仙台へ向かう
2012/06/30 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム
「てっきり紫の服装してるかと思ったよ」
東京駅で待ち合わせた仲間はぼくを見つけてそう言った。確かにレプリカを着て行こうかとも思った。だけど東京から新幹線であの格好というのは抵抗を感じリュックにしまってしまった。が、実際に東北新幹線のホームに上がると名古屋のレプリカを着た人が降りてきてやはりああでないとと羨望の眼差しを向けるのだった。
車内に乗り込むとぼくはサブのメンバーで臨んでぼろ負けしたナビスコカップのことを話した。その時のレギュラーのメンバーとの差にあまりにも愕然としたことからぼくの口調は一層熱を帯び仕舞いにはうるさいと遮られてしまった。
その内仲間は鞄から『エル・ゴラッソ』を出した。ぼくはこの新聞を金曜日に買うとサンフレッチェが勝たないというジンクスを自らに感じ試合前には買わないようにしている。だけどぼくが買ったわけじゃないから読んでも大丈夫だろうとありがたく読ませてもらうことにした。
首位攻防戦と銘打たれている。確かに1位と2位の対決である。注目カードだ。その割には紙面の扱いは地味だった。長年サンフを応援しているとどうせサンフは隅に追いやられると卑屈な精神が生まれてくるのだった。
だが、実際にはリーグ戦もまだ半分も消化してない時期に首位決戦というのがあまり意味をなさないというのも事実である。そしてあまり首位を狙えるということを意識し過ぎると軽く足下をすくわれるような気もする。サンフレッチェがここぞという試合で負けてしまうのは何度となく味わってきたのだ。
それゆえぼくは至って冷静だった。さっきはうるさいと言われたのにこの試合に関しては何が起こっても動じない心境だった。そんな境地に到達することができたのもそれもそのはず、ぼくは今まで広島以外の場所へ遠征へ行って勝った試合を観たことがないだった。だったら行かなければいいのに。誰が聞いてもそう答えるだろう。そして果たしてやはり行くべきだったのか自問自答をするのだった。
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