2013年4月27日 名古屋グランパスvsサンフレッチェ広島 瑞穂陸上競技場
ゴリゴリゴリッ。そんな力付くのドリブルをやられるとサンフレッチェは弱い。3人もいた選手はみなそのパワーに屈したかのように引きはがされ最後に付いた千葉も身体を寄せることさえできなかった。ペナルティエリアに入ったダニルソンは横パスを選ぶとゴール前で守ってたサンフレッチェの選手は誰も対応できずあっさりとゴールを許してしまうのだった。
ああ、先にやられてしまった。逆転勝ちの極めて少ないサンフレッチェ。もう勝つ見込みはない。もう駄目だ。そんなネガティブな感情に陥るとそこから名古屋の攻撃はどんどん前への推進力を増してしまったのだった。
せっかく良い時間がありながらも肝心なとこでパスが届かなかったり高萩がボールを失ったりと変な余裕を持ってたのが仇となったかのようだった。もう波は押し寄せない。この先ゴールを決める手段がちっともイメージとして沸かないのだった。
というのもほとんどの時間名古屋がボールを持ちせっかくタックルでボールを弾いたにしても必ずボールは敵の前に転がるのである。守備でがんばってもがんばっても相手にボールが行ってしまう。まるでボールは敵に磁力で吸い寄せられてるかのようだった。もはやこれ以上失点しなければ御の字かもしれない。
そしてディフェンスラインの裏を取られ玉田はフリーでゴールに向かってドリブルする。サンフレッチェのディフェンスはまるで追いつかない。もっと必死になって走れ。何でそんなに足遅いんだ。かくして玉田はGK西川と1対1。もう駄目だ。やられる。止めてくれ。
玉田は西川の前でループシュートを選択する。だがここで西川の腕が伸びる。ボールは西川の手に当たった。そしてそのボールを水本がクリア。難を逃れたのだった。
西川ファインセーブである。前半にも闘莉王のドライブシュートを防いだしこれで2点分は防いだことになる。これはFWがシュートを決めるのと同じ価値があるのだった。
とはいえ失点は防いだものの依然としてボールは名古屋が支配してる。もはやリードしてるチームの余裕だろうか、無理に攻め急がず前に行けなければ後ろに下げサンフレッチェにボールの取り所を与えない。追いつきたくてもボールが奪えないのでは話にならない。バイタルエリアにボールを入れられるとまたダニルソンのようなドリブルで切り込んできそうだ。かと思うとサイドへボールが渡る。真ん中の大柄な選手に合わせるクロスを警戒するが、それが駄目だと判断すると後ろに下げる。やっぱり取り所がない。何ていやらしいサッカーをするんだ。そしてDFまでボールを下げていってしまうのだった。
そんな相手のDFにまで必死にプレッシャーを掛けようとするサンフレッチェ。なのに軽くいなされるように横へ後ろへと回されてしまう。ああ、もどかしい。もどかしいもどかしいそのパス回しの中、少しだけスピードの落ちたバックパスがあった。それを見逃さなかったのは高萩だった。
高萩のボールカットはワンタッチで寿人へ。寿人は強引にシュートかと思いきやワンタッチで中へ返す。そして走り込んでたのは青山である。走ってきた勢いもあるのでそのまま宇宙の彼方まで飛びそうなふかしたシュートにでもなりそうだった。が、青山のシュートはワンタッチでゴールの隅にきちんと入ったのだった。
同点、同点、同点。雄叫びを揚げそうになった。なのに青山自身は笑顔である。完全にゲームを支配されてた展開。そこで相手の虚を突くようなゴール。何てしたたかな。何て老獪な。サンフレッチェにおいてこんな言葉を使えるとは思わなかった。
これで息を吹き返した。試合を振り出しに戻した。となるともう1点欲しい。当然勝ちにいきたい。勝つぞ、勝つぞ、勝つぞ。ところがサンフレッチェはまたしても窮地に立たされるのだった。
バイタルエリアでボールを持ったダニルソンにはあの先制点の記憶があり恐怖だった。またドリブルで突き進むのか、それとも強引にシュートを打つのか。こういうパワーのある選手には下手をすると力でねじ伏せられてしまうので警戒したい。が、ダニルソンが選んだのはスペースへのパスだった。
やられた。スペースに飛び込んだ名古屋の選手を見た時そう思った。完全なゴール前。打てば枠に入る位置。そしてボールに追いついた。が、西川も飛び出していたのである。相手に激突しながらも西川によりシュートは防がれたのだった。
倒れる西川。だがまたしても1点防いだのである。この試合、西川がいなかったらどうなっていたんだろう。続行は厳しいかもしれない。あれだけの活躍をしたのならしょうがない。それでいながらあれだけ救ってくれる西川には退いてもらいたくないのだった。
しばらく立ち上がれなかった西川だが身体を起こした。残り時間も少ないしどうやらやるようである。西川様々である。ここまで奮闘した西川に応えてやりたい。だが交代で入った両サイドのパク・ヒョンジンもファン・ソッコもちっともゴールへの可能性を演出させることもなく無為に時間が過ぎていったのであった。かくして試合は引き分けで終わったのである。
勝てた試合だった。勝ちたかった。と、本当ならそんな台詞を言いたいとこだがよく1失点で終わったというのが正直なとこだ。そしてこの試合何度も身体を張ってゴールを守った西川は体調大丈夫なのだろうか。西川も鉄壁になれば鉄壁になる程相手との接触が多くなってるような気がする。正に身体をなげうってゴールを守ってる。
試合後名古屋サポーターからブーイングが出た。名古屋からすると何で勝てなかったのか分からないのかもしれない。その時、ちょっと勝ち誇った気分にもなったりしたのだった。
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