ナビスコカップ浦和戦~準決勝進出
2014/09/07 ナビスコカップ準々決勝 サンフレッチェ広島vs浦和レッズ 埼玉スタジアム2002 後半に入りメンバーはそのまま。一体寿人はどこで代えるんだとそんなことばかり考えていた。ここで引いて守ろうとしても守りきれる訳がない。そして何より浦和には勝ちたい。元サンフレッチェの選手が多く監督のミシャも前監督。当然にライバル意識がない訳じゃない。しかもこの埼玉スタジアムでは本当に勝てない。すでに今シーズンのリーグ戦では2回負けてしまったのでせめてこの試合では勝ちたいというのが逼迫した想いだった。 すると中盤での高萩のボールキープが効いた。3、4人と囲まれたにも関わらず巧みなボール裁きで逃れると右サイドの山岸へ出す。フリーでゴール前へ進入。そしてシュート。ガツンとポストに当たる。だがその跳ね返りを詰めた選手がいた。ボールはネットを揺らさない。だがそれは明らかにゴールラインを割ったのだった。 飛び上がらんばかりに騒ぎ立てるアウェイゴール裏。そしてピッチでは寿人がゴール裏に駆け寄ってることにより決めたのが寿人だった事を知るのだった。 割れんばかりの寿人コール。長くこの時を待っていた。どんなに厳しいことを言おうともやはり寿人のゴールは特別である。そして早々に交代しなくてよかったなどと都合良く考えてしまうのだった。 これで実質2点差がついたも一緒だった。時間の経過と共に高萩などは時間稼ぎのプレーをするようになった。それなのに肝心なところで相手にパスを出してしまったりする。そしてさすがに守備に重点を置きたくなってくると寿人は交代してしまった。だが右サイドで山岸と柏が交代すると柏はドリブルによりゴール前へ切り込む。慌てる浦和のDFを尻目にマイナスのパスを出す。ゴール前がら空き。そこでシュートを放った高萩。ボールはれろれろれろと蚊の止まるような遅さで転がりGKにキャッチされてしまった。 立って戦況を見守ってたぼくらは腰砕けになった。あれはGKへのパスだったのか、あれだから点が取れないんだ、ぼくらはそんなことを言い合った。 そうこうしている内に攻め込まれゴール前の混戦に。そしてこの肉弾戦に塩谷は倒れてしまい槙野にゴールを決められてしまった。あれファールじゃないのかよと審判に文句を言いたくもなったがゴールは認められてしまった。 こうなってしまうともう余裕がない。浦和は何がなんでも点を取るつもりで攻め立てる。サンフレッチェはもう防戦一方だ。跳ね返し跳ね返し跳ね返してもボールを奪われる。ああ、もう時間の経過だけしか期待できないのだった。 前掛かりになる浦和に対してボールを奪えばカウンターのチャンス。それなのにことごとく精度がなくたった3秒で相手ボールになってしまう。せめて自分たちでボールを持てばそれだけで時間を稼げるというのに。そしてまたしても浦和の攻撃に耐え凌ぐ時間となってしまう。遠目からのクロス、中央へのパス、ミドルシュート、それらどれを取っても肝を冷やしてしまう。おれでもアウェイゴール裏は選手達に少しでも力になれればと応援コールを続けるのだった。 早く終われ、早く終われ。そして終了のホイッスルが鳴った時、歓喜で一斉に立ち上がった。だがそれは安堵の気持ちが入り交じり爆発する歓喜というものとは趣が異なっていた。 勝利の挨拶をしにサポーター席へ集まる選手。 「オ・オー、オイッ!」 かけ声と共に全員で両手を振り上げた。 「グランデ・ビオラ・ヒロシマ!」 太鼓のリズムに合わせて皆が叫ぶ。ああ、一体このコールするのっていつ以来だろうか。 「いやぁ、勝って良かったよ」 と一人が言うと、 「でも本当は勝ってないんだけどね」 ともう一人が指摘した。それによって続いてぼくはつい口に出してしまった。 「でもこの試合よく勝てたよな」 周りにいた仲間は笑いつつも誰も否定はできないのだった。 そして帰り支度を始めた時、仲間がつぶやいた。 「今シーズンはナビスコは穫りたいよね」 そしてサンフレッチェは確実にその権利だけは取得したのだった。
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