2018年2月18日 (日)

プレシーズンマッチからも見えないスタメン

2018218日 プレシーズンマッチ レノファ山口vs サンフレッチェ広島 維新みらいふスタジアム

 

ちばぎんカップ。同じ千葉県を本拠地とする柏レイソルとジェフ千葉のプレシーズンマッチだ。千葉県民として何度か観戦にも行ったことがあるが、その時いつも思ってた。

サンフレッチェにもあればいいのに。

それには中国地方でJリーグのクラブができなければならないだけあってさすがにそれは無理なような気がした。が、いつの間にか岡山ができ鳥取ができ山口までできた。それにより隣県同士のプレシーズンマッチが組めるようになり、山口とは昨年に続いての開催である。もはや恒例行事と定着していったと考えてもいいのではないだろうか。

ところがこのプレシーズンマッチ、そのシーズンの戦力をはかるにしてはあまりにも当てにならないのだった。昨シーズンのこの対戦ではフェリペの技術の高さに舌を巻き、工藤の得点力に胸を高鳴らせた。が、ふたを開けてみればフェリペのプレーは噛み合わなく工藤の得点は年間たったの3点。期待外れもいいとこだった。

そしてチームは降格圏をさ迷い自信を失っていく。と同時にフェリペも工藤もポジションを失っていきこの補強は失敗だったと感じた。特に得点量不足は深刻でワントップに入った皆川の得点能力の低さといったらプロのレベルではなかった。だがそんな皆川にポジションを奪われた工藤はもはや終わってしまった選手と見られても致し方ないだろう。なので退団せずチームに残ったというのは驚きであった。と同時にクラブがまだこの選手を諦めてないのを知ったのだった。

そしてタイ・キャンプでの練習試合。工藤は得点という結果を残していった。もしかしてまだ使えるのかという希望を見出したものの、それはライバルの存在があっただろう。昨年途中加入のパトリック、J2から這い上がりの渡、タイに英雄ティーラシン。これらの選手の陰に隠れてもはや存在感をなくしていたものの、逆にそれが刺激となったのではなかろうか。ただ、この試合に限っては終了間際の出場に留まりフェリペに至っては出場すらできなかった。出場機会という意味でいえばやはり厳しいシーズンとなるのではなかろうか。

一方でスタメンだったティーラシンである。追加点となる得点をあげ早々に結果を残した。やはり今シーズンの軸はこの選手になるのだろうか。

そんな色々な想像を掻き立てられる。やはりプレシーズンマッチはありがたいのだった。

青山のPKから始まり02で勝った。山口がJ2であることを考えれば当然のノルマは果たしたのではないだろうか。

果たして開幕スタメンはどうなるのだろう。新加入の選手が多い上に城福監督がどの程度手腕を発揮できるのか想像もつかないのである。結果を残すこと以上にサンフレッチェのカラーが出せる監督なのかどうかがわからない。どちらかというと本当に大丈夫?いう疑問の方が大きいのだ。

そんな不確かな状態。それって2012年に似ているというのが頭をよぎるものの、それ以上公言するのはどことなく恐ろしいきもするのでそこで言葉を飲み込むのだった。

2018年2月 6日 (火)

ムアントン・ユナイテッド戦~タイ遠征最終日

201825日 プレシーズンマッチ ムアントン・ユナイテッド vs サンフレッチェ広島 サンダードーム・スタジアム

 

 タイ・キャンプの最終日として観客を入れての試合。相手はACLにも多数出場経験のあるムアントン・ユナイテッド。タイ国内では強豪であるこのクラブの試合はさぞ多くの人が集まってるだろう、と思いきや空席ばかりが目立つ閑散とした状態だった。そこに多少の見込み違いがあったものの、中継があるというのことは喜ばしいことだった。こんな試合まで中継してくれるなんてDAZNに多大なる感謝をするのだった。

 選手の入場。一人一人顔を確認すると昨シーズンからかなり顔ぶれが変わってる。新加入の選手含めて若返りの様相が強い。そしてキャプテンマークは柏が巻いていた。一体誰がつけるんだろうと議論になったこともあるが、これは盲点だった。

 だが一番気になったのはアタッカーである。昨シーズンの不調の原因はとりもなおさず点が取れないことだった。だからこそJ2 20ゴール決めた渡のプレーが観たかった。そんな期待に応えるべく城福監督はスタメンで使ってくれたのだった。

 開始早々サンフレッチェはボールを支配し敵陣に攻め込む。森島が技巧的なパスで相手の間を抜く。丹羽もサイドを駆け上がって攻撃参加する。そんな右サイドのボール回しから中央へ行くと磐田のレンタル移籍から復帰した川辺がスルーパス。飛び出したのは稲垣。が、シュートは枠をとらえることはできないのだった。

 その後もサイドからクロスが入るも中で合わせることができない。そして柏のドリブルから中央ペナルティエリア内でボールを受けた渡がシュート。が、これも相手のブロックに防がれる。更につぶれ役となった渡のこぼれ球を稲垣がシュート。が、これもGKにぶち当ててしまうのだった。

入らない。

 ああ、この言葉を今年も続けなくてはいけないのだろうか。ゴールまでほんの数メートル。それが何と遠いことか。

うう、もどかしいい。もどかしい、もどかしい、もどかしい。

 沢庵の端をギ~ッと噛みしめたいようなモヤモヤの中、後半になるとメンバーがほぼ一新された。そしてその中にはティーラシンの姿も。前半にはムアントンのユニフォームを着て敵として出てたというとこからホームのサポーターへのサービスの演出なのだった。

 一体どんなプレーをするのか。注意深くそのプレーを追うが合流して間もないだけにサンフレッチェのサッカーに馴染むのはまだ時間がかかるだろう。

 そんな時、中盤のボールカットからゴールに向かう。ムアントンの選手は素早い戻りでゴール前を固めると最後尾からオーバーラップした馬渡の姿が。右サイドでスルーパスを受けた馬渡は弾道の低いクロス。中央で触ったティーラシンのシュートはGKに触れることすらできずに入ったのだった。

 先制点はサンフレッチェ。だが決めたのがティーラシンということで両方のサポーターの喜びの歓声が聞こえる。2人、3人と絡んだサンフレッチェらしいゴールに新加入の2人が絡んでるというのは嬉しい驚きでもあった。

 そしてそのまま01のスコアのまま試合を終える。最低限の結果は残した。でもムアントンのプレスは緩かったようにも感じる。そして決定機でシュートが入らないというのも相手のプレイスキックで競り負けてしまうというウィークポイントも改善されてない。なので単純に勝ったことを喜んでいいのかどうか悩むところでもあった。

 ベンチのコーチ陣も社長も代わった今シーズン。正直まだ違和感はぬぐえない。そしてこのままJリーグを戦うにはあまりにも不安が大きい。不安で不安で不安だらけだ。この不安、そういえばかつて味わったことがある。だけど今はまだそれを口にするのは控えることとしよう。

2018年1月31日 (水)

大敗による始動」

2018130日 トレーニングマッチ ポートFC vs サンフレッチェ広島 PATスタジアム(タイ・バンコク)

 

 試合を観たわけでもなく詳細な内容を聞いたわけでもないが、さすがに5ー2というスコアは大敗と言わざるをえない。先制点を許し更に失点を重ね得点を決めて追い上げへと向かうのかと思ったらまた失点を繰り返す。これは昨シーズンと同じパターン。結局監督が替わろうと選手が替わろうとチームは変わらないということだろうか。

 城福監督の就任、それは驚きでもあった。残留へ導いたヨンソン監督は悪いとは思わなかった。少なくとも最低限の結果は出した。しかも元サンフレッチェ選手だったことで縁もあった。それでも続投しなかったということ最初から城福監督就任の話は決まっていたのかもしれない。その後の補強人事のスピードと積極性からそんなことが伺えるのだった。

 中でも注目は磐田へレンタル移籍してた川辺の復帰である。その活躍から完全移籍してしまうのではという危惧がありながらも降格争いをしたチームに戻るというのはもはや中心選手となる決意があるはずである。そしてそれを裏付けるかのようにこの試合では得点をあげている。得点力不足に嘆いた昨シーズンからすると嬉しい結果であった。

 だが、点が取れないというのはやはり攻撃陣に問題があった。特にエースと目されて加入した工藤は大誤算であった。いつか爆発する。そんな淡い期待はことごとく裏切られついにはベンチを温める日の方が多くなったのだった。

 すでに終わった選手。工藤にはそんな目を向けてしまった。当然契約は解除されるだろうという予想するも新たに9番の番号さえも与えられた。新加入の渡やティーラシンが攻撃の軸となると確信していた。が、この試合でゴールを決めた。もしかしてスタメンには工藤が躍り出るのかもしれない。そうなると攻撃での競争は激しくなる。それは胸を熱くさせる要素なのだった。

 だがそれにつけてもこの失点の多さはどうにかならないものだろうか。千葉や水本はやはりピークを過ぎてしまったんだろう。果たしてDFは未だにその2人に頼っていたのだろうか。それとも新たな可能性にかけてたんだろうか。情報がないのでちっともわからないのだった。

2017年12月 3日 (日)

柏戦~今シーズンを象徴した最終戦

2017/12/02 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 日立柏サッカースタジアム
 
 最終節。すでに残留を決め天皇杯も敗退してしまったがためにこれが今シーズンの最終戦となった。その為だろうか、アウェイゴール裏は通路にも人が溢れ、一度持ち場を離れると決して戻っては来れない程にサポーターが凝縮されていた。それなのに出入り口は一つという殺人的コンディションで観戦せざるを得ない。さすがにこれは保安上問題のある会場設定であった。
 そんな満員の柏スタジアム。サンフレッチェは前節と同じスタメンで組まれ、もはや降格を気にすることもなく伸び伸びとサッカーをやるのだった。後ろからのビルドアップ。連携による攻撃。豊富な運動量。まさにそれは森保体制からヨンソン監督へとバトンを引き継いだ集大成ともいえるサッカーだった。
 ところがそんな小気味いいサッカーをやりながらも最期が決まらない。シュートカウンターからフェリペがシュート。一旦はゴールに入ったものの、このシュートにオフサイドポジションにいたロペスが触っていたことでゴールとして認められなかった。他にもここぞという場面で必ずオフサイドにかかる。そう、ワントップに入ったロペスはあらゆる面でいいとこがないのだった。
 シュートをすればミートができない。よくわからないとこでボールをとられてしまう。かといってまるで駄目かというと時折長いリーチを生かしたキープを行う。この選手、結局のところ上手いんだろうか、下手なんだろうか。がっかりするとこが多い割にチーム内最多の10点取ってる。一体この選手は生かすべきか生かさないべきか判断がつかないのだった。
 ただ、中途半端といえばもう一人、フェリペも入る。とんでもなく高い技術があるという割には試合ではパッとしない。確かにテクニックはあるもののラストパスをアシストにつなげることができない。それでいて自身のゴールも少なく得点を演出するという能力に欠けてる。それ故に怖くない。相手に脅威を与えない。中途半端に上手くて中途半端な存在感しかないのだった。
 そうこうしているとまたしてもCKから決められてしまった。しかもそれはミスキックのような低いすっぽ抜けたキックだった。しかしニアにいたフェリペがクリアし損ねるものだからボールはそのまますり抜けてしまいゴール前に立っていた柏の選手が当てるだけで余裕で決めることができた。ああ、フェリペは一体何をしていたのだろうか。
 その結果、またしても先制点を与えてしまった。しかも今シーズン何度も何度もやられたCKによる失点である。結局この悪癖は解消することができなかったようだった。
 そしてその後は柏の雨霰のような攻撃である。クリアしてもセカンドボールを拾われ、プレスに行けばあっさりパスを散らされ、ドリブルを止めようとすると逆を取られてシュートを打たれてしまう。そしてこの悪い流れを断ち切ることができない。サンドバック、サンドバックのように叩かれ続けるのだった。
 サンフレッチェは茶島を入れ、前線にパトリックを入れる。茶島はスピードと切れのあるドリブルから前への推進力を見せ、パトリックも最前線でボールを待つ。が、パトリックをめがけるクロスどころかロングボールも来ない。競り合えば勝てる。だけどその優位性を生かそうとしない。とはいえカウンターからドリブルに持ってくると最期にはパスを選んでしまい敵に読まれてしまう。結局そこのとこがこの選手を完全に頼り切ってしまおうという気概を奪ってしまうのだろう。
 時間は経つが点の入るイメージが沸かない。でもゴールラインまでドリブルで入る。折り返しを高橋が受けゴール前へ横パス。茶島のシュート。3人の選手を経由したそのシュートはGKの素早い反応により防がれてしまった。
 ああ、やっぱりGKは重要なんだ。
 怪我によって戦線離脱した林の代わりに出場してた中林。俊敏な反応からセービングをしたかと思うとプロとは思えないような稚拙なポジショニングで簡単に失点を許してしまった。満を持してサンフレッチェに戻ってきた中林だったが、J1のレベルに対応することができなかった。最後の最後でくい止めるGK。30メートル離れた場所からのシュートを簡単に決められるGK。両者の違いは大きいのだった。
 そしていい攻撃をしながらも最後が決まらない決定力のなさ。結局点を取ることと守ることという至極基本的な要素の欠陥によって負け続け、そしてこの試合も負けてしまったのだった。そういう意味で今シーズンを象徴するような試合だった。
 来シーズンへの希望。残留によりせっかくうっすらと見えていたものが再び霞んでしまった。ヨンソン監督も続投するかどうか未知数ということだが確かにこの試合を観る限り、このままでいいんだろうかという疑問は残る。かといって残留という最低限のノルマは果たした。果たしてその選択はどうしたらいいのだろう。
 高橋のように頭角を表した若手がいる一方、明らかに戦力となってない選手もいる。そういう疑問を残しつつ、どこかすっきりしないままで今シーズンの終わりを告げたのだった。

2017年11月27日 (月)

FC東京戦~残留決定

2017/11/26 サンフレッチェ広島vsFC東京 エディオンスタジアム広島
 
 ミキッチ退団。
 その発表があった時、やっぱりそうだったのかという気がした。困った時のミキッチ、そんな台詞を言い合ったものだ。攻め手のない時、行き詰まった時、劣性にたたされた時、ミキッチにボールを割たして右サイドをドリブルで駆け上がってもらった。あんなスピード、あんなテクニック、あんな駆け引きの上手さ、それはもう憧れを感じてしまった。背番号14のレプリカユニフォームを着たサポーターは多かった。
 ホーム最終戦。勝ってミキッチを見送りたい。だがこの試合はそれ以上の意味があった。この試合の勝敗はそのまま残留の結果に影響するからだった。
 シーズン前、一体誰がこの状況を想像しただろうか。まさか4年間で3回優勝したチームが残留争いをやるとは。だがその原因を突き止めるとするとやはり新加入選手に行き当たる。補強の失敗といっていいだろう。稲垣、フェリペのように終盤になってやっと試合に絡める選手が出てきたものの、即戦力という見立ては大きく外れてしまった。
 そんな中、チームのパフォーマンスも崩れていき全く機能しなくんってしまった。ボールのつなぎ方もわからない、守備の仕方もわからない、連携をすることもできない、まるでそれは負ける為にやってるようなサッカーだった。そしてあれだけ胸躍らせたサンフレッチェのサッカーはつまらなく、気怠いだけの退屈なものとなってしまった。
 そんなチームの建て直しの為に就任したヤン・ヨンソン監督の元、徐々にサッカースタイルを変えていった。その集大成とすべき試合だった。
 サンフレッチェはボールを持つと有機的に選手が絡み合い、目まぐるしくパスを回す。そして気づいたら前線に。ワントップのロペスを目指すが中盤の青山も飛び込んでミドルシュート。枠には入らなかった。それでも入ったかもしれない。そんな感覚があったのか、虎視眈々とゴールを目指す青山のプレーがあった。
 そしてそれに呼応するかのように高橋が上がる。クロスを放つかと思いきや柏へスルーパスを出して2人の連携で相手DFを翻弄させる。クロスが跳ね返されたとしても青山始めリスク管理に備えてる選手によってセカンドボールが拾われまた攻撃は続いた。ボールがまるでピンポン球のように小気味よく動くのだった。
 ああ、この感覚。いつか忘れてた爽快感だ。ゴールが決まった訳ではない。それでもどこかで誰かが決めてくれそうな予感がある。そしてフェリペが中へ切れ込んでミドルシュートを放つとゴール前の誰かに当たって弾道がかわることでゴールに入った。ネットが揺れた。紛れもない先制点だった。
 ドワーッとスタジアムが沸く。一体誰のゴールなのか。すると得点者として柴崎の名前がアナウンスされる。おお、柴崎。今シーズンあまりにもシュートを外し過ぎた柴崎がこんな予期せぬ形で決めたのだった。
 勝利へ向けて、残留に向けての大きな足掛かり。このままイケイケでいけそうだ。これまでの鬱憤を晴らすように追加点を重ねていきたい。
 ところが後半、徐々に攻勢を高めてきたFC東京にCKを与えた。するとゴール前に飛び込まれたヘディングに対応できず失点を許してしまった。これまた散々悩まされたCKでやられてしまったのだった。
 同点。ああ。ここでガクッと落ちそうだった。ところがそんな感覚に陥らなかった。まるで振り出しに戻ったという事実に気づかないかのように。追いつかれたにも関わらず有利であるということに代わりがないかのように。
 すると再び攻勢を強めていくとフェリペがペナルティエリアに侵入する。多くのDFの壁が立ちふさがりここからは狙えないとあっさりと後ろへ下げてしまうと稲垣が受けた。テクニックのない稲垣。運動量でピッチを広く駆けめぐるのがストロングポイント。そんな稲垣が遠目の角度をつけたとこからキック。するとボールは放物線を描き綺麗な弾道でゴールの隅に入ったのだった。
 うおおおおおっ!
 雄叫びを上げてしまった。キックの正確さと精度がないとできないプレー。稲垣にあんなシュートが打てるとは。そして今シーズン一番の素晴らしきシュートだった。勝てない理由に稲垣の力量不足を考えたこともあった。まるでそれを払拭するかのようなゴールに本人も激高するのだった。
 この勢いに乗って追加点。そうなる気配はあった。実際ロペスが反転シュートを放つと決まったかと思った。だがFC東京も諦めてはいない。選手を代え攻撃への圧力を高めてきた。
 まるで引力が掛かってるかのようにサンフレッチェのゴールに向かってくる。ボールカットしようと跳ね返そうとどうにも反撃の芽がつくれない。もはや勝てればいい。堪えて、防いで、クリアして時間を稼げばいい。時間稼ぎのプレーをする。そうやって苦しい苦しい時間を集中力を切らさず切り抜けたのだった。
 試合終了。ホイッスルの響きは歓喜へのスイッチだった。沸き上がるスタジアムに残留決定の安堵の気持ちが漂う。
 よかった、よかった。言いたいことは色々あるがそんなことはどうでもよかった。降格を覚悟した時期もあった。それでもここまで這い上がったチームに誇りを感じる。チームを去るミキッチにもいい餞ができた。来年もJ1の舞台にいれる。今はただそれだけを喜び祝いたかった。

2017年10月30日 (月)

浦和戦~儚き想い

2017/10/29 サンフレッチェ広島vs浦和レッズ エディオンスタジアム広島
 
 また負けた。結果を先に書いてしまう程に喪失感がある。点が取れない。とにかく点が取れない。3試合連続無得点というのが更に空しさを煽る。どうしてここまでなったのか。どうしてここまで落ちぶれてしまったのだろうか。
 チームの建て直しとしてヤン・ヨンソン監督の就任。その後走力をベースとしたサッカーへと変貌を遂げ勝ち点を重ねていった。トップにはパトリックというストライカーが入り後ろにも魂の入った守備の丹羽が入るテコ入れは上手くいったかに見えた。が、ここに来て失速。その最も大きな原因が得点力のなさなのだった。点が入らないと勝てない。その最も根源的なことをサンフレッチェはできなくなってしまったのだった。
 ここのとこでヨンソン監督の見積もりの誤りが見て取れる。誰も点が取れないのなら最初から引き分け狙いというやり方もある。守って守って相手がじれたとこでカウンターでチャンスを掴む。ああ、久保達彦がいればそんな戦術もできたのだろう。
 今のサンフレッチェにとって足りないのは割り切りではなかろうか。4年間で3回優勝したというプライドが邪魔をしてるのかもしれないが、もはやつなぐサッカーを目指してる場合ではない。なりふり構わず前に蹴るだけのサッカーをやっても構わないのではないだろうか。そこでパトリックのガタイを生かす。そもそもがそういう理由でパトリックを取ったのではないだろうか。
 そのパトリックであるが終了間際にゴール前でシュートをGKにぶち当ててしまった。あそこでほんの少しボールを浮かすことができなかったものだろうか。焦りが焦りを呼びそれがゴール前での冷静さを奪っているかのようだ。
 他にもアンデルソン・ロペス。どうしてあんなにシュートが下手なんだろう。そして往々にしてこの選手はその時々のプレーの選択を間違ってしまうのだ。その結果せっかくのチャンスを潰してしまい枠に入らないミドルシュートを打って攻撃を終わらせてしまうということがあまりにも多すぎるのだった。
 ただ、それでもシュートを打つイメージを持ってるのがこの2人しかいないというのがまた寂しい。ああ、サッカーにおいてゴールの可能性がないという前提で観るとそこにどうやって楽しみを見出せばいいのだろうか。
 つまらない、つまらないサンフレッチェのサッカー。どうしてこんなチームを応援しているんだろう。そこに自問自答を繰り返すのだがよくよく考えたらこれってはるか前はこんなことばかり言ってた気がする。だから元に戻っただけといえばそうなのかもしれない。
 それでも初めて降格した2002年、最期の最期は残留への希望を見出した。そして奇しくも最終節でその想いは絶たれ降格の憂き目に遭うと泣いてしまった。ただ、そこには泣かずにはいられない激情があった。
 果たして今回降格するとどうなるだろう。あまりにも淡々と負けてるような気がする。勝ちたいという執念が感じられない。結果が伴わない今、せめてそんな熱いものだけでも感じさせてもらえないかと願うのだった。

2017年10月21日 (土)

川崎戦~取れないゴール、防げないシュート

2017/10/21 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ エディオンスタジアム広島
 
「ミ、ミナガワーッ!?」
 スタメンを観た時、目を疑ってしまった。シーズン途中から完全にレギュラーとして定着していたものの全くといっていいほど結果が出せずパトリックにあっさりポジションを奪われてしまった。大卒で入団して以来、その恵まれた体格によってすざましい破壊力を期待したものの、彼のプレーはどうにもぱっとしないのだった。それに伴いもう来シーズンはプロのキャリアも終えてしまうのではというのもあり得ない話ではなかった。
 雨の降るピッチ。それはボール扱いもままならず肉弾戦も要求されるかもしれない。ワントップの皆川にはそこを期待されたのかもしれない。
 ボールの滑るピッチで両者攻撃的に始まった。やはり優勝争いをしてる川崎の方が攻撃の回数は多い。だがサンフレッチェも最期の最期でくい止める。それがチームに勢いを与え徐々に攻撃へと比重を上げていくのだった。
 ワンツーから縦へのスルーパス。サイドのスペースに飛び出した選手がフリーでクロスを上げる。あとは触るだけ。だが滑り込んだ柏はあと一歩足が当たらなかった。そしてCKから皆川がシュートを打ったシーンもあったがGKに当ててバーに跳ね返されてしまう。入らない。本当に決まらないサンフレッチェの攻撃だった。
 セカンドボールも拾い圧倒的優位な展開だ。あとは決めるだけ。そしてそんな時に川崎のGKが負傷交代することはゴールに向けての可能性をまた押し進めるのだった。
 ところがここから川崎からボールを奪えなくなってしまう。サイドで丹羽が身体を寄せるがあっさりと抜かれるとファールを犯してFKを与えてしまった。抗議をしているものの完全に手を使ってた。
 とはいえ距離があるのでそれほどの驚異でもなさそうだ。ゴール前に蹴られたキックはGK中林の飛び出しで手に納めた。それで事なきを得たと思いきや落とした。水分を含んだボールのせいか、ぼろっと落とすと詰め込まれた。呆気ない、呆気ない失点なのだった。
 点の取れないサンフレッチェにとってもう劣性になってしまった。それでもまだ時間はある。チャンスはつくれているんだ。
 そう活き込んだものの、今度はDFの前に出されたボールにミドルシュートを打たれると綺麗にゴールに入ってしまった。水本が相対してたにも関わらずまるでカラーコーンであるかのようにプレッシャーを感じてなかった。
 2点差。それはもう絶望的なスコアだった。点の入らないチームにとってもはや勝つことは諦めざるを得ない。だがせめて同点にはしていきたい。
 何とか1点。高橋は最後列から何度もサイドを駆けめぐりクロスを上げる。柏がゴール前でヘディング。ゴールに向かわず真横に行ったが皆川の目の前。が、これに反応することはできなかった。そして逆サイドからもグラウンダーのクロスが入る。柏がスルーして皆川が詰める。が、これも枠に入らない。入らない、入らない、入らない。さすがにここまで決定機を逃してるともう永遠に入らないような気がしてきた。
 そこへのテコ入れにパトリックを入れて前線のターゲットを2枚にする。が、今度は中央にボールがちっとも入らなくなるとボールを奪われロングキック。落下点にいた水本は目測を誤り小林への収まりを許すとそのまま縦へ進みシュート。まるでGKなんかいないかのようにガツンと決められてしまったのだった。
 3点目。
 さすがに終わった。手を替え品を替え、走って走って走り回ってボールも左右に振って翻弄しようとも決めることのできなかったゴールを川崎はたったの1本のパスで決めてしまう。この差は歴然だ。両者の違いははっきりしている。シュートを決めるか決めないか。そしてGKが防ぐか防がないかだった。
 そういえば中林のサンフレッチェでのデビュー戦もそうだった。プロのGKだったら簡単に処理できそうなボールを手前に落としてしまい失点してしまった。GKとしての基本能力はあの頃から向上してないのだろうか。
 そして皆川。3回もあった決定機をものの見事に外してしまった。もはや駄目だろう。シュートを決めれないFWにゴールを守れないGK。サンフレッチェが勝てない理由を露呈させたかのような試合だった。
 結果を出せない選手はいくらやっても駄目。実際に森島もパッとしたとこのないまま交代させられてしまった。もう今いる選手ではどうにもならないのだろうか。
 いや、それでも人間成長の余地はある。その象徴が高橋だった。相手のシュートをブロックしてここぞという場面ではオーバーラップを繰り返す。彼こそは早くプロの道を諦めた方がいいと思ってた選手だがその高橋が一番がんばってるように見えた。
 残留にかけては厳しいポジションであるには変わりない。それでも個々の選手がレベルアップすることによって活路は開けてくる。希望はある。あとは決めるだけなのだから。

2017年10月15日 (日)

鹿島戦~打つ手なき敗戦

2017/10/14 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマスタジアム
 
 寒い。
 つい数日前まで夏のように暑かっただけに雨によって下がった気温には氷点下のような寒さを感じた。そして無駄に広いスタジアムのせいで閑散とした客席の印象が尚更そのイメージを助長させるのだった。
 当然のことながら水分を含んだピッチはスリッピーになってる。ボールも滑ってよく走りそうだ。これはパスが主体のサンフレッチェにとって悪くないコンディションであるはずである。が、実際にはボールよりも選手ばかり滑っていた。
 鹿島の攻撃に蓋をし、攻撃に厚みを増し、セカンドボールを拾って2次攻撃、3次攻撃へとつなげるものの肝心のシュートまでたどり着けない。鹿島の守備がいいのかもしれない。が、ここぞという場面でサンフレッチェの選手が転んでしまうのだった。
 その最たるがアンデルソン・ロペス。条件は一緒のはずなのになぜか転んでるのは黄色いアウェイユニフォームの選手ばかりなのだった。
 とはいえ攻めてる限り不利には見えない。いつかチャンスが訪れるという気がしてくる。右に振り左に振り、手数ばかり掛けている割にフィニッシュに持ち込んでないにも関わらず圧倒的優位にいると勘違いしてしまう。そこに隙があったのかもしれない。
 中盤でボールを奪われるとぽっかりと空いたスペースで土居が受けゴールへ向かう。懸命に追う千葉と青山。特にディフェンスとして残ってた千葉は追いつくも簡単にかわされミドルシュートを打たれるとGK中林の手の届かないとこに簡単に決められてしまった。それはまるでシュート練習であるかのように見事なまでにあっさりと決めたゴールだった。
 あれだけ手数を掛けてフィニッシュまで持ち込めないサンフレッチェに対してたった一瞬の隙を突いて決めてしまう。両者の立ち位置を如実に物語っているかのようだった。得点力のないサンフレッチェにとってこの失点によりすでに勝ちについては難しくなってしまったものの、せめて引き分けに持ち込んでいきたかった。
 するとペナルティエリア内パトリックに1本のボールが入る。胸トラップで落とすとそこにアンデルソン・ロペス。決まった、と思ったシュートはGKに弾かれてしまった。
 ああ。決まったかと思った。あれを決めなかったらいつ決めるんだよ。全てが全て完璧な形だったのに最期の最期が決まらない。結局勝てないってそういうことなんだろう。
 それを如実に表したのがその後の失点だった。サイドからグラウンダークロスを入れられるとゴール脇で競りながらも中に入れられゴール前どフリーでシュートを打たれ決められる。2失点目。もうこれで決まった。勝ちは100パーセントなくなったと諦めざるを得なかった。
 それでも何かを残したい。せめて1点取りたい。丹羽と交代いて入った茶島がミドルシュートをバーに当てた。パトリックも遠目からシュートを打った。柏もドリブルで何度も仕掛けた。だがどれもゴールという成果につながらない。あれだけ走ってるのに、あれだけハードワークしてるのにどうしてここまで結果が伴わないんだろうという理不尽さを感じる。
 だが後になって考えてみるとサンフレッチェの選手はここぞという場面でゴール前に誰もいないのである。チームとして攻めてる時は人数はいるものの敵の人数も揃っている。そしてそんな密集を打ち砕く突破力は持ち合わせてない。だから攻めてる割にはペナルティエリアには入ってないのである。
 攻めてるような気分にさせられて結果的には負けている。いい試合をしてたと思わせて負けてしまう。前線には屈強なストライカーのパトリックが入った。ディフェンスにも丹羽や椋原が入った。それでも負けてしまう。果たしてこれ以上打つ手はあるのだろうか。放心状態はしばらく解けず、盛り上がる鹿島のスタンドの声援が聴覚に鳴り響いてくるのだった。

2017年10月 1日 (日)

札幌戦~負の象徴

2017/09/30 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 エディオンスタジアム広島
 
 札幌。残留争いのライバル。アウェイでの敗戦。昨シーズン、佐々木へ悪質なタックルで長期の怪我を負わせた横山がいる。そしてベンチに座ってる小野伸二にはACLにおいてもう少しでベスト16を勝ち抜けるというとこで得点につながるクロスを入れられてしまった。FWの都倉はなぜかサンフレッチェの試合だけは点を入れる。探せば色んなとこに因縁の見つかる相手なのだった。
 そのせいなのだろうか、エディオンスタジアムのスタンドには珍しく空席が見つけにくいくらい埋まりその光景は壮観だった。サポーターが集まりチャントへ呼応する声も大きい。そういう時、こういう時こそ勝たなきゃいけない。もはや細かい理由などなしにこの雰囲気を壊さない為にも勝利は必須なのだった。
 この試合に当たって稲垣、フェリペ、椋原の3人がスタメンに名を連ねた。ここ最近のパフォーマンスの良さからの抜擢といったところだろうか。
 ところが出足は札幌の方が攻めてきた。開始早々の都倉のシュート。やっぱりサンフレッチェには点を取れるという自信があるみたいだ。そして前回対戦で勝ったというのも自信の上乗せにしてるのかもしれない。
 それでもその時のサンフレッチェとが違う。簡単にゴールを割らせる守備をしない。最期の最期で跳ね返す。そして攻撃へと向かえる。相手ゴールに向かって突き進む。逆サイドへの折り返しがあり柏がクロス。ふわっとしたボールはDFの裏からパトリックがヘッド。が、入らない。攻撃の形としては良かったものの最期が決まらないのだった。
 その後ロペスがバイタルエリアから放ったシュートも沸くに入らず相変わらず皆シュートの精度が低い。ロペスは他にもカウンター場面でのドリブルが縦一辺倒なので全部引っかかってしまう。この選手、本当に上手いんだか下手なんだかよく分からない選手なのだった。
 そんなロペス、ペナルティエリア前でのトラップが足に収まらなかった。「ああ、また」とため息をつきそうになるもそのままゴールに向かっていく。すると次の瞬間、倒れた。DFの足が掛かってしまいPKになったのだった。
 おおおおおっ!ロペス、ナイスプレーだ。
 まだ点が入った訳じゃないが雄叫びをあげてしまう。ここはきっちり決めたい。そういえば今シーズンPKって1回も決まってないじゃないか。それどころかPKのシーン自体がない。一体誰が蹴るのか。そしてペナルティスポットに目をやると歩んでいるのはアンデルソン・ロペス本人だった。
 えええええ!ロペスPK決めれるのかよ。
 限りない不安が増幅していく。今シーズン9点決めてチーム内得点王にも関わらずどうもこの選手はシュートが下手というイメージがある。プレーも一本調子なとこがあってここぞというチャンスで見事に敵に止められたりブラジル人らしい狡猾さが見あたらないのだった。
 固唾を飲んで見守る中、フェイントを交えたPK。決まった。が、やり直しを宣告。そして再度蹴ったPKは全く同じコース、同じモーション、同じ蹴り方で見事に決めたのだった。ああ、ロペスって実はPK蹴れる人だったようだ。
 貴重な貴重な先制点を入れたサンフレッチェ。ここで叩き込みたい。ホームの声援を受けて上調子になっていったとこなのにここからトーンダウンしてしまう。
 失点が怖かったか、攻撃への軸足を緩めることでみすみす相手に勢いを与えると、ゴール前へ攻勢を強めてきた。ペナルティエリアに侵入する札幌。何とかくい止め危機を脱しようととするサンフレッチェ。だがこのつなぎの部分でハンドがあった。PKを宣告された。
 一体誰が・・・?
 そのハンドは稲垣だった。トラップした際腕に当ててしまった。ああ、またやってしまった。彼は前所属の甲府時代から本当にこういうプレーが多い。ゴール前でのハンド、オウンゴール。一旦こういう癖をつけてしまった選手はもう直ることはない。なのでゴールに近い位置まで侵入された時点で勝負あったのかもしれない。
 そしてこのPKを都倉は事も無げに決めてしまった。GK中林も見事に反対に飛んでしまった当たり、サンフレッチェに対しては点が取れると確信を持ってるようだった。
 振り出しに戻ってしまった。再び点を取らないといけない。そこでパトリックに入る。ヘッドでサイドに振るとフリーで駆け込んできた柏、シュート!が、ファーポストの外に流れていってしまった。
 決定的。決まったと思った。あんな場面もう現れないだろう。どうしてあれを決められないのか。いや、決められないからこそこの順位にいるのだった。
 案の定その後は見せ場のないまま終わってしまった。引き分け。だがそれは限りなく負けに等しい引き分けだった。
 うなだれるサンフレッチェの選手に対して札幌の選手の表情は明るかった。当然である、引き分けでも順位は向こうが上なのだから。
 簡単に相手をペナルティエリアに入れる。決定的なシュートを外す。点を取った後に勢いを持続できない。不調続きだった今シーズンの集大成のような試合だった。せっかく多く観客の集まった試合で最期を盛り上げることができなかった。そういう意味でも今シーズンを象徴してしまったのだった。

2017年9月24日 (日)

清水戦~変貌するチーム

2017/09/23 清水エスパルスvsサンフレッチェ広島 IAIスタジアム日本平
 
 それは開始6分のことだった。
 柴崎からのCKを水本がニアで合わせた。まさにピンポイント、ドンピシャ。ヘディングシュートをゴールを突き刺したのだった。
 CKでここまで綺麗に決めたのは今シーズン始めてではないだろうか。水本のようなDFの選手が決めたというのも久しぶりのような気がする。というよりこれってシーズン序盤に散々やられた失点の形だった。それを自分たちの得点として具現化したとこが希望なのだった。
 そんな開始早々のリードの為、チームは落ち着きを持ってるような気がした。相手ボールになっても帰陣を速くしブロックをつくって守備に備える。そしてボールを奪うとDFの裏へとロングボール。何度かあったそのプレーは最前線のパトリックにつながる。それがカウンターの起点となるのだった。
 ところがゴール前へピンポイントのパスを放り込まれたというのに最期が決められない。GKに当ててしまう。何気にパトリックって得点力ない。こういう決定機をつくりだす割には2点しか取ってないのが全てを表してる。
 他にもサイドからシュートを放つもGKにぶち当てた。スピードもありパワーもありテクニックもあるのになぜか最期の最期が決まらない。それでもこれだけ競り合いに勝ってボールを収めてくれるのだからそれ以上は望んではいけないのだろうか。
 ただ、そんなチャンスを決めきれずにことごとく潰してきたサンフレッチェはやはり怒濤の攻撃に晒されることになる。サイドからクロスを入れられミドルシュートは打たれドリブルによる突破を試みられる。それらの攻撃を跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。ああ、サンフレッチェお得意のサンドバック状態がやってきたのだった。
 一度はボールカットして相手の攻撃を止めるも速いプレスからすぐにまたボールを奪われる。そしてサイドへのチェックが甘くなるとゴール前へ向けてふんわりとしたクロスが入った。さすがにこんな緩いクロス跳ね返せるだろうと思っていたら後ろから入ってきたチョン・テセに決められたのだった。
 怒濤のような歓声が沸く日本平。この熱気、この異様な盛り上がり、まさかこのまま勢いに乗ってくるのではという危惧が起こった。だがこちらも負けてはいられない。引き分けではいけないんだ。欲しいのは勝ち点3、勝ち点3なのだった。
 尻に火がついたように攻撃へ軸足が向いてきた。途中出場のフェリペが意表を突いたパスを出す。柏もサイドからドリブルで勝負する。青山がセカンドボールを拾い攻撃に厚みを加える。だがシュートらしいシュートは打てない。ああ、このまま引き分けで終わるのだろうか。
 だけど不思議なのはあんなに閉じこもってたのが追いつかれた瞬間攻撃に軸足を向けたことである。こうやってパスが回せるなら攻めてほしかった。そうすればあんな失点はなかったかもしれない。そう思うとあまりにも勿体ないのだった。
 残り時間わずか。前に前に重心を向けていく。点を取りたいと前掛かりになる。だけどそう簡単にゴールは取れないだろう。どうせならもっと早い時間からこういう姿勢をみせていればよかった。そうすれば相手だって攻撃ばかりしてられなくなるはずだ。
 もう90分になろうとしている。フェリペが巧みなトラップから敵をかわす。裏へスルーパス。抜けだしたのはボランチから駆け上がった稲垣。ゴール前でシュート。が、GKに当たってしまいボールは跳ねてしまった。
 ああ、また決定機を決めきれなかったよと天を仰ぐとボールの落下点にはパトリックがいた。頭で押し込むと清水のDFも間に合わずクリアできずにゴールに入ったのだった。
 再度勝ち越し。もはや引き分けが精一杯と思ってただけにこのゴールは血管がぶち切れそうな程の興奮があった。ゴール裏へ駆けたパトリックは思わずシャツを脱いでしまった。その彫刻のような筋肉を見せびらかしてる。その行為はイエローカードの対象。分かってはいてもその衝動は止めようがなかったのだった。
 アディショナルタイム5分。堪えていきたい。だが守備に徹して時間を稼ぐというよりはマイボールにしたなら攻撃へとつなげていった。当然のことながら守備の時間は減る。そうすることによって時計の針も進めることができるのだった。
 柏のドリブルも効いている。少し前までそれしか攻め手がなかったが今は違った。フェリペにボールが渡ると巧みなトラップで前を向き柏に出す。ドリブルで突っかけるも守備に戻った相手に前を塞がれると横パスを出した。するとそれを受けたフェリペ、そのままミドルシュートを決めたのだった。
 勝った、勝った、勝ったーっ!
 実際にこのゴールが決まった瞬間試合終了のホイッスルが鳴るのだった。
 がっくりと倒れる清水の選手。ああ、この光景、つい3日前の自分たちの姿そのものだった。それにも関わらずよく気分を持ち上げ勝ちにつなげたものだ。
 パトリック、今シーズンの3点目。そしてフェリペの公式戦3試合連続ゴール。ロペスも守備で助けられた面がある。いつの間にかブラジル人トリオが機能してるのであった。
 やっとそれぞれが自分の持ち味を出せるようになってきた。そしてしぶとい勝ち方ができるようになってきた。ヨンソン監督、勝てるチームへと変貌させてくれた。とはいえまだ確信には至ってないのはあまりにも負け続けたせいだろう。
 それを確信に変える為にも残りのシーズン、1試合も無駄にはできない。だけどそもそも残留争いをしているチームに無駄な試合なんて最初からないのだった。

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    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
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     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
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     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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