10番高萩
2013年の背番号が発表された。その中で最も注目すべきポイントは高萩の10番だろう。すでに15番という番号に慣れてしまったこともあり違和感があったが逆に高萩以外に10番の妥当性がないのも事実だった。昨シーズン欠番だった番号なだけにやっとその番号を背負える選手が出てきてくれたことを嬉しく思うのだった。
サッカー選手にとって10番というのは特別な意味を持つ。試合を決定付ける選手、チームの中心選手、そしてチームの顔となりうる選手だ。かつて絶対的なエースストライカーだった久保竜彦の付けていた番号。その後は適合者がなく外国人の攻撃ポジションの選手にとりあえず預けていたという印象が強い。そういう意味でサンフレッチェでは長い年月10番が欠番だったと言っていい。
だがその背番号10番、2008年に転機が訪れた。トップ下の柏木に与えられたのだ。今までゴールを決める役割の選手に付けていた番号をMFに付けたのは本来の10番のイメージに近い選択だった。ファンタジスタ、チームの顔という面でも柏木はうってつけだったのである。このシーズンサンフレッチェはJ2だったもののミシャの攻撃的パスサッカーでチームの形を作った重要なシーズンだった。そしてこの時柏木と共に2シャドーのポジションをこなしてたのが高萩だった。
その為高萩は幾分柏木の陰に隠れた感じがあった。才能溢れるファンタジックなプレーをするもどうも線が細かった。それでもJ2では圧倒的なものがあったもののJ1だとその線の細さがより目立つようになってきた。その細身の身体は当たりに弱く簡単にボールを奪われることが多かった。その点が柏木とは同基準で評価できない点であった。
しかし、その柏木が2009年オフに浦和への移籍が決定してしまう。本人の移籍思考があったこともあるがクラブ側としてはその後継者として高萩がいるということで容認したということだった。ただ両者を比べた場合、どうしても物足りなさがあるというのが当時の正直な感覚だった。そして実際に翌シーズン攻撃へのアクセントが減った。そんな時柏木がいればと思ったものだ。それは同時に高萩に柏木の存在感を出せてないということでもあった。そしてもはや高萩はそんなものというイメージが定着してしまったのである。
上手いけど軽い。高萩がボールを奪われる度にぼくらは大きくため息をついた。FKのキックをすると精度はあるがスピードがないため弾き返される。バイタルエリアでの創造性溢れるプレーは相手の予測を外すものの自身でシュートを打つ強引さがないためだんだんと読まれるようになっていった。それでいて異彩を放つボール捌きがあるため尚更この選手のもどかしさを感じたものだった。
1トップ、2シャドーという布陣の中でシャドーストライカーとされるポジションにいながら高萩シュートの意識が少なかった。ペナルティエリアに入ってもシュートを打たずパスを出す。そのためにシュートまでに1回パスが多くなりシュートをブロックされるということが何回も起きた。ただ、それは高萩1人ではなくサンフレッチェそのものの特徴でもあるのだった。
パスで崩す。動きの質で崩す。そのサッカースタイルは独特でそれ故にサンフレッチェのサッカーに魅了されたのだった。そして実はそのスタイルを一番体現させていたのは高萩だったのだ。
2012年、高萩はボールを奪われなくなった。そして守備でも攻撃でもその中心にいるのは高萩だった。相手の当たりに対してもずいぶんと強くなった印象がある。恐らくそれはその前から徐々に成長してた部分なんだろうがどうしても細いイメージが抜けずその変化に気付かなかったのだ。もはや柏木の代役ではない、高萩というサンフレッチェの中心選手となってしまったのだった。
10番という番号はその証だろう。その番号を与えることでより強い意識を与えるという狙いもあったのかもしれない。いずれにしてもサンフレッチェ生え抜き選手の10番、やっと現れてくれたことに嬉しさを感じるのだった。
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私たちは、広島工業大学専門学校の映像学科のものです。授業でサンフレッチェを題材にしてモザイクアートを作成するという企画をたてています。twitterで「MOZAFRE」というアカウントを使い、サンフレッチェに関する写真を送っていただけるように呼びかけているのですが、まだまだ枚数が足りません。そこで、以下のURLにサンフレッチェの画像を送っていただけないかと思い、コメントしました。どうかよろしくお願いします。
hitp.e2moza@gmail.com
投稿: 広島工業大学専門学校 映像学科 | 2013年1月17日 (木) 14時31分