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2019年6月15日 (土)

湘南戦~最後まで走った勝利

2019年6月14日 サンフレッチェ広島vs湘南ベルマーレ エディオンスタジアム広島

 シュート12本、枠内4本。
 前半までで積極性を感じさせるこの数字もその3分の1しか枠に入ってない事実に暗澹たるものがあった。シュートが下手。それもそのはず、今までシュートを打ってこなかったのから。本気の相手がいる状況でのシュートを打つ感覚というのが抜け落ちててしまったのだ。
 そんな中でも初スタメンのハイネルは右サイドで縦横無尽に駆け回り可能性のあるシュートを放つ。自陣の危機とあらば全速力で守備に戻りつつも攻撃ではパワーを感じさせるドリブルはゴリゴリと敵陣を侵食する。湘南の守備の壁を突き破るのに効果てきめんだった。こういう個人での打開というのがサンフレッチェに欠けてた要素である。それだけにハイネルこそ変化を生み出す要素だという気がした。
 本人も調子のよさを感じていたのだろう。強引な突破でゴールラインをえぐろうとする。だがここでコケてしまった。ああ、足を滑らせてしまったと天を仰ぎそうになった時、不穏な動きを見せた。ハイネルが座り込んでしまったのである。ピッチに入った医療スタッフ。出されたのは続行不可能のサイン。ここにきて負傷退場をしてしまったのだった。
 交代で入った清水。さすがにハイネルのパフォーマンスまでは期待できそうもなかった。が、強い気持ちを持った清水である、そこは自分の存在感を見せつけようとカットインからのシュート。GKに防がれはしたもののCKにはした。枠には入っていた。清水も決して負けてはいないのだった。
 そのプレーを発端として、サンフレッチェのシュートが枠内へ向けて飛ぶようになる。そして何よりも前線からのプレスがよく嵌る。特に稲垣がピッチのどこにでも現れ相手の芽を摘む。更にはゴール前まで顔を出し渡の逆サイドへのクロスへ反応。が、ボレーシュートは当たり損ねになってしまう。ああ、稲垣はやっぱりシュートだけは下手だった。
 それでもスタミナを切らすことなくサンフレッチェの攻勢は続く。セカンドボールを拾う。散々サンドバック状態になることに嘆いていたものの、逆にサンドバック状態に追い込んでいた。それでも湘南も守備で奮闘しなかなかゴールを割らせない。最後の最後を突き破れない。そんな中で得たFKは均衡を崩す絶好の機会となった。
 キッカーは森島。左サイドから放ったFK。なだれ込む両チームの選手。が、跳ね返され湘南の選手に渡るとそのままキープされそうになったボールに森島が身体を入れてた。ゴール前、味方もいる。縦へ抜けようとした時倒された。PK、PKである。主審は間違いなくペナルティスポットを指差した。
 フリーキックを蹴った後セカンドボールの落下地点を予測して走った森島。ファインプレーである。キッカーとしてヴィエイラがボールをセットする。長い脚から繰り出したそのキックはGKの逆を見事に突き決めることができた。先制、先制である。ついに湘南の壁を突き破ることができたのだった。
 ところがこの先制点に爆発するように歓喜することはなかった。まだ勝った訳ではない。ここで引いて守ることにより負けまくった。負けて負けて負け続けた。そんな経験からむしろここからどう戦うかという課題に注目するのである。
 だが先制してからも一歩も下がることはせず高い位置でボール奪取を目指す。走ることがスタイルの湘南に対して走り負けてない。それはまるで今までの不甲斐なさ、悔しさを魂に込めてるかのようだった。そんな果敢なプレスから依然とボール支配率は落ちることなく左サイドでボールを持った森島は相手のマークを振り切って縦へ突破した。ドリブルで走る。背中を追うDF。味方も敵もゴール前になだれ込むと折り返しのパス。次の瞬間、ゴールネットの揺れる光景があった。決めた。決めることができた。セットプレーでもPKでもない、相手を崩してのゴールというものを決めることができた。そしてそのシュートを放ったのが稲垣だと知るのだった。
 それでも賞賛は森島へと向けられる。あの個人での突破、崩しがあってこそのゴール。今まで足りなかったもの、それを演出してくれたことに雄たけびをあげそうになった。
 その後もカウンターの場面に出くわすとパスを出すかと思いきや自分で打ってきた。バーに阻まれたもののそれが観たかったと熱き想いが沸き上がる。ゴールを前にした時、パスでなくシュート。そんな気概があるからこそ今度はパスという選択肢がより有効になっていくはずだ。
 もはや2点目が決まった時点で勝ちは見えていた。そしてそのまま失点を許すことなく、大迫の代わりに出たGK中林、久々の出場となったCB吉野も無事クリーンシートを達成できた。キャプテンとして余りある活躍を魅せた稲垣も代表に選出された松本の代役。特定の選手だけでなくそれぞれが結果を残した。そこに恍惚としてしまった。
 しかし、問題はこの後だ。この試合は上手くいった。これが本当にチームの力と言えるようになった時、城福監督も監督として一段高見へと昇ることができるだろう。

 

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