« 川崎戦~逃げ切った最後 | トップページ | ガンバ戦~ペレイラの同点弾 »

2019年8月 4日 (日)

札幌戦~良きサイクルの充足感

2019年8月3日 サンフレッチェ広島vsコンサドーレ札幌 エディオンスタジアム広島

 身体の内側に溜まった熱が外気に晒されることによって一層燃えさかる。ジトーッとした汗が滲み出て不快度が上がる。夜へと橋渡しする時間になってもこの気温。熱い、熱い、熱い。暑いではなく完全なる熱を感じるのだった。
 この高温多湿の中、同じフォーメーションの札幌との対戦。どちらの精度が上か、どちらの走力が上か、どちらが体力があるか。そんな戦いであるのは明白だったものの、試合の入りは両者共スタミナを意識したゆっくりとしたものだった。
 サンフレッチェは後ろからのビルドアップにより隙を探し前線へ入れる。すると密集地奪われロングボールを出されるとサイドの広大なスペースを縦へ抜かれクロス。それをゴール前のジェイがヘディング。GK大迫の真正面だったことが得点には結びつかなかったものの、この後何度となくこういう場面を迎えるのだった。ボール支配を高めても攻撃へのチャレンジのパスは止められる。対して札幌はカウンターによって左右からのクロスという形は中に長身のジェイがいることによって十分に脅威になっている。井林も荒木も競り合うことすらできない。シュートの精度のなさに助けられたものの、効率面から考えると札幌の方に分があるのは明白だった。
 高い位置からのプレスは思った程嵌らない。プレスを掛けてくる相手に対して外すというスキルはミシャの下、札幌でも植え付けられてる。どんなチームに行っても自分の色に染めるミシャはやっぱり指導者として秀でている。それでもあと一歩のとこで頭打ちになる。勢いに任せて一本調子になる。失点をせずにハーフタイムを迎えると後半はチャンスがあるのではないかという気がした。
 すると左サイド柏に入ると相手を引き付ける。ここからドリブルで縦へ行くのかバックパスで立て直すのか迷いを生じさせる。すると次のプレーはそのどちらでもなく縦のスペースへ放り込んだ。スプリントを掛ける森島。だがDFも引き連れてるだけに少々無謀な挑戦に見えた。が、追いついた森島。ただゴールまでのコースには入られて壁となっている。カットインから切れ込もうとするもドリブルには無理があると思われたその時、折り返しのパスを送った。するとこのマイナスで転がるボールに猛然と走りこんできたのがボランチの稲垣。ファーサイドへのシュート。GKも身体を倒して反応するも、及ばずゴールに入ったのだった。
「おおっしゃああああぁぁぁっ!」
 ボールを持ってるようでいてシュートまでたどり着けないもどかしさの中、先制をした。しかもそれが稲垣という後ろのポジションの選手である。決してシュートの上手い選手ではないがなぜかこういうところに顔を出しミラクルなシュートを決める。誰よりも走ることによってこういうスポットライトの当たるプレーを起こす。改めてサッカーとは色んな能力を持った者による総合力なのだと思い知らされた。そしてサンフレッチェのこのスタイルを築いたのこそ札幌のベンチにいるミシャなのだった。
 当然のことながら失点した札幌は前に出てくる。自然、サンフレッチェのディフェンスラインも下がる。札幌の攻撃が続く。ただ、前半あれだけやられた左の白井には突破を許さなくなった。後ろに人数を置いたことによって守備のカバーが来れる。ただその分チャナティップが色んなところでドリブルで仕掛けてくるので捕まえきれない。それによりペナルティエリアに入られてシュートを打った時には決められたかと思った。が、ここは井林がしっかりコースを切っていたのである。
 更に札幌の猛攻は続くも最後の最後では荒木が絡め捕る。そして前線へ送るもヴィエイラ一人なのでままならない。それでも収めた時にはビッグチャンスが生まれる。ドリブルで駆け上がる。それに反応し森島も駆け上がりスルーパスを受ける。追走するDF。他に選択肢はなくシュート。ギリギリの条件で放ったシュートは枠に飛んだ。GKに防がれはしたもののCKである。時間が稼げた。そして何よりも引いて守ってるだけでなく常にカウンターの機会を狙ってるという驚異を与えることができた。
 その森島も終盤に近付くとプレーの精度が落ちてきた。さすがに中2日のスケジュールはキツイ。ユニフォームは汗でびっしょりと濡れている。あと1点入れば試合を決めることができるものの渡と交代した。
 アディショナルタイム5分。長い。それでも跳ね返すだけでなくとどめを刺す意識は持ち続けている。それがハイネルのパスカットを生みカウンターへとつながる。スピードのなるハイネルのドリブル。スペースへのパスをヴィエイラが受けるとペナルティエリアへ。ただ札幌の戻りも速くシュートコースが阻まれるもマイナスのパス。これに途中交代の青山。決定的だったがシュートは枠の上に飛んでしまったのだった。
 今シーズン初出場の青山。ここで決めればその盛り上がりは計り知れなかっただろう。そして9試合ぶりに先発をした野津田も目に見える結果を残したかっただろう。だがそれらは叶うことなく終了の笛を聴いた。勝った、勝てた。それでいながら選手個々の事情を考えると色んなものが交錯してそうだった。逆に言うとそれだけ今チームは競争がしっかりと確立されてるということかもしれない。
 最後まで足の止まらなかったサンフレッチェ。疲労感より出場への渇望があるのだろう。本当は渡だってもっと観たい、青山や野津田だって先発で観たい、佐々木の負傷で出場してる井林だっていいパフォーマンスを出していた。サロモンソンだって負傷離脱から戻ってきた。一つの勝利と共にそんないいサイクルを感じさせてくれるのだった。

« 川崎戦~逃げ切った最後 | トップページ | ガンバ戦~ペレイラの同点弾 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 川崎戦~逃げ切った最後 | トップページ | ガンバ戦~ペレイラの同点弾 »

最近のトラックバック

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles