« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »

2014年5月27日 (火)

W杯前のマンネリ

2014年5月27日 キリンチャレンジカップ 日本vsキプロス 埼玉スタジアム2002

 W杯最後の国内での壮行試合。スタメンに青山の名前はなかった。その瞬間この試合への興味は大きく減退したもののよく考えてみたらこの代表メンバーの中で一番厳しいコンディションなのは青山だった。ザッケローニお気に入りの海外組と呼ばれる選手の多くはベンチに座ってるだけの選手が多く、JリーグとACLを中2~3日の日程を消化した青山は間違いなく一番過酷だったと言える。確かにW杯本番を考えるとそういう過密日程を消化した選手より対して試合に出てなかった選手の方が活躍できる可能性は高いかもしれない。そう考えると塩谷の代表落選も納得できるのだった。

 しかし、この試合どこか眠たい。それはザッケローニの代表においてよく起こり得ることだった。いつも同じメンバー、そこに驚きとか興奮とかがない。いや、でも何人かはいつもと違うメンバーが入ってる。それなのにそんなマンネリ感が出てしまうのはどうしてだろう。そこがミステリーだった。

 最初こそキプロスも攻めてたものの日本が先制してからはもう一方的な試合となってしまった。それなのにどんなに攻めようと、どんなにポゼッションの時間が増えようと点が取れないのである。クロスを入れようとドリブルで切れ込もうと何をしようと追加点が取れない。ここまで点が取れないともはやこれは芸術的ですらあった。

 結果的に1-0で勝利したもののこれでW杯勝てるのかというのが正直なとこだった。だがそもそも日本が勝って当然と考える方がおかしいものの、どうも世間の空気はそっちに流れてると感じるのはぼくだけだろうか。

2014年5月18日 (日)

仙台戦~無得点の病魔

2014/05/18 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 まさかのACL敗退のショックの為にサッカーのことを考えることさえ苦痛になってしまった。最近多少新聞でもサッカーの記事が載るようになったと思ってたらそういえばもうすぐW杯だったんだ。もはやそんなことさえ考えたくなかった。
 そんな心境が反映したのだろうか、ユアテックスタジアムは静かな気がした。一応林がボールを持つとブーイングが起こるがその時思い出した。そういえば林は仙台から移籍してきたんだと。広島に戻ってきたという感覚が大きかったが仙台の人にしてみれば違った感情なのだった。そしてよく考えてみれば寿人も仙台から移籍してきたのだ。更に森保監督も仙台でプレーしてた時期がある。何気に仙台には因縁があったのだった。
 だがスタジアムの静けさがそのまま試合に反映したかのように動きがない。両チーム共シュートまで行けない。失点する気はしなかったが得点する気もしなかった。それなのによりによって先に得点したのは仙台だった。
 仙台はスローインを入れるとウィルソンがゴール前へ浮き球を入れると中央の赤嶺に見事なボレーシュートを叩き込まれてしまった。ああ、ああ、ああ。不思議と怒りよりも脱力感が沸いた。確かにスーパーゴールだったがやられたというよりまた決められたという感覚だった。このところあまりにも失点が多いのでもう無失点の試合はないのだという気さえしているのだった。
 先制をされ追いつかないといけないサンフレッチェ。それなのにちっともボールが前に進まない。後ろでは回すが前には行かない。だが高い位置でボールを奪うとこれはチャンスと腰を上げかけたがそういう時塩谷が必ずと言っていいほどパスミスをしてしまう。ああ、これじゃあ駄目だ。どこをどうやっても追いつく手だてはないじゃないか。段々と目が虚ろになっていくのだった。
 しかし、後半になり青山が入ると攻撃へと切り替わっていく。前の意識が高くなっていく。ミキッチがサイドを突破する。クロスが入る、裏へボールが出る。だがそのことごとくは枠に入らない。入ってもGKに防がれる。ああ、得点力。何て得点力のないチームなんだ。
 そんなサンフレッチェに対して仙台は徹底的に引いて守ってくる。こういう相手に点が取れたことのないサンフレッチェはもう何をやっても駄目な気がした。石原が入る、柏が入る。選手を入れ替え攻撃のアクセントを変えるもシュートはちっともゴールに入らない。もどかしい、もどかしくてもどかしくてしょうがない。だが時間は刻一刻と過ぎていくのだった。
 今更ながらあの失点が悔やまれた。なぜにスローインで簡単に点を入れられてしまうのだろう。昨シーズン失点率の低さが際だっていたチームはいつの間にかちっとも守れないチームになってしまっていたのだ。メンバーもやってるサッカーも変わらないのにこの変化は一体何なんだろう。
 そして無情にもタイムアップを告げた。点は取れなかった。取れそうな気配がなかった。それもこれも絶対的エースが点を取らないという病魔に掛かってしまってるからだ。チーム最多得点者がディフェンダーというのは相手にとって守りやすいに違いない。仙台の選手はまるで焦った様子もなく余裕で守ってたのではなかろうか。
 点が取れない。点が取れない。それなのに失点は簡単にしてしまう。11連戦という厳しいスケジュールの締めくくりはとんでもない後味の悪いものとなってしまったのだった。

2014年5月14日 (水)

ウェスタンシドニー戦~敗退に涙

2014/05/14 ACL決勝トーナメント ウェスタン・シドニーvsサンフレッチェ広島 バラマッタスタジアム

 ブラジルW杯青山選出、予備メンバーとして水本と林の選出。そんな発表に喜びもうすでにお祭り気分だった。だがまだACLを勝ち上がるにはもう1勝しなければいけない。それなのにホームですでに3ー1で勝ってることが余裕を生んだ。まあ、よっぽどのことがないと負けないだろ。引き分けでもいい、1点差までなら負けても大丈夫という条件がどうしても弛緩した気分にしてしまうのだった。
 まずい、こんな気分ではいけないのだ。サッカーは90分ある。あの大柄なオーストラリアの選手がパワープレーで挑んできたら途端にやられてしまうかもしれないからだ。勝たなきゃ終わりの状況。背水の陣のウェスタン・シドニーは怒濤のような攻撃をしてくるだろう。
 そんな危惧があったものの立ち上がりのサンフレッチェはパスで相手をいなし翻弄していた。だがどこか足が重そうだった。そしてボールが走らない。もしかして芝が長いのだろうか。そんな憶測もさして気にはしてなかったもののこれが時間と共にじわじわと蝕み始めたのだった。
 一旦シドニーの方の攻撃へと移るとサンフレッチェの選手はみんな下がった。失点をしなければいいという余裕かもしれないがそれにしてもボールが奪えない。そして何とかブロックしてもセカンドボールをことごとく拾われる。運良くマイボールにしたところで簡単に敵に奪われてしまう。打つ手なし。これはもう人数を掛けて守るしかないのだろうか。だがそれはサンフレッチェにとって決して得意なことではないのだった。
 前半にあった塩谷のロングパスを石原が決めていたら、完全に崩した場面で野津田が決めていたら、この時間になってその決定機を生かさなかったプレーに悔いが残るのだった。あれさえ決まっていたら楽になったのに。あれさえ決めていたらこんな押し込まれることはなかったのに。そしてサンフレッチェの守備の時間は一向に途切れることはないのだった。
 そんな守り一辺倒の状態についに緊張の糸が切れたのだろうか、ペナルティエリアの密集から決められてしまった。あれだけ守備の人数が揃ってるのに防ぐことができない。これは元々パスワークする戦術に適合する選手を集めてるだけにしょうがないとこがある。それなのに失点を食らっても一向に攻め上がる気配は見せず絶えず守る状態が続くのだった。
 1人のドリブルに対して3人で
止めに行きかわされ、プレッシャーに行けば縦パスを入れられ、最終ラインでは簡単に前を向かれシュートを打たれる。ああ、やられた。そんな悲鳴を何度上げただろう。だが、そんな粘りもとうとう最後には尽きてしまったのだった。
 ペナルティエリアでのクロスに身体を張るもそのこぼれ球を詰められゴールに叩き込まれた。ああ、やられた。決してやってはいけない2点目を上げてしまったのだった。そう、これは上げた。献上した得点だった。どうしてこうなる前に何とかしなかんあのだろう。
 最後の5分になっていよいよ尻に火がついたのかサンフレッチェは相手ゴールへの圧力を強める。何でこの時間なんだよ。今までずっとゴール前にへばりついた守備ばかりしていたことが尚更いらだちを憶える。何でもっと早く攻撃の姿勢を見せなかったんだよ。
 そして時間切れ。2戦合計のスコアとアウェイゴール数の関係でサンフレッチェの敗退が決まってしまった。2点差もありながらも勝てなかった。全くいいとこがなかった。まるで勝負するような気配がなかった。同じ負けるにしてももっと誇りを感じる戦いがあるはずだった。
 これもホームの勝利に酔いしれたぼくのような人間が悪いのだろう。そう思うことにした。ACL、ここまでやって勝てないとは。Jリーグのレベルってどうなんだろう。長らく応援しているぼくでさえそんなことを思ってしまうのだった。

2014年5月12日 (月)

ブラジルW杯青山選出

 4年前、サンフレッチェからの代表選手はゼロだった。クラブも記者会見用の会場を押さえていたにも関わらずその予想外の発表に予定されてた会見も中止となった。その閑散とした光景、その空虚さは言葉で言い表せなかった代表に入るべき選手が選ばれてない。そんな想いにその当時の代表監督には未だに疑心の目を向けてしまう。
 そして今回のザッケローニ監督。それほど期待してた訳ではない。いつも決まったメンバーしか選ばないからしょうがない。それでも先日の代表候補合宿では5人も召集された。選ばれるとしたら塩谷かと思った。ディフェンダーながら5点取ってるという攻撃力を含めて、ちょっと今の日本のDFの中では抜けている気がする。いや、塩谷を選ばないというのはあり得ないだろうと思ってた。
 しかし、代表メンバー発表の席で塩谷の名前はなかった。水本も石原も高萩もなかった。だが、MFのポジションで呼ばれたのが青山の名前なのだった。
 この時、飛び上がって喜ぶということはなかった。正直選ばれて当然だという気持ちの方が大きかった。むしろ青山だけという肩すかし感さえあったものの時間が経つとじわじわとそれが実感として沸いてきたのだった。
 4年前の南アフリカW杯に至ってはどこか他人事のような感じがしてた。だが今回は違う。サンフレッチェの戦士が参加する大会なのだ。ぼくもついに未だ持ってない代表のユニフォームを買おうかと考えた。勿論背番号は青山の番号だ。早く背番号を知りたい。何だかんだ言って結局喜びに沸いているのだった。

2014年5月10日 (土)

清水戦~悔しき引き分け

2014年5月10日 サンフレッチェ広島 vs 清水エスパルス エディオンスタジアム広島

 よく晴れた日だった。日差しが強く日除けにタオルを被ってるひともいるものの、気温も適度でサッカーをやるには理想的な条件だった。ACLとリーグ戦を繰り返す中で頭の切り替えが大変だ。
 スタメンのDFが水本、千葉、塩谷と久々にこの3バックになった。そして右サイドにミキッチがいる。そして浩司がトップ下に入ってる。もはや毎試合メンバーが変わるのは当たり前のようになってしまった。
 この陽気な天候に呼応するかのようにサンフレッチェのパス回しは冴えまくる。それなのに大きいサイドチェンジをするとミスが出る。おい、一体どこ狙ってるんだと叫んでしまったがそれは清水も似たようなミスをやってた。この陽光はもしかして目測を誤らせているのだろうか。
 だがこの後、サンフレッチェはCKのチャンスを得る。浩司の放ったキックはゴールに向かって巻いていくボール。だが真ん中でヘディングで逸らされてファーサイドに流れる。が、ここに塩谷がいた。なぜそこにいたのか。そしてそこでボレーシュートを放つとボールはゴールに突き刺さった。
 おおっ、先制点。またしても塩谷。恐らくボレーでないと間に合わなかっただろう。そしてそのモーションはまるでストライカー。ディフェンダーの塩谷はゴール前にいる時はゴールゲッターへと豹変してしまうのだった。
 これで尚のこと余裕が出てくる。清水をいなすようなパス回しが続く。この先一体何点取れるか。そんな期待さえ抱くのだった。が、なぜかシュートが打てない。シュートにならない。シュートまで行けない。良い時間に点を取らないとまずいのではないか。そんな不安がもやもやとわき上がるのだった。
 すると何でもないパス回しに詰められるとそのプレッシャーに負けて浩司は倒れてしまう。それは最悪のボールの失い形だった。誰もそんなとこでボールを奪われると思ってなかったサンフレッチェは守備が整っていない。最終ラインにいたノヴァコビッチに出されるといとも簡単に同点ゴールを決められてしまった。ああ、安い失点。浩司の球離れがもう少し早ければ防げた失点。あそこで背後から敵が来てるということを誰かが知らせたらなかった失点。もう少し早い判断がでなかっただろうか。悔いが残る。悔いが残り悔いが残り悔いが残る失点なのだった。
 ここで同点にしたことに気をよくしたのかこの後清水の一方的な攻撃となった。真ん中にはノヴァコビッチという高さと上手さのある選手がいる。当然そこを使ってくるとガツンと打たれたヘディングシュートはバーに助けられた。CKでキャッチングに出た林が目測を誤り無人のゴールにゴールを決められようとするもカズが身体を入れて防いだ。そいて完全に崩された場面では水本が間一髪で足先に入れることによりシュートを打たせなかった。耐えて耐えて耐えまくる展開になってしまった。
 だがせっかく先制した試合で引き分けでいい訳はない。高萩を入れる。柏を入れる。柴崎を入れる。すると攻撃への比重が高まっていったがシュートまでいかない。もう何でもいいからクロス入れろ、放り込めと焦るも大切に大切に行って結局ボールを奪われてしまうのだった。その結果また守備に回ってしまう。攻めたいのに攻めきれない。もうどかしい、もどかしい時間が続くのだった。
 もういよいよ時間がない。今度こそクロスを入れろと思いきや、左サイドの柏は切り返しばかりしてクロスを上げないものだから最後にはボールを取られてしまいカウンターを受けるのだった。
 戻れ、戻れ。絶対に守れよ。そんな叫びを上げそうになった。そしてピンチを防ぐと最後のワンチャンスあるかと思ったがここで終了の笛がなってしまった。ああ、引き分け。とても残念な気分になるのだった。
 勝ち点1積んだだけでも良かったのかもしれない。後半は清水の方が押していた。それでも勝てなかっただろうかという感情は沸いてしまう。選手はバテていたのだろうか。それでも勿体ないという気持ちは拭いされないのだった。
 11連戦、やっと出口が見えてきたと希望を持ったもののやはりまだまだ苦労は続くようだった。

清水戦~終わりの見えてきた11連戦

 

2014/05/10 サンフレッチェ広島vs清水エスパルス エディオンスタジアム広島

 

 

 

 3日前、初めてのACL決勝トーナメントでの勝利に酔いしれたかと思うと中2日でもうリーグ戦である。そしてそれが終わると今度はまたACLのアウェイ戦としてオーストラリアへ飛ばないといけない。一息ついたらまた次があるという目まぐるしい日程は尚も続く。だけどここでようやく終わりが見えてきた。11連戦と言われた強行日程はあと少しの踏ん張りである。気持ちの面ではずいぶんと楽になった。

 

 そういう意味でもウエスタン・シドニーに勝ったのは大きかった。アウェイの試合を有利にしたというのは気持ちに余裕をもたらせた。ポポビッチ監督もかつて広島にいた頃とやってるサッカーがずいぶん変わってると印象を持ったのではなかろうか。でも間違いなくポポビッチ監督も在籍時には多大な貢献をしてくれてサンフレッチェの歴史を創ってくれた一人である。そんなポポビッチ監督との対戦の為にもこのリーグ戦は勝っておきたい。そうすることでまた気持ちに余裕が生まれる。そう、勝利こそが心情にポジティブさを及ぼすのだ。

 

 そんな連戦へのゴールラインが見えてきた時にどんなメンバーになるのか。毎試合その予想をするだけでも楽しみを感じる。この厳しい日程は何気にぼくらに楽しみをより多く与えているのだった。でもここで気付いた。クラブはACLで決勝トーナメント進出はできると最初から計算していたことを。というのもこの11連戦が始まる前はまだ予選リーグ突破は決まってなかったのである。クラブもずいぶんとタフになったと思っていいのだろうか。それともただ単にたまたま結果が付いてきただけだろうか。それはこの一戦で判断しようと思うのだった。

 

2014年5月 8日 (木)

ウエスタンシドニー戦~決勝トーナメント初戦勝利

 

2014/05/07 サンフレッチェ広島vsウエスタンシドニー 広島広域公園陸上競技場

 

 

 

 初めてのACL決勝トーナメント。初戦はホーム。ここは絶対に勝っておきたい。ぼくも全身全霊を掛けて応援したいもののTVの前。このもどかしさ。だけど関東に住んでる限りしょうがない。とはいっても広島に住んでても仕事が終わってから行くとなるとそう簡単に行ける場所でもないのだった。そのせいかスタンドの観客はやはり少ない。このスタジアムでホームの有利さというものが果たしてあるのだろうか。

 

 だが試合はサンフレッチェの軽快なパス回しで始まるのだった。特に右サイドの柏に渡ると果敢にドリブル突破を試みる。相対するディフェンダーは完全に振り切られここからチャンスが期待できた。そしてクロスを放つ。だが合わない。左からも山岸がクロスを放つ。だが合わない。真ん中からも青山や野津田がミドルシュートを放つ。だが枠に行かない。どういうことなんだろう。本当に崩すとこまできていながら最後が合わない。もどかしい。そのもどかしさに歯ぎしりするのだった。

 

 そんなそこそこの攻撃をやっていながらも実際にゴールをする気配がないことに気をよくしたのだろうか、シドニーは攻撃への推進力を強めていった。あの巨体で放り込みをされたら。適当なクロスを入れられまくったら。相手がフィジカル勝負に来ることに怖れをいだきながらも人数を掛けた守りは相手にシュートをさせないのだった。

 

 でも一旦悪くなった流れはもう戻らないだろう。そう思ってた時だった。右サイドで柏がスペースに飛び出した。ボールに食らいつくと中へ絞る。もしかして自分でシュート行くのか。柏のドリブルにはスピードがある。切り返しも切れが良くシドニーのDFを何度も翻弄させた。だけどそれが得点へと結びつかなくそれに業を煮やしたのか、ペナルティエリアに近付いたのだった。そして放った。だがシュートではなく真横へのグラウンダーのパスだった。

 

 そのボールはゴールから遠いような気がした。そこからの展開が更に必要な気がした。だがこの時石原がいた。ボールへ走っていくとボールの到達点でガツンとボレーでシュートを放つ。低い弾道のそのシュートは懸命に身体を伸ばしたGKも触ることすらできずゴールが決まった。

 

 先制点。大きな歓声が上がる。スカスカだと思ってたスタンドはいつの間にか人が多くなっていた。みんな仕事や学校が終わって駆け付けたみたいだ。

 

良い動きをしていながら精度がなかった柏、シュートが枠に入らなかった石原。この両選手がACLという舞台で大きな1点を入れた。貴重な1点。さあ、あとは時間稼ぎだと思いきやサンフレッチェは決して守りの体制にならなかった。2戦目を考えると当然点差を広げといた方がいいが、サンフレッチェは一向に攻撃を手を緩める気配がなかった。

 

 すると中央にスペースを見つけるや高萩が猛然とドリブルで突き進んだ。パサーというイメージの強い高萩のドリブルは意表を突いた。そして最終ラインまで来ると裏へ緩い球を出す。そこに走り込んだのは野津田、迷わずシュートを放つも相手のブロックに弾かれてしまう。が、そのセカンドボールの落下点には石原がいた。まだチャンスは続いてる。だが石原の前にはGKもDFもいてシュートコースがないような気がするも石原は打った。それはふわりと弧を描く逆回転の掛かったループシュートでゴールに吸い込まれるかのように入っていった。

 

 2点目。本当に欲しい欲しい時に石原は決める。石原にゴールの決定力さえあればと嘆いていたことに恥ずかしささえ憶えた。だけどそれにしてもいつからこんな技のあるシュートを打てるようになったんだろう。この勝利を大きく引き寄せたゴールに恍惚とさえしてしまうのだった。

 

 ここまで来るともう1点。まだまだチャンスはある。実際にもうシドニーに攻撃の力は残ってないような気がした。それなのにドリブルでぺナルティエリアに侵入される。シュートまで行かせまいと塩谷は懸命に身体を寄せると相手はその圧力で倒れてしまった。

 

 その時である。主審は笛を吹きペナルティスポットを指した。ああ?PK?そんな疑問も浮かんだものの判定は判定である。塩谷もあそこまで激しく身体を寄せないでもどうせシュートまではいけなかったはずだ。これは勢いに乗ってる時の副作用のようなものだ。前はガンガンといっている。だから後ろも相手を潰すことに躍起になる。その結果チャージが行き過ぎたものになってしまうのだ。

 

 無念の表情の塩谷。GKの林もこのPKを防ぐことはできずに簡単に1点返されてしまった。ほとんどチャンスらしいチャンスを与えてないシドニーに対しこんなにもあっさりと決められてしまうことが無常に感じた。

 

 それでも勝ちは勝ち。1点差でも有利な状況に変わりはない。そう腹をくくることに気持ちを切り替えようとした時、今度はサンフレッチェの方が相手陣地内でFKを得た。左サイド付近から誰が蹴るのかと思ったら柴崎がボールをセットした。初めて観る柴崎のFK、それは右足からゴールへ向かっていくボールだったものの敵味方の交錯する密集地帯に入っていった。これは無理だなと思っていたらボールに魔力でも掛かったのだろうか、そのまま密集を抜けてゴールに吸い込まれてしまったのだ。

 

 あれ、入ったんだよな。

 

 そんな呆気に取られた感覚だった。だが誰かが触った訳でもなく直接入った列記としたゴールだった。

 

 3点目、2点差。このゴールの価値は大きかった。次戦のアウェイの試合に大きな勇気を与えることになるのだった。スコアはこのまま3-1で終わることができ、2点のアドヴァンテージを持つことができたのだった。

 

 その勝利の結果に狂喜する。だけどすぐに冷静な感情がそれを押さえつける。

 

 あと1試合ある。

 

 本当に喜ぶのはそれからだ。そしてもしかしたらそれでもまだ喜ぶには早いかもしれない。ACLはまだそこで終わるのではないのであった。

 

2014年5月 3日 (土)

神戸戦~妥当とすべきスコアレスドロー

2014/05/03 ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

「広島のようになりたい」
 2年前、最終節で神戸の和田監督はそう言った。
 その試合で神戸はすでに優勝の決まったサンフレッチェに破れてJ2降格が決まった。ホームでの降格はさぞ屈辱があっただろう。しかも対戦相手がそれが優勝したチームである。数年前まではJ1の下位をさまようクラブとして似たような位置関係であった。数年経ってどうしてここまで差がついたんだろうという想いがその言葉に現れたんだろう。
 その神戸がJ1に帰ってきた。しかも圧倒的な勝ち点を重ねて余裕の昇格である。そういうJ2で戦力を整えたチームというのは破竹の勢いをもたらす。そういう潮流を生み出したのが2007年のサンフレッチェだ。神戸もそれに見習えとJ1に昇格後も一時は首位に躍り出るという快挙を成し遂げているのだった。
 そういうチームは厄介だ。勿論2年前の雪辱もあるだろう。嫌な相手だというのは正直なところであるがそれでもある種のリスペクトがある。もしかしてこの土地でサッカーが根付くことはないのではなかろうか。それはお互い似たような気持ちを抱いたのではなかろうか。
 どちらも地方都市にあって注目度も低く観客動員に苦しんでるという経験を積んできた。地理的には近くお互いにサポーターを増やせばお互いにアウェイの観客を増やすことができるという相乗効果がある。広島と神戸、それはそれぞれの都市の存在そのものに置き換えられるかもしれない。
 そんな感慨に浸る中、スタメンの発表があった。何と、塩谷、石原、青山という中心メンバーが外れているのだった。11連戦のコンディションを考慮したみたいだ。だがこの試合で勝った方が首位に躍り出る可能性もある。神戸はそんなサンフレッチェにただならぬ気迫で臨んでくるに違いない。
 スタジアムには多くの観客が詰めかけていた。両ゴール裏はチケットは完売してたそうである。屋根付きのサッカー専用スタジアム。空は曇っていたが盛り上がる要素は満載だった。
 ところが立ち上がりのサンフレッチェは攻められっぱなしだった。後ろでボールをつなごうにも神戸のプレッシャーに潰され全てボールをかっさらわれてしまう。そしてガツンとミドルシュートを2本打たれた時、全ての情緒性、気分、心情というものが吹き飛んでしまった。おい、一体何やってるんだ。寝てるんじゃないよ。そんな感情を表すかのように上空に晴れ間が広がっていった。そしてそれ同時にディフェンスラインの裏へボールが出たのだった。
 右サイドに出たボールを清水が追いかける。ちょっと厳しいかと思ったが追いつくとクロス。走り込んだ浩司がシュートを打つもそれは神戸DFに防がれてしまった。だが、これで目覚めたかのようにサンフレッチェの攻撃が始まるのだった。
 途端にサンフレッチェの攻撃が勢いを増す。パスが回り出す。バイタルエリアで相手の守備を脅かす。そしてシュートを打つ。これはいける。このまま攻め続ければいつかは点が取れる。そんな気がしていた。だが後半になるとまた失速してしまうのである。それが不思議で不思議でしょうがなかった。
 ゴールキックをしてもスローインをしてもボールをクリアしても相手ボールになる。あああああ、どうしてしまったんだ。またボール取られた、また取られた。そんな嘆声を繰り返すのだった。
 そんな展開になってしまうのもサンフレッチェが攻撃をやりきらないのが原因だった。攻撃の起点として両サイドがボールを持つもそれがフィニッシュへとつながらない。特に左サイドのヒョンジンは迷ってしまう。単純にクロスを上げればいいようなとこでも迷ってしまう。ペナルティエリアに入っても迷ってしまう。何でもいいから放り込めばいいようなとこでも迷ってしまう。それにより次のプレーが遅れてしまい何もできないまま攻撃が終わってしまうのだ。
 そんなヒョンジンの交代としてミキッチが準備をしていた。ああ、もっと早く入れてくれればいいのにと思うもこれもコンディションを考えてのことだろう。だがその交代までなかなかボールが出ないのだった。
 ボールがラインを割りやっとミキッチがピッチに入れる。右サイドのポジションに着くとドリブルで仕掛ける。隙を見るや迷わずアーリークロスを上げる。やっぱりミキッチはプレーのダイナミックさがまるで違うのだった。
 時間が少なくなっていく。早くゴールを決めたい。ミキッチのクロスから寿人がマークを外しシュートを打つ。浩司のヘディングシュート。寿人の裏への飛び出し。どれも可能性を見いだしながらもどれも決まることはなかった。次こそ、次こそ決めてくれと感情が高ぶる。
 ところがアディショナルタイムに入ると神戸の攻撃ばかりになってしまう。ああ、防げ、防げ。何でそこ取られるんだよと肝を冷やす場面に早く終わってほしくなる。ああ、もう終わってくれ。でもそれじゃあ勝てない。でも負けるよしはマシ。そんな交錯した感情ながらもそのまま両者点を取ることなく終わってしまうのだった。
 終わった。それだけだった。勝てる試合だったというにはそう言い切る自信もないしかといって負けるかといえばそんな気もしない。スコアレスドロー、まさにそのスコア通りの内容だった。勝ちたかったというのは勿論だがここまでメンバーを代えてよくやったとも言える。川辺のような若い選手の出場機会もあった。でもやっぱり神戸にはサンフレッチェにだけは勝ちたいという執念があったのかもしれない。やはりどのチームも一筋縄ではいかない。そして4日後にはもっと一筋縄ではいかないACLが待っているのだった。

« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »

最近のトラックバック

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

JリーグPR

  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles