« 2018年3月 | トップページ | 2018年5月 »

2018年4月29日 (日)

長崎戦~平和都市のダービーマッチ

2018/04/28 V不ファーレン長崎 vs サンフレッチェ広島 トランスコスモススタジアム長崎

 

 平和祈念マッチと銘打ったこの一戦。同じ被爆地同士がJ1で試合をするなどと想像した人はいるだろうか。地域リーグから始まりつい6年前までJFLにいた長崎がまさかJ1に昇格するとは。全くの想定外の事態にたまたま勢いに乗れたんだろうと高をくくっていたら4連勝してしまった。侮ることのできない相手なのだった。

前節負けたサンフレッチェとしてはここでの結果は今後に大きな影響を与える。連敗でもしようものならズルズルといきかねない。そんな切迫感があるからか、立ち上がりから素早い寄せ、前からのチェックというのを徹底してた。ただその割に開始早々にクロスを入れられヘディングシュートを打たれたのにはやはり長崎の方に勢いがあるのかもしれなかった。

それでも中盤でボールホルダーへガツンと当りにいく。ファールかと思いきや笛は鳴らない。前線へとパスを出す。そこからチャンスが生まれる。右サイドバックの和田が上がる。右でのショートパスが続く。そして和田からクロスが入る。パトリックが落とす。そのこぼれ球を渡がシュートを打つ。だがそれは枠に入らない。オーバーヘッドや振り向きざまからシュートを打つもどれも枠には入らないのだった。

決めきれない渡。ほんの少しのポジションのズレだろう。ゴールに飢えてるからこそゴールに近づき過ぎてしまう。だけどシュートへの意識があるからこそパトリックからのこぼれ球に反応できる。あと少し、あと少しが決まらない。本人ももどかしいだろうが応援してるサポーターももどかしい。ハーフタイムでティーラシンに交代してしまったのは残念だったのが正直なとこだ。

ところがそのティーラシンが入ってからというもの攻撃が活性化された。ティーラシンがボールを収める。後ろの選手もそれで押し上げの時間ができる。柴崎のアーリークロスをパトリックがヘディング。バーに当たってわずかに入らなかったものの段々とゴールが近づいてるような気がした。

ボールを取られても前線からのチェックですぐに取り戻す。ピッチを大きく使い前へ後ろへと使い右サイドのパス交換から裏へ出すと和田のオーバーラップからグラウンダークロス。ゴール前にいたのはティーラシン。振りぬいたシュートはGKの掌に当たったものの止めるより威力が優りゴールに零れ落ちたのだった。

入った、入った、入った。先制点。交代してわずか5分くらいだというのにもう決めてしまった。タイの英雄ティーラシン。今更ながらその触れ込みは本物だった。

先制した後も攻撃への姿勢は崩さない。右サイドからの展開が多かったものの左サイドからも柏がドリブルで切りくずす。2人、3人という守備網を切り込みゴールに迫っていく。CKに逃げられたものの柏のドリブルは大きなアクセントになっている。そして柴崎からのCK。ニアにいた佐々木がバックヘッド。ネットが揺れた。ファーサイドに入った。あまりにも呆気ない追加点に虚を突かれてしまった。

DFの佐々木はヘディングが強い。長身に見えるもののごく平均的な身長だけどヘディングができてしまうのはジャンプ力があるんだろうか。それともタイミングの問題なのだろうか。水本といい野上といい、今のサンフレッチェにはヘディングに強い選手が揃ってる。それ故にセットプレーの得点が効率よく決まるのだった。

その後、柏から吉野、佐々木から川辺への交代がある。2人共レギュラーへ向けてアピールしたい。ところが攻撃はどことなく一服したようになってしまった。1点でも返したいと迫る長崎の攻撃は無難に抑えているものの更に点を入れてたたみかけることもなかった。そこは2点差の中でのリスク管理として理にはかなってる。そしてその理にかなった部分を交代の2人はそつなくこなしているのだった。

無理につなぐことなくクリアするとこはクリアし、クロスが入っても野上を中心としたDF陣が跳ね返す。シュートらしいシュートも打たせてない。そのお陰で守備の時間が続いていても特に焦ることはなかった。

スタンドのアウェイエリアでは我らの広島とチャントが繰り広げられる。勝ってる時にされることの多いチャント、11の局面ではガツンとボールを刈っていくことによりよりその勝利への確信を高めていくのだった。

そしてそのまま0-2で終了。勝つことができた。連敗することはなかった。好調の長崎を下すことができたというのも大きい。崩れかけた自信は固まる。そしてこのまま連戦を乗り切っていきたい。

この勝利でもう昨シーズンの勝ち点を上回った。たった1年でこうも変わってしまった要素は何なんだろう。監督の采配、守備の堅さ、新加入選手の活躍。いろいろな要素があるだろう。だけど少なくとも今は楽しくサンフレッチェの試合を観れる。長崎の青い空の下でそんな想いと共に幸福感に浸るのだった。

2018年4月26日 (木)

FC東京戦~完全なる敗北

2018/04/25 FC東京 vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム
 
 雨上がりの夜。空気が澄んで軽い肌寒さを与える空間に舞い降りた照明の光は何度も通ったスタジアムをどことなく違った雰囲気を与えるのだった。
 首位決戦。城福監督にとっては古巣のチームとの対戦。本来なら盛り上がる要素はあるものの、日程の影響で客の集まりにくかったのはしょうがなかった。それでもそれなりに人が集まってるのはやはりアクセスの影響だろうか。
 止んだと思ってた雨は再びしとしとと降ってくるようになった。そんな中で始まった試合だった。
 開始5分。ペナルティエリアに侵入してきたディエゴ・オリベイラ。懸命に止めようとした佐々木が切り返しに引っ掛かけてしまった。
 PK。ああ、佐々木またやってしまった。
 アグレッシブな守備が持ち味だが今シーズンこれで3回目である。あまりにも多い。さすがにこのPKはディエゴも決めてしまったがあまりにも早い失点がPKというのはあまりにも痛すぎるのだった。
 更にこの後、先発出場を果たした川辺が中盤の底でのワンタッチパスをカットされカウンター。またしてもペナルティエリアに入ったディエゴ。溜めて溜めて溜めて横パスをするとスピードに乗った永井に豪快に決められてしまった。おお、川辺、せめてミスパスの後永井を捕まえることくらいできなかったのだろうか。
 よもや前半の内にこんなに簡単に2点差をつけられるとは思わなかった。でも試合を続けていればこんなこともある。後半に攻勢をかけようと前掛かりになると今度は高萩が見事なスルーパスを披露。ドリブルで突き進むディエゴ。追いかける野上は追いつけずゴールのポストに当てて入れられてしまった。その決定力、スピード、テクニックはサンフレッチェの守備の一枚も二枚も上をいってたのだった。
 3-0。もはやこれで勝負あったような気がした。サンフレッチェの攻撃は全て読まれてるような気がする。ボールを受けた選手が次の手を考えて少しでも立ち止まるとすぐに背後からボールをかっ攫ってしまう。その素早い寄せにまるで太刀打ちできないかのようだった。
 この状況に活路を見いだそうと吉野を下げ稲垣を投入する。レギュラーを狙ってる吉野にしてみれば失意の交代である。ところがその交代後にゴール前パトリックがシュート。GKに弾かれるももう一度シュート。更にブロックされるとそのセカンドボールを押し込んだ。1点返したのだ。そして決めたのは稲垣なのだった。
 2点差。まだまだ遠いとはいえこれで勢いが増しいよいよ攻勢を強める。フェリペが交代で入ると前線で巧みにフェイントでかわして相手の虚を突く。和田も上がりクロスを上げる。中央からも狭いスペースを狙ってペナルティエリアに潜り込もうとする。が、入らない。あまりにも多すぎるゴール前の人数に皆弾き飛ばされてしまうのだった。
 押してる、押してる、押してる。でも入らない、決められない、決まらない。どこをどうやったら決められるのかわからない。そういえば昨シーズンはこういう展開で一向に点が取れずに苦労した。先制されるとそのまま亀のように閉じこもって守られた。そしてそうされることによって本当に点が取れないのでどのチームもみんな真似するようになってしまったのだった。これはまずい。このままノーゴールで終わるとやっぱりこうやってゴール前を固めた状態にされるとこじ開けることができないとまた今シーズンもその戦法をやられそうである。
 入らない、入らない、入らない。和田のクロスもGKにキャッチされてしまう。攻め手はいるものの段々精度が落ちて余計ゴールが遠ざかってるようなのだった。そしてほぼ全員が前に比重を高めて攻撃したにも関わらずゴールが奪えなかった。パトリックのフィジカルでも打開できなかった。セットプレーでも決めきることができなかった。パスの連携もゴールに至るまでは崩せなかった。負けた。いいようにやられた。完敗であった。
 開始早々のPKがなければ。追加点をあげてなければ。ディエゴを押さえる守備ができていれば。もっと早い時間にゴールを決めることができていれば。色んなことが後悔となってたらればの仮定を反芻してしまうのだった。
 してやったりという様子のFC東京。1位2位の直接対決は見事に2位のチームが勝利したのだった。
 フル出場させてしまったパトリック。スタメンを目指す吉野と川辺の起用によっての敗戦。佐々木のPKを与えてしまう守備。マイナス要素ばかりが目についてしまう。確かにまだ勝ち点では6ポイントも差がある。けれどもたった1回の敗戦がまるでこの世の終わりのごとく感じるのは今シーズン初めてリーグ戦で負けたからである。ただ問題はこの次である。さすがに連敗をすると厳しい。そして修正すべき課題も多く突きつけられた。果たしてこの試練を乗り越えることができるか。それができた時、また違った風景が見えるような気がするのだった。

2018年4月22日 (日)

鳥栖戦~High Wire

2018/04/21 サンフレッチェ広島vs サガン鳥栖 エディオンスタジアム広島

 

 開幕11戦負けなしを続けていたものの、ついにルヴァンカップで土をつけてしまった。リーグ戦とは違うとはいえそういう1試合で流れが変わってしまうということはよくあることだ。しかも相手の鳥栖は3連敗中。こういう相手だからこそこの結果いかんでは流れがガラッと変わってしまう可能性もあるだけに油断はできなかった。

 もはや桜のシーズンも終え初夏の陽気を感じる。急に気温が上がってきたので体調管理に気を付けるようにというアナウンスが天気予報でもされた。

 ところがそんなことなぞお構いなく鳥栖は運動量を生かしてくる。そのプレッシャーにサンフレッチェはなかなかボールを前に出せない。高さを生かそうにもガツンと跳ね返す。そしてパスによる崩しをしようにも縦パスを読まれてカットされてしまうのだった。

 そんな堅い守備からチャンスを与えないと攻撃へと比重を高める。SBの吉田までも上がってきてゴリゴリとドリブルで縦へ突き進んでいる。対峙する和田も振り切られマイナスで折り返し。中央フリーでシュート。

 ガンッ!

 ゴールバーに当たって跳ね返ったのだった。

 危ない。決まってもおかしくなかった。さすがの和田もガチムチの吉田には分が悪いかもしれない。が、GKからのつなぎのパスをかっさらいゴールに進んでいく。追いすがる吉田には腰を当て吹き飛ばしてしまう。ゴールラインから折り返し。受けたパトリック。かわして、かわして、かわそうとするも次々と現れる鳥栖の守備に打てない。そしてシュートさえ打てず攻撃が終わってしまった。

 一人をかわしても次の選手。粘り強く堅い守備。頼みのパトリックもゴール前ではマンツーマンで執拗にマークされてる。この鳥栖からどうやったら点が取れるんだろう。それどころか両SBが高い位置まで上がってきて左右にボールを散らしていく。人数をかけて守るサンフレッチェだがその守備網に入られる。完全なピンチであるがシュートが入らず事なきをえるのだった。

 苦しい。鳥栖の攻撃には何度もペナルティエリアまで入られた。対してサンフレッチェにはチャンスの数では圧倒的に負けている。2試合振り先発の渡に至ってはシュートすら打ててない。そんな展開に後半に交代を告げられた。がんばってよく走ってたが、FWとしては不本意だったろう。

 ところがそこでティーラシンが入るとボールが収まるようになる。ティーラシンのキープ、アウトサイドでのドリブル。2人、3人をかわし稲垣に預けるとシュート。大きく枠を外れたものの鳥栖のブロックを崩す一つの足掛かりとなった。

 ティーラシンから裏へのパス。走るパトリック。和田がオーバーラップ。潮目が変わってきた。だがまだ足りない。そこで稲垣から吉野の交代でよりギアを上げる。左右でボールを散らしつつ前へ後ろへとパスで翻弄する。クリアボールも収めることができ2次攻撃、3次攻撃とつながる。裏を使い、柏がドリブルで切り込んでいき、パトリックの高さを使ってシュートまでたどり着けようとする。だけど打てない。鳥栖の牙城を崩せない。

 最後の最後でパスコースを読んでる。守備に人数をかけている。パスで揺さぶる。右に行こうと左に行こうと付いてくる。パス交換が続き真ん中のティーラシンへ。落とす。パトリック、シュート。入った。入ったーっ!

 ゆっくりした展開から稲妻のような一撃。シュートを打ったのさえわからなかった。それに相まって速い弾道のそのシュートはGKも処理できなかった。

 先制点、残り時間は10分を切っている。いい時間、なんといい時間の得点か。パトリックのチャントがこだまする。3試合連続のゴールに酔いしれる。

 そして当然鳥栖は追いつくべく前掛かりになる。だが前半ほどのキレがなくボールを奪うとそのままカウンターのチャンスとなる。取れる時に取りたい。シュートチャンスはありながら決まらない。決まらない、決まらない、決まらない。ところがバックパスにティーラシンが詰めた。GKと交錯しつつ打った。入った、入ったーっ!

 そう思ったもののほんのわずか数秒の差で終了の笛が鳴ってしまってたのだった。幻のゴール。決まっても決まらなくても勝敗には関係のないゴール。だけど認めて欲しかった。あそこで笛を吹くかと思いながらもこれは贅沢な不満でもあるのだった。

 5連勝。でも今日も1点差。攻められる時間も多かった。それでもいつもわずかな差で勝つ。綱渡りを渡ってる。サンフレッチェの試合を観てるといつもそう感じる。そしてその綱を落ちずに渡ってる。大勝はないものの試合が終わってみれば勝っている。そこに逞しさを感じつつもこれから週2日のリーグ戦が続いていくのだった。

2018年4月19日 (木)

ルヴァンカップ名古屋戦~眠たき敗戦

2018/04/18 名古屋グランパスvsサンフレッチェ広島 パロマ瑞穂スタジアム
 
 丹羽が負傷し誰がCBをやるのだろうか。やはり野上が連戦をするんだろうかという予想を見事に裏切り出てきたのはルーキーの川村だった。これはなかなかの冒険である。攻撃ならいざ知らず守備で経験のない選手を使うのはなかなかに勇気のいることだった。
 ところがルヴァンカップ3戦無敗という成績のせいか、気持ちに余裕があった。恐らく大丈夫だろうという緩い気持ちもあった。そのせいだろうか、どことなく名古屋にペースを握られてるような気がした。
 確かにサンフレッチェはボールは持ててる。だがバイタルエリアにたどり着くと名古屋の網の目のような守備に引っかかってしまい攻め手をなくしてしまう。馬渡の右サイドは常にマークが着き、裏のスペースを狙ったロングボールはことごとく対処されてしまう。フェリペのドリブルは冴えなくトップの渡にいい形でボールが入ることがない。更には川辺が中盤の底で受けたボールをかっ攫われカウンターからシュートを打たれてしまった。
 どうしたんだ。ミスが多い。リーグ戦に出てない選手ばかりなので疲労がある訳ではない。みんなリーグ戦に出たいんじゃないのか。そんな気概を感じないどことなくぼやけたプレーである。
 ところがフェリペがボールを持つと川井が追い越しクロス。中央に飛び込んだ渡が左足できっちりと合わせたのだった。
 先制。チームの調子がよくないと思ってたのにちゃんと決めた。いや、やっぱりルヴァン組も素晴らしい。
 それでペースを掴んだサンフレッチェはプレスもよくかかりパスワークも冴えまくる。そして右サイド中心に追加点へとクロスを上げようとするもショートパスばっかりでちっとも上げない。そんなもどかしい展開を繰り返す内にボールを取られるとカウンター。名古屋はスルーパスを使ってDFの裏を狙ってくるのだった。
 GK中林のセーブ、DFのカバーで食い止めてたものの、遂に吉野が裏を取られてしまった。前に出る中林。だがワンタッチで収めたボールをズドンと決められてしまったのだった。
 やられた。ああ、やられた。でもどことなく悔しさが薄い。これがルヴァンだからか。それともこの期に及んでまだ余裕を持ってるのだろうか。
 するとサンフレッチェはみるみるミスを繰り返していく。単純なパスさえラインを割ってしまう。眠くなってきた。なんだか段々画面が霞んできたような気がする。あ、また攻められてる。名古屋ばっかり攻めるようになったじゃないか。
 それでも守備に踏ん張って自由にさせなかった。が、左から上げた適当なクロスからシュート。弾いた中林。だがそのこぼれ球をジョーに押し込まれてしまったのだった。
 ああ、逆転されてしまった。どうした、このまま終わるのかよ。皮肉なとこに追わなければいけない状況になって急に目が覚めたのだった。
 馬渡がクロスを入れる。だけど中で合わす選手がいない。パスで展開しようとすれば敵にパスしてしまう。こりゃ駄目だ。勝とうという気概も感じないしレギュラーへの渇望も見られないのだった。
 負けた。2-1で負けた。やっぱりパトリックがいないと勝てないのか。10番を背負ってるフェリペに関してはもはや見限った方がいいような気がした。
 いつかは負ける。それは当たり前のことだ。でもあまりにもつまらない試合に失望と共に眠気しか感じないのだった。

2018年4月16日 (月)

湘南戦~パトリックの2ゴール

2018/04/15 湘南ベルマーレvsサンフレッチェ広島 Shonan BMW スタジアム平塚
 
 開始早々に和田のパスミス。前線との連携も合わない。ボールがちっとも前にいかないのだった。
 どうした。疲れてんのか?
 そんな推測をしてしまうくらいにDFに安定感がない。果たしてそれは湘南のプレスが速いせいか。それともDF陣だけは連戦で出ずっぱりなので疲労が蓄積してることも考えられた。そしてそんな動きの悪さを湘南は徹底して突いてくるのだった。
 ボールに対しては素早いチェックでマイボールにし、攻撃に転ずると雪崩のように前線に人数をかけてくる。ボールは左右に散らしドリブルで縦をえぐってクロスを入れるとゴール前で合わせられる。やられたと思ったものの、運良く枠を捉えることができなかった。
 サンフレッチェもよく守ってはいる。最後のシュートを脚に当ててブロックしたりコースを切ったりと。それでもここまでゴールに近い位置でのプレーを許してるといつかやられるのでは。実際にシュートは打たれてる。ただそのことごとくが制度のなさに助けられてるのだった。
 ゴールキックで難を逃れるとGK林のロングキックは必ずパトリックを目指す。そしてボール落下点での競り合いは必ずパトリックが勝つものの、その後セカンドボールが拾えないのである。結果、また湘南にボールを拾われ守備に回らざるをえない展開ばかり続くのだった。
 それでもパトリックの落としに工藤が反応。抜け出したかと思いきや引っかかった。ああ、と溜息をついたもののハンドのファールがあったようでFK。攻撃の糸口がつかめない中でのセットプレーは貴重だった。柴崎が前線に蹴る。パトリック合わせる。中へ浮いたボールを工藤。ヘディングをかましたそのボールはカツンとクロスバーを叩いてしまった。
 ゴールが奪えない。チームにも得点がないが工藤自身にも決めきることができずゴールが遠いのだった。
 そして後半。やはりパトリック目掛けて蹴る。パスがつながらないのでそれが一番可能性がある。攻撃で前に行けると柏がペナルティエリアにクロス。受けたのはやっぱりパトリック。だが反転してシュートしようにも湘南のDFに詰め寄られてシュートにすらならないのだった。
 だがこのプレーがCKとなると柴崎が蹴った。ただパトリックにはマークが複数ついてるので厳しい。ボール落下点で両者入り乱れて飛び上がる。誰かの頭に当たった。そしてそのボールはゴールの中に転がっていったのだった。
 入った、入った、入った。入れたのはパトリック。あれだけの接戦の中で決めた。自分でターゲットになり自分でセットプレーを貰い、自分で決める。パトリック様々である。
 ここで今までのパターンだと引いて防戦一方になるはずである。ただ守りに徹するには時間があり過ぎる。すると工藤がティーラシンと交代した。攻撃の選手同士での交代。更に柴崎から川辺への交代。これはもう攻めていくというメッセージだった。
 パトリックが競る。ティーラシンがボールキープする。川辺もボールに絡みドリブルを織り交ぜる。サンフレッチェが攻撃への比重を高めていき前半とは大きく様相を変えていったのだった。もしかしてこれは湘南のプレスが弱くなっていったということだろうか。
 ここで湘南に選手交代があった。ミキッチである。おお、敵とはいえこれは空気を読んでくれたのだろうか。ピッチに入るミキッチに拍手が起こる。勝ってる余裕もあるのだろうがミキッチのプレーが観れることに誰もが喜びを感じるのだった。
 それでもサンフレッチェはCKを得る。スタンドで紫のタオルマフラーが回される。だがこのCKはヘディングでブロックされる。そのこぼれをクリアした湘南の選手。が、中途半端になったそのキックを予測してたかのように青山がカットするとワンフェイントからクロス。ファーサイドにいたパトリックがまたしても頭で決めたのだった。
 決まった。決まった、決まった、決まった。さすがに勝利を確信した。明らかに攻め手が少なくなった湘南に対して2点差はもう確実なものだった。そして湘南はその突破口にミキッチを利用するのだった。
 右サイドを駆け巡るミキッチ。縦を切れば中に切れ込んで左足でクロス。もしくはシュート。それらのキックは全てゴール前に届き中で合わせる選手がいれば大きな脅威に違いなかった。
 そして0-2での勝利で試合を終えた。8戦負けなし。走力で勝負する独特なスタイルのチームなだけに確かに前半は苦しい展開だった。それでも終わってみればもしかして最初からそれは作戦だったのかという気もしてきた。
 遠い遠いBMWスタジアム平塚。天気は快晴になったもののいつの間にか上着が欲しい温度に落ちていた。日の落ちていったスタンドの先に視線を向けると夕日が富士山の陰から光を漏らし、神々しい光景として彩られるのだった。

湘南戦~予想に反して晴れた平塚

2018/04/15 湘南ベルマーレvsサンフレッチェ広島 Shonan BMW スタジアム平塚
 
 平塚ではとんでもない悪天候の記憶があるせいで雨予報には過剰に反応してしまった。ポンチョから上着からほぼ考えられる対策をしたものの、平塚駅を降りると見事なまでの青空。歩行をすると体温は上昇する。これは連戦の中、消耗される戦いとなるだろうこと想像しつつにじみ出る汗をタオルで拭うのだった。
 商店街のこの道を抜けてそのまま真っ直ぐだったような気が。
 そんな朧気なる記憶を頼りにスタジアムに向かう。久しぶりに来たのでしょうがない。本来はシャトルバスに乗れば簡単なのだが歩こうと思って歩けなくもないだけにやはりそこはケチってしまうのだった。
 平塚市総合公園が見えてきた。ちょうど目の前にはPILOTの工場があるが歩道沿いに湘南の選手の旗が掲げられ思わずミチッキのがないか探してしまうのだった。公園内には屋台が建ち並びサッカー観戦客が列をなしていてさながらその様子はお祭りのようだった。
 両チームのレプリカを着た人で入り乱れた歩道を切り抜け6番ゲートに入る。アウェイ席ではないもののゴール裏の隣でもあり、結構紫のシャツを着てる人の多いエリアでもある。そこで仲間に合流すると、暑いねーと挨拶に代えた言葉が出てきた。
 椅子に着きピッチを眺めるとやはり遠い。元々Jリーグの開催などを想定して造ったスタジアムではないだけに臨場感はない。それでも両ゴール裏の立ち見席にはサポーターがぎっしり入りコール合戦が行われる。そんな時、湘南側からミキッチのチャントが流れたことに色めき立ってしまう。マッチデープログラムも表紙がミキッチだったり、湘南は何かとアウェイ客へサービス精神が旺盛だ。
 選手紹介のアナウンスが流れ、ミキッチの名前が呼ばれると手を叩いてしまう。敵チームとなってしまったとはいえミキッチのプレーが観れるというだけで嬉しい。ただ、スターティングメンバーではないだけにちゃんと出場してくれればいいが。勝敗とは関係なくそんなことを考えていたぼくのレプリカには背中にミキッチのプリントがされているのだった。
 正面を見据えると富士山の突起部がが綺麗に背景をなしている。天気の悪い日ばかり来てたせいでそんな光景が観れるなんて初めて知ったのだった。

2018年4月12日 (木)

マリノス戦~勝機の導き

2018/04/11 サンフレッチェ広島 vs 横浜Fマリノス エディオンスタジアム広島

 

 ティーラシン、渡の2トップ。松本のリーグ戦初出場。丹羽と吉野が出場し6人メンバーを入れ替えた。15連戦を乗り切る為には少なくともパトリックは酷使できない。運動量を持ち味とする稲垣も休ませたい。守備陣ではせめて水本だけでも控えておきたい。それに多くの選手に出場機会を与えたいという意向からの布陣となった。

 マリノスの堅い守備は伝統である。正面から攻めてもなかなか崩せない。なのでCKでトリックプレーを試みたものの吉野がシュートを大きくふかしてしまう。おお、外すにしてもそこまで大きく外すことはないだろと吐息をつく。

 その後は主導権を握られ防戦一方に。身体を張ってよくしのいでいるものの、そんな中で丹羽が負傷。水本との交代を余儀なくされてしまい早くもゲームプランが狂ってしまった。

右サイドではブマルに突破される。11の攻防に佐々木も対処に苦慮していた。そんな混乱からだろうか、ペナルティエリアに入った浮き球のパスに対して受け手の進路を塞ぐ。肉弾戦の競り合いは佐々木の強いフィジカルに対して中町は簡単に倒れてしまった。それは踏ん張ることなく、ボールを追う意思もないままなすがままに地面に伏してしまったのだった。

 ピーッ!

 PKの宣告。2試合連続である。痛い、痛すぎる。かといって佐々木を責める気にもならない。こけた方が上手かったのか、それともあまりにも攻められてペナルティエリアの侵入も許しすぎたせいなのか。残すはGK林のスーパーセーブに期待するしかない。が、さすがに今回ばかりはウーゴのPKを防ぎきれなかった。

 前半終了間際。せめてあと数分無失点で抑えることができたなら。そんな悔いを残しながら後半への展望を考えながらも活路が見いだせないのが正直なとこだった。すでに交代枠が2つしかないというのが痛い。GKの飯倉はもう一人のリベロであるかのようにポジションを上げ裏へのボールにも対処されてるのだった。

 パスでも切り抜けられない、裏も狙えない、八方ふさがりの様相を呈したがここで渡が中盤からワンタッチでロングボールを蹴る。GKが前に出ることを見越したロングシュートなのだろうが大きく枠を外れる。が、ここに精度があれば大きなチャンスであるのだった。

 各選手がよりプレッシングの強度を強めた。佐々木はブマルのドリブルを抑え込むようになり渡は身体を押し込み高い位置でボール奪取をする。そんな積極的な守備が攻撃への活力を生み出しペナルティエリアへのフィード。これを受けようとしたティーラシンが倒れた。山中に押されたのだった。

 PK。またしてもPKを宣告された。蹴るのはティーラシン本人である。これを決めるかどうかが大きい。そしてティーラシンの蹴ったボールにGK飯倉の読みは当たってしまう。が、ボールの威力とコースがよかった。飯倉の手を弾いてゴールに叩き込まれたのだった。

 同点。生き残った。振り出しにもどしたことで大きな安堵の息を吐く。少なくともこのまま失点しないでいきたかった。

 が、サンフレッチェは前への推進力を強めていく。渡に代わってパトリックが入る。それはもう点を取るというメッセージだった。そして青山が入るとパスワークが冴えわたり押し込む展開が続く。SBの佐々木まで柏を追い越してボールを受ける場面が出てくる。すると柏がドリブルで切れ込みシュート。GK弾く。とそのこぼれに詰め寄ったパトリック。ただ当てるだけでゴールに入ったのだった。

 逆転。うおおおおおおっ、とスタジアムが揺れた。アシストした柏もガッツポーズ。パトリックもお決まりのマシンガンのゴールパフォーマンスを繰り広げるのだった。

 このまま終わりたい。奇しくもまたしても前節と同じように耐えて耐えて守備に徹しないといけない状況に陥ってしまった。守ってるだけにするつもりはない。それでもマリノスのボール回しと個のテクニックになかなかボールの取りどころがない。守備の重心が下がってしまう。セカンドボールも拾えないが、ゴール前へ入れたロングボールには的確なポジショニングで弾き返した。そしてそれを前線のパトリックにつなげたのである。

 素早いチェックで前に立ちふさがったマリノスのDF。が、個人技で突破。ゴール目掛けて突き進む。大きく前に出てたGK飯倉も全速力で戻るもそれを見越してロングシュート。スーッと弧を描いたボールはゴールに吸い込まれたのだった。

 入った、入った、入った。2点差。すでに90分は過ぎた。大きい、あまりにも大きい追加点にもはやお祭り気分だ。それでも気を緩めることなくアディショナルタイムをやり過ごし3-1で勝つことができたのだった。

 でも結局パトリックがいないと勝てないのか。そんな課題も残したものの渡はこの試合の制し方を指南した。松本も青山と交代するまでゲームを破綻させることがなかった。丹羽の怪我は痛かったが吉野をはじめ代わりに出た選手がそれぞれ役割をこなしてくれた。まるでそれは一番のライバルはチーム内のポジション争いという様相だ。

 完全に押し込まれる時間が多い中、ここぞという時間に前に出る。昨シーズンとはまるで違う展開に高揚感の中に心地よく漂うのだった。

2018年4月 9日 (月)

柏戦~苦しみぬいた勝利

2018/04/08 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 三協フロンテア柏スタジアム

 

 澄み渡った空。温暖な気候。昼に設定された試合時間はスタジアムを超満員にするかと思いきやバックスタンドには所々空席があった。元々それ程の収容力を持ってないこのスタジアムはこの先増設されることはないだろう。ピッチとの高低差があまりないアウェイゴール裏の立見席でこの先観戦環境がよくなることがないという予測に落胆を覚えた。

 とはいえピッチまでの近さでいえば他に及ばなく、すぐ間近でサンフレッチェの選手たちが見れる。パトリックの筋肉の筋まではっきりと確認でき、林の身体の大きさも再認識することができるのだった。

 そんなパトリックに当てて展開するというパターンはいつもと一緒なものの、素早い寄せ、果敢なチェックは柏に攻撃へ転じる隙を与えなかった。奪われても取り返す、そんな好循環が攻撃への厚みを増す。SBの和田がオーヴァーラップする。前線での工藤のキープからパスを受けるとクロスを上げる。混戦のゴール前ではヘディングが前に飛ばずに流れるも逆サイドに佐々木がいた。左SBの佐々木がなぜかペナルティエリアにまで上がってボールを収めシュート。ゴール隅に一直線に飛んだボールはネットにはっきりと突き刺さったのだった。

「うおおおおおっ!」

 手を振り上げ雄たけびを上げ狂喜乱舞するアウェイゴール裏。あれだけ押してる展開だから誰かが決めそうでもあった。それでもそれがDFの佐々木とは思わなかった。怪我で2シーズン棒に振ったディフェンダーがここまで強烈で制度のあるゴールを決めたというのも驚きだった。

 まずは1点。そしてまだ1点。決して油断できる点差ではないし守りに入る時間でもない。追加点、追加点が欲しいのだった。

 ところが後半に入ると状況が一変する。柏の攻撃に歯止めが利かなくなりクロスを放たれる。クリスティアーノの縦へのドリブルが止めれない。前でキープしようにもクリアボールが全部柏に渡ってしまう。プレスも掻い潜られるようになり中盤から前線へとパスをつなげられる。ドリブルで突き進む山崎。懸命に追いすがる和田。だが切り返しのところでやってしまった。倒してしまった。脚を引っ掛けてしまうとペナルティエリアに倒れ込んでしまったのだった。

 PK。

 松尾主審はペナルティスポットを差す。あれ本当に脚だったのか、ボールにいったんじゃないのか、そんな議論がアウェイゴール裏で沸騰する。だが後で判明したことだが、確かにファールではあったもののその位置はペナルティ外であった。PKをもらえるような倒れ方をしたのは明白だった。

「タクト!タクト!」

 GK林への希望と願望がコールとなって繰り出される。セットしたクリスティアーノ。主審のホイッスル。わずかな助走の後に蹴った。弾いた。ボールは山越しにゴールラインを越えていった。

「おおおおおおおっ!」

 アウェイゴール裏の沸騰が再び訪れる。ぼくも隣の仲間にハイタッチを求められた。だがまだ終わってない。相手のCKである。すぐに気を取り直し守備への集中へと切り替えるのだった。

 防いだ。またしても危機をしのいで失点は免れた。だがその後もボールの支配権を奪われ責められ続ける。身体を張った守備。シュートに対しては身体を投げ出しブロック。ドリブルに対しては人数をかけて侵入を許さない。それでも伊東純也のドリブルには対応できずゴール前まで入られる。が、最後の砦、林が飛び出して防いでしまうのだった。

 苦しい苦しい守備の時間。ボールが下がった時には工藤が果敢にプレッシャーを掛ける。それが少しでも攻撃を遅らせることにつながる。工藤も結果に飢えている。柏下部組織出身であることからもこの試合に対する意気込みは大きかったろう。もはやシュートまでいく展開にはなりづらくなってるので守備で貢献してる。だがそこを称賛されるのは本人としても不本意だろう。本当は点を取る選手。そんなプライドが全速力のチェイシングへと向かわせているかのようだった。

 そんな気概も空しく川辺との交代を告げられる。ピッチを去る背番号9は昨シーズンの低迷の元凶とされたものの大きな声援が送られた。決めさせてやりたい。そんな気持ちが皆に共有されたかのようだった。

 そしてパトリックにも渡との交代を告げられいよいよ守備堅めの様相を呈してくる。跳ね返して跳ね返して跳ね返し、前線では渡がロングボールに競り合いを掛ける。ライン際ではボールキープに努めて少しでも時計の針を進めようとする。

 あと何分?時計が見えないのでさっぱりわからない。アディショナルタイムの4分は掲示された。ゴールキックやスローインになるとそれだけで拍手喝采が飛ぶ。じりじりと焦れる想いの中で鳴った。タイムアップの笛が吹かれたのだった。

 苦しい苦しい後半の苦闘は勝利という名の元に開放されたのだった。

 開幕から負けなし。それは誇るべきことでありながら楽な試合は1試合もなかった。そして今日も紙一重で勝てた。なので強いという実感はない。それでもこうして結果を残してるチームに称賛の念が尽きないのだった。

 ところがもう3日後にはもう次の対戦が控えている。全くもってワールドカップイヤーの過密日程は息つく暇もないのだった。

2018年4月 5日 (木)

ルヴァンカップ浦和戦~チャレンジのない引き分け

2018/04/04 サンフレッチェ広島vs浦和レッドダイヤモンズ エディオンスタジアム広島

 

 今シーズン負けなしのサンフレッチェ。それはこのルヴァンカップでターンオーバー制によってメンバー総入れ替えをしながら勝ったというのが大きい。リーグ戦のメンバーは勝たないと代えられるので勝たないといけない。カップ戦のメンバーは勝たないとリーグ戦に選ばれる可能性を閉ざされてしまう。相乗効果が上手い方向にいってるのだった。

 その中でリーグ戦組であったティーラシンと川辺がスタメンに入り若干のメンバー変更が行われることによっていよいよ全員にチャンスは巡ってくるという示しになるのだった。

 対して浦和は成績不振により監督交代の初戦である。こちらもメンバーを大きく入れ替えてきてどういう戦いをしてくるのか不明な部分もあったが、それでもサンフレッチェの方が積み重ねがある分有利であるだろう。そもそもルヴァンカップは2連勝中でグループ首位である。ここいらで突き放してグループリーグ突破に弾みをつけたいものである。

 そんな意気込みで試合に入り早々にゴールに向かうプレーがあった。バイタルエリアで受けた渡は迷うことなくシュート。右に空いてる見方がいたのだが打ったのはストライカーならではの習性だろう。ゴールの上を抜けていったもののこれはこれでゴールへの予感をかんじさせるものだった。

 その後も馬渡が右サイドを突破する。グラウンダーのクロスに渡がヒールキック。意表は突いていたがGK真正面。ゴール前へ出たボールもティーラシンが飛び出すもGKにぶち当てそのセカンドボールも馬渡がDFにぶち当ててしまう。決定的場面をことごとく決めきれない。そこを見切ったのか後半はティーラシンに代え工藤が入るのだった。

 ルヴァンカップにおいてはこれまでやってきた2トップに戻った。なのでよりやりやすくなるだろう。工藤にしても結果に飢えているに違いない。

 そんな折、中盤からぽっかり空いたスペースへボールが出た。走る工藤。飛び出したGK。ここを抜けるとがら空きのゴールが待ってる。そこをかわせ、抜くんだ。自然と腰が浮いてしまう。が、ここでGKにボールをカットされてしまった。ああ、なんてことだ。あれをかわせないなんて。果たしてこれはストライカーに対する要求としては過度なるものなんだろうか。

 その後も工藤はCKを当てつつも枠に収められない。競り合いの中だし当てただけでもいいのかもしれないが、もはや工藤にゴールを期待することはできない。もういい、誰でもいいから決めてくれ。

 するとまたしても馬渡がサイド深くえぐって折り返す。逆サイドで待ち構えてたフェリペはどフリー。

 決まった、これは決まった。

 声に出さずとも自分の中で叫ぶとシュートを打ったフェリペの姿があった。

 ドカーン!

 まるでそんな音が聞こえそうなくらいボールは高く舞い上がってしまった。ああ、外した。あれを外してしまうかよ。焦った、タイミングが合わなかった。色々な言い訳が浮かんでくるんだろうが少なくともフェリペはリーグ戦へ出るチャンスをみすみすのがしてしまったのだった。

 そんな決定的チャンスをことごとく決めきれないでいると浦和も息を吹き返し攻撃に厚みをましてくるようになった。吉野を入れ稲垣を入れもはやベンチの采配も失点をしない方向へ向かうのだった。マルティノスがドリブルする度に肝を冷やされる。それでも最後の最後は身体を張って防ぐのだった。

 結局そのままスコアレスドローで終わる。点が取れなかったのは悔しい。だがそれ以上に失点をしなかったことに大きな安堵を感じるのだった。

 どことなく縮こまったサッカーに見えた。川井などボールを持った時に次のプレーを考えることが多かった。それが象徴してるようにどこか思い切りのないサッカーに見えたのはぼくだけだろうか。

2018年4月 1日 (日)

川崎戦~制した頂上決戦

2018/03/31 川崎フロンターレvsサンフレッチェ広島 等々力陸上競技場

 

 武蔵小杉駅からの歩行は澄んだ青空の下、桜の花びらが光景によく溶け込んでいた。歩くと次第に汗ばんでいきシャツ1枚でもいいような気がしつつもサッカーのレプリカを着た人をあまり見かけなかった。それもまだ開場前の時間であるが為にしょうがないのだろう。

 が、一旦スタジアム隣接の公園に入ると目を疑った。そこはすでに多くのサッカー観戦客に埋め尽くされ各自ゴザを敷いて花見をやっているのである。そしてアウェイゴール裏ゲートからは三重にも折り重なった列ができており、一体どこがこの最後列かわからない。案内のプラカードを見つけた際にはホッとしたもののその前の人数を見渡すと席の確保ができるのか不安を抱えたのだった。

初めてこのスタジアムで試合があった2000年には10人くらいしかサポーターがいなかった。それがここまで人が集まるようになったのはこの試合が頂上決戦という意味合いからだろうか。ただし川崎は昨シーズンの優勝チーム、サンフレッチェは残留争いをしたチーム。現状では向こうの方が格上といったとこだろうか。

 開場後は仲間と合流できて無事席を確保できた。2階席だったせいだろうか、背後から風が入り込み肌寒さを覚える。さっきまで暑いと感じてた体感温度は屋根の下に入ることによって一気に下がっていった。そしてそんな中でもみるみる内に席は埋まっていった。元々関東でのサンフレッチェの試合はかなり客が来るようになっていたがここ2年くらいから一層多くなってきたのである。

 時折麻黒い顔の人を見かけるとタイ人ではないだろうかと推測する。ティーラシン目当てで来るのだろうが残念なことにスタメンではなかった。川辺も外れ工藤、柴崎というルヴァンカップで結果を残した2人を入れてきたのは川崎のパスサッカーへの対策とも受け取れた理にかなってた。リーグ戦初先発の工藤にとっては期するものがある。パトリックと2人でゴール前での競り合いに持ち込めれば勝機はありそうだった。

 ところが試合では完全に川崎のパスワークに翻弄されてしまう。プレスをかけるもかいくぐられつかみ所がない。2人、3人と連動してボールにプレッシャーを掛けようとのこと奪ってロングボール。だが一発を狙った裏へのボールはパトリックと工藤がことごとくオフサイドに掛かってしまうのだった。

 他にもゴールキックをパトリックに目掛けて蹴るものの、競り合いで勝ってもセカンドボールを必ず川崎に奪われてしまう。あれだけパトリックが身体を張ってるというのにどうにも回りが生かしてくれないのだった。

 一方で川崎はパスを回す中でも一瞬の隙を見つけて大久保がミドルシュートを打ってきた。ゴール内がら空きスペース。うわ、やられたと思った瞬間GK林卓人の片手が伸び弾いてくれたのだった。

「タクト!タクト!」

 怒涛のような卓人コールが発せられる。最後にゴールを割らせないというのは林がGKをしているというのも大きな要素なのだった。

 ハーフタイムに入りぼくらは川崎の方が上手いと認め合った。ボールを奪われないパス回しというサンフレッチェのお株はすっかり奪われたようだった。ただ、野上を中心としたDFは機能してるものの点を取るには何かが足りなかった。シュートの意識、単独での打開であるが工藤にはそういう意味で機能してないのは残念だった。そして後半に入り最も早く後退したのは工藤だった。予想は当たったもののそれはそれで少し寂しい気もしたのだった。

 代わって入ったのは川辺。たかが1人代わったくらいで変化はおきないだろうと思いきやその途端にパトリックが競り合いで落とすルーズボールを拾えるようになった。すると攻撃への足掛かりとなりどんどん後ろの選手も上がってくると攻撃への勢いが増してくるのだった。

 川辺がドリブルで切り込んだりスルーパスを出していく。パトリックは裏のスペースに走るとDFをスピードで置き去りにしていく。ゴールへ迫っていく圧力は大きくなった。それなのにシュートという場面でパスを出してはカットされてしまう。

 柏などもドリブルで2人、3人と抜いても自分で打たずにサイドのスペースへパスを選ぶ。シュートの意識に欠けるのか川崎の守備にその隙がないのか。そんな折にCKを取ったのだった。

 セットする柴崎。ふわっと挙げたボールにパトリックが競る。頭に当てることはできた。が、GKに弾かれ混戦の中に入るとパトリックの足元に落とされるとシュート。ゴールに流し込まれた。

 ゴール、ゴール、ゴール!

 どわああっ、と立ち上がる。ピッチの上でも選手の輪ができる。そして感極まったパトリックがアウェイゴール裏へ走って来るのだった。

「パトリック!パトリック!」

 熱を帯びたコールがピッチへ向けられた。先制点というのと相まって戦術パトリックと言っていいような戦法で頼り切っているだけに今期初ゴールに対する祝福の感情が止まらなかった。

 そしてここで攻撃の柏に代えて守備の吉野が入る。失点を防ぎたいことからの采配だがここで川崎が左サイドからクロスを上げてきた。ゴール前で合わせられる。林が弾く。が、そのこぼれを押し込まれてしまった。

 盛り上がる川崎のスタンド。ところが詰め寄るサンフレッチェの選手に審判がゴールの判定を出さない。静まり返るサンフレッチェ応援席。すると笛が鳴りゴール前からのフリーキックでのスタートを宣告された。

「うおおおお!」

 ゴールを決めたかのように皆が立ち上がった。追いつかれたと諦めたがまだ生き残ってた。勝ってる、まだ勝ってるんだ。

 そのリスタートの時間が沸点を高めたピッチの上に落ち着きをもたらせた。守備は冷静さを取り戻しクリアするとこはクリアをしつなげるとこはつなげていく。そしてパトリックがカウンターへとドリブルを仕掛けるとファールで倒された。

 チャンスを潰されたことによる罵声を発する。だが時間も稼ぐこともできた安堵もある。

攻めるとこは攻めるが詰まった時は川辺がサイドで時間稼ぎをする。引きこもるとやられそうなだけに実に効果的な時間の使い方によりタイムアップを迎えたのだった。

一斉に立ち上がったアウェイゴール裏。誰彼ともなくハイタッチをしていく。そしてコールが鳴り響くのだった。

「クランデ・ビオーラ・ヒロシマ!」

 声の塊が屋根の反響で響き渡る。首位決戦を制した。そしてパトリックがゴールを決めた。まだまだ5節終わっただけだが酔いしれずにいられないのだった。

« 2018年3月 | トップページ | 2018年5月 »

最近のトラックバック

2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles