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2019年7月 1日 (月)

鹿島戦~土壇場での同点ゴール

2019/06/30 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマサッカースタジアム

 霧雨の降りた空気に天井下からのライトが降り注ぐ。空気の流れが視覚できる。その天気を見越して屋根の掛かってるイーストゾーンの席を確保したものの、席は濡れていた。
 そんな覚束ない天候の為客足は悪く試合への盛り上がりに心配を寄せる。が、それ以上に心配なのはこの日の勝敗だ。鹿島との3連戦の最終戦。ACLでは負けてしまった。だからこそリーグ戦では勝ちたい。勝ちたい、勝ちたい。これで負けてしまったら何と惨めなことか。それにより鹿島には何度やっても勝てないという負の感情が植え付けられてしまいそうだ。
 靄掛かった視界の中、選手がピッチに踊り出すとアウェイゴール裏の紫のサポーターのコールが塊となって響き渡る。それによりホームとアウェイの応援の声がぶつかり合う。サンフレッチェは人数は少ないものの決して負けていない。その情熱、情念を白いアウェイユニフォームを纏ったサンフレッチェの選手達もくみ取ってくれただろうか。
 キックオフの笛が鳴る。鹿島ボールで始まった為にサンフレッチェの選手は前線からプレスに走る。するするっとかわした鹿島は簡単にゴール前まで侵入してきてシュート。何とかブロックしたものの逆サイドに落ちたセカンドボールはレオシルバ。シュートを放つ。前で構えていたDFに当たるとコースが変わりGK林も反応できずゴール。ああ、決められた。開始1分もしない内にやられた。あそこであれだけフリーで打たすとこういうことになってしまう。
 はあ~。大きく溜息をつく。これでもう今日の勝利はなくなった。追う展開のサンフレッチェにゴールを決めれる気がちっともしない。そしてその予感は悲しくも当たってしまうのだった。
 ショートパスでつなぐサンフレッチェの攻撃は全てカットされる。読まれている。やることなすこと全て読まれている。鹿島のラインは高く、それ故カットすると即ゴール前へとつなげることができる。おい、しっかりしろよ。パスが弱い、前への推進力がない。ゴールへ向かえよという不平をこぼしてしまう。
 するとラインの高い鹿島に対してサイドの選手がスペースへ走るようになった。左の柏、右のハイネル。縦へ抜けるとそこから中へ切れ込む。柏がドリブルでチャレンジするも止められる。それでも両サイドの上がりは続きハイネルが縦へ抜ける。フリーで深く抉ると一直線のクロス。ゴール前へ集まる。そして合わせた。入った。決めたのは逆サイドの柏だった。
「うおおおおおおおおっ!」
 立ち上がり雄たけびをあげる。振り出しに戻すことができた。これにより俄然、ぼくらの気は大きくなり、サンフレッチェも攻撃への勢いが出てくるのだった。
 2人に詰められてもボールを失わない。むしろそこで空いたスペースを使ってより前への推進力を高める。トップのヴィエイラへ渡った。「打て!」と叫んだもののパスをする。確実なプレーを選択したつもりかもしれないが、ボールはクリアされて終わってしまった。ヴィエイラ、川辺の2人は前線のポジションであるにも関わらずあまりにもシュートへの意識が低い。そしてもう一人、シャドーの森島は再三相手のゴールを脅かそうというプレーを意図するも鹿島のディフェンスにいいように蓋をされてしまう。そしてこんなもどかしいプレーを繰り返していく内にどんどん鹿島にペースを握られてしまうのだった。
 堪える、堪えるサンフレッチェ。全員が自陣に下がり相手の攻撃を食い止める。ところが苦労してボールを奪ってもその後のプレーに精度がないものだからまた鹿島のボールになる。特にボランチの吉野のパスは皆敵に渡ってしまう。周りが見えてないのだろう。そして川辺はどんどんプレーの質が落ちている。疲労なんだろう。森島も消える時間が多くなった。こちらも疲労なのかもしれない。それらの危険要因があったにも関わらずまだ選手交代を行わない。そしてCKからのボールをクリアしようとした川辺のキックは当たり損ね、再びCKとなってしまった。そして中央に蹴られたボールは一度は跳ね返すもセカンドボールをシュート。距離のあったシュートはGK林もなす術もなく入れられてしまったのだった。
 ああ、やられてしあった。またしてもシュートの場面でフリーにしてしまった。そしてその前に悪い予感はしてた。大体60分辺りからサンドバック状態になる癖があり、それを10分以上続けるものだからどこかでブロックが決壊してしまう。大体いつもこのくらいの時間に同じような状態になって同じようにやられてるのに未だに修正できてない。どうしてこうも同じことを繰り返してしまうのか不思議でしょうがないのだった。
 意気消沈したぼくはガクッと項垂れ、すでに帰路のことを考えていた。失点後、先の3人に代えて稲垣、野津田、パトリックと入っていったものの一度傾いた戦況はそう易々と変えることはできなかった。
 遅い、遅すぎた。どうしてもっと早く決断しなかったんだろう。そんな怨嗟の感情が城福監督に向けられる。選手も苛立ちが積もりファールが多くなる。余裕がない。もはや沈着さを持ち合わせてない。それに従いホームの声援はより一層活況を呈するのだった。
 ああ、このまま終わるのか。実に上手い具合に試合を進められた。鹿島の方が一枚上手だった。そんな打ちひしがれる想いでいたその時だった。前線にいたパトリックが粘りからボールを前に出すと走りこんだ野津田。サイドではあるがゴールライン際で受けるとすかさず浮き球を上げると鹿島のDFは触ることもできずゴール前へ詰め込んだ柏のとこへ。そこでシュート。入った。入った、入った、入った。柏2点目。そしてそれは貴重な同点ゴールだった。もうほとんど残ってない時間の中で、最後の最後で柏が決めたのだった。
 程なくして試合終了。引き分けであったものの最後まで諦めず走り回った末でのゴール。そして何気に城福監督の采配が当たったことに驚くきつつ、あんな土壇場で追いついたことに血管の血が噴き出しそうになるのだった。
 挨拶に来た選手達。ヒーローの柏は少し遅れて現れると柏コールが繰り出された。いつまでもいつまでも鳴りやむことのないコール。勝ちたかったのはやまやまなものの、ずっとこのまま賞賛のコールを叫びたい気分だった。

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