2017年12月 3日 (日)

柏戦~今シーズンを象徴した最終戦

2017/12/02 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 日立柏サッカースタジアム
 
 最終節。すでに残留を決め天皇杯も敗退してしまったがためにこれが今シーズンの最終戦となった。その為だろうか、アウェイゴール裏は通路にも人が溢れ、一度持ち場を離れると決して戻っては来れない程にサポーターが凝縮されていた。それなのに出入り口は一つという殺人的コンディションで観戦せざるを得ない。さすがにこれは保安上問題のある会場設定であった。
 そんな満員の柏スタジアム。サンフレッチェは前節と同じスタメンで組まれ、もはや降格を気にすることもなく伸び伸びとサッカーをやるのだった。後ろからのビルドアップ。連携による攻撃。豊富な運動量。まさにそれは森保体制からヨンソン監督へとバトンを引き継いだ集大成ともいえるサッカーだった。
 ところがそんな小気味いいサッカーをやりながらも最期が決まらない。シュートカウンターからフェリペがシュート。一旦はゴールに入ったものの、このシュートにオフサイドポジションにいたロペスが触っていたことでゴールとして認められなかった。他にもここぞという場面で必ずオフサイドにかかる。そう、ワントップに入ったロペスはあらゆる面でいいとこがないのだった。
 シュートをすればミートができない。よくわからないとこでボールをとられてしまう。かといってまるで駄目かというと時折長いリーチを生かしたキープを行う。この選手、結局のところ上手いんだろうか、下手なんだろうか。がっかりするとこが多い割にチーム内最多の10点取ってる。一体この選手は生かすべきか生かさないべきか判断がつかないのだった。
 ただ、中途半端といえばもう一人、フェリペも入る。とんでもなく高い技術があるという割には試合ではパッとしない。確かにテクニックはあるもののラストパスをアシストにつなげることができない。それでいて自身のゴールも少なく得点を演出するという能力に欠けてる。それ故に怖くない。相手に脅威を与えない。中途半端に上手くて中途半端な存在感しかないのだった。
 そうこうしているとまたしてもCKから決められてしまった。しかもそれはミスキックのような低いすっぽ抜けたキックだった。しかしニアにいたフェリペがクリアし損ねるものだからボールはそのまますり抜けてしまいゴール前に立っていた柏の選手が当てるだけで余裕で決めることができた。ああ、フェリペは一体何をしていたのだろうか。
 その結果、またしても先制点を与えてしまった。しかも今シーズン何度も何度もやられたCKによる失点である。結局この悪癖は解消することができなかったようだった。
 そしてその後は柏の雨霰のような攻撃である。クリアしてもセカンドボールを拾われ、プレスに行けばあっさりパスを散らされ、ドリブルを止めようとすると逆を取られてシュートを打たれてしまう。そしてこの悪い流れを断ち切ることができない。サンドバック、サンドバックのように叩かれ続けるのだった。
 サンフレッチェは茶島を入れ、前線にパトリックを入れる。茶島はスピードと切れのあるドリブルから前への推進力を見せ、パトリックも最前線でボールを待つ。が、パトリックをめがけるクロスどころかロングボールも来ない。競り合えば勝てる。だけどその優位性を生かそうとしない。とはいえカウンターからドリブルに持ってくると最期にはパスを選んでしまい敵に読まれてしまう。結局そこのとこがこの選手を完全に頼り切ってしまおうという気概を奪ってしまうのだろう。
 時間は経つが点の入るイメージが沸かない。でもゴールラインまでドリブルで入る。折り返しを高橋が受けゴール前へ横パス。茶島のシュート。3人の選手を経由したそのシュートはGKの素早い反応により防がれてしまった。
 ああ、やっぱりGKは重要なんだ。
 怪我によって戦線離脱した林の代わりに出場してた中林。俊敏な反応からセービングをしたかと思うとプロとは思えないような稚拙なポジショニングで簡単に失点を許してしまった。満を持してサンフレッチェに戻ってきた中林だったが、J1のレベルに対応することができなかった。最後の最後でくい止めるGK。30メートル離れた場所からのシュートを簡単に決められるGK。両者の違いは大きいのだった。
 そしていい攻撃をしながらも最後が決まらない決定力のなさ。結局点を取ることと守ることという至極基本的な要素の欠陥によって負け続け、そしてこの試合も負けてしまったのだった。そういう意味で今シーズンを象徴するような試合だった。
 来シーズンへの希望。残留によりせっかくうっすらと見えていたものが再び霞んでしまった。ヨンソン監督も続投するかどうか未知数ということだが確かにこの試合を観る限り、このままでいいんだろうかという疑問は残る。かといって残留という最低限のノルマは果たした。果たしてその選択はどうしたらいいのだろう。
 高橋のように頭角を表した若手がいる一方、明らかに戦力となってない選手もいる。そういう疑問を残しつつ、どこかすっきりしないままで今シーズンの終わりを告げたのだった。

2017年11月27日 (月)

FC東京戦~残留決定

2017/11/26 サンフレッチェ広島vsFC東京 エディオンスタジアム広島
 
 ミキッチ退団。
 その発表があった時、やっぱりそうだったのかという気がした。困った時のミキッチ、そんな台詞を言い合ったものだ。攻め手のない時、行き詰まった時、劣性にたたされた時、ミキッチにボールを割たして右サイドをドリブルで駆け上がってもらった。あんなスピード、あんなテクニック、あんな駆け引きの上手さ、それはもう憧れを感じてしまった。背番号14のレプリカユニフォームを着たサポーターは多かった。
 ホーム最終戦。勝ってミキッチを見送りたい。だがこの試合はそれ以上の意味があった。この試合の勝敗はそのまま残留の結果に影響するからだった。
 シーズン前、一体誰がこの状況を想像しただろうか。まさか4年間で3回優勝したチームが残留争いをやるとは。だがその原因を突き止めるとするとやはり新加入選手に行き当たる。補強の失敗といっていいだろう。稲垣、フェリペのように終盤になってやっと試合に絡める選手が出てきたものの、即戦力という見立ては大きく外れてしまった。
 そんな中、チームのパフォーマンスも崩れていき全く機能しなくんってしまった。ボールのつなぎ方もわからない、守備の仕方もわからない、連携をすることもできない、まるでそれは負ける為にやってるようなサッカーだった。そしてあれだけ胸躍らせたサンフレッチェのサッカーはつまらなく、気怠いだけの退屈なものとなってしまった。
 そんなチームの建て直しの為に就任したヤン・ヨンソン監督の元、徐々にサッカースタイルを変えていった。その集大成とすべき試合だった。
 サンフレッチェはボールを持つと有機的に選手が絡み合い、目まぐるしくパスを回す。そして気づいたら前線に。ワントップのロペスを目指すが中盤の青山も飛び込んでミドルシュート。枠には入らなかった。それでも入ったかもしれない。そんな感覚があったのか、虎視眈々とゴールを目指す青山のプレーがあった。
 そしてそれに呼応するかのように高橋が上がる。クロスを放つかと思いきや柏へスルーパスを出して2人の連携で相手DFを翻弄させる。クロスが跳ね返されたとしても青山始めリスク管理に備えてる選手によってセカンドボールが拾われまた攻撃は続いた。ボールがまるでピンポン球のように小気味よく動くのだった。
 ああ、この感覚。いつか忘れてた爽快感だ。ゴールが決まった訳ではない。それでもどこかで誰かが決めてくれそうな予感がある。そしてフェリペが中へ切れ込んでミドルシュートを放つとゴール前の誰かに当たって弾道がかわることでゴールに入った。ネットが揺れた。紛れもない先制点だった。
 ドワーッとスタジアムが沸く。一体誰のゴールなのか。すると得点者として柴崎の名前がアナウンスされる。おお、柴崎。今シーズンあまりにもシュートを外し過ぎた柴崎がこんな予期せぬ形で決めたのだった。
 勝利へ向けて、残留に向けての大きな足掛かり。このままイケイケでいけそうだ。これまでの鬱憤を晴らすように追加点を重ねていきたい。
 ところが後半、徐々に攻勢を高めてきたFC東京にCKを与えた。するとゴール前に飛び込まれたヘディングに対応できず失点を許してしまった。これまた散々悩まされたCKでやられてしまったのだった。
 同点。ああ。ここでガクッと落ちそうだった。ところがそんな感覚に陥らなかった。まるで振り出しに戻ったという事実に気づかないかのように。追いつかれたにも関わらず有利であるということに代わりがないかのように。
 すると再び攻勢を強めていくとフェリペがペナルティエリアに侵入する。多くのDFの壁が立ちふさがりここからは狙えないとあっさりと後ろへ下げてしまうと稲垣が受けた。テクニックのない稲垣。運動量でピッチを広く駆けめぐるのがストロングポイント。そんな稲垣が遠目の角度をつけたとこからキック。するとボールは放物線を描き綺麗な弾道でゴールの隅に入ったのだった。
 うおおおおおっ!
 雄叫びを上げてしまった。キックの正確さと精度がないとできないプレー。稲垣にあんなシュートが打てるとは。そして今シーズン一番の素晴らしきシュートだった。勝てない理由に稲垣の力量不足を考えたこともあった。まるでそれを払拭するかのようなゴールに本人も激高するのだった。
 この勢いに乗って追加点。そうなる気配はあった。実際ロペスが反転シュートを放つと決まったかと思った。だがFC東京も諦めてはいない。選手を代え攻撃への圧力を高めてきた。
 まるで引力が掛かってるかのようにサンフレッチェのゴールに向かってくる。ボールカットしようと跳ね返そうとどうにも反撃の芽がつくれない。もはや勝てればいい。堪えて、防いで、クリアして時間を稼げばいい。時間稼ぎのプレーをする。そうやって苦しい苦しい時間を集中力を切らさず切り抜けたのだった。
 試合終了。ホイッスルの響きは歓喜へのスイッチだった。沸き上がるスタジアムに残留決定の安堵の気持ちが漂う。
 よかった、よかった。言いたいことは色々あるがそんなことはどうでもよかった。降格を覚悟した時期もあった。それでもここまで這い上がったチームに誇りを感じる。チームを去るミキッチにもいい餞ができた。来年もJ1の舞台にいれる。今はただそれだけを喜び祝いたかった。

2017年10月30日 (月)

浦和戦~儚き想い

2017/10/29 サンフレッチェ広島vs浦和レッズ エディオンスタジアム広島
 
 また負けた。結果を先に書いてしまう程に喪失感がある。点が取れない。とにかく点が取れない。3試合連続無得点というのが更に空しさを煽る。どうしてここまでなったのか。どうしてここまで落ちぶれてしまったのだろうか。
 チームの建て直しとしてヤン・ヨンソン監督の就任。その後走力をベースとしたサッカーへと変貌を遂げ勝ち点を重ねていった。トップにはパトリックというストライカーが入り後ろにも魂の入った守備の丹羽が入るテコ入れは上手くいったかに見えた。が、ここに来て失速。その最も大きな原因が得点力のなさなのだった。点が入らないと勝てない。その最も根源的なことをサンフレッチェはできなくなってしまったのだった。
 ここのとこでヨンソン監督の見積もりの誤りが見て取れる。誰も点が取れないのなら最初から引き分け狙いというやり方もある。守って守って相手がじれたとこでカウンターでチャンスを掴む。ああ、久保達彦がいればそんな戦術もできたのだろう。
 今のサンフレッチェにとって足りないのは割り切りではなかろうか。4年間で3回優勝したというプライドが邪魔をしてるのかもしれないが、もはやつなぐサッカーを目指してる場合ではない。なりふり構わず前に蹴るだけのサッカーをやっても構わないのではないだろうか。そこでパトリックのガタイを生かす。そもそもがそういう理由でパトリックを取ったのではないだろうか。
 そのパトリックであるが終了間際にゴール前でシュートをGKにぶち当ててしまった。あそこでほんの少しボールを浮かすことができなかったものだろうか。焦りが焦りを呼びそれがゴール前での冷静さを奪っているかのようだ。
 他にもアンデルソン・ロペス。どうしてあんなにシュートが下手なんだろう。そして往々にしてこの選手はその時々のプレーの選択を間違ってしまうのだ。その結果せっかくのチャンスを潰してしまい枠に入らないミドルシュートを打って攻撃を終わらせてしまうということがあまりにも多すぎるのだった。
 ただ、それでもシュートを打つイメージを持ってるのがこの2人しかいないというのがまた寂しい。ああ、サッカーにおいてゴールの可能性がないという前提で観るとそこにどうやって楽しみを見出せばいいのだろうか。
 つまらない、つまらないサンフレッチェのサッカー。どうしてこんなチームを応援しているんだろう。そこに自問自答を繰り返すのだがよくよく考えたらこれってはるか前はこんなことばかり言ってた気がする。だから元に戻っただけといえばそうなのかもしれない。
 それでも初めて降格した2002年、最期の最期は残留への希望を見出した。そして奇しくも最終節でその想いは絶たれ降格の憂き目に遭うと泣いてしまった。ただ、そこには泣かずにはいられない激情があった。
 果たして今回降格するとどうなるだろう。あまりにも淡々と負けてるような気がする。勝ちたいという執念が感じられない。結果が伴わない今、せめてそんな熱いものだけでも感じさせてもらえないかと願うのだった。

2017年10月21日 (土)

川崎戦~取れないゴール、防げないシュート

2017/10/21 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ エディオンスタジアム広島
 
「ミ、ミナガワーッ!?」
 スタメンを観た時、目を疑ってしまった。シーズン途中から完全にレギュラーとして定着していたものの全くといっていいほど結果が出せずパトリックにあっさりポジションを奪われてしまった。大卒で入団して以来、その恵まれた体格によってすざましい破壊力を期待したものの、彼のプレーはどうにもぱっとしないのだった。それに伴いもう来シーズンはプロのキャリアも終えてしまうのではというのもあり得ない話ではなかった。
 雨の降るピッチ。それはボール扱いもままならず肉弾戦も要求されるかもしれない。ワントップの皆川にはそこを期待されたのかもしれない。
 ボールの滑るピッチで両者攻撃的に始まった。やはり優勝争いをしてる川崎の方が攻撃の回数は多い。だがサンフレッチェも最期の最期でくい止める。それがチームに勢いを与え徐々に攻撃へと比重を上げていくのだった。
 ワンツーから縦へのスルーパス。サイドのスペースに飛び出した選手がフリーでクロスを上げる。あとは触るだけ。だが滑り込んだ柏はあと一歩足が当たらなかった。そしてCKから皆川がシュートを打ったシーンもあったがGKに当ててバーに跳ね返されてしまう。入らない。本当に決まらないサンフレッチェの攻撃だった。
 セカンドボールも拾い圧倒的優位な展開だ。あとは決めるだけ。そしてそんな時に川崎のGKが負傷交代することはゴールに向けての可能性をまた押し進めるのだった。
 ところがここから川崎からボールを奪えなくなってしまう。サイドで丹羽が身体を寄せるがあっさりと抜かれるとファールを犯してFKを与えてしまった。抗議をしているものの完全に手を使ってた。
 とはいえ距離があるのでそれほどの驚異でもなさそうだ。ゴール前に蹴られたキックはGK中林の飛び出しで手に納めた。それで事なきを得たと思いきや落とした。水分を含んだボールのせいか、ぼろっと落とすと詰め込まれた。呆気ない、呆気ない失点なのだった。
 点の取れないサンフレッチェにとってもう劣性になってしまった。それでもまだ時間はある。チャンスはつくれているんだ。
 そう活き込んだものの、今度はDFの前に出されたボールにミドルシュートを打たれると綺麗にゴールに入ってしまった。水本が相対してたにも関わらずまるでカラーコーンであるかのようにプレッシャーを感じてなかった。
 2点差。それはもう絶望的なスコアだった。点の入らないチームにとってもはや勝つことは諦めざるを得ない。だがせめて同点にはしていきたい。
 何とか1点。高橋は最後列から何度もサイドを駆けめぐりクロスを上げる。柏がゴール前でヘディング。ゴールに向かわず真横に行ったが皆川の目の前。が、これに反応することはできなかった。そして逆サイドからもグラウンダーのクロスが入る。柏がスルーして皆川が詰める。が、これも枠に入らない。入らない、入らない、入らない。さすがにここまで決定機を逃してるともう永遠に入らないような気がしてきた。
 そこへのテコ入れにパトリックを入れて前線のターゲットを2枚にする。が、今度は中央にボールがちっとも入らなくなるとボールを奪われロングキック。落下点にいた水本は目測を誤り小林への収まりを許すとそのまま縦へ進みシュート。まるでGKなんかいないかのようにガツンと決められてしまったのだった。
 3点目。
 さすがに終わった。手を替え品を替え、走って走って走り回ってボールも左右に振って翻弄しようとも決めることのできなかったゴールを川崎はたったの1本のパスで決めてしまう。この差は歴然だ。両者の違いははっきりしている。シュートを決めるか決めないか。そしてGKが防ぐか防がないかだった。
 そういえば中林のサンフレッチェでのデビュー戦もそうだった。プロのGKだったら簡単に処理できそうなボールを手前に落としてしまい失点してしまった。GKとしての基本能力はあの頃から向上してないのだろうか。
 そして皆川。3回もあった決定機をものの見事に外してしまった。もはや駄目だろう。シュートを決めれないFWにゴールを守れないGK。サンフレッチェが勝てない理由を露呈させたかのような試合だった。
 結果を出せない選手はいくらやっても駄目。実際に森島もパッとしたとこのないまま交代させられてしまった。もう今いる選手ではどうにもならないのだろうか。
 いや、それでも人間成長の余地はある。その象徴が高橋だった。相手のシュートをブロックしてここぞという場面ではオーバーラップを繰り返す。彼こそは早くプロの道を諦めた方がいいと思ってた選手だがその高橋が一番がんばってるように見えた。
 残留にかけては厳しいポジションであるには変わりない。それでも個々の選手がレベルアップすることによって活路は開けてくる。希望はある。あとは決めるだけなのだから。

2017年10月15日 (日)

鹿島戦~打つ手なき敗戦

2017/10/14 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマスタジアム
 
 寒い。
 つい数日前まで夏のように暑かっただけに雨によって下がった気温には氷点下のような寒さを感じた。そして無駄に広いスタジアムのせいで閑散とした客席の印象が尚更そのイメージを助長させるのだった。
 当然のことながら水分を含んだピッチはスリッピーになってる。ボールも滑ってよく走りそうだ。これはパスが主体のサンフレッチェにとって悪くないコンディションであるはずである。が、実際にはボールよりも選手ばかり滑っていた。
 鹿島の攻撃に蓋をし、攻撃に厚みを増し、セカンドボールを拾って2次攻撃、3次攻撃へとつなげるものの肝心のシュートまでたどり着けない。鹿島の守備がいいのかもしれない。が、ここぞという場面でサンフレッチェの選手が転んでしまうのだった。
 その最たるがアンデルソン・ロペス。条件は一緒のはずなのになぜか転んでるのは黄色いアウェイユニフォームの選手ばかりなのだった。
 とはいえ攻めてる限り不利には見えない。いつかチャンスが訪れるという気がしてくる。右に振り左に振り、手数ばかり掛けている割にフィニッシュに持ち込んでないにも関わらず圧倒的優位にいると勘違いしてしまう。そこに隙があったのかもしれない。
 中盤でボールを奪われるとぽっかりと空いたスペースで土居が受けゴールへ向かう。懸命に追う千葉と青山。特にディフェンスとして残ってた千葉は追いつくも簡単にかわされミドルシュートを打たれるとGK中林の手の届かないとこに簡単に決められてしまった。それはまるでシュート練習であるかのように見事なまでにあっさりと決めたゴールだった。
 あれだけ手数を掛けてフィニッシュまで持ち込めないサンフレッチェに対してたった一瞬の隙を突いて決めてしまう。両者の立ち位置を如実に物語っているかのようだった。得点力のないサンフレッチェにとってこの失点によりすでに勝ちについては難しくなってしまったものの、せめて引き分けに持ち込んでいきたかった。
 するとペナルティエリア内パトリックに1本のボールが入る。胸トラップで落とすとそこにアンデルソン・ロペス。決まった、と思ったシュートはGKに弾かれてしまった。
 ああ。決まったかと思った。あれを決めなかったらいつ決めるんだよ。全てが全て完璧な形だったのに最期の最期が決まらない。結局勝てないってそういうことなんだろう。
 それを如実に表したのがその後の失点だった。サイドからグラウンダークロスを入れられるとゴール脇で競りながらも中に入れられゴール前どフリーでシュートを打たれ決められる。2失点目。もうこれで決まった。勝ちは100パーセントなくなったと諦めざるを得なかった。
 それでも何かを残したい。せめて1点取りたい。丹羽と交代いて入った茶島がミドルシュートをバーに当てた。パトリックも遠目からシュートを打った。柏もドリブルで何度も仕掛けた。だがどれもゴールという成果につながらない。あれだけ走ってるのに、あれだけハードワークしてるのにどうしてここまで結果が伴わないんだろうという理不尽さを感じる。
 だが後になって考えてみるとサンフレッチェの選手はここぞという場面でゴール前に誰もいないのである。チームとして攻めてる時は人数はいるものの敵の人数も揃っている。そしてそんな密集を打ち砕く突破力は持ち合わせてない。だから攻めてる割にはペナルティエリアには入ってないのである。
 攻めてるような気分にさせられて結果的には負けている。いい試合をしてたと思わせて負けてしまう。前線には屈強なストライカーのパトリックが入った。ディフェンスにも丹羽や椋原が入った。それでも負けてしまう。果たしてこれ以上打つ手はあるのだろうか。放心状態はしばらく解けず、盛り上がる鹿島のスタンドの声援が聴覚に鳴り響いてくるのだった。

2017年10月 1日 (日)

札幌戦~負の象徴

2017/09/30 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 エディオンスタジアム広島
 
 札幌。残留争いのライバル。アウェイでの敗戦。昨シーズン、佐々木へ悪質なタックルで長期の怪我を負わせた横山がいる。そしてベンチに座ってる小野伸二にはACLにおいてもう少しでベスト16を勝ち抜けるというとこで得点につながるクロスを入れられてしまった。FWの都倉はなぜかサンフレッチェの試合だけは点を入れる。探せば色んなとこに因縁の見つかる相手なのだった。
 そのせいなのだろうか、エディオンスタジアムのスタンドには珍しく空席が見つけにくいくらい埋まりその光景は壮観だった。サポーターが集まりチャントへ呼応する声も大きい。そういう時、こういう時こそ勝たなきゃいけない。もはや細かい理由などなしにこの雰囲気を壊さない為にも勝利は必須なのだった。
 この試合に当たって稲垣、フェリペ、椋原の3人がスタメンに名を連ねた。ここ最近のパフォーマンスの良さからの抜擢といったところだろうか。
 ところが出足は札幌の方が攻めてきた。開始早々の都倉のシュート。やっぱりサンフレッチェには点を取れるという自信があるみたいだ。そして前回対戦で勝ったというのも自信の上乗せにしてるのかもしれない。
 それでもその時のサンフレッチェとが違う。簡単にゴールを割らせる守備をしない。最期の最期で跳ね返す。そして攻撃へと向かえる。相手ゴールに向かって突き進む。逆サイドへの折り返しがあり柏がクロス。ふわっとしたボールはDFの裏からパトリックがヘッド。が、入らない。攻撃の形としては良かったものの最期が決まらないのだった。
 その後ロペスがバイタルエリアから放ったシュートも沸くに入らず相変わらず皆シュートの精度が低い。ロペスは他にもカウンター場面でのドリブルが縦一辺倒なので全部引っかかってしまう。この選手、本当に上手いんだか下手なんだかよく分からない選手なのだった。
 そんなロペス、ペナルティエリア前でのトラップが足に収まらなかった。「ああ、また」とため息をつきそうになるもそのままゴールに向かっていく。すると次の瞬間、倒れた。DFの足が掛かってしまいPKになったのだった。
 おおおおおっ!ロペス、ナイスプレーだ。
 まだ点が入った訳じゃないが雄叫びをあげてしまう。ここはきっちり決めたい。そういえば今シーズンPKって1回も決まってないじゃないか。それどころかPKのシーン自体がない。一体誰が蹴るのか。そしてペナルティスポットに目をやると歩んでいるのはアンデルソン・ロペス本人だった。
 えええええ!ロペスPK決めれるのかよ。
 限りない不安が増幅していく。今シーズン9点決めてチーム内得点王にも関わらずどうもこの選手はシュートが下手というイメージがある。プレーも一本調子なとこがあってここぞというチャンスで見事に敵に止められたりブラジル人らしい狡猾さが見あたらないのだった。
 固唾を飲んで見守る中、フェイントを交えたPK。決まった。が、やり直しを宣告。そして再度蹴ったPKは全く同じコース、同じモーション、同じ蹴り方で見事に決めたのだった。ああ、ロペスって実はPK蹴れる人だったようだ。
 貴重な貴重な先制点を入れたサンフレッチェ。ここで叩き込みたい。ホームの声援を受けて上調子になっていったとこなのにここからトーンダウンしてしまう。
 失点が怖かったか、攻撃への軸足を緩めることでみすみす相手に勢いを与えると、ゴール前へ攻勢を強めてきた。ペナルティエリアに侵入する札幌。何とかくい止め危機を脱しようととするサンフレッチェ。だがこのつなぎの部分でハンドがあった。PKを宣告された。
 一体誰が・・・?
 そのハンドは稲垣だった。トラップした際腕に当ててしまった。ああ、またやってしまった。彼は前所属の甲府時代から本当にこういうプレーが多い。ゴール前でのハンド、オウンゴール。一旦こういう癖をつけてしまった選手はもう直ることはない。なのでゴールに近い位置まで侵入された時点で勝負あったのかもしれない。
 そしてこのPKを都倉は事も無げに決めてしまった。GK中林も見事に反対に飛んでしまった当たり、サンフレッチェに対しては点が取れると確信を持ってるようだった。
 振り出しに戻ってしまった。再び点を取らないといけない。そこでパトリックに入る。ヘッドでサイドに振るとフリーで駆け込んできた柏、シュート!が、ファーポストの外に流れていってしまった。
 決定的。決まったと思った。あんな場面もう現れないだろう。どうしてあれを決められないのか。いや、決められないからこそこの順位にいるのだった。
 案の定その後は見せ場のないまま終わってしまった。引き分け。だがそれは限りなく負けに等しい引き分けだった。
 うなだれるサンフレッチェの選手に対して札幌の選手の表情は明るかった。当然である、引き分けでも順位は向こうが上なのだから。
 簡単に相手をペナルティエリアに入れる。決定的なシュートを外す。点を取った後に勢いを持続できない。不調続きだった今シーズンの集大成のような試合だった。せっかく多く観客の集まった試合で最期を盛り上げることができなかった。そういう意味でも今シーズンを象徴してしまったのだった。

2017年9月24日 (日)

清水戦~変貌するチーム

2017/09/23 清水エスパルスvsサンフレッチェ広島 IAIスタジアム日本平
 
 それは開始6分のことだった。
 柴崎からのCKを水本がニアで合わせた。まさにピンポイント、ドンピシャ。ヘディングシュートをゴールを突き刺したのだった。
 CKでここまで綺麗に決めたのは今シーズン始めてではないだろうか。水本のようなDFの選手が決めたというのも久しぶりのような気がする。というよりこれってシーズン序盤に散々やられた失点の形だった。それを自分たちの得点として具現化したとこが希望なのだった。
 そんな開始早々のリードの為、チームは落ち着きを持ってるような気がした。相手ボールになっても帰陣を速くしブロックをつくって守備に備える。そしてボールを奪うとDFの裏へとロングボール。何度かあったそのプレーは最前線のパトリックにつながる。それがカウンターの起点となるのだった。
 ところがゴール前へピンポイントのパスを放り込まれたというのに最期が決められない。GKに当ててしまう。何気にパトリックって得点力ない。こういう決定機をつくりだす割には2点しか取ってないのが全てを表してる。
 他にもサイドからシュートを放つもGKにぶち当てた。スピードもありパワーもありテクニックもあるのになぜか最期の最期が決まらない。それでもこれだけ競り合いに勝ってボールを収めてくれるのだからそれ以上は望んではいけないのだろうか。
 ただ、そんなチャンスを決めきれずにことごとく潰してきたサンフレッチェはやはり怒濤の攻撃に晒されることになる。サイドからクロスを入れられミドルシュートは打たれドリブルによる突破を試みられる。それらの攻撃を跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。ああ、サンフレッチェお得意のサンドバック状態がやってきたのだった。
 一度はボールカットして相手の攻撃を止めるも速いプレスからすぐにまたボールを奪われる。そしてサイドへのチェックが甘くなるとゴール前へ向けてふんわりとしたクロスが入った。さすがにこんな緩いクロス跳ね返せるだろうと思っていたら後ろから入ってきたチョン・テセに決められたのだった。
 怒濤のような歓声が沸く日本平。この熱気、この異様な盛り上がり、まさかこのまま勢いに乗ってくるのではという危惧が起こった。だがこちらも負けてはいられない。引き分けではいけないんだ。欲しいのは勝ち点3、勝ち点3なのだった。
 尻に火がついたように攻撃へ軸足が向いてきた。途中出場のフェリペが意表を突いたパスを出す。柏もサイドからドリブルで勝負する。青山がセカンドボールを拾い攻撃に厚みを加える。だがシュートらしいシュートは打てない。ああ、このまま引き分けで終わるのだろうか。
 だけど不思議なのはあんなに閉じこもってたのが追いつかれた瞬間攻撃に軸足を向けたことである。こうやってパスが回せるなら攻めてほしかった。そうすればあんな失点はなかったかもしれない。そう思うとあまりにも勿体ないのだった。
 残り時間わずか。前に前に重心を向けていく。点を取りたいと前掛かりになる。だけどそう簡単にゴールは取れないだろう。どうせならもっと早い時間からこういう姿勢をみせていればよかった。そうすれば相手だって攻撃ばかりしてられなくなるはずだ。
 もう90分になろうとしている。フェリペが巧みなトラップから敵をかわす。裏へスルーパス。抜けだしたのはボランチから駆け上がった稲垣。ゴール前でシュート。が、GKに当たってしまいボールは跳ねてしまった。
 ああ、また決定機を決めきれなかったよと天を仰ぐとボールの落下点にはパトリックがいた。頭で押し込むと清水のDFも間に合わずクリアできずにゴールに入ったのだった。
 再度勝ち越し。もはや引き分けが精一杯と思ってただけにこのゴールは血管がぶち切れそうな程の興奮があった。ゴール裏へ駆けたパトリックは思わずシャツを脱いでしまった。その彫刻のような筋肉を見せびらかしてる。その行為はイエローカードの対象。分かってはいてもその衝動は止めようがなかったのだった。
 アディショナルタイム5分。堪えていきたい。だが守備に徹して時間を稼ぐというよりはマイボールにしたなら攻撃へとつなげていった。当然のことながら守備の時間は減る。そうすることによって時計の針も進めることができるのだった。
 柏のドリブルも効いている。少し前までそれしか攻め手がなかったが今は違った。フェリペにボールが渡ると巧みなトラップで前を向き柏に出す。ドリブルで突っかけるも守備に戻った相手に前を塞がれると横パスを出した。するとそれを受けたフェリペ、そのままミドルシュートを決めたのだった。
 勝った、勝った、勝ったーっ!
 実際にこのゴールが決まった瞬間試合終了のホイッスルが鳴るのだった。
 がっくりと倒れる清水の選手。ああ、この光景、つい3日前の自分たちの姿そのものだった。それにも関わらずよく気分を持ち上げ勝ちにつなげたものだ。
 パトリック、今シーズンの3点目。そしてフェリペの公式戦3試合連続ゴール。ロペスも守備で助けられた面がある。いつの間にかブラジル人トリオが機能してるのであった。
 やっとそれぞれが自分の持ち味を出せるようになってきた。そしてしぶとい勝ち方ができるようになってきた。ヨンソン監督、勝てるチームへと変貌させてくれた。とはいえまだ確信には至ってないのはあまりにも負け続けたせいだろう。
 それを確信に変える為にも残りのシーズン、1試合も無駄にはできない。だけどそもそも残留争いをしているチームに無駄な試合なんて最初からないのだった。

2017年9月21日 (木)

天皇杯マリノス戦~敗戦から見えたもの

2017/09/20 天皇杯4回戦 横浜Fマリノスvsサンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢競技場
 
 リーグ戦から8人替えたサンフレッチェ。皆川と工藤の2トップというのは新しい試みであると共に試合に出てない2人にとっても格好のアピールの場であるのだった。
 ところが立ち上がりはマリノスの方が優勢だった。ちっともボールに触れない。DFへのバックパスを追いかけるも追いつけない。が、それが運良くコーナーキックとなったのだった。
 蹴るのはフェリペ・シウバ。ゴール前へ向かったボールは野上が当てるもポスト。ああ、と頭を抱えそうになるもいち早く反応したのは皆川だった。ボレーでゴールに叩き込んでしまったのだった。
 あの点の取れない皆川が決めた。そんな意外性から唖然としてるのも束の間、今度はフェリペが決めた。カズからのパスを受けて反転、ミドルシュート。素晴らしい弾道でその技術の高さが伺える。一体、どうしてこんなシュートを打てるのに今まで活躍できなかったんだろう。
 そんな疑問は他の選手にも見受けられた。稲垣は豊富な運動量とプレスで危険の芽を摘み、茶島は鋭いドリブルで相手の守備ラインに混乱を与え、高橋は最前線までオーバーラップしてクロスを上げる。各自が自分の持ち味を生かしてる様にやっとヤン・ヨンソン監督のサッカーがチームに浸透してきたのではと胸躍るのだった。
 そんな気分の良さから皆川が絶好のシュートチャンスで決めきれなかったことにもまだ笑ってられた。工藤が全くシュートが打てないことにも目をつむることができた。ところがDFからのつなぎがすぐに相手ボールになってしまうようになるとさすがに危機感を抱くようになってしまったのだった。
 後半になって明らかにマリノスの方が出足が速い。そして前への比重を高めている。防戦一方のサンフレッチェ。サイドからの進入をくい止めようとペナルティエリア内で立ちはだかった水本にウーゴはクロスをぶち当てた。
 ピーッ!
 主審の笛が響きわたる。何と、これをハンドとしてPKを宣告してしまった。どこをどう見えて手には当たってない。わき腹に当たったとする水本の主張を全く意に介さない。信じられない。あれがハンド。一体この審判はどこを見ていたんだろう。
 するとこのPKをウーゴはあっさりと決めて1点差とされてしまった。でもまだ勝っている。これ以上失点をしなければいい。ところがトップの皆川はちっとも競り合いで勝てなくなってしまった。その為マイボールにできない。ついには足をつってしまい青山に交代してしまう。もはやこれは逃げ切りの体制に入ったのだろう。
 ところが交代してもマリノスの勢いを止めることができずあれよあれよと言う間にペナルティエリアに進入させてしまう。ゴール前にいるサンフレッチェの選手はことごとくクリアすらできない。かわされ、かわされ、かわされると最期はゴール前のウーゴ、同点弾を決めたのだった。ああ、あともうちょっとだったのに。2点差を終了間近に追いつかれる。このひ弱さは本当に昔からずっと変わらないのだった。
 延長戦。それはもうサンフレッチェに勝ち目のない話だった。フェリペも交代し前線にはロペスと工藤。そしてこういうせっぱ詰まった場面で絶対に決めないのがロペスなのだ。更に工藤はというとチャンスというチャンスをことごとく潰していた。
 柏からのクロス。工藤のヘディングは枠に入らない。中盤からのラストパスも決めれない。裏へのスルーパスも打てずに終わってしまう。そう、サンフレッチェにはもはやシュートを決めれる選手がいないのだった。
 そうこう言ってる内にGKからのパントキックが前線のウーゴに渡りサイドに流れる。守備の戻りが遅い。だがまだゴールには距離もあるし角度もない。それなのに打った。するととんでもない軌道で変化を遂げゴールに吸い込まれてしまったのだった。
 終わった。残り時間1分。喜ぶマリノスの選手を尻目に茫然自失とする。勝利を目前として最期の最期で追いつかれ結局は逆転される。あまりにも惨めな敗戦だった。
 足をつった選手がピッチに座る。両者を比べてみて明らかにサンフレッチェの方が足をつった選手が多かった。それだけ戦ったということだろう。でもそれだけ戦ったのに勝つことができなかった。結局のところ決めるべきところで決められなかったのが大きかった。そしてマリノスはウーゴ一人で3点も決めた。結局はFWの差であるのは明白だった。
 それでもゴールを決めた皆川、フェリペ。枠にさえ飛ばせなかった工藤。他にもこの試合は今後の棲み分けとして大きな分岐点となりそうだった。敗戦はいつだって痛い。でも個々の選手にとってその重さは大きな違いとなっていそうなのだった。

2017年9月17日 (日)

セレッソ戦~予想外の勝利

2017/09/16 サンフレッチェ広島vsセレッソ大阪 エディオンスタジアム広島
 
 日本列島に接近してる台風の影響で全国的に雨模様になっていった。広島もその例外に漏れずピッチは雨に濡れていた。ナイターの照明が水が張った地面を反射する。水分を含んだピッチはプレーへの難しさを導きそうだ。
 このようなコンディションでどちらが有利かというとセレッソのような気がした。何せ前回対戦では4点も取られた時点でチーム力に差があるような気がする。しかも優勝争いをしていてこっちは残留争い。ただ、まるで次元の違う話でありながら勝ち点3が必要なものどちらも一緒なのだった。
 いかにしてセレッソの猛攻に堪えることができるか。この試合はそんな忍耐の場になると思っていた。そして実際に始まってみるとほぼ見立て通りであった。
 自信を持ったセレッソの攻撃陣はパスでドリブルで揺さぶりゴール前を脅かしていく。そんな攻撃を跳ね返してもパトリックが前線で収めてくれない。例え収めたとしてもサイドから高橋がクロスを入れるととんでもない方向に蹴ってしまう。それを筆頭に前線でのプレーに精度がないので何も生まれないのだった。
 それに気をよくしたセレッソは攻めに攻めてくる。サンフレッチェはクリアしてもセカンドボールは必ずセレッソである。仮に運良くパトリックが収めてカウンターに出てもソウザや山口のようなボランチの選手が軒並み刈り取ってしまう。もはやサンフレッチェに得点への希望は残されてないのだった。
 そしてサイドからクロスを入れられたのはそんな時だった。ゴール前に入られシュート。GK中林が反応したものの真正面に弾くのが精一杯。すぐさまこぼれをダイレクトシュート。やられた、と目を覆いたくなったのだった。
 が、ボールは弾かれバーの上を飛んでいったのだった。一体何が起こったのか。なんと、それは高橋がキックでクリアしたようだった。
 助かった。入ってておかしくなかった。決して簡単なクリアではなかった。よくやった、よくやったぞ高橋。そしてこのチームを助けたプレーに自信を持ったか、前線へのオーバーラップも積極的になってきたのだった。
 だが残念なことに肝心のパトリックが不発だった。ヘディングをしても真っ直ぐ飛ばせない、シュートは打てない、ドリブルも冴えない。どことなく加入当初の威圧感が減少してるような気がする。点の取れないサンフレッチェの風土に同化してきたのではないだろうか。
 するとここで柴崎に代えフェリペが入った。おいおい、フェリペかよ。この人が出るとロクなことがないからなと不安感が過ぎった。実際攻められっ放しなのは変わらない。すると青山が素晴らしいパスカットでフェリペに出したのだった。
 前線へ長いフィードを送ったフェリペ。そのボールはパトリックの足に収まりバイタルエリアでディフェンダーを目の前ににした。またぎフェイントからシュートかと思いきや横にパスを出してしまった。するとそこには後ろから走ってきた選手が入りシュートを打った。入った。入った、入った、入った。ファーサイドへ確実に入ったのだった。
 それを打ったのがフェリペ・シウバ。なんと、パトリックへパスを出した後そのまま前線へ走ってたのだった。
 フェリペ!、フェリペ!、フェリペーッ!
 叫んでしまいそうになった。今まで散々けなしててゴメンね。散々使われたものの結果を出せなかったがやっとゴールを決めることができた。するとこのゴールに気をよくしたか、またしてもシュートを打った。
 ガツン!
 シュートはバーを叩き後ろに飛んでいった。
 そういえばフェリペはバーやポストに当てるのだけは上手いんだよな。あれが入れば決定的だったがそれでもシュートへの意識の高さを表現できるのは素晴らしかった。
 絶対に勝たないといけないセレッソは更に攻撃への圧力を増す。サンフレッチェはもうアップアップだ。蹴り出しても蹴り出してもボールは相手のとこに行く。青山も足をつり倒れてしまった。
 ここで稲垣が入る。そして柏も倒れて皆川が入る。もうみんなイッパイイッパイなんだろう。もはや点を取ることは諦め手堅く時間稼ぎにいった。跳ね返し、跳ね返し、跳ね返す。時計の針を進めたい。セレッソのCKが続く。身体を張って耐えしのぐのだった。
 もうここまできたら絶対に点を与えては駄目だ。堪えろ、堪えろ、堪えてくれ。そして中林がパントキックを蹴ったとこで終了の笛が鳴ったのだった。
 勝った。勝ったのだ。
 飛び上がらんばかりに喜ぶも、目からは熱いものが流れ落ちそうになった。
 絶対に負ける。そう思ってた試合で勝つことができた。これにより残留争いに大きく前進することができた。それほど貴重な勝ち点だった。
 勝因は何だったんだろう。
 それはやはり一人一人の選手がギリギリのところで踏ん張った結果だろう。足がつるまで走る。シュートを最期の最期で防ぐ。チャンスとみるや後尾から駆け上がって攻撃参加する。そんなことの積み重ねがこの試合の勝利へとつながったのだろう。
 でもこれで喜んでばかりはいられない。シーズンはまだ残されてる。次負けたらまた元の黙阿弥。まだ気を抜いてはいけない。まだ気を抜いてはいけない。全ては残留の為に。

2017年9月10日 (日)

新潟戦~精一杯のスコアレスドロー

2017/09/09 アルビレックス新潟vsサンフレッチェ広島 デンカビッグスワンスタジアム
 
 客少ないな。
 試合前のビッグスワンのスタンドを眺めるとどうしてもそう感じざるを得なかった。4万人の巨大スタジアムで満員だった試合を観たのはもう何年前になるだろうか。その客足の低下はそっくりそのままチームの成績に反映されてるろうで、お互いに下から1、2の順位を争ってるという状況である。残留争いとしてお互い絶対に勝たないといけない試合であるのだった。
 そんな裏天王山。新潟は前線からプレスを掛けてきて何度かビルドアップのパスを奪われゴールを脅かされてしまった。そして緩い横パスにはバクッと食いつかれてカウンターを受けてしまう。パススピードの速さ、相手のプレスをかわす技術、そんな基本的なとこが足りてない。この順位に甘んじてる原因を垣間見てしまったのだった。
 それでもどちらが有利と言えることもない攻守の入れ替わりが激しい試合だった。この中で不安要素だった左サイドバック高橋も破綻することなく相手の攻撃を封じていた。そこに少し安心しながらもオーバーラップからクロスを上げようとした時、やはり上げれなかった。やはり高橋にそこまで期待するのは酷なのかもしれない。
 と、そんな高橋が交代を告げられる。まだ前半ということを考えるとどこかしら身体にトラブルが発生したようだ。ただ、これで椋原がやっとピッチに立てたのだった。
 即戦力としてのシーズン途中での移籍。今までどうして使わないのか不思議でしょうがなかった。が、淡々とした表情で出場した椋原は早々に左からアーリークロスを上げる。パトリックが競る。枠には入らなかったものの十分可能性は感じさせられる流れだった。キックの質では高橋より上。一体なぜ今まで使われなかったのだろう。
 ところがその後左サイドの存在感が希薄になってくる。しかも守備では早々にイエローカードを貰い自らやりにくくしてしまった。試合に出れなかったのはそういうことだったのかもしれない。
 それに気をよくしたせいか、新潟は時間の経過と共に前への圧力を強くしていく。跳ね返すサンフレッチェ。ところが不思議なことにサンフレッチェのクリアは見事に見方につながらない。新潟がヘディングで跳ね返すときちんと見方につなげているというのにそれはまるでミステリーだった。
 前に運びたい。でも前に進まない。後ろに下げて逆サイドに振って縦に進みプレッシャーからまた後ろへ下げ、そんなことを繰り返してる内に時間が刻々と進んでいく。勝たなきゃいけない試合で相手の深い位置まで攻めれない。柏のドリブルや柴崎の抜けだしからCKを得るのが精一杯であった。
 だが、このCKが決まらない。柴崎のキックは悪くない。千葉やパトリックが頭に当ててる。それでも入らない。枠に入らない。競り勝つまではいくがそれをゴールにすることができないのだった。
 それに引き替え新潟はちゃんと流れからシュートに結びつけている。そしてバイタルエリアからのシュートを中林は一旦はキャッチするもファンブルして後ろに逸らしてしまった。ゴールに転がるボール。素早い反応で間一髪で中林はボールを掻きだしたのだった。
 入ってると抗議する新潟の選手。確かに際どい。主審のさじ加減でどちらにも転がった可能性がある。助かった。だがこの辺に中林のGKとしての安定感のなさを感じたのだった。プロのGKだったら身体ごと地面にボールを叩きつけてしまわないだろうか。今シーズンの失点の多さにGKに問題があるのは明白だった。
 そして5分もあったアディショナルタイムでも1度もシュートを打つこともなく終わってしまった。せめて最期にやけくそでゴール前に放り込むとかできなかったのだろうか。まるでこの日を象徴するかのような尻すぼみな終わり方だった。
 不発だったパトリック。だがそこにしかシュートを頼ることができないというチーム状況。もっと攻める時間が多ければミドルシュートや左右のクロスで揺さぶることができたのだろう。そのせいか、パトリックも段々シュートが入らないサンフレッチェに同化してきたように見えるのだった。
 どおをどうやっても点の入らない攻撃。線の細いGK。対人に弱いDF。後ろが気になって前にいけない。前にいけないから後ろのリスク管理に比重が傾く。もうどこをどうやっても勝てないような気がするのだった。
 それでも勝ち点1は積み上げた。何気にヨンソン監督になって地味に勝ち点を積み上げている。でもこんなサッカーを続けてて本当に残留できるんだろうか。いよいよ残り試合は少なくなってきた。
 生き残りたい。生き残る為にどうすればいいんだろう。

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  • ルイ・ルイ
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     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
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    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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