鳥栖戦~今季ホーム初勝利
2013年4月14日 サンフレッチェ広島vsサガン鳥栖 エディオンスタジアム広島
その混戦では何が起こったのか分からなかった。鳥栖のゴール前で行き来するボール。鳥栖の選手はペナルティエリアにがっちり人数を揃えていた。確実なのはゴールに入ったということだけだった。そしてそのシュートを決めたのが寿人だ。コーナーフラッグへ駆ける寿人。ぼくは叫びそうになった。寿人、寿人、ヒサトーッ!
さっきまで寿人不要論などを唱えてたぼくはそんなことすっかり忘れていた。やはり寿人がゴールをすると嬉しい。達成感のようなものがある。それがエースという存在なのだ。このサッカーをやる場合、寿人がいたらこそこのスタイルができたと言える。寿人自身もこのサッカーでワントップという新境地を極めつけた。だから寿人がゴールを決めるというのは特別な意味があるのだった。
リプレイの映像で寿人がワントラップで反転してシュートを打つ映像が出た。そういう動きはやはりストライカーである。ここのところ何でこういうプレーが観れなかったんだろう。よく考えればペナルティエリアにボールが入ることがほとんどなかったのだ。だが逆にそこに行くまでの過程として寿人ではボールが前に行かないような気がした。組み立ての時点で寿人に当てても全て潰されてるようなイメージがあった。だがこういうゴールのあった後だからかよくボールに絡んでるように見えたのだった。
更に右サイドからはミキッチが駆けめぐり突破を繰り返す。そして鳥栖の密集したゴール前へクロスを上げる。鳥栖のこういう守備は本当に壁のように立ちはだかり苦労させられたものだがクリアしたボールが山岸のとこへ落ちた。足下に納めた山岸はシュートに行くかと思いきや高萩に出したヒールのパスは完全に鳥栖の守備の逆を突いた。更にここで高萩は自分でシュートを打たずに横パスをした。そこへ飛び込んだのが寿人だった。2人、3人と回して最後は寿人が決める。この連動したゴールのスタイル、これこそサンフレッチェなのである。
寿人の2ゴール目。相手の人数を無力化させるパス回し。これが観たかった。何でこれができなかったのか。それはあまりにも自分たちでボールを持つ時間が少なかったからだろう。相手のプレッシャーの強さ、メンバーの変更、天候やピッチの質、こういったものに対応できる柔軟性があればACLももっと違った結果が出たかもしれない。
そして2点取ってからというものかなり優位に試合を進めることができたものの点が入らない。高萩のシュートがポストに当たり頭を抱える。その絶妙な外れ具合にわざとやってるんじゃないかとさえ思ってしまうのだった。
あと1点、あと1点欲しい。せっかく優位な展開なので取れる時に取って欲しい。だけど時間は刻々と過ぎていく。そして残り時間が少なくなって森保監督は岡本をピッチへ送った。これは鳥栖戦に岡本を使ってやるという森保監督の親心だろう。さすがにここまで来ればもう勝ちは決まったようなものである。岡本初の勝ち試合にさせてやるという意味もあるのだろう。
アディショナルタイムの表示があった後も終了までもっと時間が掛かることを願った。だが2点のままホイッスルは鳴った。贅沢な感覚である。そういえばこんな試合しばらく観てなかった。岡本もサンフレッチェでの初勝利を経験できたし失点もなかったし本当に満足だった。
試合後タイセイさんからメールが届いた。やっと勝った、長かったと。そういえば今シーズンホーム初勝利だったんだ。勝ち試合後の劇場も久々だったようだ。幸福な時間、もう少し早く観たかった。そしてまた厳しいシーズンは続く。果たしてこの先どれだけこういう幸せな時を得られるだろうか。
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