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2024年3月 3日 (日)

FC東京戦~勿体無いドロー

2024年3月2日 FC東京 vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム

 

 飛田給駅を降りるとすでに混雑が待ち構えていた。アウェイとはいえこんなに人が来てるのかと浮き足だったものの実はスタジアムに併設されてるコンサートホールへの客も混じっているだけで肩透かしを食う。が、実際にスタンドに着くと徐々に席は埋まっていき少なくともアウェイゴール裏は満席となるのだった。

 両サポーターのチャントが鳴り響く中、選手の入場にはピッチから火柱が上がり中空に向けて花火が連射される。カラフルな火花に圧倒されその後の煙が場内を漂うことになった。少し煙い空気はスタンドの中まで漂流し、滞納する。屋根がついてることから空気が留まる。そしてスピーカーから流れるBGMもどことなく籠ったように聞こえる。その様子に隣にいた仲間は苦言を呈する。ピッチが遠い、音響が悪い、オーロラビジョンが小さいと。全てはエディオンピースウィングと比べての話だが昨シーズンの同じ時期には全く逆のことを言ってたのである。山の上にあったエディオンスタジアムに比べれば全てがマシに見えていたのだった。

 広島の新スタジアムのせいですっかり贅沢になった感性は当然試合結果の期待値にも反映されてしまう。とは言えFC東京との相性の悪さは最悪だ。だからこそここで勝てると今シーズンの弾みとしては大きなものを得られる。そんな大事な1戦に前節と同じメンバーで臨んだのだった。

 前節同様ハイプレスで相手を押し込めていく。それは全体の押し上げを図ることはできたもののそこを掻い潜られると一気にカウンターに持っていかれる。その時の東京の縦のスピードは速い。3バックが個での対応になる。一旦はそれで食い止めたとしても次から次へと湧き上がってくる東京の攻撃は深い位置まで抉られペナルティエリアまでの侵入に混戦を招きシュートを放たれる。が、そのシュート精度がなかった為に救われる。瞬間的にポッカリと空いたシュートコースに躊躇なく打ってくる東京の攻撃はまるで弓矢のようだった。

 弓矢。本来ならサンフレッチェこそその称号を冠するべきである。東京の攻撃をサイドでカットするとそのまま持ち上がる。ゴールに向かって走る前線の選手。そしてラストパスを送ると最後の最後でトレヴィザンの体を投げ出してのパスカット。その最終ラインの重石をどうしても出しぬくことができないのだった。

 それでもボールを握る時間はサンフレッチェが多くその分チャンスシーンは訪れる。トップでピエロスが収めそこからのリターンでゴールに向ける。が、シュートが枠に行かない。たまにいったとしてもGK真正面。綺麗に崩そうとするあまり手数が掛かりすぎてわざわざ相手に守備の時間を与えてるのだった。そして極め付けは加藤が完全にフリーでシュートを放った場面。大橋がゴール前に入り込むことにより加藤のシュートをブロックしてしまった。ああ、何をやってるんだ。しかもオフサイドの判定。決定的なチャンスを潰してしまったのだった。

 ところがその大橋、前線でのプレスは嵌りまくってて高い位置でのボール奪取につながる。そこから中盤に繋げl攻撃が展開されていきサイドに辿り着くとクロス。が、これが跳ね返される。ボールを出す位置もキックの質もワンパターンなだけに東京の対応も楽なのだった。

 そういう時重要になるのがセットプレー。満田のCKに荒木が合わせた。が、クロスバーを叩いてしまう。ああ、荒木のヘディングシュートはやっぱり入らないのだった。

 前半スコアレスのまま終わり選手はロッカールームに引き上げる。後半へ向けての激励のコールが鳴り響く。攻めていた。押していた。それだけに先制点を入れられなかったのが悔やまれる。体力的に落ちてくる後半にこのままのペースが維持できるのだろうか。そんな懸念もありつつもボールを握るのはサンフレッチェだった。ただ攻め手がやはり単調である。それでも決めるにはその数を増やすしかない。サイドに行けばクロス。密集したゴール前はやはり弾き飛ばされる。その繰り返しがまたしても続いていく。が、ここで試合が中断した。VARのチェックである。オーロラビジョンに映し出された映像。そこにボールに競る中で不用意に伸びた手に当たってのクリア。当たってる。映像を観ればはっきりと当たってる。俄然色めき立つアウェイゴール裏。そして下された判定はPKだった。

 ガッチリとボールを掴んだ大橋。そこには絶対にPKは譲らないという意志の表れがあった。前節でピエロスに譲ったが為に失敗されたという経緯がある。ボールをセットして主審のホイッスル。ゆっくりとした助走でスタートして途中でステップ、そしてキック。横に飛んだGKを尻目にど真ん中へのシュート。決まった。文句の言いようのないくらいはっきりと決まったのだった。

 先制。立ち上がるアウェイゴール裏。大橋の2試合連続ゴール。PKとは言えサンフレッチェに最も欠けてるゴールを決める選手。頼もしい。本当にいい選手がやってきたものだと割れんばかりの盛り上がりを見せるのだった。

 すると追いつきたい東京はすぐさま前がかりに攻め立てる。その圧はすざましく止めても止めても堰き止められない波のようだった。もはや完全に引いてゴール前を固める。その中で奪ったマイボールを川村はカウンターへ繋げようとするチャレンジパスを出すもののそれがカット。再び勢いを持ってサイドを抉られる。そして速いテンポでエリア内へ侵入。ゴール脇へ食い込まれると荒木遼太郎が振りむきざまシュート。マークについてた荒木もGK大迫も物ともせずあっさりと決めてしまったのだった。

 同点。早い、早すぎる失点だった。押し込まれてる時間に川村はなぜにあんなパスを出してしまったんだろう。あそこはロングボールでまずは守備を整えるべきだったろう。その流れを読む判断ができなかったことが悔やまれる。そして少ないチャンスを決め切るFC東京の攻撃は鋭さを感じざるを得なかった。

 その後、再び勝ち越し点を入れようと前掛かりになるもゴール前にブロックをつくった東京の牙城は崩せない。相変わらず両サイドからのクロスは単調。そして綺麗に崩そうとするあまり中では崩せない。そして何よりも単独で決め切るパンチ力を見せられる選手がいない。そのせいでボールだけぐるぐるぐるぐる回っていく。その中で乾坤一擲、満田が緑シュートを放つ。GK波多野に弾かれたもののこのプレーに沸き立つ。そう、こういうコースが空いたら打つという強引性が欲しい。それこそがゴールを奪うために必要な要素だった。

 ところが最後を決めきれない攻撃はカウンターへと繋げられ、交代で入った俵積田とジャジャシルバのドリブルが冴えまくる。スピードでは追いつけない。最後の最後の荒木のアタックはファール。PKかと思いきやVARチェックによりFKの判定。ホッと胸を撫で下ろしたものの東京の個での突破は恐ろしい。そこが脅威となり迂闊に攻めることもできないのだった。

 左サイドの東も疲労が見える。右サイドの中野も守備への負担が大きくなることで有効な攻撃ができない。それでもスキッベ監督は交代を告げない。点を取る為には代えたいものの失点のリスクも考えないといけない。残り時間の少ない中、最後のプレーと思われるとこで佐々木のパスミスでラインを割ったとこで終了のホイッスルがなってしまうのだった。そこに勿体なさを感じると共に失点しなくてよかったという感じもする。引き分けは妥当な結果ではなかったろうか。

 それでも試合後のデータで17本のシュートがあったことを知ると愕然とするものはあった。点が取れないサンフレッチェは健在だった。大橋がいても点が取れないのか。そう呟く仲間もいた。こういうこう着状態を打破できる選手が欲しい。FC東京の荒木遼太郎がマークを引きちぎって決めたがああいうプレーが欲しい。決定力不足、それが依然として解消されてないというのを痛感させられた。それにはもはや個々の選手のグレードアップしかない。中野や東といったサイドの選手がカットインやもっと縦を勝負する動きができるか、そしてピエロスはシュートを決め切ることができるか、更にセットプレーでもっとアイデアを出すことができるか。

 そんなことを話しながら席を後にしたが贅沢な内容ではあった。スタジアムでも贅沢、試合結果にも贅沢、環境により人の感性とはこんなにも変わってしまうのかと思い知らされるのだった。

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