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2023年8月28日 (月)

柏戦~妥当なスコアレスドロー

2023年8月26日 柏レイソル vs サンフレッチェ広島 三協フロンテア柏スタジアム

 

 暑い、暑い、暑い。スタジアムへ向かう行路は残暑の熱に消耗させられる。その為、なるべく直射日光を避けるべく民家でできた影を通る。ただこうやって日陰が見つけやすくなったのは季節が確実に秋に向かっているからだった。それなのに弱まる気配のない気温にやるせなさを感じるのだった。

 スタジアムに着きゴール裏の立ち見エリアに入ると密集した人の体温で尚更熱は篭っていた。風を感じることもなくそれはピッチの上も同様であるはずであり、ハイプレスをするサンフレッチェにとってキツイ試合となるのは想像できた。しかも柏はカウンターや縦への速い攻撃を仕掛けてきていささかサンフレッチェにとっては噛み合わせの悪い相手であるなどと仲間と話していたのだった。

 メンバーの発表。累積警告によって出場停止の野津田に代わってマルコス・ジュニオールが入ってる以外には前節と変わりはなかった。が、こういう時に限ってボランチに体調不良の選手が出てしまった。不思議なことにこういう時必ず同ポジションの選手が出場できなくなる。その為アタッカーとして使いたい満田をボランチまで下げなくてはいけなくなった上にそこでの後退枠がないという事態に陥ってしまったのだった。

 そに為にも早目の得点が欲しい。体力の持続、ボランチの交代要員の欠如、切り札であるはずのマルコスをスタメンで使ってるという面においても前半の内に決めてしまいたい。そんな中でのキックオフだった。

 いつものように前からのプレスにはマルコスも献身的に走る。ピエロスも陸次樹も走る。それにより柏に自由なボールコントロールは与えなかったもののかと言ってサンフレッチェも有効な手立ては打ててない。特に左は閉じられてしまいその分右サイドへと展開される。右サイドの中野はフリーで受ける場面がありながらも効果的な攻撃を仕掛けることができない。そこにジエゴが相対するとことごとく負けてしまう。なので詰められる前にクロスを上げる。が、中で合わせる選手は皆無なのだった。

 そこからも硬直状態は続くもやはり狙われるのは中野のサイドであった。ただそこには塩谷がカバーをする上に最後にはGK大迫が守護神として君臨することで得点を許さない。相手の動きを予測してトラップ際を狙う。そんな守備が功を奏して速攻に向かう場面もできた。が、最後に右サイドに振ると中野はシュートを外す。ミドルシュートは枠の外。ヘディングはバーの上。そして最後はグラウンダーのシュートでは相手DFのスライディングで止められ決め切ることができない。決定力のなさを露呈した中野。だが皮肉なことに他の選手はシュートを打つ場面すら作れてない。もしかしたら柏もある程度守備を左に寄せていたのかもしれないのだった。

 スコアレスのまま前半終了。どちらかというと決めきれなかったという印象が強い。ワントップのピエロスはシュートを打っただろうか。何処と無く空回りしてる気がしたがやはり後半ヴィエイラと交代した。エンドを替えこちらへ向かって攻撃してくる。向かってこい、向かってこい、そんな気炎を込めゴール裏は声援を強めるのだった。

 長身のヴィエイラがターゲットになることにより前線での収まりができてきた。そこから展開することにより選手の押し上げが図れる。前半沈黙してた左サイド志知がボールを持てる。縦へ突破してクロス。が、中で合わない。そんな場面が何回か続くもクロスの質が悪い。相手GKへのパスじゃないかという緩いボールに愕然としてしまうとそれ以後はクロスも上げることができなくなってしまうのだった。

 選手交代でどんどんフレッシュな選手を入れる柏。そのスタミナを生かしどんどん押し上げの地力を得てきた。段々と防戦一方になるサンフレッチェ。左サイドをドリブルでえぐられクロスを入れられる。ゴール前で弾く。そしてシュートにGK大迫が食らいつく。果敢な飛び出し、ハイボールの処理に救われる。そこに安堵しながらもピンチは続く。それに耐えきれず山﨑を投入して塩谷をボランチに上げることにより安定感を取り戻す。再び攻勢に出たい。が、時間はあまり残ってないのだった。

 マルコスに変わったナスが完全に抜け出しゴールに突き進む。が、そこからシュートまで辿り着かない。残念なことにナスは左足でシュートが打てない為に切り返しをしてしまう。それが守備の戻りを招き行き詰まりを招く。あそこでもたつかなければ。得点力不足の理由の一端を見せつけられたのだった。

 両者共にピンチもありチャンスもある展開ながらいつの間にかアディショナルタイムに。あと少し、あと少しで辿り着きそうで辿り着かない。選手の消耗は激しい。ゴール裏の声援は一層熱を帯びる。ピッチ上に気炎が昇っているかと見紛うその奮闘にタイムアップの笛が鳴り響いた時、一瞬でスタジアムに静粛が訪れたのだった。

 勝てなかった。そんな落胆もあったもののよく無失点で抑えられたとも思う。それだけ際どいシュートもあった。なのでスコアレスドローは無難な結果だったかもしれない。頭ではわかっているもののやはりゴールが観たかったという想いは抑えることができないのだった。

 交代枠を全部使えばよかったのかもしれない。でもこのハードな展開についていくにはベンチのベテラン勢には厳しいという懸念が浮かんだのかもしれない。実際に塩谷がボランチに上がっただけに戦況を持ち直したというのもある。難しい。難しいが挨拶に来た選手には惜しみない拍手が送られるのだった。暑く熱い戦いは結果にもどかしさがありながらも讃えることができるものであったがそれはもしかしたら柏も同様だったかもしれない。妥当なスコアレスドローであったのかもしれないのだった。

2023年8月20日 (日)

川崎戦~9戦ぶりの勝利

2023年8月19日 サンフレッチェ広島 vs 川崎フロンターレ エディオンスタジアム広島

 

 8戦勝ちなし。

 川崎との対戦成績である。その屈辱的な記録は川崎にサンフレッチェには勝てるという余裕を生ませほぼ一方的な試合になることが多い。川崎には勝ちたい。それはこの数年間の痛烈なる願いだった。その為の駒として満田が怪我から復帰してきた。ピエロスもコンディションが整ってきた。更にストライカーとして加藤陸次樹の加入心躍るとそれで止まらなかった。なんとマリノスからマルコス・ジュニオールが電撃移籍したのだった。アタッカーが不在のチームにあってこれは大いに活量を与えることであった。

 ただ、流石に合流したばかりとあってスタメンにマルコスの名前はなかった。それでもキックオフされると満田を中心に前線からのプレッシャーが嵌まる。ピエロスも最前線でボールへのアタックを繰り返す。そしてシャドーに入ってる加藤もハードワーカーな為に相手を押し込むことに成功する。するとCK。満田がセットしインスイングのボール。ゴール中央へ落ちるとピエロスがボレーで合わせた。ゴールに叩き込まれ先制点となった。

 「ピエロス、ピエロス、ピエロス!」

 数試合前までやはり獲得は失敗だったのではと疑念を抱いてたピエロスは立派に結果を出したのだ。これぞピエロス。セットプレーでのゴールのないサンフレッチェにとってこlれは非常に意味のあるゴールとなるのだった。

 この先制点で押せ押せとなる。更に前線から追い込みを掛けると川崎はテクニックを使ってボールを奪われない。プレスを潜り抜け、潜り抜け、潜り抜けると右サイドへの長い縦パス。スペースに抜けたボールに瀬川が追いつきドリブル。懸命に追う塩谷。しかしペナルティエリア深く切り込まれるとゴールを横切るラストパス。そこに飛び込んだ脇坂。ダイレクトで合わせられ同点を許してしまう。サンフレッチェが力技で決めたのに対して相手の裏を突いたいやらしい得点である。ここでこうやって易々と同点にされてしまうとこにまたかという想いがあった。

 ただ、そうであってもそこに悲観はなかった。振り出しに戻っただけ。そんな割り切った感覚になれたのはサンフレッチェが後ろ向きにならなかったせいである。そしてこのまま後半に入っていくと野津田に代わってマルコス・ジュニオールが入るとボルテージが上がった。実績のある選手だけに期待は大きい。スタジアムも湧き上がった。そして前線でのスペースを見つける動き、マークを着かれても失わない技術、周りを生かす球捌きでチームに再びギアを入れる。マルコスが入って明らかにペースが変わった。東から受けた縦パスをターンしてクロスを入れると加藤が飛び込み。そのシュートは枠には入らなかったもののいきなりの決定機の演出にスタジアムは更にヒートアップする。そして今度は右サイドに流れることで中野への落としを生みクロス。ゴール前でボールがこぼれると加藤が詰める。切り返しから決めれると思ったそのシュートはGKチョン・ソンリョンに止められる。あとちょっとだった。マルコスが入っただけで立て続けにチャンスが演出されるのだった。

 とはいえ最後の最後は締めてくる川崎の守備の手堅さを感じてもいた。この最後の壁をどう突き破るのか。左サイド志智にボールが入った時、追い込まれ行き詰まったかに思えるも東のサポート。そこからマルコスに出すとすぐに囲まれる。ターンしてかわす、かわす、かわす。4人ものチェックを外しそこからどう展開するかと思ったその時打った。速い弾道のボール。ファーサイドへ向かうとゴール片隅に突き刺さった。

 入った、入った、入った。ゴール、ゴール、ゴール。まさかあの状態で打つとは思わなかった。意表をつけたのは高い技術とシュート力である。こういう選手が欲しかった。いい場面はいくらでも観た。だけど決める選手がいなかった。マルコスの元へ集まるサンフレッチェの選手達。揃ってのカメハメ派のパフォーマンスを観た時、ああ、本当にマルコスはサンフレッチェの選手になったんだなと感慨深くなるのだった。

 これで勝ち越した。このまま引き離そう。そんな機運が盛り上がってた中、川崎はジリジリと攻勢を強めてきた。何度か決定的なシュートを放たれながらもGK大迫の好セーブに救われている。ここは踏ん張らないといけない。が、脇坂の逆を突く動きに完全に外されてしまいサイドチェンジをされてしまう。ガラ空きになった左サイド。慌てて左に寄せるもゴール前へ入れられる。そこへのマークは間に合ったもののヒールで落とすと後ろから入った山根のシュート。グラウンダーでゴールの隅にきっちりと流し込んでしまったのだった。

 また追いつかれた。

 なんでこのチームはこういうことをいとも簡単にやってのけるんだろう。ただ、逆サイドでフリーの選手に渡した時点でその危険は感じられた。最初の失点も右サイドの裏へフリーでもたれたところからだった。そういうフリーの選手を作ると必ず仕留めることができる。逆に言うとそういう状況を作ってはいけないのだった。

 それだけに終盤に向けて攻勢に出るサンフレッチェもカウンターだけは気をつけないといけなかった。押し込んでいるようでクリアボールを繋がれると簡単にゴール前まで持って来られる。特にマルシーニョに渡るとスピードで一気にゴール前まで持っていかれる。こういう選手が途中から出てくる川崎はやはり選手層も厚い。ここまできたからには失点だけはしたくない。両者勝ち越しを狙ってはいるものの守備の粘りも強くこう着状態に。いや、むしろ川崎の方がゴールに近づいているような印象すらあり、アディショナルタイム7分の表示にこのままドローで終わるのが無難なような気もした。

 GK大迫からのキックは相手DFにクリアされ繋げられるも途中出場越道が奪う。右サイドから斜めのピッチを切り裂くようなパスの先にはマルコスが。ワンタッチで裏へ出す。そこへ飛び出した満田。DFの追走を受けながらゴール目指して走る、走る、走る。前へ出るGK。距離がありながらも打つ。反応するGK。が、次の瞬間にはファーのネットにボールが収まっているのだった。

 決まった、決まった、決まった。ここで決めた。90分走り回った満田が決めた。そしてこのラストパスを送ったのはマルコス。早速試合を決定づける働きをした。正直なところマリノスでは途中出場が多く過度な期待はすべきじゃないと思ってたとこもあったがそんなことはなかった。素晴らしい、素晴らしき活躍。チームの中では小柄でありながらもその存在は大きく異彩を放つのだった。

 残り時間わずか。相手のロングキックを跳ね返しラインを割るとタイムアップの笛が鳴った。勝った。勝てた。川崎に9戦ぶりの勝利である。満田が戻ってきたことによりチームが前向きになり加藤のような前線で粘りとフィニッシュへの姿勢は活性化された。そこへピエロスがストライカーとしての牙を研ぎ澄ましマルコスが潤滑油となりつつも自らもフィニッシュへ繋げる。凄い、こんなにワクワクしたのはいつ以来だろうか。つい2試合前までの絶望感が嘘のように見違えてしまったのだった。

 早く次の試合が観たい。このチームの活況は中野や越道のような若手にもいい影響を与えるに違いない。今度はそういう選手が活躍するのを観たい。そんないい循環に入っていくことを予感させる勝利なのだった。

2023年8月14日 (月)

浦和戦~得点力不足を打破した2発

2023年8月13日 サンフレッチェ広島 vs 浦和レッドダイヤモンズ エディオンスタジアム広島

 

 ピースマッチと銘打たれたこの試合、浦和から多くのサポーターが詰めかけてくれたお陰で2年ぶりの指定席売り切れとなった。そのお陰でスタンドは多くの観客で埋められ白熱した雰囲気を醸し出していた。ただ、その熱量は満田の怪我からの復帰も大きいだろう。たった一人の選手が戻っただけで劇的に変わるような気がしない。むしろこれで依然としてチームが停滞していたらどうしようと不安にもなった。

 いきなりスタメンに入った満田。黙祷の後始まった試合では相手ボールホルダーには果敢にプレスにいった。ああ、怪我をする前のプレーのままだ。そして個での競り合いでボールを奪うプレーが出るとチームがそれに連動される。右サイド中野がいつもよりも積極的に前に行こうという姿勢がみれる。そして何よりもトップに入ったピエロスがターゲットとしてちゃんと機能していた。それにより前を向ける。志知も左サイドを上がっていける。加藤もゴール前に入り込み攻撃に厚みが増す。どうしたんだ。一体どうしたんだ。先週観た試合では夢も希望もないサッカーをやっていたというのにまるで同じチームとは思えないくらい前を向いているのだった。

 ただ、前から嵌めて行こうとするとGK西川やDFが正確なロングボールを蹴ってくる。それでもトップに来たボールは荒木がみんなヘディングで跳ね返してしまう。危険の芽は摘んでいる。後は前が点を取るだけ。それが最も難しい。CKから満田のキックを荒木が合わせたもののあれだけ完全にボールを捉えておきながらまたしても枠に入れることはできなかった。ピエロスもペナルティアリアに入ると自ら打っていってはいるがその度にGK西川が壁となってしまう。浦和は守備の戻りが速い。サンフレッチェも速攻すべき場面でもたついてしまう。やはり染み付いた悪癖は払拭されようもなく浦和の攻撃が続いていくようになるのだった。

 DFの奮闘によってギリギリでクリアするもCK。クリアしてもまたCK。苦しくはあるもののそこは弾き返してくれた。が、浦和の最終ラインであるホイブラーテンへ入った時だった。一番近くにいたピエロスはプレスに行かずに次の展開に備えていた。するとフリーになったホイブラーテン、ロングキックを蹴る。最終ラインで受けたホセカンテ。ターンをするとポッカリマークが外れてシュート。ライナー製のボールがゴール隅に飛ぶ。GK大迫の横跳び。が、触ることもできずゴールに突き刺さってしまった。

 やられた。たった1本のロングキックによって決まってしまった。ホイブラーテンの正確なキック、ホセカンテの一振りで決める決定力とパンチ力。それらは賞賛に値するものだった。が、あの一瞬ぽっかりと守備に穴が空いたのも事実だった。いつもそういうとこを決められる。それは前節と同じ光景だっただけにこのまま追う展開のまま時間だけが過ぎていくような気がしてきた。せっかく上手く入ってると思ってたのに。せめて前半だけでも踏ん張ってほしかった。

 その想いが強くなったのは後半満田がヴィエイラと交代したからだった。チーム得点王でありながらもここ最近はどこか気の抜けたようなプレーの目立つヴィエイラに満田の強度は期待できなかった。そしてもう一人、右サイド中野に代わって越道の投入である。こちらも最近空回りしてる印象があっただけにどことなくギャンブルのような気がした。

 ところがヴィエイラはボールに食らいつく。適当なボールでも収めてしまう。いい時のヴィエイラだった。どうしたんだろう。これはマリノスからマルコス・ジュニオールの加入が決まったことも大きいだろう。そして何よりも前半のチームの攻撃姿勢に触発されたのは間違いない。こんなところでも満田の復帰は大きいと痛感させられたのだった。

 前線でのタメができるので両サイドも上がりやすい。志知が左サイドを駆け上がるとクロスを入れる。中で待ち構えるヴィエイラがシュートまでこじつける。右サイド越道も1対1では果敢に勝負を挑む。負けても再度ボールに食らいつく。そういうプレーの一つ一つが心躍る。ああ、サンフレッチェを応援しててここまで熱くなれたのは何ヶ月ぶりだろうか。まるで今までの停滞した雰囲気が嘘のようだった。

 最後列からの組み立て。そこでいつも中盤への預けどころがないのだが右の塩谷は縦へ長いグラウンダーのボールを走らせた。浦和最終ラインを抜けるスルーパスになり加藤が抜ける。ホイブラーテンが追いつきスライディング。それを切り返し。そしてニアにシュート。コースを切ったGK西川のほんの少しの隙間を射抜いた。ネットが揺れた。入った。決まった。追いついた。

 歓喜が爆発する。得点力不足の中、このゴールは数試合分の厚みがあった。そして新加入の加藤陸次樹が決めたというのが大きかった。アタッカーとして最も求められることができた。これにより新たなヒーローを得たような気になったのだった。

 このゴールはサンフレッチェに火をつけどんどん重心が前掛かりになる。でもそこは浦和の壁も厚い。そこでピエロスに代えナスを投入するも流石にこれはゴールは望めそうになかった。ただ、勝ち点1だけは得られる。連敗続きだった為にそれだけでも成果であったものの塩谷は最終ラインから上がってミドルシュートを打ち込む。やはり勝ちたい。でも時間は過ぎていく。そしてついにアディショナルタイムへと突入した時、浦和も最後の力を振り絞るように攻勢に出てきた。身体を張って食い止める。手堅くクリアする。そこにヴィエイラが待ち構えていたのだった。

 ところが速い寄せで跳ね返されると川村がフォローで収める。逆サイドへ向かうダイアゴナルパス。フリーのナスに渡るとゴールに突き進む。GK西川との1対1。距離はあるものの打った。入った。GKとゴールのわずかあった隙にぶち込んだのだった。

 逆転。決まった、決まった、決まった。あれだけシュートを外しまくってたナスがこの最後のチャンスで決め切った。やはりこの日は何かが違った。興奮した。久しくなかった感情が湧き上がるのだった。

 このまま2-1で終了。7試合ぶりの勝利だった。そして複数得点は2ヶ月ぶりのものであった。長い長いトンネルを抜け出したのだろうか。新加入選手の動向が刺激になったのは間違いないだろう。誰が出ても結果が出ない状態から結果を出さなければ出れない状況へと変わったのである。そして何よりも満田の復帰が大きかった。高い位置からのプレスができることで今まで全く前に出れなかった右サイド中野も出れるようになった。志知も左サイドから何度もクロスを上げることができた。そして何よりも試合を観てて熱くなることができたのだった。

 マルコス・ジュニオールの加入が発表され一層選手層が厚くなる。またチーム内での競争が大きくなる。前節の絶望感が見事に払拭され今度は希望と期待が募っていくのだった。同じチームなのでこうも変わってしまうとは。改めてチーム作りの難しさを知ると共にそれを打破した時の爽快感にいつまでも酔いしれるのだった。

2023年8月 7日 (月)

湘南戦~希望なき敗戦

202385日 湘南ベルマーレ vs サンフレッチェ広島 レモンガススタジアム平塚

 

 熱い熱い日中だった。それでも日が落ちてくると日差しがない分マシになるだろうとスタンドに上がるも観戦客に挟まれた席では熱が籠ってるような感覚があった。湘南といえば以前のJ2の頃の記憶からもっと客席がガラガラというイメージがあったものの両ゴール裏はぎっしり詰まり、互いの応援が熱量を発しているのだった。

 その歓声の中、アップで出てきた選手。加藤の加入、ピエロスの復帰で攻撃陣が活性化されるはずである。特にピエロスはサイドからのクロスをガツンと入れる能力を見せ、得点力不足への解消への突破口へとなることへ希望を見出してくれるのだった。森島が移籍したことによるマイナス要素はこれで補って余りあるとも考えられた。

 ところがいざ試合が始まってみるとボールが前までいかない。後ろで回してばかりで中が閉じられてしまっている。そこで右サイドを使っていくものの中野のところで詰まってしまう。そこで中盤を飛ばし一気にロングボールで裏を狙ってもこれもDFに悠々と回収されてしまう。打つ手なし。せっかく前線に加藤、ピエロスというアタッカーを入れたのにシュートシーンまでたどり着かないのだった。

 ただ、そんな中でも新戦力加藤は前線でのボールキープで粘りを見せる。2人囲まれ3人囲まれても離さない。この間誰かサポートがほしい。が、来なかった。誰も来なかった。加藤の前線での踏ん張りは単独のプレーで終わってしまい何の打開にも生かされなかったのだった。

 そういうチーム全体の攻撃への姿勢の乏しさは湘南に活力を与えた。マイボールにするとがッと沸き上がるように前線へ人数が掛かってくる。そして右サイドから崩しにかかると中野は対応に苦慮するも塩谷が上手いポジショニングとボールさばきで奪い取る。が、そこからカウンターへつながればチャンスになるもののそこで詰まってしまう。奪ってもパスの出しどころがない。ここで相手陣地に向かって走ってる選手がいない。その結果守備が固められ得点力のないチームは余計得点しにくい状況に陥ってしまうのだった。

 膠着状態の前半だった。何かで打開したい。その為に後半メンバーを代えるのは予想できたものの唯一攻撃にアクセントを与えられてたエゼキエウを上げ東だったのには驚いた。しかしこれは後の情報によると脚を痛めたということでの負傷交代だった。とはいえそんなことを知らないぼくらはこれでギアを上げると思ってたその時、つまらないミスパスで一気にカウンターを食らってしまう。バイタルエリア真正面へ出たパスを佐々木は追いつけない。そしてワントラップからシュート。強い弾道がゴールに向かって飛びGK大迫も止めることができないのだった。

 失点。また先に失点。それまでピンチらしいピンチがなかったのにほぼ初シュートで決められたようなものだった。そしてそれがメンバー交代後だったことも大きなショックだった。上手くいかない。何もかも上手くいかない。かくして得点力のないチームは早くも追い込まれてしまったのだった。

 攻撃に軸を移しスクランブル体制に。後ろを削りヴィエイラを入れ柴崎を入れ柏を入れてきた。だが打開の目途は立たずロングボールに頼るようになる。そうするとゴール前を固めた湘南は余計のこと守りやすくなり跳ね返す。跳ね返して跳ね返して跳ね返す。頼みだったピエロスはというと単純なパスすらも足元に収めることができず完全に流れを止めている現状にナスとの交代を告げられた。得点力のないナスに代えられてしまう辺り完全にピエロスのパフォーマンスは期待外れだった。

 攻めて攻めて攻めまくるも簡単にクリアされる。最後はGK大迫までCKに加わったものの全く意に返すことなく防ぎきると試合終了してしまった。1-0、点差こそ1点差だったもののその内容は天と地ほどの差がある屈辱的なものだった。

 どうしてこんなサッカーしかできないのだろう。中断期間何をしていたのだろう。選手たちは負けた試合を振り返って改善点とか考えないのだろうか。監督はこんなサッカーに未来があると考えてるのだろうか。そもそもこれがお金を払って見に来てもらうサッカーなのだろうか。そんな疑問が浮かび上がっては渦巻いていくのだった。

 歓喜に沸く湘南サポーターの声援を尻目にそそくさとスタジアムを後にしたのは惨めだった。そして失意の中、平塚駅に着くと今度は電車が不通。回復の見通しが立たないとのアナウンス。打ちのめされた。あらゆることで打ちのめされた。恐ろしいまでの絶望の中、翌日まで夜を明かす場所を求めて平塚の街を徘徊していくのだった。

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    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
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     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
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     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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