哀しいまでにサンフを想う
不憫なもので仕事の方が少し暇になってきたものの広島へ行きたくても週末は大阪でのアウェイ戦だ。それでも遠征という意味では一緒なのだが広島に実家がある訳でもないのでこれは無理だなと諦めることにした。中には関東からサポーターズカンファレンスへ出席する為にその前日に当たるセレッソ戦も観戦してくるという人もいるというのに。そこまでやろうとしないぼくは気概が足りないのだろうか。そうかもしれない。でも一般人にしてみればぼくぐらいでも十分普通の人ではないのだ。
実はぼくは最近近所で色んな人に声を掛けられる。たまに暇だからと平日に代休でも取ろうものならこの人仕事してるのだろうかという顔をされることもある。またそういう時に限ってどうやらぼくを知ってるらしいお母さんなどに出会うのだった。そもそも外に出歩かなければいいのだがどうしたって平日にしかできないことがあるのでこの機会を逃すまいと出歩くことになってしまうのだ。
ただ、ぼくはどうしてこんなに覚えられてしまうのだろう。困ったことに向こうはぼくのこと知ってるのにぼくの方では一向に記憶のない人までいる。だから当然名前なんか知らないことがあるのでなるべく会話をしないようにしなければいけない。何だってこんな苦労をしなければいけないんだ。
そのことを仲間へ話したら当たり前だろという顔をして言われた。
「そんなサンフレッチェ・グッズばかり身に着けてたら覚えられるに決まってるだろ」
ああ、そうなのか。やはりそうだったのか。そういえばぼくの顔を見る度にこの前サンフレッチェ勝っただの負けただの言ってくる小学生までいる。やっぱりサンフグッズがいけないのだろう。
しかし、困ったことにぼくの持ち物はほとんどがサンフグッズなのだ。これはぼくが欲しいからではなくてホームへ観戦しに行けないぼくがクラブに貢献するのはせいぜいファンクラブへ入ってグッズを買ってやることくらいだからだ。中には関東に住みつつも年間パスを購入する神のようなことをする人もいる。だけどぼくはそういう無償の奉仕というのができない。やはり気概が足りないんだろうか。やはりそうかもしれない。
それでもぼくは通信販売でいくつもグッズを買ってきたのだが昔に比べるとグッズの質もかなり向上してきたと思う。前はどのチームも共通に売ってるものに単にサンフレッチェのシールを貼っただけという商品が多かった。その中にはとても安っぽくチープなものがあってクラブにこんなもの売るなとメールをしたことがある。そして普段着でも着れるTシャツを作って欲しいという要望も伝えたが先ほどの商品は店頭から消えTシャツも種類が増えていった。まだそんなことがまかり通る時代だったのだろう。
そういえばぼくも昔はサンフレッチェのシャツを着て外に出るの恥ずかしいと思ってた。その内どうせサンフレッチェなんて誰もしらないだろうとタカを括って着るようになったら今度はそれがないと寂しいような気分になってきた。習慣というものは恐ろしい。
こんなぼくだが実際にサンフの試合に行くとぼくよりずっと凄い人がいる。そして一般人の中に入るとマトモじゃないように見られる。とても中途半端な存在だ。ぼくって一体何なんだ。自問自答を繰り返し結局週末の試合のことを考えてる。そんなぼくを評し頭の99%がサッカーだと言われたことがある。
「そんなことはない」ぼくは反論した。するとこう切り返された。
「だって仕事も興味ないしバンドやっても成功しなかったし女の子にはちっともモテないからサッカーしか考えることないじゃない」
ううううっ、そこまで言わなくてもいいじゃないか。涙が出てきた。やっぱり、やっぱりぼくはサッカーしかないのだった。もしかしてサンフレッチェが人気ないのってこんなぼくが応援してるからなのだろうか。
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