« 2024年2月 | トップページ | 2024年4月 »

2024年3月31日 (日)

ガンバ戦~気炎を発したドロー

2024年3月30日 サンフレッチェ広島 vs ガンバ大阪 エディオンピースウィング広島

 

 春らしい日差しは眩しくあり、焼けるような熱を発するのだった。この日も多くの観客が集ったEピースであるが今節はこのスタジアムで柿落としとなるプレシーズンマッチを戦った相手、ガンバ大阪でった。あの時は負けてしまった。公式戦ではないとはいえ鼻をへし折られた。今度こそ絶対に勝ちたいのだった。

 ところが今シーズンになってガンバは無類の強さを発揮し出した。エースの宇佐美を筆頭に強くテクニックに優れた外国人選手が圧力を掛ける。特に左サイドに入ったウェルトンに入ると馬力のあるドリブルでサンフレッチェの右サイドを抉ってくる。対峙する塩谷は身体を張って抑えに行く。最後の最後で足を出して食い止める。その都度塩谷の日本人離れした対人能力に助けられるのだった。

 ただ、最終ラインでボールを取ったもののビルドアップが上手くいかない。ガンバの猛烈なプレスは攻めれば攻める程ボールを奪われる。まるでそれは蟻地獄のよう。ガンバゴールに近づけば近づくほど奪われた挙句ガンバのチャンスに繋がっていくようでもあった。

 左サイドで東が持ち上がれりクロスを入れれば跳ね返される。そしてそのセカンドボールに山田が反応する。この山田が幾度となく顔を出し攻撃を潰していく。そしてここから前線へと展開されそうになったその時だった。今期初先発の松本泰志のプレス。ボールは右へ転がると中野がミドルシュート。すざましい弾道がゴールに向かうとGK一森が横っ飛びで防ぐ。入りはしなかったもののそれが攻撃への引き金となるのだった。

 左サイドの展開から中央へ預けると大橋、加藤のコンビで引きつけ右寄りに落とす。するとそこに猛烈な勢いで向かってきた松本泰志がミドルシュート。鋭い弾道だったもののこれもGK一森のセーブ。だがボールがこぼれてる。川村が反応しゴールを横切るグラウンダー。加藤が突っ込む。入ったかと思ったボールはポスト。リフレクションは再び逆のポストに当たり跳ね返されてしまうのだった。全ての選手のプレーが躍動していた。そしてゴールまであと数センチまでのところにきた。あと数センチ、どうにかこじ開けたい。再度訪れるチャンスに今度こそはものにしたい、そんな雰囲気に包まれるのだった。

 ところがこの直後、CKを得るもサインプレーは不発。中央から放り込みのボールを入れるとカットされカウンターを受ける。全速力で戻るDFの選手。だがガンバの攻撃も速い。ゴール前へ持ち込まれシュート。が、ここで東が身体を当てブロック。ことなきを得た。攻められていながら奪った瞬間カウンターからフィニッシュに繋げるガンバ。一体どうすればこのチームからゴールを奪うことができるのだろう。

 後半に入ってもサンフレッチェのやりたいような展開は続いていく。中盤から右サイドで中野が縦へと放つ。右のポケットに飛び込んだのが松本。クロスを入れ大橋。が、ヘディングは枠に入らず。またしてもかという気がしてくる。そして今度はCKで満田のキックが入るとゴール前の密集の跳ね返りがゴールに向かう。GK一森の反応。詰め寄るも押し込めず。入らない。あとボール1個分が入らないのだった。

 そんな後一押しを行う為にメンバー交代でテコ入れをする。中野、満田に代わり電撃移籍をした新井、小原の投入である。するとその直後であった。中盤でネタラヴィのキープに3人がかりでアタックするもかわされた挙句前を向かれる。すると縦へのパスが通る。勢いを持った縦へのドリブル。完全に背後を取られ荒木が懸命に戻るもシュート。GK大迫弾く。が、そのセカンドボールをウェルトン。押し込まれ先制ゴールを許してしまったもだった。やられた。全てはネタラヴィを止めれないとこで決まっていた。あそこでせめて遅らせていたら戻る時間があった。そして後味が悪いのは交代の直後だったというとこだった。失敗だったかもしれない。交代しなければこの失点はなかったかもしれない。

 攻めて攻めて攻めまくってるのに決めきれないサンフレッチェに対してガンバはカウンターで手数をかけないで決めてしまった。そこに愕然としてしまう。もはや勝負は決まったようなもの。やはりガンバには負けてしまう運命なのかと腰を下ろした時、左サイドからのビルドアップが始まった。東が高い位置で受けると中央へと横にドリブル。網に引っ掛かりルーズボールとしてこぼれると逆サイドから出た新井。そのまま振り抜く。地を這うシュート。GK一森横っ飛びも間に合わずゴールに打ち込まれていったのだった。

 同点、同点、同点。入ってすぐ、しかも失点してすぐに取り戻した。新井、新井、新井!凄い選手が入ってきた。血が駆け巡る。興奮が冷めやらない。失点をすぐに振り出しに戻した為、勢いはこちらにある。いける、いける。もう1点いけるぞ。

 ガンバも引き分けでは終わりたくない。再びゴールへと迫ってくるも人数をかけ防ぐと低い位置で繋いでいくと新井に渡ると大きくサイドチェンジ。左サイドにいた小原が受けると縦へ駆け抜ける。単独でペナルティエリアに入るとDFを前に切り返し切り返すとシュート。抜いたまではよかった。が、枠に入らなかった。そしてその直後にCKから東のキックは跳ね返されるもセカンドボールを拾い再びゴール前へクロス。GKパンチング。そのボールが佐々木の前へ。だが打てずにクリアされてしまう。あともう少し。押し込みたい。そう思った瞬間終了のホイッスルが鳴ってしまった。1-1、ゲームはドローと終わってしまったのだった。

 スタッツによると21本のシュートを打ったようである。21本打って決まったのが1本。惜しい場面は何度もあった。やはりサンフレッチェは決め切ることができない。そんな中で新井の同点ゴールはまるで意表を突くものだった。間違いなくサンフレッチェに新しい風を呼び込んだ。そして決めることはできなかったものの小原もドリブルによる個の打開を見せた。足りないものを満たすようでもあった。

 外国人選手が怪我で戦線を離れている現状、こういう選手が出てくるのは頼もしい。特にスキッベ監督は結果を出した選手はすぐに使っていくだけに次の試合のメンバーに影響するかもしれない。勝てなかったのは悔しくもあり負けなかったことの安堵感もある試合だった。だからこそこういう試合を突き抜けることでもう一段上にいける可能性もある。次節はもっともっと守備が固く隙を突くのが上手いチームである。そこで今シーズンの真価が問われることになるだろう。

2024年3月17日 (日)

神戸戦~激しく競りあったスコアレスドロー

2024年3月16日 ヴィッセル神戸 ns サンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

 

 昨シーズン優勝チーム。神戸との対戦は今シーズン最大の難所と言ってよかった。しかもアウェイでの対戦では点差以上の差を見せつけられ完膚なきまで叩きのめされてしまった。両者それ程メンバーの変わらない中でのリベンジの舞台となった。今度はやられない。そんなモチベーションで神戸に乗り込んだ。

 広島からも近く、かつて人気がなく降格もしつつも優勝を果たしたという点において共通点の多い両クラブである。それでいながらもそこに同一性を感じさせないのはサンフレッチェがオリジナル10の内の一つだというプライドがあるからである。後発クラブに負けられない、逆に神戸にしてみればその埋められない歴史の穴を戦果によって補填しようという魂胆が心理の奥底に内在してるような気がする。そんな両チームの対戦は初っ端から激しくアグレッシブなものとなった。

 ロングボールを放てば競り合いでぶつかる。パスを送れば球際を狙われる。ドリブルをすれば身体をぶつけられる。それはフットボールコンタクトの応酬となりまるでそれはサッカーの強さを磨く上での源流を見せつけられてるかのようだった。

 そんな中で行きすぎたタックルはファールの判定を食らい神戸にFKを与える。ゴールからは遠いが最終ラインで合わせることができれば入る位置。それがあなどれないのは大迫や武藤といった屈強なアタッカー陣もさることながら体格やフィジカルに恵まれた選手が神戸に揃っていることだった。だがサンフレッチェのDF陣も強さでは負けてない。扇原の放ったFKは弾き返す。するとセカンドボールを拾いまた前線へ入れてくる。弾き返すもボールのこぼれる位置に必ず神戸の選手がいることで2次攻撃、3次攻撃と続く。大迫へのマークが集中する。するとそこに隙を見つけた宮代がカットイン、シュートを放つのだった。

 GK大迫のキャッチ。幸いシュートは威力がなかった。神戸の圧力はすざましい。だがここで黙ってはいられない。右サイドからの展開に大橋が絡み中野のクロスのリフレクションを受けてドリブル。DFの枚数が揃っていながらも中へ切れ込みシュート。枠には飛ばなかったものの強引さからフィニッシュへ持ち込んだ。大橋のこういうプレーはサンフレッチェに足りなかった部分。改めていい補強ができたという気がするのだった。

 その後、ワントップのピエロスをターゲットに攻撃を組み立てる。わずかでもトラップをずらすと相手のチェイシングの餌食になる中、左サイドで繋げ中央からの落としに塩谷が駆け上がりシュート。枠には入らなかったものの強烈なミドルが炸裂しコースさえ入っていればと感じさせる。ただ、この時もゴール前には神戸の守備の人数は揃っていて容易ではなかった。神戸の守備の構築は速い。それ故にこの後はチャンスらしいチャンスは訪れないのだった。

 神戸のボールに高い位置からのプレスでボールを奪っても帰陣が速い。一人かわして二人かわしてもプレイスバックした選手に捕られる。それでもハードワークにより高い位置での奪取を試みるとGK前川のロングキックが炸裂した。それは確実に前線の選手へと繋げDFが後追いの状態になる。右サイドを抉られ塩谷が食らいつくも中央の武藤に折り返し。DFが詰めるも切り返されシュート。やられたと思ったがボールはゴール枠の外へGK大迫の反応により止めることができたのだった。

 大迫、大迫、大迫!

 完全に1点ものの場面を切り抜けた。相手のFW大迫もすごいがこちらのGK大迫も凄い。最後の砦としてその存在感を見せつける。ところがCKによりピンチは続く。左からのインスイングのボールをGK大迫パンチング。が、真正面へと弾かれたボールを山口がシュート。これはやられたと思ったものの荒木が胸ブロック。よくそこにいた。そしてよくクリアすることができたのだった。GK大迫だけじゃない。DF陣の個々の奮闘は神戸に最後の最後を決めさせないのだった。

 だがそれをこじ開けようとする神戸は大迫がトップの起点として機能するのだった。ロングボールでは競り合いつつも収めることができる。ボールキープにより時間もつくれる。この点、ピエロスは段々とトラップの精度が落ちてきたことで球際を捕られるようになったのと違う。それにより徐々に神戸の方が押し上げを図れるようになっていった。

 とはいえ依然とスコアレス。試合を動かそうとアタッカーのエゼキエウ、右サイドに越道、左サイドに志知を入れていった。ところがこの志知が思うようにプレーできない。シュートのリフレクションでポッカリ空いたスペースにいたもののトラップしてしまったことによりシュートコースは閉ざされ入らなかった。あそこはダイレクト。利き足じゃない右足だけど一か八かで打つ場面だった。そこで確実さを選んでしまったが為にチャンスを潰してしまった。元々はここで強引さを選ぶ選手だと思ってただけに大きく失望してしまった。

 最初こそ相手ゴールに迫る場面をつくりだした交代後のサンフレッチェだったが徐々に押し込まれるシーンが増えていった。神戸の攻撃は速く強い。どんなに守備の壁を構築したところでバールでこじ開けるような強引さがある。守って守って守り抜く。それによってカウンターのチャンスが生まれてくる。が、中盤の東が受けたとこでそれを捕られて再び速攻を受ける。最後はクリアしてなんとか失点を免れることができたとこで試合は終わるのだった。負けなくてよかった。最後の最後はそれが正直なとこだった。

 シュート数に関しては同じくらいだった。だが神戸がよりゴールに近い箇所で打ってるのに対してサンフレッチェのは遠目からが多かった点を考えると崩していたのは神戸の方だっただろう。単純に強度のあるプレーの中で個々の選手が上回ることができたのが神戸の方が多かったということだろう。

 この試合でピエロスが負傷退場してしまった。そして交代選手があまり存在を見せることができなかった。更に怪我人が多い。スコアレスドローで終わったことは妥当でありながら今後を考えると勿体なくもあり負けなくてよかったという感もある。きっとそれは終わることのない葛藤なのであり、その中でも幸運なのは代表ウィークで1週間リーグ戦が休みということで戦列を離れてる選手が少しでも戻ってくることを願うのだった。

2024年3月10日 (日)

鳥栖戦~4ゴールでの勝利

2024年3月9日 サンフレッチェ広島 vs サガン鳥栖 エディオンピースウィング広島


 広島本通りから旧広島市民球場跡地を抜けるともうスタジアムがその概要を現した。今まではここからアストラムラインに乗って山の上までいけなかったのでこんなにも簡単に辿り着けてしまうことに違和感を覚える。そして高架橋を渡りスタジアムの中に乗り込んだのだった。

 開幕当初はコンコースが大混乱してたと聴いてたものの意外と落ち着いていて売店もすんなりと利用できる様子だった。やはり物珍しさは通過してしまったらしい。それだけにこれからいかにこのスタジアムへ継続的に観客を呼ぶことができるかがクラブの手腕が問われるとこである。

 ぼくの購入した席は最前列から2列目。凄い、本当に近い。ここで実際にプレーしたら目の前である。もはや選手が入場する前から興奮してるとゴール裏からはチャントが放たれた。サポーターも気炎を上げている。そして選手が入ってくると両ゴール裏の炎は一層激しくなるのだった。

 キックオフへのカウントダウン。オーロラビジョンの数字が減っていきキックオフ。初っ端から畳み掛けるように前に出ていく。右サイドを抜け中央へ繰り出すとピエロス。ファーストシュートは枠を外れた。が、幸先がいい。このまま攻勢をかけていきたい。

 ところがこれで鳥栖も手綱を引き締めた。GK朴一圭から繋いでいく。ピエロスが高い位置でプレッシャーにいくも掻い潜られ前線へと繋げる。勢いのあるパスが行き交いゴール前へ迫る。中央へ渡るとシュート。枠を外れたもののタイミングが合ってるだけに脅威である。先に失点するとまずい。そんな焦燥が生まれたものの奪ってからの押し上げを速くすることで主導権を再び引き寄せる。左サイドから右サイドへボールが振られる。そしてその折り返しが入るとそこへ入った塩谷のダイレクトシュート。ゴール前の守備網。が、守備の脚に当たったのがリフレクションとなり軌道が変わることでゴールに吸い込まれたのだった。

 決まった、決まった、決まった。先制点。塩谷のミドルシュート。相手に当たったことでGKが反応できなかったとはいえシュートへの意識がゴールを生み出したのだった。

 ここで前へ出る圧力が一層出てきた。鳥栖のプレッシャーも速いがトップのピエロスはボールを収めるのが上手い。そして相手を背負った状態でのサイドチェンジは右サイドで中野がフリーで受けゴールに迫る。そこから幾度とチャンスが生まれるものの鳥栖の守備も戻りが速く喰い止められるのだった。

 前線での守備でも手を抜かないことで鳥栖のビルドアップを制限するピエロス。守備でも高い貢献度を示してるものの本人はゴールが欲しい。FWとしての結果が欲しい。その欲求が遠目からのシュートをさせてしまった。シュートはバーの上を超え左にフリーで出てた満田は怒りを露わにしたのだった。

 確実に点を取れるチャンスを潰したものの依然気勢を削がれることなく奪った後は前への展開を速くする。プレッシャーを受けても満田は逆を取る。そして左サイドの東に出すと折り返し。川村が駆け上がりシュート。ゴールへ一直線に飛んだボールはDFに当たり軌道が変わる。が、吸い込まれた。入った。入ったのだった。

 2点目。立ち上がり全身を持って喜びを表す。だがメインスタンドではほぼぼく一人だった。ゴールが決まったのになぜにそんなに冷静でいられる。恐らくそういう応援をするというスタンスに慣れてないのだろう。だけどこの瞬間があるからこそサッカーは楽しい。ゴールが決まった時には全身全霊で喜びたいのだった。

 これにより2点差をつけて後半に入る。メンバーの交代はなし。だが鳥栖は代えてきた。ここがどのように影響するか。それでもやることは変わりなく相手のビルドアップにはプレッシャーを掛け、ロングボールには競り合いに身体をぶつけていく。ただその中で巧みにかわしていくと前線まで駆け上がる。マルセロヒアンに入ると脅威を感じる。スピードを使って裏のスペースに走り込まれると誰も追いつけない。そこで振り切られ深い位置からのシュートを喰らう。が、これをGK大迫の反応で食い止めるのだった。

 後ろが安定してると前も行きやすい。流れるようなパスワークで相手を翻弄する。その流れからペナルティエリアへとスルーパス。その折り返し。反応した川村。決めるかと腰を浮かしかけたその時倒された。足へのアタック。そのプレーは当然ながらファールでPKの宣告を受けた。

 その瞬間湧き上がったピエロスコール。開幕戦で失敗して以来、もはや大橋がPKのキッカーとして相応しいような気がしたもののピエロスにも点を取ってほしかった。その声に呼応するようにボールはピエロスの掌に。ボールをセット。主審のホイッスルが鳴った。ゆっくりとしたモーションからステップを刻みタイミングを測ったシュート。GK朴一圭の読みは当たった。が、横跳びした手の上にボールは飛びゴールに突き刺さったのだった。

 ピエロス、今シーズン初ゴール。3点目というスコアの前にそれだった。前線の守備では高い献身性を見せ、攻撃ではボールの収まり所として起点となる。そこまでの貢献をして足りないのはゴールだけだった。やっと決めることができたゴールに祝福としてピエロスコールに熱が入るのだった。

 後半で3-0。もはや勝ちは見えてきた。そこで今シーズンまだ出てない選手と次々に交代していくとまずはエゼキエウがドリブルで深い位置まで抉ってゴールに迫った。ただその後は鳥栖の攻撃の場面が多くなりなかなか前を向けない。左サイドに入った志知はバックパスを掻っ攫われ更にピンチを招く。ああ、やっぱりレギュラーとの差は大きいんだなと感じるもまたメンバー変更。新加入の小原が左のシャドーで入るとドリブルで魅せた。中へ切れ込む。1人かわし2人かわしまだ行く、まだ行く。最後ゴールまであ辿り着けなかったものの初めて観たその打開力にスタンドは沸き立つのだった。

 その後志知がエリア内でゴールに叩き込むもハンド。CKのフリックを佐々木が押し込むもオフサイド。決まらない。決めているのに僅かな誤差でゴールとならないのだった。

 これだけシュートを打って4点目が決まらないか。でも3点は十分なスコアだと納得しようとしたその時だった。スルーパスに反応した志知がゴールライン際からクロスを上げる。ファーで待ち構えてた中野が跳ぶ。打点の高いヘディング。それはゴールの隅に吸い込まれたのだった。

 4点目。もはや勝利は確信した後のゴールにも関わらず喜びを爆発させる。場内アナウンスで「ナカノ」とコールされそれに続きスタンドから「シュート!」と叫ばれる。実は1点目からゴールをした選手にはコールされてたもののぼくのいたメインスタンドではコールしてたのはぼく一人だった。だけど中野の時は半数位はコールをしてた。そして立ち上がる人も多かった。熱が上がった。志知のクロスと中野のゴールは間違いなくスタンドの熱を上げたのだった。

 そして程なくして修了のホイッスル。手が痛くなるくらい拍手をした。オーロラビジョンにWINという文字が表示され勝利の高揚感に陶酔する。塩谷のミドルシュート。川村の文句の言いようのないゴール。ピエロスの今シーズン初ゴール。そして志知のアシストによる中野のヘディング。どれもがシーズン序盤の肯定的な内容だった。この試合に立ち会えたことに幸福を感じた。そして新スタジアムの臨場感に圧倒された。また来たい。だけど距離的にも金銭的にも負担の大きいぼくはそう何度も通うこともできないだけどその分地元の人に通ってもらいたかった。

 素晴らしいスタジアムはできた。あとはこのハード面を満たすスタンドが更に熱くなっていくことを願うのだった。

2024年3月 3日 (日)

FC東京戦~勿体無いドロー

2024年3月2日 FC東京 vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム

 

 飛田給駅を降りるとすでに混雑が待ち構えていた。アウェイとはいえこんなに人が来てるのかと浮き足だったものの実はスタジアムに併設されてるコンサートホールへの客も混じっているだけで肩透かしを食う。が、実際にスタンドに着くと徐々に席は埋まっていき少なくともアウェイゴール裏は満席となるのだった。

 両サポーターのチャントが鳴り響く中、選手の入場にはピッチから火柱が上がり中空に向けて花火が連射される。カラフルな火花に圧倒されその後の煙が場内を漂うことになった。少し煙い空気はスタンドの中まで漂流し、滞納する。屋根がついてることから空気が留まる。そしてスピーカーから流れるBGMもどことなく籠ったように聞こえる。その様子に隣にいた仲間は苦言を呈する。ピッチが遠い、音響が悪い、オーロラビジョンが小さいと。全てはエディオンピースウィングと比べての話だが昨シーズンの同じ時期には全く逆のことを言ってたのである。山の上にあったエディオンスタジアムに比べれば全てがマシに見えていたのだった。

 広島の新スタジアムのせいですっかり贅沢になった感性は当然試合結果の期待値にも反映されてしまう。とは言えFC東京との相性の悪さは最悪だ。だからこそここで勝てると今シーズンの弾みとしては大きなものを得られる。そんな大事な1戦に前節と同じメンバーで臨んだのだった。

 前節同様ハイプレスで相手を押し込めていく。それは全体の押し上げを図ることはできたもののそこを掻い潜られると一気にカウンターに持っていかれる。その時の東京の縦のスピードは速い。3バックが個での対応になる。一旦はそれで食い止めたとしても次から次へと湧き上がってくる東京の攻撃は深い位置まで抉られペナルティエリアまでの侵入に混戦を招きシュートを放たれる。が、そのシュート精度がなかった為に救われる。瞬間的にポッカリと空いたシュートコースに躊躇なく打ってくる東京の攻撃はまるで弓矢のようだった。

 弓矢。本来ならサンフレッチェこそその称号を冠するべきである。東京の攻撃をサイドでカットするとそのまま持ち上がる。ゴールに向かって走る前線の選手。そしてラストパスを送ると最後の最後でトレヴィザンの体を投げ出してのパスカット。その最終ラインの重石をどうしても出しぬくことができないのだった。

 それでもボールを握る時間はサンフレッチェが多くその分チャンスシーンは訪れる。トップでピエロスが収めそこからのリターンでゴールに向ける。が、シュートが枠に行かない。たまにいったとしてもGK真正面。綺麗に崩そうとするあまり手数が掛かりすぎてわざわざ相手に守備の時間を与えてるのだった。そして極め付けは加藤が完全にフリーでシュートを放った場面。大橋がゴール前に入り込むことにより加藤のシュートをブロックしてしまった。ああ、何をやってるんだ。しかもオフサイドの判定。決定的なチャンスを潰してしまったのだった。

 ところがその大橋、前線でのプレスは嵌りまくってて高い位置でのボール奪取につながる。そこから中盤に繋げl攻撃が展開されていきサイドに辿り着くとクロス。が、これが跳ね返される。ボールを出す位置もキックの質もワンパターンなだけに東京の対応も楽なのだった。

 そういう時重要になるのがセットプレー。満田のCKに荒木が合わせた。が、クロスバーを叩いてしまう。ああ、荒木のヘディングシュートはやっぱり入らないのだった。

 前半スコアレスのまま終わり選手はロッカールームに引き上げる。後半へ向けての激励のコールが鳴り響く。攻めていた。押していた。それだけに先制点を入れられなかったのが悔やまれる。体力的に落ちてくる後半にこのままのペースが維持できるのだろうか。そんな懸念もありつつもボールを握るのはサンフレッチェだった。ただ攻め手がやはり単調である。それでも決めるにはその数を増やすしかない。サイドに行けばクロス。密集したゴール前はやはり弾き飛ばされる。その繰り返しがまたしても続いていく。が、ここで試合が中断した。VARのチェックである。オーロラビジョンに映し出された映像。そこにボールに競る中で不用意に伸びた手に当たってのクリア。当たってる。映像を観ればはっきりと当たってる。俄然色めき立つアウェイゴール裏。そして下された判定はPKだった。

 ガッチリとボールを掴んだ大橋。そこには絶対にPKは譲らないという意志の表れがあった。前節でピエロスに譲ったが為に失敗されたという経緯がある。ボールをセットして主審のホイッスル。ゆっくりとした助走でスタートして途中でステップ、そしてキック。横に飛んだGKを尻目にど真ん中へのシュート。決まった。文句の言いようのないくらいはっきりと決まったのだった。

 先制。立ち上がるアウェイゴール裏。大橋の2試合連続ゴール。PKとは言えサンフレッチェに最も欠けてるゴールを決める選手。頼もしい。本当にいい選手がやってきたものだと割れんばかりの盛り上がりを見せるのだった。

 すると追いつきたい東京はすぐさま前がかりに攻め立てる。その圧はすざましく止めても止めても堰き止められない波のようだった。もはや完全に引いてゴール前を固める。その中で奪ったマイボールを川村はカウンターへ繋げようとするチャレンジパスを出すもののそれがカット。再び勢いを持ってサイドを抉られる。そして速いテンポでエリア内へ侵入。ゴール脇へ食い込まれると荒木遼太郎が振りむきざまシュート。マークについてた荒木もGK大迫も物ともせずあっさりと決めてしまったのだった。

 同点。早い、早すぎる失点だった。押し込まれてる時間に川村はなぜにあんなパスを出してしまったんだろう。あそこはロングボールでまずは守備を整えるべきだったろう。その流れを読む判断ができなかったことが悔やまれる。そして少ないチャンスを決め切るFC東京の攻撃は鋭さを感じざるを得なかった。

 その後、再び勝ち越し点を入れようと前掛かりになるもゴール前にブロックをつくった東京の牙城は崩せない。相変わらず両サイドからのクロスは単調。そして綺麗に崩そうとするあまり中では崩せない。そして何よりも単独で決め切るパンチ力を見せられる選手がいない。そのせいでボールだけぐるぐるぐるぐる回っていく。その中で乾坤一擲、満田が緑シュートを放つ。GK波多野に弾かれたもののこのプレーに沸き立つ。そう、こういうコースが空いたら打つという強引性が欲しい。それこそがゴールを奪うために必要な要素だった。

 ところが最後を決めきれない攻撃はカウンターへと繋げられ、交代で入った俵積田とジャジャシルバのドリブルが冴えまくる。スピードでは追いつけない。最後の最後の荒木のアタックはファール。PKかと思いきやVARチェックによりFKの判定。ホッと胸を撫で下ろしたものの東京の個での突破は恐ろしい。そこが脅威となり迂闊に攻めることもできないのだった。

 左サイドの東も疲労が見える。右サイドの中野も守備への負担が大きくなることで有効な攻撃ができない。それでもスキッベ監督は交代を告げない。点を取る為には代えたいものの失点のリスクも考えないといけない。残り時間の少ない中、最後のプレーと思われるとこで佐々木のパスミスでラインを割ったとこで終了のホイッスルがなってしまうのだった。そこに勿体なさを感じると共に失点しなくてよかったという感じもする。引き分けは妥当な結果ではなかったろうか。

 それでも試合後のデータで17本のシュートがあったことを知ると愕然とするものはあった。点が取れないサンフレッチェは健在だった。大橋がいても点が取れないのか。そう呟く仲間もいた。こういうこう着状態を打破できる選手が欲しい。FC東京の荒木遼太郎がマークを引きちぎって決めたがああいうプレーが欲しい。決定力不足、それが依然として解消されてないというのを痛感させられた。それにはもはや個々の選手のグレードアップしかない。中野や東といったサイドの選手がカットインやもっと縦を勝負する動きができるか、そしてピエロスはシュートを決め切ることができるか、更にセットプレーでもっとアイデアを出すことができるか。

 そんなことを話しながら席を後にしたが贅沢な内容ではあった。スタジアムでも贅沢、試合結果にも贅沢、環境により人の感性とはこんなにも変わってしまうのかと思い知らされるのだった。

« 2024年2月 | トップページ | 2024年4月 »

最近のトラックバック

2024年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • Flashscore
    世界の様々なスポーツ試合速報を、リアルタイムで発信しているサイト
  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles