« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

2018年3月18日 (日)

磐田戦~スコアレスドローの意味

2018/03/18 サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 エディオンスタジアム広島

 

 ジュビロ磐田。

 今シーズン主力としてスタメンを張る川辺が昨シーズンまで2シーズンレンタルで在籍した。磐田でも中心選手として活躍し、てっきりそのまま完全移籍してしまうかと思いきや戻ってきたのはちょっとした驚きでもあった。ただ、戻ってくるからにはチームの核ななるべく決意があっただろう。

 磐田で成長し磐田で開花した。

 それだけに両チームとって特別な感情のある一戦であった。そして実際、アグレッシブな潰しあいのような試合になるのだった。

 前線のパトリックに預けるサンフレッチェ。競り合いでは勝てるもののその後の展開がない。そして磐田がボールを奪うとアライウトンが右サイドからゴリゴリとドリブルでえぐる。対峙する和田。だがフィジカルで勝てず突破されるとシュートまで持ち込まれた。

「うわ」、と声を上げた。が、枠に入らなかったことでホッと胸を撫でおろすのだった。

その後にも磐田は左右にボールを散らしクロスを入れる。そこに川又が飛び込む。その迫力に恐怖するがサンフレッチェのDFも身体を当てて自由にはさせないのだった。

膠着状態。特に磐田の守備への戻りは異様に速い。前がかりに責める磐田に対しては当然カウンターのチャンスもあったものの、パトリックがドリブルで持ち上がるもゴール前まえ行った時にはもうDF3人も戻っているのだった。ボールをこねて見方を探す。そしてその遅れた分DFも寄せてしまいボールを取られてしまうのだった。

ああ、もっと強引に。入らなくてもいいから打ってほしい。ドリブラーの柏がペナルティエリアでパスを出してカットされた時、そんな想いが強くなるのだった。丁寧に丁寧に崩してから打とうとしてるので最後の選択が全部読まれてるようだった。

スローインも取られ、ゴールキックもマイボールにできず、ペースは完全に磐田のものだった。吉野、柴崎を入れ打開を図る。今シーズンの鉄板の交代であったが戦況はちっともよくならない。そこで最後の交代として馬渡が右サイドにはいったのだった。

ドリブルとクロスで壁を打ち破りたい。そんな意図だったろうがそもそもサンフレッチェの攻撃にならない。裏を狙いパスでマークを外していこうとするもシュートまでいけない。堅い、堅いDF。だがそれを打破するために強引なプレーがほしい。そう思ってたら稲垣がミドルシュートを打つ。売った瞬間に大きく外れるのはわかったシュートではあったが、それでもこういうプレーしか可能性がないような気がするのだった。

時間は刻々となくなっていく。これはもう引き分けならよしとするか。だけどやっぱり勝ちたい。それでいてクリアボールが相手ボールになる度に失点さえしなければいいような気がしてくるのだった。

 相手ファールでプレーが止まった。とりあえず一息つけた。GK林のキックからロングボールが放り込まれる。前線での競り合い。時間のない中でのパワープレー。こういうプレーで点が入った試しがないだけに期待はしてなかったものの競り合いからルーズボールがサンフレッチェの選手の足元に入る。シュート。が、DFのブロックにより大きく跳ね返されるのだった。

ここで試合終了。ああ、勝てなかった。策はつくしたはずだが駄目だった。正直あと90分やっても点が入りそうな気がしなかった。逆に失点の不安の方が大きかった。判定という要素があったら完全に負けだろう。

ところが試合後のスタッツを確認するとボール支配率も枠内シュート数もサンフレッチェの方がわずかに上なのだった。

人間の印象とはいかに当てにならないものか。中断前の試合で引き分け。これがよかったのか悪かったのか。でも少なくとも点が入らなかったことでルヴァンカップでのメンバーとの入れ替えも出てくるかもしれない。

ああ、勝ちたかった。だけど昨シーズンだと簡単に失点しなかった場面で踏ん張れた。残留争いをやったチームにしては奮闘したと考えるべきなんだろうか。

2018年3月14日 (水)

ルヴァンカップ名古屋戦~渡初ゴール

2018/03/14 ルヴァンカップ予選リーグC組 サンフレッチェ広島vs名古屋グランパス エディオンスタジアム広島

 

 寿人がエディスタにやってきた。

 しかしそれは赤いユニフォームの敵として。

 それでもどこか嬉しさが込み上げてくる。絶対的エースとして初優勝の時は得点王の活躍。間違いなく優勝に導いてくれた選手の内の一人なのだった。敵として観るにはやはり違和感があるのだった。

 そんな寿人の築いたエースとしての地位に上り詰めようともがくのが渡だった。J2から移籍してきてJ1での得点がまだない。チーム内のライバルはみんなゴールを決めてるだけにどうしても結果を出したいだろう。前線からの果敢なプレスにはその気概が感じられた。

 ところがチームとして今一つパッとしない。名古屋の方が攻めている。寿人にはいきなりミドルシュートを打たれてしまった。そういう中で渡にはなかなかチャンスがないのだった。

 それでも活路を見出そうと守備陣へプレスを続けゴール前でかっさらう。ヒールパスで工藤へ。

シュート。

が、GKに弾かれてしまった。

 その後に渡は柴崎のスルーパスに抜け出しシュート。ゴールには入ったもののこれはオフサイド。惜しい。そして歯がゆい。あと少し、あと少しのとこでゴールにならないのだった。

 後半に入り攻守のバランスが冴えわたる。名古屋のパスに対して的確なポジショニングでカットする。前線で柴崎にボールが入る。大きくオーバーラップした馬渡に出る。そしてクロス。低く速い弾道のポール。渡のヘディングがガツンと入るとゴールに叩き込まれたのだった。

 決まった。渡のJ1公式戦初ゴール。そしてアシストしたのが馬渡と徳島から移籍したコンビがそのままホットラインを使ったというのがよかった。渡にとってもやっとスタートラインに立ったという気がしただろう。

 その得点からというもの一気にたたみかけるように攻め挙げる。もはや負ける気はしない。左サイドフェリペの突破からクロスを上げると見せかけ切り返し。グラウンダーのラストパスに反応したのはティーラシン。ゴール真正面に突き刺したのだった。

 追加点。もう何点取れるかわからない。ベンチでもそういう意図だったんだろう、ドリブラーの柏が準備をするのだった。

 ところがそんなお祭り気分の隙を突くかのようにDFの隙間にスルーパスを出されるとするするッと抜け出されてフリーでシュートを打たれるとゴールを決められてしまった。一体何が起こったのか。失点した瞬間しばらく呆然としてしまった。その喪失感はそのまま名古屋にペースを与えてしまって逆に攻められるようになってしまった。

 そこに危機感を覚えた城福監督は交代選手をDFの野上へ変更して渡と交代する。渡にしてみればアピールの機会を潰された。本来なら攻撃の選手にとってもアピールの場となるはずだった。が、もはや逆流した流れは止めることができず防戦一方となってしまった。

 もはや勝てばいい。どんな形だろうとこの試合は勝たないと。GK中林もバックパスはセーフティーにクリアしてラインに出している。もはやそこに華麗さや優雅さなどない。どんな形でもいいので失点を防ぎやり過ごせばいいのだった。

 そしてタイムアップ。勝った喜びより安堵感の方が大きかった。快勝ではない。選手の喜びが小さいことがそれを物語っていた。

それでも勝ったことの意味は大きかった。勝たなきゃ意味がない。その意味を昨シーズン痛い程思い知らされた。だけどそれをメンバー総入れ替えでやったことが大きかった。そして毎回違う選手がゴールを決める。そういえば調子のいい時のサンフレッチェって色んな選手がゴールを決めてた。最後は苦しみながらもそんなことを思い出させてくれたのだった。

2018年3月10日 (土)

鹿島戦~5年ぶりの勝利

2018/03/10 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 鹿島サッカースタジアム

 

 鹿島に勝てない。

 実際に5年くらい勝ってないものの、その負け方が散々なものであった。そのほとんどが複数得点を入れられての惨敗である。開幕2連勝したとはいえさすがにこの試合だけは厳しいものになるだろう。陸の孤島と呼称される鹿島スタジアムは到底楽しいとは形容できない雰囲気を持っているのだった。

 ところが都心からも離れてアクセスの悪いスタジアムにのアウェイゴール裏には紫のサポーターで埋め尽くされてた。関東のスタジアムでアウェイゴール裏が満席になるのはもはや当たり前になったものの、鹿島だけは人が来なかっただけにこれは驚きだった。

 ミッドウィークにACLで戦ってる鹿島に対してサンフレッチェもルヴァンカップがあったとはいえメンバー総入れ替えをしたので体力的にはこちらが有利だと考えられる。なので運動量を生かして攻めていこう。そう思ったもののやはり鹿島は上手かった。巧みにプレスをかいくぐってはボールを前に進めていく。そしてゴール前のペトロ・ジュニオールへと渡る。あっ、と言った瞬間にはシュートを打たれた。が、これをGK林が止めたのだった。

 おお、林。その後も林は小笠原のミドルシュートを止めたりと安定している。改めて最後の砦として林の存在というのは大きいのだった。

 更にDF陣も身体を張って食い止める。そのしつこさに鹿島のストライカー金崎はイラ立ちを隠せない。ルーズボールに対する佐々木のブロックに突き飛ばしてしまった。

 鹿島は焦ってる。

 攻めてるようでいて防がれてスペースを見つけては効率的に攻めるサンフレッチェに歯がゆいものを感じてるのだろうか。特に前線のパトリックにボールが出るとドリブルでゴールに向かっていく姿は迫力がある。ゴールライン際からの折り返しはてっきり決まったかと思った。が、ティーラシンが打つ前にクリアされてしまった。

 それでもサンフレッチェのスローインから始まり右サイドから川辺がドリブルで入るとまたしても折り返し。が、またしてもカットされてクリア。ここで攻撃が終わると思ったその時だった。DFの和田がそれをカットしたのである。そのままシュート、と見せかけフェイントから今度は本当に打つとガツンとゴールネットを揺らせたのだった。

 決まった、決まった、決まった。先制点。

 だけど何でDFの和田があんなところにいたんだ。しかもまるでストライカーのようなシュートまでの動作。今シーズン加入したこのディフェンダーは知名度が低く大した期待は掛けられてなかったにも関わらず、こういう重要なゴールを決めてしまったのだった。

 追いかける鹿島はここで鈴木優磨が入る。その時点で嫌な予感がした。するとサイドからゴリゴリと力ずくでのドリブルを仕掛けてくる。抜かれた佐々木。ペナルティエリアに入ると手をかけて倒してしまった。

 ピーッ!

 主審の笛が響き渡る。

 手にはイエローカード。

 佐々木のプレーに警告を与えられてしまいPKを宣告されたのだった。

 ああ、佐々木。それをやっちゃいかんだろ。さすがにこれは決められるだろう。ボールを置いた金崎。あれ、鈴木じゃないのか。そんな違和感があったもののここは決められるだろう。そして主審の合図と共に金崎は蹴った。

 バシン!

 林の掌がボールを捕らえた。止めた、止めたのである。林がPKを止めたのだった。

「うおおおおおおおっ!」

 ゴールが決まった時、いやそれ以上の雄叫びをあげた。実際にこれは点を決める以上の価値のあるセーブだった。

 もはや何が何でも守りたい。守備固めをするには時間が早すぎるものの、守ることしかできない。跳ね返しても跳ね返しても拾われる。まるでそれは相手の方が人数が多いかのようだった。

 ボールを奪ってもその先が手詰まりになる。パスコースがなく孤立するのですぐに奪われてしまう。それは鹿島のプレスが早いのか、それともサンフレッチェの選手が疲れから動きが遅くなってるのか。

 マイボールの時間をつくりたい。でもつくれない。苦しい苦しい時間が続く。鹿島がミドルシュートを打って外してくれるととりあえずホッと一息つけた。だがそれもゴールキックを蹴るとせいぜい6秒くらいしか時間が稼げない状況に再び息の詰まるのだった。

 すると柏に代えて吉野が入ると左サイドには稲垣が入った。すると右サイドから展開されることがなくなり圧力が低下する。更に川辺に代えて渡が入ると前線での収まり所が増えて少しだけマイボールの時間ができるようになるのだった。

 守って守って守り抜くと前線の渡がボールキープに入る。もはや単騎で切り込むより勝ちにこだわったプレーに徹するのだった。そして耐えて耐えて耐え抜くと終わった。1点を守り抜き勝利することができたのだった。

 勝った。勝った、勝った、勝った。喜びと同時にドッと疲れが降りてくる。やっと息が吸えるような心境だった。

 開幕3連勝。しかも勝てない鹿島に勝てた。まだたった3節終わっただけである。浮かれていては駄目だ。そうはわかっていながらも陶酔してしまう。今日は『Jリーグタイム』を観よう。そういえば昨シーズンはこの番組1回も観なかったのだった。

2018年3月 8日 (木)

ルヴァンカップ・ガンバ戦~予想外の快勝

2018/03/07 YBCルヴァンカップ 予選リーグ ガンバ大阪vsサンフレッチェ広島 パナソニック吹田スタジアム

 

 試合に出たい。

 プロの選手であれば当然沸いてくる渇望。そんなモチベーションを利用してリーグ戦からスターティング・メンバーを総入れ替えした。若い選手や新加入の選手が中心。それは一方で応援する身としても観てみたい布陣でもあった。

 ところがその中には昨シーズン結果を出せなかった選手も混じっていた。エースとなるはずの工藤はリーグ戦わずか2ゴールで終わり、チームの中心たるプレーを期待されたフェリペは出場機会さえ失っていき、閃きと若さでチームに活力を与えるはずだった森島は簡単に相手に潰される脆さばかり感じさせるのだった。

 ところがそんな選手たちが躍動していた。速いプレス、流動的なポジションチェンジ、前への推進力。それらは明らかにガンバの選手を凌駕し、まるで今まで試合に出てない選手というのが信じられないのだった。

 そんな中、右サイドの馬渡がドリブルで切り込みシュート。グラウンダーで狙ったファーサイドのボールは「カツン!」とポストに当たって跳ね返るとフェリペがシュート。ゴール前がら空きだったにも関わらず枠に入れることができないのだった。

「ああ、フェリペ~」

 そんなため息を漏らすものの連動した攻撃はまたしても最終ラインから馬渡に出ることによって始まる。右サイドを駆け上がるとゴール前へ走りこんでた渡へ。トラップからシュート。GK東口が足で防ぐもそのこぼれを押し込んだのは工藤。早い時間に先制点をたたき出したのだった。

 よし、と拳を上げた。だがまだ1点差なので控えめに喜ぶ。何せ相手はガンバである。気を抜いた瞬間怒涛のような攻撃を仕掛けてくるに違いない。事実、昨シーズンはこの先制点を守り切れず、かといって追加点を入れることもできずに終わった試合が何回あっただろう。今はまだ勢いがあるからだ。いつ形勢が逆転するかわからない。

 しかし、そのあとまたゴールが生まれるのである。左からテクニカルなトラップによりペナルティエリアにえぐっていく逆サイドにグラウンダーのクロス。するとなぜかそこに待ち構えていた柴崎が難なく入れたのだった。

 更には森島のスルーパスから渡の折り返しに柴崎。3点目を入れて前半を折り返したのだった。

 3点差。もはやそれは勝利を確信していいスコアだろう。ところがかつてそれをひっくり返された過去を持つだけにまだ浮かれるには早過ぎる。そしてその感覚は選手も一緒みたいでとにかく相手の攻撃を最後の最後は弾き飛ばしていた。とりあえず後半も早い失点をしてしまうと相手に勢いを与えかねない。焦らず、堅実に守備に転ずると素早い寄せで自由な攻撃にプレッシャーをかけるのだった。

 そしてボールを奪うと馬渡へ。今度は右サイドから中に入る。フェイントでかわしシュート。が、DFにぶち当たって目の前に落ちる。セカンドボールを拾ったのは途中交代で入った柏がゴール前にクロス。合わせたのは工藤。角度を変えゴールに吸い込まれるのだった。

 0-4。もはやそれは勝利を確信していい時間でもあった。

 この試合によって工藤はゴールという結果を出した。渡もアシストにより得点に貢献した。松本、川井という若手も高い運動量によって相手のチャンスを潰していった。

 まさかこのメンバーでここまでやるとは。サンフレッチェってこんなにいい選手いたんだ。

  快勝に喜びながらもそんな驚きがあった。そういえばこの感覚、ミシャが就任した頃味わったよな。もしかして城福監督もそんな能力があるんだろうか。それともリーグ戦2連勝のチームに発奮したんだろうか。いずれにしても今のところチームはとてもうまい具合に進んでるようにみえるのだった。

2018年3月 5日 (月)

浦和戦~暑さから熱さへ

 201834日 浦和レッズvsサンフレッチェ広島 埼玉スタジアム2002

 

 関東での初戦、そして浦和にとっての開幕戦。春の陽気に暑さを感じながらも用意周到に持ってきた防寒用のベンチコートが手に重い。浦和美園駅からの長い距離を歩いていると汗がにじむことで荷物のかさばりに後悔をするのだった。

 スタンドにたどり着くと仲間が確保したという席を探す。上の方、まだそれほど席が埋まってないことにより簡単に見つけることができた。が、それ以後どんどんと人口密度を増し仲間が階段を上るのを見つけるにつけ大きく手を振って誘導してやるのだった。

 浦和には勝てない。

 仲間との会話にはそのセリフが必ず出る。サンフレッチェから移籍した選手も多くペトロビッチ監督が就任してたという経歴からその存在はやはり気になってしまう。だが両者ともミシャのパスサッカーに行き詰まったせいか、かつて程因縁めいたものを感じなくなっていた。

 そんな時の経過を話し合いながら試合は始まっていった。序盤のサンフレッチェはパトリックのチェイシングが効いた。だがパトリックを走らせる為に蹴ったロングボールは意図より長くなりラインを割ろうとした。が、これがコーナーポストに当たってピッチに残るという珍現象が起きる。ボールを追うパトリック。そうはさせまいと走った浦和のDFであるがこれがサンフレッチェのスローインとなる。その時点で「あ、今日は運がいい」と漠然とそんなことを思ったのだった。

 ところがよかったのはそこまでで浦和のボール保持の時間が長くなる。特に左サイドでマルティノスに入ると巧みなドリブルに佐々木が翻弄されてしまう。そのせいで柏も下がって守備に奔走される。そうなると前に味方がなく、クリアしても結局浦和ボールにしかならないのだった。

 もうすぐ前半終了。とりあえずそこまでもちこたえてくれ。

 そんな願いなどまるで関係なく続く浦和の攻撃。するとまたしても左サイドでの崩しからクロス。ゴール前にいた青木に赤子の首を捻るがごとく容易にヘディングを決められてしまったのだった。ああ、やっぱり今シーズンもこういう辛い場面ばかり見なくてはいけないのか。

「あともうちょっと我慢できてればねえ」

 程なく迎えたハーフタイムに皆ため息をつくのだった。

「後半はティーラシンを代えるだろう。まるで存在感がないからなあ」

「そうだね、今日はあまり絡めてないよね」

 そんなことを話してたらやはり後半途中から柴崎との交代となるとそれまでボールの出し所がなかった中盤が活性化される。そして同じく存在感のなかった川辺が前に出てくる。ゴールライン際からペナルティエリアに入っていく。数人で囲まれたって突き進むと折り返し。中央で受けた柴崎がシュートを放つとネットが揺れるのがハッキリと観て取れた。

 入った、入った、入った。ゴール、ゴール、ゴール。

 うおおおおおおっ!と歓喜の歓声が起こるのだった。

 同点に追いつくと一層攻勢を強める浦和。危ないシュートを浴びながらもGK林のビッグセーブ。DF陣も奮闘すると前へもボールも進みやすくなる。そして川辺のドリブル。数人に囲まれながらも強引にゴール正面に入ると潰された。さすがにそれは無理があった。クリアのボールを蹴られてしまう。が、それはなぜか逆に飛んでいた。何が起こったのだろうか、それはゴールに入ったのだった。

 逆転!うおーっ!

 それぞれがそれぞれお互いハイタッチを交わす。どうなったのかさっぱりわからない。それでも稲垣のコールが起こることで誰のゴールなのかは知ることができた。そして映像で確認するとDFのクリアが突っ込んできた稲垣の脚に当たってそのままシュートになってしまったようだった。

 シュートが下手だと散々こき下ろしてた選手であるがなぜか重要な場面で決める。実際に特にキックが上手い訳でもないのにミラクルを起こす選手なのだった。

 残り10分。守りに徹するにはまだ時間があり過ぎる。それなのに柏が左サイドで受けたボールに対して攻撃の姿勢を見せなかった。まずい、点を入れても追いつかれるという昨シーズンの経験がトラウマになってるのかもしれない。

 そこで最後の交代として川辺を工藤が出場すると数人の敵に囲まれながらもボールをキープする。それでいて抜けるとこは抜くという相手にとっては全く厄介なプレーをしていくのだった。その工藤のがんばりに声援のボルテージは尚のこと大きくなる。

 時間はすでにアディショナルタイムに入ってるものの笛は吹かれない。それでも波状攻撃に入った浦和からファールを受けることにより一旦ポジションをリセットできることに呼吸を整えることができた。

 それにしても長い。長い長いアディショナルタイム。まだか、まだか、まだかと焦りながらもついに終わった。胃の締め付けられるような浦和の攻撃を耐えしのいだのだった。

 勝った、勝った、勝った。開幕2連勝である。サッカーの形はまるでできてはいない。ミシャの下で培ってきたパスサッカーがすっかり影を潜めてしまった。そこに落胆しながらも勝利の2文字の前にはそこを気に病むこともなくなった。

 暑い、暑い、暑い。挨拶に来た選手を讃えながらも最後までベンチコートを着ることはなかった。果たしてそれは気温が高かっただけなのだろうか。それとも自分の体温が上がったせいなのだろうか。その判断もできないまま勝利のコールに声を上げるのだった。

« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

最近のトラックバック

2018年4月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles