ての試合で不可解なジャッジがあったというのも共通してるのだった。
 まずは南米選手権。引き分けで終わった第2戦となるウルグアイ戦であるがどこがPKだか分からないがPKの判定を取られてしまった。逆に日本の攻撃で中島がペナルティエリアで倒されたのはノーファール。最初から日本に勝って欲しくないというのは明白だった。ゲストとして予選リーグに参加するのはいいけど決勝トーナメントにまで出てもらうと困る。そんな意図が見え見えだった。
 そして女子ワールドカップでも不可解なPK判定を食らった。何度リプレイを観ても手に当たってるようには見えないし実際会場内では判定を不服とするブーイングが鳴りやまなかった。試合は拮抗してたものの、日本が優勢に傾いてた時間だけにあんな判定で勝敗が決まってしまったのは何とも解せなかった。
 最後にACLだがドリブルで切り込んだ柏が倒されるもシュミレーション判定。あんぐりしてしまう。そもそも柏にはシュミレーションをする必要がない。なぜならドリブルをすれば止められないから。これも前回優勝チームの鹿島のブランド力に審判の感情が偏った結果だろう。そういう意味では今までACLで負け続けたサンフレッチェに非があると言えなくもない。
 だが、問題は先に上げた大会全てにVARを導入してたということである。得点につながる誤審を防ぐという意図で導入してるにも関わらず全く意味をなしてない。それだったらいっそのことVARなんか止めてしまった方がいいのではなかろうか。金も掛かるしあったってどうせ大会主催者の意向に沿ったような判定しかされないのなら意味がない。結局サッカーで勝つ為にはピッチの外でも力が必要ということのようだ。
 もっと世界にサンフレッチェの名前を広めないといけない。その為に勝たないといけない。今まで予選リーグで敗退し続けたツケはこんなところで罰を受けたようだった。

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles