2024年5月23日 (木)

ルヴァンカップ・ヴェルディ戦~城福監督との対戦

2024年5月22日 ルヴァンカップ1stラウンド 3回戦 東京ヴェルディ vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム


 無事2回戦を勝ち抜けると早くもJ1同士の対戦となった。その相手はかつてサンフレッチェを指揮した城福監督率いるヴェルディ。手の内がわかってるだけに侮れない。そして中2日の連戦となる中、前節リーグ戦とそれ程変わらず、塩谷がボランチに入った程度の変更だった。対してヴェルディはガラッと替えてきて1.5軍といった様相。その為あまり馴染みのない選手が多かった。

 ただ試合になればわからない。変な底力を出してくるかもしれない。油断大敵である。ヴェルディボールで始まった試合はサンフレッチェが前線からプレスを掛けることにより相手の自由を奪う。有効な手立てのないままヤケクソでミドルシュートを放つも大きく枠を外れる。そこでGK大迫のゴールキックとなるのだった。

 中央に向けてキックが飛ぶ。センターにいた大橋が相手を背負いながらも右に落とす。松本泰志がコントロールし縦へスルーパス。左サイド東が抜けるとクロス。ゴール前の山を越える。逆サイドに新井が詰めた。折り返し。ゴール前へ飛び出した大橋。押し込んだ。先制。幸先の良い立ち上がりとなった。

 先に点を入れたのは大きい。勝ち抜けであるカップ戦において追う方は前に出て来ざるを得ない。追いつきたいヴェルディはボールを大事に繋いでくる。後ろから繋いで優位な体勢へ持ち込もうとするのにプレッシャーを掛け続けるもラインを割り依然ヴェルディボール。何とかプレスを掻い潜ろうとスローインから横パス。それを大橋が捕まえた。パスカットからピエロスに預けると再び預かりドリブル、ドリブル、ドリブル。DFをかわしGKの飛び出しに遭うとボールを浮かせた。これがGK長沢を上からすり抜けゴールの吸い込まれていった。

 決まった、決まった、決まった。早くも2点目。相手のパスカットから速い攻撃で捕え切った。こういう場面で決め切ってしまうのは大きい。大橋の決定力があってこその追加点。今更ながら大橋の存在の大きさを知るのだった。

 もうここまで来ると得点ラッシュを期待する。が、ヴェルディもよく踏ん張りこの後失点をすることなくハーフタイムまで持ち堪えてしまうのだった。

 後半、ヴェルディは3枚替えをしてきた。それに対してサンフレッチェも塩谷、大橋を下げて野津田、加藤を入れる。そしてしばらくしたらピエロスが脚を痛めたことで満田と交代することでお互い同数での入れ替えとなるのだった。するとここで勢いを得たのはヴェルディの方なのだった。

 前線でのプレス強度は落ち、ヴェルディは押し上げができるようになる。そしてサイドから中央へと往きかうボールを捕まえきれずシュート。枠を外したが危ない。攻撃に迫力がある。最後尾からでもパスが縦に行くようになり速い攻撃へと繋がる。そして最前線の選手が抜け出すと右サイドを抉ってくる。守備がゴールに戻る後ろ向きの中折り返し。中央へ駆け上がった見木が受けシュート。ゴール前に入っていたDFをものともせず枠に飛ばしていったのだった。

 決められた。2点差の余裕は飛んだ。この1点は大きい。ヴェルディには追い上げる機運を与えた。この雰囲気に呑まれたくない。だがヴェルディは自信を持ったパス回しをしてくる。GKに下げ縦パスが入る。ここで前を向いて一気に畳み掛けるつもりだったろうがこれを川村が背後からカット。松本泰志に預けるのだった。

 縦へ縦へ向かう泰志。そして間髪入れず折り返し。自身でカットしたボールを自身で再び受けた川村。ゴール前でGKと1対1。これをゴールの隅に流し込んでしまったのだった。

 追加点、再び2点差。これは大きい。燃え上がってたヴェルディの炎を萎ませることができた。相手の起点を潰した挙句逆に点を取った。川村もシュートを打ちながらも入らない時期があっただけに自信にとっても大きなゴールとなった。

 ところがヴェルディはこれで死にはしなかった。むしろ死地を這い上がるかのようにどんどん攻勢を強める。ラインが下がっていく。ペナルティエリアで身体を張る場面が増える。クリアしてもセカンドボールを拾われ猛攻が続く。そんな中でのクリアボールに競りに行った満田がファール。FKを与えてしまった。ゴール前一直線に並んだ両選手。そことゴールの間に蹴られたボール。何でもないような軌道でありながらもそれを押し込まれた。決めたのはまたしても見木。1点差。わからなくなってきた。

 余裕のなくなったサンフレッチェは時間稼ぎに向かう。前線に収まったボールはコーナーに逃げボールキープ。ここで松本泰志の技術が光る。追い込まれ袋小路になったかと思いきやそこを掻い潜りゴールを向く。そこでファールを貰うことでまた時計の針を進めることができるのだった。

 急ぐヴェルディに遅らせるサンフレッチェ。そんな両者の攻防はこのまま2-3のスコアのまま終わっていったのだった。

 勝ち上がり。カップ戦においては何よりもそれが大事だった。それだけに1点差に詰められたのは肝を冷やした。メンバー交代により上向きにしたのはヴェルディだった。対してサンフレッチェは萎んでいった印象さえある。だからこそ取れる時に取ったことが大きかった。

 ルヴァンを勝ち上がったことでより過密日程となっていく。だがこれはチャンスでもある。松本泰志が不動の地位を確立してきたのも試合に出ているから。試合に出ることで成長して新たな競争が生まれることを願うのだった。

2024年5月19日 (日)

京都戦~新井のハットトリック

2024年5月19日 京都サンガFC vs サンフレッチェ広島 サンガスタジアム by KYOCERA


 屈辱的な2連敗の後になるこの試合、スタメンは大きく替わっていた。何かを変える必要はあった。2戦連続の3失点での敗戦の傷跡は大きくチームを立て直す為にも同じ轍を踏むことだけは避けなければならなかった。それだけにこの大胆なメンバーの入れ替えは納得のいくものでありつつも逆にこれで負けたらもう打つ手はないという背水の陣でもあるのだった。

 スタートからロングボールを入れ前を走らせる。通ることはなく京都のゴールキック。それも同じように前線を狙ったロングボール。それには荒木がヘディングで跳ね返す。そして続いて放たれたロングボールも佐々木、中野が競り勝つことで弾き飛ばすと5分を過ぎようとした。3試合続けて開始5分で失点する訳にはいかない。早い失点は試合を壊してしまう。それだけに守備陣の集中は切れることがなかった。

 それでも後ろで揺さぶりを掛けながら前線へ送るタイミングを図る京都。だがそんなパス回しへのチェイシングで大橋がカット。一気にカウンター。縦に走り抜く。前が詰まり右に出たピエロスへ。エリア内で受けるも角度がなくゴールを横切るグラウンダー。そこに飛び込んだ川村。身体ごとガツンと押し込んだのだった。

 先制!3連列目の川村が長い距離を走って仕留めた。3人による連動。速く力強く勢いのある攻撃。ああ、こんなゴールをどれだけ待ち望んでいただろう。だがこれで気を抜いてはいられない。

勝ちを逃した試合が脳裏を過ぎるのだった。

 まずは相手の攻撃を食い止める。高い位置からのプレッシャー。パスで前を向かれるもパスコースに入った野津田。堪らず相手のファールを受ける。攻撃の芽を潰す野津田の守備によりFKを貰うと縦へロングフィード。松本泰志が最前線で頭に当てるとそのまま裏のスペースに溢れる。ピエロスが追いつきライン割らず残す。そこからサイドに流れ折り返し。中央触れず。が、その後ろに走り込んできた新井。左足一閃。地を這うシュート。次の瞬間、ゴール隅に突き刺さっていたのだった。

 決まった、決まった、決まった。新井、サンフレッチェのデビュー戦で決めたゴールの再現だ。正直それ以降目立った活躍がなかっただけに先発での起用は不安があった。だがそんな懐疑の目を払拭してしまったのだった。

 2点差。これは大きい。気持ちの上でも余裕が出てくる。だけど気の緩みを出したらまたやられてしまう。相手に隙を見せてはいけない。続けて強く、激しく当たっていく。中盤でも前を向かせない。そしてボールホルダーが時間を掛けてる隙に大橋が身体を入れて掻っ攫うと再びカウンター。前に前にドリブル。ピエロスが右に走るが左の泰志に出す。ワンタッチで折り返し。これはクリアされるもののCKを得るのだった。

 キッカーは左サイドに入った志知が務める。左足で放ったボール。低い弾道。それをニアに入った新井がヘディングで逸らす。軌道の変わったボールはそのままゴールに叩き込まれていったのだった。

 決まった、決まった、決まった。またしても新井。まさか2点も決めるとは思わなかった。これにより前半の内に3点。かなり有利になってきた。これでイケイケムードになりそうだった。だがこの後ハーフタイムを挟むと大橋、野津田を下げて加藤、東といういつも出てる選手が入ってきた。大橋がカードを貰ったのが気になったんだろう。だがこれで勢いが落ちることはなく、連動した守備から連動した攻撃が始まるのだった。

 その中でも右サイド新井はドリブルで持ち上がるとサポートを受けながらもペナルティエリアまで侵入する積極さを見せた。ただこれは京都のDFにクリアされてしまうもフリースローを中野が投げる。斜めに伸びていくボールはエリア内のピエロスに向かうも触れず流れるとそこに飛び込んできたのは松本泰志。DFと競りながらもゴールに流し込んでしまったのだ。

 入った、入った、入った。これで4点目。泰志2年振りのゴール。これまでバーやポストを当てるシュートは何度も打ちながらも決めきれなかった泰志がやっと決めた。この試合でも攻守に渡って中心となるような動きを見せ、結果を出させてやりたかった。目に見えるゴールという結果を残したのだった。

 そして4点差がついたことで前線の起点となっていたピエロスに代え若い越道が入る。本来のポジションではないシャドーだが実践を積ませたい判断だろう。馬力を持って前に突き進もうという姿勢は見せるものの最後で止められてしまう。だがそういうチャレンジは清々しくもある。それに呼応するように最後列の中野も攻撃参加すると競り合いでファールを受けるのだった。中野にとっては痛かっただろうがいい位置でのFKを得ることができた。

 位置的には左足のキックの方がいい。その為志知がボールをセットするも右利きの新井も立っていた。キッカーを特定させない常套手段であるがここで新井が撃つ。壁の外をスワーヴするボール。鋭い速さのボールにGKク・ソンヨンの反応も追いつかず入ったのだった。

 入った、入った、またしても決めた。新井ハットトリック。一体チームでも何年振りのことだろうか。新井自身も初めての記録。FWが決めれない中、WBの新井が決めてしまった。これは誰も想像してないことだった。

 もはや勝利は確実になった。ただここから失点はしたくない。疲労のせいかチームにも徐々にプレーが雑になったせいで徐々に攻められる時間が多くなったもののGK大迫はシュートに対しても的確なポジショニングでストップを繰り返す。そして後ろのプレッシャーがあれば割り切ってロングフィードを送る。とにかく無失点で終えるということを意識してるようだった。

 そしてこのまま0-5というハイスコアでの勝利で終わる。久々の大勝に浮かれていると京都のゴール裏からは自チームを応援する声が鳴り止まなかった。こんな試合になってしまったというのにそのサポーターの後押しにはグッとくるものがあった。

 ただ、今回は奇策が実っただけのような気もする。メンバーを入れ替え相手にボールを持たせながらカウンターを狙うような戦術。先制したからプランが実ったが、追う展開だったらこうはいかなかっただろう。そして後半メンバー交代をしていくと段々とプレーが雑になっていったとこ。大勝ではあるがたまたまという感もなくもない。ただそれでも結果を出しただけに今後のメンバー編成どうするのか予想がつかないのは喜んでいいのかどうか測りかねるとこであった。

2024年5月16日 (木)

鹿島戦~繰り返す同じ失点

2024年5月15日 サンフレッチェ広島 vs 鹿島アントラーズ エディオンピースウィング広島


 大橋、川村が復帰してやっとベストメンバーの組めた試合。強い陽射しが落ちてきてナイトゲームと向かう中、ゴール裏からは今までにない熱量の声援が放たれたのだった。チケット完売、最高の雰囲気で期待感の大きい試合の入りだった。

 マンツーマンでの守備により高い位置からプレッシャーを掛けていく。が、このプレスが嵌まらない。有機的な動きはことごとくサンフレッチェのプレスを掻い潜り前線へと抜けていきシュート。これを佐々木がブロックしたもののCK。ここに高い軌道のアウトスイングボールが入る。そこに当てた植田。荒木、佐々木と2人に競り勝ちゴール隅に押し込んでしまったのだった。決められた。入った。呆気ない失点。前節に続いて開始早々に追う展開になってしまったのだった。

 そしてその出鼻を挫いた勢いそのまま鹿島は怒涛の攻撃を仕掛けてくる。追い回しても追い回しても奪えないボール。いつの間にかバイタルエリアに運ばれてペナルティエリアを横切るドリブル。越道が喰らいつくもシュートフェイントに引っ掛かり倒した。PK。あっという間の展開にまたしても唖然としてしまう。

 ボールをセットした鈴木優磨。以前と違いPKストップの実績をつくったGK大迫には少し期待は持てる。そして放たれたキック。飛ぶ大迫。読みは当たった。が、威力の強いボールは大迫の掌に当たるもそのままゴールに跳ねて行ったのだった。

 2失点目。放心状態になる。この得点力のないチームにとってこの差はもう絶望的だった。同じ負けるにしてもこんなにも早く結果が決まってしまうのはあまりにも興醒めだ。勝つか負けるかという均衡の上にいたのはたったの5分しかなかったことになるのだった。

 いよいよ尻に火がついたかやっとのこと右からボールを持ち上がる。満田が裏へ抜け抉る。真ん中に詰めた選手はいない。そこで角度のないとこからのヤケクソシュート。サイドネットに当たる。さすがにそれは無理があった。だけど味方の上がりがないことで選択が一択しかなくなったのだった。

 ちょっと相手をびっくりさせただけでスコア的には0-2のままハーフタイム。当然ここでメンバー交代が入る。満田、東に代えてマルコス、松本泰志が入った。満田が少し意外な気がしたが実際に点が取れてないのだからしょうがない。ギアを上げていく。まだここからという気炎を吐く。

 相手ボールへのプレスを高める。徐々に相手を押し込めていく。低い位置でのパスでの迂回になる。そしてサイドから中央へのパスになるとそれをマルコスがカット。ゴール前フリー。すると振り抜いた。マルコスのシュートが飛ぶ。GKも跳ぶ。が、コースを狙ったシュートはGKの掌に触れることもなくゴールに入ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。これまで打っても打っても入らなかったシュートはマルコスの一振りで決めることができた。恐らく他の選手だったら枠に飛ばなかった。相手のパスを奪った読みもよかったがあそこで決め切るのはやはり技術的に一段上であることの証左だった。

 これにより反撃の狼煙を上げる。追いつける、追いつける。前掛かりになって相手陣地でボールが回る。サイドから越道がクロス。これは跳ね返される。もう一度サイドを抉って上げるとブロックされたがCK。だがこのCKも跳ね返される。鹿島は1回のCKで決め切ったがこちらはいつもの如く決まらない。そして切り札としてピエロスを投入すると前線へターゲットができる。が、ピエロスを狙ったボールに反応はするもことごとく枠を外してしまう。ああ、入らない。入らない、入らない、入らない。もはや鹿島も割り切ってボールを持たせた上で最後だけやらせないという守備をしてくる。もはやどのチームもやってくるこの防戦になす術がなくなってきた。

 すると守備で破綻しない鹿島は突如前へベクトルを向けてくる。鈴木優磨のキープには2人掛かりでも取れない。対するピエロスはちっともボールが収まらない。やっと出てきたボールにトラップが大きくなると佐野に掻っ攫われドリブル。塩谷の前を通過するもスカッと抜かれるとそのままペナルティエリアに侵入。4、5人掛かりでコースを塞ぐもそれをいなすような横パス。それを真正面に入ったチャヴリッチに余裕で決められてしまうのだった。

 終わった。

 1-3。屈辱的スコアだった。しかも5分、15分、85分とやられたのが前節とまるで同じ時間だった。同じことの繰り返し。負けるにしてもそれはないだろという虚無感に襲われる。

 2連敗。2試合連続の3失点。しかも今回は得点も減ってしまったので退化してしまった。点さえ取れれば勝てると思ってたものの頼みの大橋、川村が戻ってきたとこで変わりはしなかった。結局誰が出ても変わらないんだという事実が余計に絶望感を感じるのだった。

 新スタジアムができて浮かれた面はあった。実際にそれにより勢いに乗った部分はあった。だがその効果が薄れてくると露骨に実力の差が現れてきた。これからどうやって勝ち点を重ねるのだろう。点は取れない、失点は重ねる。救世主はマルコス一人。厳しい。この出口のなさに次の試合が恐怖でしかなくなりつつあるのが最も哀しむべきことなのだった。

2024年5月 7日 (火)

名古屋戦~無惨なる敗戦

2024年5月6日 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス エディオンピースウィング広島


 それは開始2分ことだった。GK大迫へのバックパスは佐々木へとリターンされるとこれをトラップミス。その隙をプレスに入られたまらずしたバックパスはGK大迫にパトリックに詰められることにより掻っ攫われそのままゴールに流し込まれる。失点、あまりにも早い失点だった。そしてそれはあまりにも安い失点でもあった。

 このような安直な失点は一昨年のルヴァンカップ決勝でもやってしまった。同じような失敗を繰り返す。あの時も大迫と佐々木の関係だった。失敗が糧になってない。いやむしろこんな開始早々にやらかしてしまうところは退化と見ていいかもしれないのだった。

 点の取れないチームが早くも追う展開になってしまった。それだけで絶望的な気分である。だがその絶望感に拍車を掛けたのは森島の浮き球に対して稲垣の飛び出し。そのままファーサイドへのふわりとししたシュート。GK大迫が懸命に手を伸ばすもかすることすらできないで決めてしまったのだった。

 2失点目。どうしちゃったんだろう。確かにパスは上手かった。だけどあまりにも簡単に決められた。得点力のないチームにとって2失点というのはもはや終わりである。この時点でもはや諦めてしまった。

 ゴール前を固めた相手を崩しきれない。左右にボールを回しながらただ無意に時間だけが過ぎていく。そんな様相を呈していたもののCKを得るもいつもの如く弾き飛ばされる。が、越道が拾うと出しどころがなく中央へドリブル。パスコースを切ろうと追い掛ける名古屋の守備。ここで越道は打った。スルスルスルと地を這うボール。それがGKランゲラックの逆を突きゴールの隅に入ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。越道初ゴール。吠える越道。それに釣られてこちらも吠えそうになる。思わぬタイミングによる思わぬ選手のゴール。この1点は大きい。2点差は絶望であるが1点差は希望が見える。追いつける、追いつける、追いつけ。俄然生気が舞い戻り血流の温度が高まるのだった。

 気運が高まっただけに前半の内に追いつきたかったがそれはできなかった。早く追いつきたい。その為にハーフタイムで松本泰志に代え切り札であるマルコス・ジュニオールを入れる。違いをつくれる選手。ここから追い上げに向かう。

 前掛かりに攻める。ゴール前にブロックをつくった名古屋。マルコスがバイタルエリアで受けると食いつく。そこで中央へライナー性のボールを流すと中野が受ける。ボールがホイップするとコントロールせずにボレーシュート。密集した名古屋のDFをものともせずゴールに突き刺さったのだった。

 決まった、決まった、決まった。追いついた。まさかまさかの2点差の追い上げだ。これは大きい。越道が決め中野が決める。共にサイドの選手が決めたのは驚きであり僥倖であった。これで本来の点を取るべき選手が仕事をしてくれれば出し抜くことができる。いける、いける。追いついた方が勢いがあり有利。今日こそは勝つぞ。そんな気概に包まれるのだった。

 左右からクロスが上がる。だがどれもクリアされる。そしてボックス内からマルコスがシュート。これもGKランゲラックのセーブ。シュートは打つ。FKでのセットプレーもある。でも決まらない。圧倒的にボールを支配しながらも決め切ることができないと名古屋に守備のリズムが生まれる。いや、これはいつもの光景。なぜかこちらが攻めてるのに相手にコントロールされてるような感覚。すると時間の経過と共に本当に名古屋はこのゲームの締めに入るのだった。

 相変わらず入らないシュート。それが名古屋に自信を持たせ途中投入のユンカーが中盤で溜める。その落としから椎橋のパスがスピードスターの永井に渡るとそのままゴールに向かいシュート。塩谷ブロックで跳ね返る。が、そのセカンドボールに反応したユンカーがシュート。佐々木のブロックに遭いながらも見事なループシュートとなりゴールに吸い込まれてしまったのだった。呆気ない、呆気ない失点だった。

 せめて追いつきたい。今期まだ負けてないというのが唯一のプライドだった。波状攻撃を仕掛ける。だけどどれも直線的でまるで相手に守備練習でもさせてるかのような攻撃しかできない。打てども打てども入らないシュートはいつもの光景ながらも時間の経過と共に悲痛さを感じるようになった。そしてそれはタイムアップを迎えると今シーズン初の敗北を喫したのだった。

 後味の悪い敗戦だった。前節も後味の悪い引き分けをして気合いに満ちてるかと思ったらすっぽ抜けたような失点をやらかしてしまい追加点も簡単に与えてしまった。そして尚も点の取れない攻撃陣。やはり前線では大橋しか点の取れる選手がいないことを露呈してしまった。

 昨シーズン、満田がいなくなって瞬間勝てなくなったが今シーズンは大橋、川村がいなくなって勝てなくなった。どうしてここまで選手層が薄いんだろう。出場のチャンスに結果を出してアピールしようとする選手はいないんだろうか。

 たった一人や二人の選手がいないだけでここまで弱体化するとは。こういうことも含めてどうして毎年毎年同じことを繰り返してしまうのだろう。さすがにこのショックの大きさは尋常ではないものがあるのだった。

 

2024年5月 4日 (土)

新潟戦~アディショナルタイムに追いつかれ引き分け

2024年5月3日 アルビレックス新潟 vs サンフレッチェ広島 デンカビッグスワンスタジアム


 ゴールデンウィーク。Jリーグにとっても掻き入れどきであるがおあつらえ向きに快晴の空模様だった。ただそれでも怪我人の多さに一点の憂いを感じてしまう。一人復帰すれば一人怪我をする。直近では絶対的スコアラーの大橋の離脱がアナウンスされた。唯一点を決めれる選手が不在の中、今度こそは勝ち切りたいと切迫した想いに駆られるのだった。

 そしてスタメンの発表。荒木が復帰してCBに入り中野が右WB、越道が左WBという初めてのフォーメーション。越道に左ができるのかという不安はあったものの攻撃は左の方が機能するのだった。ビルドアップでは右と同様な流動性を見せカットインしてからのクロスはゴール前にスワーブの掛かったボールを上げピエロスに当てる。ただ、この時のピエロスのヘディングがことごとく枠に入らない。ああ、やっぱりピエロスではシュートを決めることはできないのか。

 そんな嘆きをしながらも右の中野も黙ってはなかった。中盤でのボールカットからカウンター。右サイドに出たボールに中野が走る。そして縦へと抜け出そうとした時スライディングで脚を狩られる。うずくまる中野。このプレーにイエローカード。が、VARが入りチェックが入るとカードの訂正、レッドカードが掲げられた。足裏でアタックしたことが危険プレートとみなされたのだった。

 新潟の退場により1人の数的有利。時間的にいってもアドバンテージが大きい。FKをセットする満田。ここで決めたら大きい。が、決まらない。セットプレーで決められないのはいつもと同じだった。

 ここからサンフレッチェのボール保持の時間が続く。サイドに出し前を閉じられるとバックパスから中盤を経由してサイドチェンジ。そして逆サイドで同じ動きを繰り返す。ショートパスで釣り出そうとはするものの相手の守備ブロックは崩れることはない。ボールだけが延々と回る。回るだけで有効な手立てがない。そんな様子にもどかしさを感じる。一人多いにも関わらず畳み掛けるような猛攻がない。サイドからクロスを入れては弾き返される。ショートパスでの動きは読まれてる。ダイナミックさがない。綺麗に綺麗に崩し切ろうとしてやることを全て読まれてるようだった。

 その硬直状態の打開の為に後半、マルコスを投入。代わるのは越道。少し勿体無い気もしたが違いをつくれる存在は必要だった。スルーパスに反応して裏に出たマルコス。ゴールライン際での折り返し。がこれもピエロス決めれない。ただここまで抉ったのは初めて。間違いなくマルコスによってペースが変わった。

 ゴール前へのクロスは弾き返されるもセカンドボールは拾える。それにより2次攻撃、3次攻撃へと繋がる。だがもはや普通に攻めてもブロックは崩れない。そこで左斜め45度から満田がミドルシュートを飛ばす。GKの反応で止められたもののCKを得た。やはり打てば何かが起こる。

 左のコーナーに東がセット。左足でのキックでアウトスイングのボールが飛ぶ。ゴール前密集地から荒木が飛びミート。ガツンと当たったボールはゴールに叩き込まれたのだった。

 決まった、決まった、決まった。リハビリにより欠場が続いた荒木が復帰早々に決めた。今まで競り勝つことはできるが枠に入れることができなかった荒木が決めたのはこの欠場も無駄ではなかったような気がするのだった。

 これで相手は一人少ないけど前掛かりになる。そうなればより隙が出てくる。ただ、思った程新潟は前から来ない。こうなるとどう時間をやり過ごすか迷う。追加点を狙うも有効なシーンがつくれない。時間と共に中野を下げピエロスを下げて新井、志知を入れていく。フレッシュな選手の投入で活性化されるはずだが徐々に前への推進力を失っていくとむしろ新潟の圧力を押し返せないようになってしまった。それでもアディショナルタイムに入りあと少しやり過ごせばいい。だが守りの徹するべき時間で満田は中途半端な浮き球パスを出すと簡単にクリアされそれがカウンターの起点になる。左サイドに出されたことで志知が遅れてプレスに行くも倒れてしまうとフリーで縦を抉られる。佐々木がカバーに入るもゴール前へクロス。かろうじて塩谷がクリアもボールは真正面。そこに走り込んできた高木がダイレクトシュート。地を這うシュートに誰も触ることすらできずゴールに叩き込まれてしまったのだった。

 同点。今日こそは勝てると思った。あと2分。あと2分堪えることができなかった。一人少ない相手に対して最後の最後にやられてしまう。これはさすがにこたえた。攻めるのか守るのかの意思統一もなくまるでわざわざ引き分けにさせてしまったような展開に放心状態になってしまうのだった。

 4試合連続引き分け。本当に勝つ気があるのだろうか。大橋がいないと点が取れないことを考えると妥当な結果だったのかもしれない。だけど先制してたのに勝てないとおうのはどういうことなんだろう。それは交代で出た新井、志知がギアアップできないことも大きい。特に志知はゲームの流れに入れないとこがあるのが厳しい。

 もはや永遠に勝てないのでは。そう考えざるを得なかった。点が取れない。取っても堪えられない。相手にしてみれば玉砕覚悟で攻めてくれば簡単に崩すことができる。良くて引き分けのチームになってしまったのだった。

 ワンパターンなセットプレーのキック。ゴール前を固めた相手へのミドルシュート。守備に徹する場面での割り切り。改善しようとすれば簡単にできそうなことばかりである。同じことの繰り返し。この流れをどうやったら変えることができるのか。身体にポッカリと穴が空いたような空虚感にさすがに立ち直れそうもないのだった。

2024年4月29日 (月)

川崎戦~悔しき引き分け

2024年4月28日 サンフレッチェ広島 vs 川崎フロンターレ エディオンピースウィング広島


 夏への入り口。汗ばむ陽気はそんな様相を呈していた。その中でこの日もスタジアムには観客が埋め尽くされ気分が上がる。今日こそは勝ちたい。今日こそは勝つ。勝ち点3を取らなければいけない試合なのだった。

 ただし相手は苦手とする川崎。そしてボランチとしてチームを兼引きする川村の欠場。それでもマルコス・ジュニオールの復帰は大いなる希望だった。違いの出せるプレーをするマルコスは得点力不足のチームに新たなるアクセントをもたらすことができるのだった。

 そんな期待を胸に始まった対戦、パスと動きの質で相手をいなす川崎に対してマンツーマンのプレスで前からプレッシャーを掛ける。それによりコースを限定させ相手のパスをカット。そこから一気にゴールに向かって雪崩れ込む。それらの速い攻撃はフィニッシュまで漕ぎ着ける。ただこの日GK上福元が当たっていることでことごとく阻止される。満田の蹴ったFKがファーに飛び越道が詰めた時には決まったかと思いきやそれもすんでのところで防がれてしまった。あと1m、あと1mが突き破れない。まるでそれは決定力不足に嘆くここ数試合と同じ光景なのだった。

 サンフレッチェの攻撃には中をキッチリ固める川崎に手詰まり感が出てきたその時だった。左サイドに佐々木がオーバーラップするとクロスを上げる。高い軌道から落ちてきたゴール前。そこに飛び込んだのは大橋。DF、GKと交錯しつつも頭にヒットさせゴールに突き刺してしまったのだった。

 先制、先制、先制。またもや大橋が決めた。本当にこの選手が入ってチームが上積みされた。上手い選手は多いが決め切れる選手がいない中では異彩を放ってる。幸先のいいゴール。この勢い、このまま押し込んでいきたい。

 相手のカウンターに晒される場面がありつつも勢いは続く。左サイド、スローインの流れから加藤が縦へ切り込みクロス。ゴール前で大橋が落とすと松本泰志がシュート。が、ガツンという音と共に跳ね返される。絶好のタイミングでありながらクロスバーに当ててしまった。ああ、泰志のシュートはどうしていつも入らないんだろう。前節もポストに当てた。そして今節も。まるでそれは呪いのようにゴールに嫌われているのだった。

 チャンスは無数にあった。なのに決めたのは1点のみ。勝ってるからいいのかもしれないがあまりにもチャンスに比べてゴールが少ない。やはり決定力。最後のシュート精度。それは開幕から2ヶ月以上経っても未だに改善されない病なのだった。

 この気温、ハードワーク。それらを考慮すると後半どこかでメンバー交代する必要はあるだろうがそれによってペースが変わらないかが鍵となりそうだ。だが先に交代したのは川崎だった。トップに小林が入ると途端にゴールに迫るようになった。それによりマルシーニョのマークも空くことで右サイドを抉られる。塩谷がスライディングで止める。が、スピードで出し抜かれファールとなってしまった。

 サイドからのFK。嫌な予感がした。キックの名手脇坂。ゴールに向かうボールを蹴る。GK大迫が飛び出すも触れることができず混戦の中ルーズボールとなるとそのまま押し込まれた。決めたのは小林。また小林。いつもいつもこの選手に決められてしまうのだった。

 同点。振り出しに戻ってしまった。際どい位置でFKを与えた塩谷の対応も不味かったが、それ以上に大迫の飛び出しは完全なるポジショニングの失敗だった。飛び出したら絶対に触らないといけないというGKの鉄則を完全に逸脱するものだった。

 ところがこの後小林は筋肉痛を起こしたようで早くも交代してしまう。怪我は気の毒な面はあるが疫病が去った、代わりに入った山田は小林程の躍動をもたらさないだろうと思ってしまった。だけどその勢いは止まることはなくGKからのロングキック1本でマルシーニョがGK大迫と1対1の場面をつくりだす。シュートコースを立ち塞がる大迫。その脇を掠めるシュート。が、枠を外れ安堵の息を吐く。それでもその後も川崎はショートパスが冴え渡り簡単に中盤をすり抜けるとゴール前へ向かったボールが入る。GK大迫飛び出しクリア。が、そのキックは当たり損ね上空を舞う。佐々木がカバーに入るも家長に倒されるとそのままゴール前へ流され山田に決められてしまった。交代選手皆に結果を与えてしまったのだった。

 なんということだ。ここでもGK大迫の対応の不味さが出た。ボックスに残ってキャッチをすることもできたはずだが飛び出すことを選びまともなクリアができなかった。これまで大迫がいることで安定をもたらした守備であったがこの日は大迫の判断の悪さで失点を繰り返すことになってしまった。そして交代選手による活性化において川崎は見事に的中させた。それに対してサンフレッチェもピエロスと新井が入ったもののまるで変化がなくむしろ退化の兆しがあったのは対照的だった。

 この時になってやはり前半のいい時間帯で追加点をあげられなかったことが悔やまれる。今度こそは決める。尻に火がつくことで再びギアが上がる。相手ゴールに押し寄せる。それも人数を掛けてクリアされるもセカンドボールを満田が拾いドリブルで切り込む。1人、2人とかわしシュートレンジに入る。だがそこで放ったのはゴール前へ落ちるクロス。そこへ向かう両選手の中にいた加藤。足を伸ばし当てた。次の瞬間、GKの脇を抜け入っていたのだった。

 決まった、決まった、決まった。加藤のゴール。今シーズンまだゴールのない加藤がやっと決めることができた。満田のアシストにより加藤が決める。正に理想的なゴールにより同点にすることができたのだった。

 これにより両者撃ち合いの様相を呈するようになる。速い展開、オープンな展開となっていきサンフレッチェにもシュートチャンスが訪れる。新井が放ったクロスは相手に当たることで軌道が変わりファーに飛ぶとそこに詰めた大橋のヘッド。決まったぁと思いきやまたもやGK上福元によるセーブが入る。一体このGKはこの日何本シュートを止めたのだろう。

 最後をやらせないことで川崎も速攻が生きる。シュートを外して事なきを得るもこの日の大迫はキックも不安定でゴールキックがラインを割ってしまう。そして川崎の攻撃を食い止めては速い展開で前へ繋げるもののゴールを割ることはできずそのままタイムアップを迎えるのだった。もう少し時間があれば決めることができたかもしれない。だけど失点もしたかもしれない。だけどシュートの数でいえば間違いなくサンフレッチェが上だった。

 またしても引き分け。絶対的守護神の大迫がおかしかった。それに対して川崎のGK上福元は神がかっていた。どうしてサンフレッチェと対戦するチームのGKはみんな覚醒してしまうのだろう。世紀のミステリーである。そして交代選手の差が出てしまった結果だろう。

 結局は決定力不足が勝利に至らない。シュート23本打ったという記録がありつつも決めたのは2つ。単純に10本以上打って1本入るという計算だ。それでも加藤が決めたことによりそれが決定力の引き金になってくれるのではないか。そうなってくれればこの試合も意義の大きかった試合となってくれるだろうと一縷の望みを抱いているのだった。

2024年4月25日 (木)

ルヴァンカップ奈良クラブ~弾みのつく大勝

2024年4月24日 YBCルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦 奈良クラブ vs サンフレッチェ広島 ロートフィールド奈良


 大会ルールの変わったルヴァンカップ初戦の相手はJ3の奈良クラブだった。今期昇格したばかりであまり情報はない。だけど相手はサンフレッチェのことを研究しつくしている。下位カテゴリーのチームとの対戦は必ずそういう理不尽さが出てくるのだった。

 ミッドウィークということもあり先発メンバーが気になったが、大きな変更はなかった。それもこれも昨シーズンカップ戦で上手くいかなかった実績によるのだろう。ただしそんな中にでも細谷がプロ初出場として名を連ねてる上に野津田、柏が今シーズン初スタメンとなるのだった。更には長いリハビリを終えピエロス、マルコスがベンチに入っている。本気だった。スキッベ監督は決して簡単に勝てるとは思ってないようなのだった。

 ただしその慎重さには理解もできる。大橋以外の攻撃陣が軒並み点が取れないのである。良い方に転がればこの試合を起爆剤とすることができる。悪い方に転がれば負のサイクルに陥る。そんな想いがある種の緊張感を生むのだった。

 完全なる雨雲の上空から雨が滴り落ちてくる。そんなコンディションでありながら選手入場では奈良クラブサポーターは盛り上がってるようだった。初めてのナイター、そしてJ1クラブとの対戦。モチベーションは大きくなるだろう。

 そのせいかゲームに入ってからのボールのコントロールがままならない。それはメンバーを入れ替えた故の連携面の問題なのか、それともボールが濡れてるせいなのか。ややもするとどっちに転ぶかわからない展開にヤキモキしてくる。

 ところが時間が経つにつれ主導権を握るようになりFK、CKが取れるようになる。ところが仕留めきれない。ゴールへ迫る場面はつくりだすものの最後が決まらないのはこのところずっと続く流れのままだった。が、ゴール前を固めた奈良クラブの守備が高い集中力を持ってるのも事実だった。

 よもやこのままスコアレスで前半を終える。そんな雰囲気もあった中、左右の揺さぶりから右サイドへ入る。越道のクロスが入るとゴール前の密集でクリア。そのセカンドボールを頭で再びゴール前へ入れた松本泰志。するとそこへ走り込んだのが柏。滑り込みでピンポイントにボールにアタック。ゴールをこじ開けたのだった。

 先制。粘り強い守りを突き破ったのはベテラン柏だった。縦への突破はできなくなったがゴールへの嗅覚は衰えてない。リーグ戦でもジョーカーとしてベンチに置いとくべきかもしれない。

 このまま1点リードで前半終了。良い時間でのゴールだった。あのまま守られたら奈良クラブも余計に自信を深めただろう。それが勢いとなって一発を仕留めるということもありえた。そして後半に向け加藤に代え満田が入るとチームは一層ギアを上げるのだった。

 前線からのチェイシング。はたかれてもしつこい追い回しは相手のボールの出しどころを奪い遂にはマイボール。右サイドでの受け渡しから相手を剥がしてクロスを入れるもクリア。だがセカンドボールを拾うと左サイドのポケットへ出すと出てきた柏。ふわっと上げたループ気味のクロスはゴール前の守備の頭を超えその落下点へ詰めたのは大橋。マークを背負いながらもグラウンダーシュートを流し込んだのだった。

 追加点。

 後半早い時間に引き離した。柏のクロスが秀逸だった。久々の出場で決定的な仕事をすでに2つこなしたのだった。

 そんな柏の活躍は更にチームに火をつけプレスへの強度を高める。相手ビルドアップに越道のインターセプト。そのまま縦に駆け上がりペナルティエリアの中に。それを追う奈良の選手は手を掛け身体を預けると倒れた。越道が倒れることによりPKを宣告されたのだった。

 そこにキッカーとして出てきたのは満田だった。駆け引きをしようとする奈良のGK。だがスタートの笛が鳴ると速いモーションから威力のあるキックが。GKの読みもものともせずゴールに突き刺さったのだった。

 決まった、決まった、決まった。満田が決めた。これにより3点差となりもはや勝負は見えてきた。それに伴って3人のメンバー交代が入る。青山、マルコス、ピエロス。怪我で離脱してた選手をいれるにはちょうどいいタイミングとなったのだった。

 ところがこれにより奈良クラブも割り切りができたのか、中盤の薄くなったとこにボールを入れることができるようになるとワントップ目掛けて縦のボールを入れてくるようになる。そして裏へ出されるとワントップの関口が抜け出そうとするもの細谷がガード。それを出し抜いてスライディングをかましたもののその時にはすでにGK大迫がキャッチ。だがその勢いで大迫に突っ込んでしまった。

 主審の笛が鳴りプレーが止まる。そこで提示されたのはレッドカード。関口は退場となり数的優位。もはやこれは勝負あったようなものだった。

 それでも攻撃への手を緩めなかったのは飽くなき自分達のサッカーへの追及だった。結果を残したいという欲求であった。

 右サイドでのショートパスが続く。ゆっくりとした流れから縦に出るとポケットに出たのはマルコス。クロスを入れると飛び込んだ。それがそのままゴールに叩き込まれ4点目を決めることができたのだった。

 そのヘディングをきめたのが途中から最終ラインに入ってたはずの東だった。ゴールに歓喜しながらもなんでこんなとこにいるんだと叫びそうになってしまった。

 更にこの後も相手のビルドアップに2人掛かりで止めボールを奪う。それを受け満田が中央を切り裂くドリブル。大外に流れたピエロスに出る。それをダイレクト。斜め45度からの一閃はゴールの隅に見事に突き刺さり5点目を決めてしまったのだった。

 そして残り時間も少ない中、またもや最終ラインへとポジションを下げた越道がボールを持ち上がる。右サイドから中へ切れ込むとまたしても倒された。PK。越道は2度もPKを誘発したのだった。

 このPKをマルコスが蹴る。最も簡単に逆を突き決めてしまい6点目が入る。大勝、大勝だった。

 ベテラン柏が決めることで始まりエースの大橋が決め若手の越道がPKを誘発。そして満田がチームを動かす力を見せ負傷離脱から復帰したピエロスとマルコスが結果を残した。とても有意義な試合だった。だがそう感じさせてくれたのは番狂せの可能性を見せた奈良クラブのパフォーマンスも大きかった。少なくとも前半はどっちに転んでもおかしくない展開だった。

 新しい方式になったルヴァンカップ。明らかに相手のモチベーションも高く手を抜けなくなった。その分スリリングであり勝利の達成感が強まった。そして週末にはリーグ戦。連戦となった選手もいる中で、今回結果を出した選手がどれくらい関わってこれるかと胸をときめかすのだった。

2024年4月21日 (日)

札幌戦~決定力不足によるドロー

2024年4月20日 コンサドーレ札幌 vs サンフレッチェ広島 札幌ドーム


 その寒さはやはり本州とは違った。乾燥した空気が冷気を伴って降りてくる。そこに身を切り刻むような寒さを感じながらもドームに入ると一安心する。今更ながら北海道に屋内のスタジアムがあることにありがたさを感じるのだった。

 たださすがにアウェイゴール裏は人が少ない。その中でも塊り声を張り上げるサポーター。だがさすがに札幌の応援と被ると多勢に無勢、声がかき消されてしまうのだった。

 そんな中でのアウェイ戦。前節同様のメンバーに右サイドには新井を入れてきた。ベテランならではの安定感を求めたのだろう。ところがこの新井からサンフレッチェは破綻をきたしたのだった。

 どことなく主導権を握ったような滑り出しが災いしたのか、どこかヌルッとした入りだった。その弛緩した空気が安直なパスを生んだ。右サイド新井は縦を切られると中央へと緩いパスを送ると完全に相手へのプレゼントパスとなり逆襲を受ける。右サイドを抉られ中央のスパチョークへと出され真正面からのシュート。中野が脚を投げ出しブロックするとそれがリフレクションとなりフワリと上がる。GK大迫も間に合わずそのままゴールに吸い込まれてしまった。失点。呆気ない、呆気ない失点となってしまった。

 中途半端なブロックならしない方がGK大迫も対応できたかもしれない。だが大きかったのは新井のパスミスだった。特に相手のプレスが掛かってるような厳しい場面でもないのに完全に相手の足下へ流したパスが全ての起点となる。今回スタメンで起用されたのはベテランならではの安定感を念頭に入れたものだろう。だがその新井が明らかに相手の攻撃の起点を与えてしまった。加入最初の試合では強烈なインパクトを残したもののそれ以後パッとしない。まさかあれだけで終わってしまったのだろうか。

 パッとしないといえば前線の攻撃陣にも当て嵌まる場面が訪れる。1点を追う中ボール奪取から中央を切り裂くカウンターの場面。加藤が抜け出し持ち上がる。そして射程を捉えるとシュート。完全に決まったかと思った場面、見事にファーサイドに外れていった。それには皆顔を覆い天を仰ぐ。そして極め付けは混戦から抜け出し完全にGLとの1対1の場面。飛び出すGK菅野にぶち当てた。その跳ね返りを押し込むもこれも防がれた。裏に出るまでは秀逸なのに最後の最後が決めきれない。加藤のシュートはどうしても入らないのだった。

 それでも決めるにはシュートの場面をつくるしかない。前線からのプレスを強め高い相手の自由を奪うことによって主導権を握る。チーム全体前掛かりになる。競り合いでは体を張り球際でも粘りを見せる。それによりショートパスをつなぎゴール前に出てシュート。が、入らない。枠にいかない。そして行ったら行ったでGKの真正面。札幌がたった1本のシュートを決めるのに対して恐ろしいまでの決定力のなさだった。

 追う展開のまま後半。予想通り右サイドは新井に代えて越道が入った。与えられたチャンスを生かそうと運動量を上げる越道。右サイドを打開できない。サンフレッチェのパスは全て読まれてる。裏に出しても付いてくる。縦への突破は閉じられてる。仕方なしに上げたアーリークロスは何の脅威を与えることもなく弾き飛ばされる。もはやこういった場合セットプレーしかない。ただ競り勝てはするものの枠に飛ばすことができないので期待感は薄い中満田のCK。やはりヒットできずルーズボールが行き交う。が、それをボックス内へ打ち込むことができるとその落としから中野。グラウンダーのシュートをゴールの隅に入れたのだった。

 決まった、決まった、決まった。同点。あれだけ前線の選手が決めれず喘いでいるのに決めたのはDFの中野だった。助かった。本当に助かった。これで振り出しに戻すことができた。

 ここから怒涛の攻撃が続く。右に左にボールが行き交い最後の砦を崩さんと虎視眈々と狙っている。そしてボックスにできたポケットにボールが入ると松本泰志が飛び込みシュート。ゴールを目の前にしたシュート。距離にして数メートル。誰もが決まったと思ったその瞬間、ボールは無常にもポストに弾き返ってしまったのだった。

 ああ、泰志。どうして泰志のシュートはここまで入らないのか。怪我人の影響で出場できてる今のうちにポジションを不動のものとしたい。その為の絶好のアピールであるシュートをことごとく外すのである。よい動きはしても決められない。泰志のプレーにはいつもそんなもどかしさを感じるのだった。

 そしてそれ以上にもどかしかったのは満田である。加藤との2シャドーというポジションにいながらまるでアタッキングのシーンが見られない。川村の負傷交代のせいでボランチに下がったというのもあるだろうがアタッカーとしての恐さがなくなった。そしてそれ以上に恐さがなかったのは川村に代わって入った小原だった。

 左サイドで受けてもそこから勝負する訳でもなくただパスを回すのみ。売りであるはずのドリブルをまるで見せることなく終始無難なプレーばかりこなすことで相手に余裕を与えている。極め付けは大橋が単独で右から潜り込んでクロスを放った時である。ゴール真正面にいたにも関わらずボールにヒットさせることができなかった。れろれろれろと浮かんだボールにGK菅野は欠伸でもできるくらいの余裕を持ってキャッチすることができるのだった。

 その後運動量の落ちたサンフレッチェは次第にプレスが効かなくなり逆に押し込まれるようになる。相手のクロスボールに小原が手を掛け倒した場面はよもやPKと思いきや笛が鳴らずホッとした。もはや跳ね返すのが精一杯。あれだけあった勢いは完全に相手に持っていかれた。それだけに決めるべき時に決めないといけないといいのを痛感してしまうのだった。

 前線の大橋を狙ったロングボール。上手く競り合いの中から収めたと思ったらファールの判定。そうなるともはや引いて守るサンフレッチェには押し上げの目処が立たない。でも勝ちたい。チャンスをつくりたい。そんな模索を続ける中、無常にも終了のホイッスルがなってしまったのだった。

 勝てた試合だった。失点してから尻に火がついたがあれを最初からやってほしい。そして完全にこちらの攻撃パターンを読んでる相手に対して違いをつくることができなかった。小原はその為のピースであったが全くインパクトを残すことができなかった。そして最も大きいのは決定力不足。決まってもおかしくない場面で全部外してしまう。点を入れなきゃ勝てないルールの中でこれでは勝つことはできない。

 外国人選手がみんな怪我をしてる中で前線では大橋以外不発。その大橋もマークが厳しくいい状態でシュートが打てない。そして一番試合でシュートを決めてる中野がCBという悲運。どうしてここまで噛み合わないのだろうか。

 決まらない、決まらないサンフレッチェ。シュートを打っても打っても入らない。サンフレッチェに来た選手はどうしてこんなにシュートが入らなくなるのかもはやこれはミステリーであった。答えに辿り着かないミステリー。一体誰がこの壁を突き破ってくれるのだろうか。

2024年4月14日 (日)

福岡戦~わだかまりのある引き分け

2024年4月13日 アビスパ福岡 vs サンフレッチェ広島 ベスト電気スタジアム

 

 快晴の福岡。全国的に春の陽気に包まれてシャツ1枚でも過ごせるような気温は絶好の観戦日和とも言える。が、福岡のスタジアムには空席が目立ちどことなく寂しい気もしてくるもののそれを揶揄する気にもならないのはかつて広島もそうだったからだ。どんなに成績を上げようと客が来ないのは危機感を生み、それが勝利への執念となってくる。強く、速く、激しいスタイルはそんなとこから醸し出されたのかもしれない。

 そんな福岡、スタメンを掴みつつある松本泰志にとってレンタルで在籍したチームである。J1昇格の立役者となり中心メンバーの一人として活躍した故に掛ける想いも大きいだろう。そしてもう一人、福岡から移籍してきた志知がベンチに控えている。左サイドのスタメンは東となったもののこちらも虎視眈々と出場を待ってるはずだった。

 そんな中で始まった試合、出だしはサンフレッチェが優位に見えたものの素早い寄せ、激しいチェックはパスワークに歯止めをかけルーズボールとなる場面が増える。そしてそんなボールの奪い合いを福岡が制すると素早い展開を仕掛ける。ワントップに君臨するザヘディが縦横無尽に動きどこからでもボールを呼び込み仕掛けてくる。これにはフィジカルに勝る塩谷でさえ押さえ込むのに苦労する。そして中央に来ると巧みなステップによりシュート。GK大迫が止めるもそのパンチ力は侮れない。たった一人前線にいるだけで攻撃力が2段も3段も上げてしまう。恐ろしい選手であった。

 そんな福岡相手に早めに先制点が欲しいとこでCKを得る。満田のキックから飛び込んだ大橋。ジャストミートしたそのヘディングはファーサイドに流れるも枠を外れる。ああ、どうしてサンフレッチェのセットプレーはここまで入らないんだろう。競り勝つとこまでは行く。だけどそれを枠に入れることができないのだった。

 対する福岡も幾度となくCKの場面を迎える。勢いを持って前に出てくる時、個でサイドを抉ってくるのだがこれがなかなか止めることができずCKに逃げるのがやっとだった。その都度屈強なDFがゴール前まで上がってくるのは脅威であり、クリアする度に安堵のため息をするもののそのセカンドボールは必ず相手ボールとなるので息をつく暇もないのだった。

 そんな中、湯沢が左サイドを駆け上がるとマークについた東は振り切られてしまう。そしてクロスが入るとダイレクトボレー。が、GK大迫セーブ。完全に崩された場面だった。そして同様の場面が再び訪れる。サイドラインに追い込むことで一旦は動きを止めた東だったものの湯沢の巧みなターンに置き去りにされる。ゴールに向かいクロス。そこに入り込んだザヘディ。越道をなぎ倒しヘディングで叩き込んでしまったのだった。

 失点。完全にやられた。まずは東が湯沢との1対1のバトルに敗れ、越道も競り合いに持ち込むことができなかった。マンツーマンでの守備が基本のサンフレッチェは責任の所在が明確になってしまうだけに東の守備での弱さが目についた。志知との交代は早いかもしれない。

 そんな失意の中、サンフレッチェにCKが訪れる。満田のキックに佐々木。GK村上が飛びつく。が、球威が強く押し込まれていたのだった。

 同点。早い時間での振出し。CKからのゴールは今シーズン初めてだった。ヘディングには強い選手が揃っているのに枠に入れられない。これが入るようになれば相手にとって簡単にCKを与えられないという緊張感を生む。それが相手を崩す手がかりになりそうだった。

 その早い同点に活気ついたサンフレッチェは途端にパスワークが冴え渡る。相手の目先、鼻の先で受けワンタッチで返す。食らいつくとそれを逆手に前線のスペースへと出すと速攻の場面となる。ただ、そんなビルドアップに右サイドの越道のところで何度か意図の合わない場面が見られた。その辺がまだ経験の浅さなのかも知れなかった。

 そんな越道は後半途中で東と共に中村、志知との交代を告げられる。両サイド同時の交代だった。志知にとってはいよいよ出番が回ってきた。ところがこの志知、今ひとつ機能しないのである。どことなく消極的で無難なプレーに終始しているような気がした。かつて対戦相手として感じた志知の強くて速いイメージがなくなってしまったことに福岡のサポーターも感じてしまったかも知れないのだった。

 それでも依然としてサンフレッチェの勢いは止まることもなく、攻撃をクリアされてもセカンドボールは回収する。そして際どいボールになると福岡はファール覚悟で突っ込んでくる。そしてその多くはファールの判定になりイエローカードが乱発される。もはやなりふり構っていられないといった様相で完全なる大橋の抜け出しにファールで止められたシーンでは流石にイエローでは軽いような気がした。更に2度目に同様のシーンが出た時には大橋も怒りを抑えられなかった。危ない場面はファールで止めればいい。イエローカードは1回なら退場にならないというルールを逆手に取ったような先方になかなかフィニッシュまで至らないのだった。

 そしてこのまま試合を終えたものの後30分あればゴールを破れた気がする。ある意味90分という時間と違う選手が互い違いにイエローカードをもらっても退場とはならないというルールを上手く使ったのは福岡だった。それには批判もあるだろうがルールを最大限活用したとも言える。そしてザヘディの圧力はすざましかった。特に前半の体力のある時間での存在感は圧倒的だったことを考えると引き分けは妥当とも言えるものかもしれなかった。

 それでもやはり考える。2度あった大橋の抜け出しさえ止められなかったら。ファールで止められなかったら。そんなわだかまりにいつまでも燻っているのだった。

2024年4月 7日 (日)

湘南戦~大橋の2ゴールで勝利

2024年4月7日 サンフレッチェ広島 vs 湘南ベルマーレ エディオンピースウィング広島

 

 中3日、3連戦の最終節。サンフレッチェは外国人選手5人を含む8人が負傷離脱している。中でも不動のCBだった荒木の欠場は大きい。そこに入る中野も前節では新たな可能性を見せてくれたものの今回はトップに屈強なフィジカルを持つルキアンがいる。そこをどれだけ抑えられるかが大きなポイントとなりそうだった。

 そんなルキアンとのマッチアップは開始早々に行われる。前からのプレッシャーで嵌めようとすると奪ってから右サイドのスペースに出される。縦へとドリブルで駆け上がるルキアン。喰らいつく中野。ただここでカットインされると完全に入れ替わられたまらず身体を当てて倒す。FKの判定。嫌な位置。ただこれはゴール前で跳ね返すことができたものの明確なターゲットとなる選手がいるというのは脅威なのだった。

 その後もガイプレッシャーを続ける中で剥がされるとルキアン目掛けてボールが飛ぶ。マンマークの中野。競り合いに入る。前を向かせない。そして今度は中野が勝負を制し逆にファールを貰うのだった。中野も負けてない。むしろそれ以後は対人で負ける場面がなくなったのだった。

 それでも湘南のハードワークは冴え渡りサンフレッチェに押し上げを許さない。むしろ押し込まれていくことで重心が低くなりついにはボックスに入られ決定的なグラウンダーのクロスを入れられる。あと一歩のとこで身体を投げ出しブロック。その危険度は間違いなく湘南の方に分があった。ボールへの寄せの速さ、激しさは前を向かせてもらえない。その状況に胃の締め付けられる想いがするのだった。

 ところが相手のプレスの僅かな隙間をパスで通すと一気に前線が開けてきた。駆け上がる東に満田。全速力のプレイスバックに対して足元のスキルでかわし前へ運ぼうとすると倒される。そんな場面が何度か続き徐々に前向きのプレーができるようになる。が、相変わらずセットプレーがゴールに結びつかない。前半終了間際、満田のCKから佐々木がヘッドで競り勝つも田中のブロックに遭ってしまう。やはり決められない。決めれないものだから心置きなくファールで止めてくるしCKにも逃げられる。そしてそれ以上に膠着した試合を出し抜くことができないのだった。

 スコアレスのまま前半を終え、後半に入り右サイドの新井を越道に交代する。するとこの越道が縦への突破をすることによって右サイドが活性化される。加藤も右で受け縦への姿勢を見せつつカットイン。中へ切れ込む、切れ込む、そして最終ラインを切り裂くゴール前へのスルーパス。そこへ抜け出した大橋。GKソンボムグンも処理しきれずルーズボールになり反応した大橋が倒された。完全に腕で掴んだことによって阻止された。間髪入れずホイッスルが鳴りPKへ。この時点で腰を浮かして歓喜の雄叫びを上げるも更にGKソンボムグンへレッドカード。相手が1人少なくなるアドバンテージを得たのだった。

 ただここで決めれないと何にもならない。キッカーは大橋。自ら得たPKを自ら蹴りに行く。交代で入ったGK馬渡。ホイッスルが鳴るとゆっくりとしたモーションから助走を入れシュート。ど真ん中に蹴ったもののGKが飛んでいた為見事にネットに突き刺さったのだった。

 先制。大橋の2試合連続ゴール。やっとこじ開けた。昨シーズン、アウェイでこの湘南の壁をこじ開けることができなかった。そして失点してしまったもののそれを決めたのが大橋だった。その大橋がサンフレッチェに来て湘南の壁を打ち破ったのだった。

 リードした上に数的有利。ここから畳み掛けたい。実際にここから怒涛の攻撃が始まる。サイドで受け無理なら下げてやり直し逆サイドに振る。相手を動かすことで消耗させていきたい。だがそんな中でも奪った後のカウンターには力強さがあった。バイタルエリアまで入るとルキアンがDFの集まった狭い箇所を強引にこじ開けシュート。枠には入らなかったものの湘南は全く心が折れてないのだった。

 1点差だとわからない。相手を押し込めてる内に追加点を入れたい。そんな折に相手ブロックの裏へ浮き球が出ると松本泰志がポケットに入る。そこから折り返しを越道が打つ。が、これがGK真正面。カウンターから満田がゴール前で相手をかわすもシュートはブロック。更に攻守に渡ってピッチを駆け巡った川村が筋肉系のトラブルで野津田と負傷交代してしまうのだった。

 その後も東のCKを佐々木がヘッドで合わすも枠外。東のクロスに満田が頭で合わすもこれもGK馬渡ブロック。入らない。ゴールのわずか数メートルのとこまで来てるのに入らない。そんな決定力の低さを見せていると後のない湘南は交代で入った石井が右サイドを切り裂いてくる。ドリブルで入ってくると奪えない。そして隙を見るやカットインしてクロス。GK、DF共に動きづらい際どいとこに入れてくる。それにターゲットのルキアンの存在も相まってこの1点リードが薄氷の上に立っているものと認識せざるを得なかった。

 それでも満田に代えドリブラー小原を入れて最後まで攻める姿勢を貫く。それが功を奏しCKを得るもこれも不発。転じて湘南が反撃に出てくる。残り時間は少ない。ボールホルダーに対してはチェックにいく。それでも湘南のパス回しが続く中で塩谷がカット。前線の加藤に縦パス。マークを受けながらも中央へと落とした加藤。すると大橋がフリーで受ける。前方の広大なスペースに向かってドリブル。持ち運び、持ち運び、持ち運ぶとDFが戻りコースに入るとかわす。そしてもう一人かわすとシュート。グラウンダーのボールがゴールの隅に吸い込まれていったのだった。

 決まった、決まった、決まった。2点目。もう勝負はあった。そんな歓喜の雄叫びをあげた一方で無情にもオフサイドの判定。がっくりと肩を落とす。が、試合が止まった。VARでのチェックが入る。長い沈黙。固唾を飲んで見守る。そして下された判定。ゴール。大橋のゴールはオンサイドと判定されたのだった。

 再び拳を突き上げる。正直オフサイドではないと思ってただけに正常な判定をされたことにホッとする。これで大橋2ゴール。他の選手が決めきれない中で唯一決めきれる選手なのだった。やはりこの選手の加入は大きかった。今更ながらそれを痛感する試合となってしまった。

 2-0。このまま試合は終わり開幕からまだ無敗が続いている。だけど負傷者が続出してる中で川村の負傷退場も気になる。そして満田、加藤といった大橋以外のアタッカーに点が取れないのも気になる。ただそんな中でも越道や小原が可能性を見せていったことはプラスである。そんな中での試合は綱渡りでもしているかのようでもある。それだけに勝利の意義を深く噛み締めることができるのだった。

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     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
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     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
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    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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