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2018年4月 1日 (日)

川崎戦~制した頂上決戦

2018/03/31 川崎フロンターレvsサンフレッチェ広島 等々力陸上競技場

 

 武蔵小杉駅からの歩行は澄んだ青空の下、桜の花びらが光景によく溶け込んでいた。歩くと次第に汗ばんでいきシャツ1枚でもいいような気がしつつもサッカーのレプリカを着た人をあまり見かけなかった。それもまだ開場前の時間であるが為にしょうがないのだろう。

 が、一旦スタジアム隣接の公園に入ると目を疑った。そこはすでに多くのサッカー観戦客に埋め尽くされ各自ゴザを敷いて花見をやっているのである。そしてアウェイゴール裏ゲートからは三重にも折り重なった列ができており、一体どこがこの最後列かわからない。案内のプラカードを見つけた際にはホッとしたもののその前の人数を見渡すと席の確保ができるのか不安を抱えたのだった。

初めてこのスタジアムで試合があった2000年には10人くらいしかサポーターがいなかった。それがここまで人が集まるようになったのはこの試合が頂上決戦という意味合いからだろうか。ただし川崎は昨シーズンの優勝チーム、サンフレッチェは残留争いをしたチーム。現状では向こうの方が格上といったとこだろうか。

 開場後は仲間と合流できて無事席を確保できた。2階席だったせいだろうか、背後から風が入り込み肌寒さを覚える。さっきまで暑いと感じてた体感温度は屋根の下に入ることによって一気に下がっていった。そしてそんな中でもみるみる内に席は埋まっていった。元々関東でのサンフレッチェの試合はかなり客が来るようになっていたがここ2年くらいから一層多くなってきたのである。

 時折麻黒い顔の人を見かけるとタイ人ではないだろうかと推測する。ティーラシン目当てで来るのだろうが残念なことにスタメンではなかった。川辺も外れ工藤、柴崎というルヴァンカップで結果を残した2人を入れてきたのは川崎のパスサッカーへの対策とも受け取れた理にかなってた。リーグ戦初先発の工藤にとっては期するものがある。パトリックと2人でゴール前での競り合いに持ち込めれば勝機はありそうだった。

 ところが試合では完全に川崎のパスワークに翻弄されてしまう。プレスをかけるもかいくぐられつかみ所がない。2人、3人と連動してボールにプレッシャーを掛けようとのこと奪ってロングボール。だが一発を狙った裏へのボールはパトリックと工藤がことごとくオフサイドに掛かってしまうのだった。

 他にもゴールキックをパトリックに目掛けて蹴るものの、競り合いで勝ってもセカンドボールを必ず川崎に奪われてしまう。あれだけパトリックが身体を張ってるというのにどうにも回りが生かしてくれないのだった。

 一方で川崎はパスを回す中でも一瞬の隙を見つけて大久保がミドルシュートを打ってきた。ゴール内がら空きスペース。うわ、やられたと思った瞬間GK林卓人の片手が伸び弾いてくれたのだった。

「タクト!タクト!」

 怒涛のような卓人コールが発せられる。最後にゴールを割らせないというのは林がGKをしているというのも大きな要素なのだった。

 ハーフタイムに入りぼくらは川崎の方が上手いと認め合った。ボールを奪われないパス回しというサンフレッチェのお株はすっかり奪われたようだった。ただ、野上を中心としたDFは機能してるものの点を取るには何かが足りなかった。シュートの意識、単独での打開であるが工藤にはそういう意味で機能してないのは残念だった。そして後半に入り最も早く後退したのは工藤だった。予想は当たったもののそれはそれで少し寂しい気もしたのだった。

 代わって入ったのは川辺。たかが1人代わったくらいで変化はおきないだろうと思いきやその途端にパトリックが競り合いで落とすルーズボールを拾えるようになった。すると攻撃への足掛かりとなりどんどん後ろの選手も上がってくると攻撃への勢いが増してくるのだった。

 川辺がドリブルで切り込んだりスルーパスを出していく。パトリックは裏のスペースに走るとDFをスピードで置き去りにしていく。ゴールへ迫っていく圧力は大きくなった。それなのにシュートという場面でパスを出してはカットされてしまう。

 柏などもドリブルで2人、3人と抜いても自分で打たずにサイドのスペースへパスを選ぶ。シュートの意識に欠けるのか川崎の守備にその隙がないのか。そんな折にCKを取ったのだった。

 セットする柴崎。ふわっと挙げたボールにパトリックが競る。頭に当てることはできた。が、GKに弾かれ混戦の中に入るとパトリックの足元に落とされるとシュート。ゴールに流し込まれた。

 ゴール、ゴール、ゴール!

 どわああっ、と立ち上がる。ピッチの上でも選手の輪ができる。そして感極まったパトリックがアウェイゴール裏へ走って来るのだった。

「パトリック!パトリック!」

 熱を帯びたコールがピッチへ向けられた。先制点というのと相まって戦術パトリックと言っていいような戦法で頼り切っているだけに今期初ゴールに対する祝福の感情が止まらなかった。

 そしてここで攻撃の柏に代えて守備の吉野が入る。失点を防ぎたいことからの采配だがここで川崎が左サイドからクロスを上げてきた。ゴール前で合わせられる。林が弾く。が、そのこぼれを押し込まれてしまった。

 盛り上がる川崎のスタンド。ところが詰め寄るサンフレッチェの選手に審判がゴールの判定を出さない。静まり返るサンフレッチェ応援席。すると笛が鳴りゴール前からのフリーキックでのスタートを宣告された。

「うおおおお!」

 ゴールを決めたかのように皆が立ち上がった。追いつかれたと諦めたがまだ生き残ってた。勝ってる、まだ勝ってるんだ。

 そのリスタートの時間が沸点を高めたピッチの上に落ち着きをもたらせた。守備は冷静さを取り戻しクリアするとこはクリアをしつなげるとこはつなげていく。そしてパトリックがカウンターへとドリブルを仕掛けるとファールで倒された。

 チャンスを潰されたことによる罵声を発する。だが時間も稼ぐこともできた安堵もある。

攻めるとこは攻めるが詰まった時は川辺がサイドで時間稼ぎをする。引きこもるとやられそうなだけに実に効果的な時間の使い方によりタイムアップを迎えたのだった。

一斉に立ち上がったアウェイゴール裏。誰彼ともなくハイタッチをしていく。そしてコールが鳴り響くのだった。

「クランデ・ビオーラ・ヒロシマ!」

 声の塊が屋根の反響で響き渡る。首位決戦を制した。そしてパトリックがゴールを決めた。まだまだ5節終わっただけだが酔いしれずにいられないのだった。

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