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ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

サンフレッチェの魂~リンク集

  • SANFRECCE Diary
    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
  • ススボウブログ
    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

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2012年7月31日 (火)

鹿島からの帰路

2012/07/28 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 県営カシマサッカースタジアム

「すみません、写真撮ってもらえませんか?」

 試合後の待ち合わせ場所として集まったジーコ像の前で鹿島のサポーターにお願いした。鹿島のサポーターは快く引き受けてくれたもののこれではまるではるばる広島から来たかのようだった。もっとも千葉からでもそう簡単に来れる場所ではないため遠方という意味では同じなのだった。

 気さくに撮影に応じてくれた鹿島のサポーターの人はとても感じの良い人だった。これが試合終了後大ブーイングを挙げたチームのサポーターとは思えなかった。ついでに言えば執拗に審判に抗議する選手の様子とも違っていた。どうして鹿島はサンフレッチェに勝てないとあそこまで抗議するんだろう。いや、もしかして他でも同じようなことしてるのかもしれない。

 ぼくらはドクトルの車に乗り込む。そこまでいいがその先が長いのだ。待てども待てども渋滞により車は進まないのである。ただ、こういう時仲間といるというのは良い時間潰しにもなるのだった。

「今日の試合かてましたよねえ。あの前半のミスがなければな」

「いや、でもまあ最後は攻められっ放しだったし引き分けでよかったんじゃないかねえ」

「でも今日勝つと大きかったんだけどなあ」

「やっぱり高萩がシュート打たないからいけないんだよ。いつもシュートの場面でワンタッチ多くして打てずに終わってしまうんだよな。全てが完璧なだけにどうしてシュートの時だけああなっちゃうんだよって思いますよね」

 各自好き勝手なことを言い合っていたが、最後の一言がその空気を変えた。

「でもよく石川を使って引き分けで終われたよね」

 一瞬の沈黙の後それには皆納得してしまった。そう考えると引き分けでもよくやったと言えるのねという声が挙がった。

 交代枠を一つ残したのも選手層の薄さを表してる。そして新戦力の辻尾に至っては大いに失望させられた。

「辻尾って横パスに追いつけなくてライン割ってしまったけど例え追いつけなくとも最後はスライディングをするとかいう選択肢はなかったのかね。それでもサイドは他に選手がいないというのは厳しいですね」

 山岸いない、ミキッチはいつ戻ってくるんだ、ファン・ソッコも五輪でいない、首位にいるチームとは思えない選手層の薄さである。もっともそんなサンフレッチェだからこそ応援してるのかもしれないのだった。

2012年7月30日 (月)

鹿島戦~そして引き分け

2012/07/28 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 県営カシマサッカースタジアム

 それはCKだった。セットプレーにはちっとも期待感のないサンフレッチェであるがこのセットプレーで点を取りに行くつもりなのは明白だった。後ろの森脇上げ前の石川を下げ守備に備える。他にも比較的背の高いDFの千葉と水本が上がってる。ただ高萩のキックは精度はあるがスピードがないというのが得点につながらない要素なのだった。

 しかし、この時はその精度が生きた。森脇にピンポイントで合ったボールはゴールではなく自らのシュートコースに落ちた。すかさずそこに飛びつきシュートを打つ。それはまさに矢のようにゴールネットに突き刺さったのだった。

 森脇のゴール。DFながらも森脇は本当に攻撃力がある。かつてサンフレッチェにはストヤノフや槙野といった攻撃力のあるディフェンダーがいた。森脇こそその流れを受け継ぐディフェンダーなのだった。

 これで有利になった。追加点があればなおいい。そして確かにチャンスはあった。そのチャンスで顔を出したのが高萩だった。

 ゴール前。まさに最後の場面で高萩はいつもワンタッチ多くなってしまいシュートを打てずに終わってしまう。その都度顔を覆ってしまう。最後打てばいいとこで相手をかわす選択をどうしてもしてしまうのだ。その辺の強引さがないとこがこの選手の見た目を脆弱にしている。事実、中盤でも後ろでも前でもこの選手がボールに絡むことは多い。むしろこの選手がいないと成り立たないのではないかというくらいに広くピッチに君臨してる。それだけにどうしていつもシュートの場面でああなってしまうのかというのがもどかしいのであった。

 そういうチャンスを逃したことが後で響いた。鹿島は選手交代で打開策を打ったがサンフも選手交代で乗り切ろうとした。こちらは寿人に代えて浩司といういつものパターンであったがこの交代は鹿島に分があった。ボールを持つ時間は鹿島の方が断然多くなり浩司などはろくにボールも触れない状態となってしまった。それに焦りを感じたのだろうか浩司はボールを持つと前線まで強引にドリブルに行った。そしてミドルシュートを放つもブロックされてそれがそのままカウンターとなってしまう。何もかもサンフにとって悪い状態となってしまった。

 こうなるともう防戦一方である。防いでも防いでもセカンドボールを拾われ余裕がない。余裕がないと相手はやりたい放題だ。その内に完全に人数が揃ってるにも関わらずDFを崩され失点してしまった。そしてそのシュートをきめたのはまたしても大迫なのだった。

 どうしていつもいつも同じ選手にやられるのか。周りにいる鹿島のサポーターはこれ見よがしに完全に崩したぞと叫んでいる。確かにその通りなので何の反論もできない。だがまだ試合は終わってない。何とか点を入れてくれ。

 そんな願いも空しくただ時間だけが経過していく。いや、むしろ防戦が続く一方だ。そして清水に代わって辻尾が出ると何らか事態を打開してくれるかと思いきやまるで変わりはしない。無理な注文かもしれないがそれこそミキッチのようなものを期待してた。ボールを渡せば1人でドリブルで上がっていく。だが辻尾はボールを触る機会さえもなかったのだった。

 交代枠はもう一つある。これを使わないのか。といったところで代えることができないのだった。森脇はへばっているだろうが横竹じゃ恐ろしい。平繁や大崎を出すなら石原を下げなければいけない。そして中盤。やっぱり代えられない。結局のところ交代選手なんていないのだ。選手層の薄さ、これが大きな足枷となってしまった。

 鹿島の応援のボルテージは一層大きくなる。太鼓のリズムに乗った応援は確かに心地よく、それゆえに敵としてみれば厄介な存在である。大音量であの応援をやられるとたまったものじゃない。だけど幸運なことに鹿島もスタジアムの半分も集客できないというのには救われた。

 タイムアップが告げられると鹿島のゴール裏からは一斉にブーイングが起こった。勝てた試合だろうという不満があるのだろう。だがこちらとしても勝てた試合という感覚はある。つまりどちらもそう思う試合だったということだ。

 仲間がすぐに携帯で仙台の試合結果を検索する。

「あ、仙台引き分けましたよ。ということでまだ首位のままですね」

 たった1節だけの天下かと懸念されたがとりあえず2節続いたようだ。それならまだいいだろう。でもやっぱり勝てることもできた。試合後仲間と延々と同じ内容で議論が続くのだった。

2012年7月29日 (日)

鹿島戦~動きのない布陣

「今日は動きが重いな」

 ドクトルはそうつぶやいた。

 確かにサンフレッチェはボールを後ろで回してるだけだった。これは逆に鹿島が奪いに来ないからでもあった。更にサンフは両サイドが最前列に並び5トップになる。それにより中盤でつなぐ選手が明らかに足りなくなった。そのためショートパスをつなぐより後ろから一発で最前列に出そうとしてるのは明白だった。ただ相手もそれは分かってるようでそう上手く事は進まずもどかしい展開が続いた。

「まるでシュート打ってないな。鹿島は2、3本あったけど。省エネサッカーをやってるんだろうかねえ。だとしてもまるっきりシュート打てないってのも辛いよな」

 ボールが前にいかないのだからシュートが打てないのは当然だった。それでもたまに左サイドの清水のとこでスペースがあく。そこを狙って最後列、もしくは中盤からロングパスが出るのだった。そんなボールに清水は何とか追いついた。そしてここから1対1になると果敢に抜きに掛かる。そして実際に抜けてしまうのがこの選手のストロングポイントでもあった。

 ただそこまではいいのだがクロスの質が低い。もっとも中に入ってくるのが2人では相手の守備をかいくぐるには人数が不足もしていた。対して右サイドの石川はボールを受けてもそこから突破をはかることができず有効な攻撃ができない。どうもこの選手、スピードに乗った状態でボールを受けたらキレがあるが止まって受けた状態では局面を打開できない。スピードがあるが故にフェイントを使ってこなかったのが仇となってきたのではと想像するのだった。

 ただしそんな石川も守備ではがんばっていた。再三右サイドを攻められていたもののボールを取れないまでも時間を掛けさせたり自由にさせないことにより相手のゴールを遠ざけるのには貢献していた。そういう意味でがんばっていた。がんばっているが右サイドといえばどうしてもミキッチと比べてしまうのは仕方のないことだった。

 もしかして前半はスコアレスドローのまま終えるつもりなのか。そう思えるくらい選手の動きがなかった。プレーが切れる度にゆっくりゆっくりリスタートに時間を掛ける。もはや前半の内に点を入れるつもりはないんだろうと思ってたその時だった。裏へ抜け出した石原はペナルティエリアでボールを受けた。絶好のシュートチャンスだ。が、すぐに詰められ身体を後ろに向けてしまった。そこっでサイドに逃げることによりこれでこの攻撃は終わったと思ったのだった。

 しかし、その後スルスルとドリブルで相手のマークをふりほどくと中央の高萩へボールを預ける。そして高萩は縦に入れた。そこには石原が走り込んでいたがDFにシュートコースを防がれると後ろへ下げてしまう。が、ここに寿人は走り込んでいた。ボールはピンポン球のように移動を続けたボールは寿人によりゴールにたどり着いたのだった。まるで最初からそこに行き着くことが決まってるかのように。先制、先制点である。

 アウェイエリアにいるわけではないので喜ぶべきじゃないのかと自制心を働かせたもののドクトル初め他の仲間はしっかりと喜んでいた。そのためぼくも気を大きくされしっかりと喜ばせてもらったのだった。仲間がいるって心強い。気の小さいぼくには不可欠な存在だった。

 この展開で点を入れたのは大きい。ドクトルはそう力説した。ほとんどシュートも打ってない、しかも攻撃を放棄したような展開で点を入れたというのは漁夫の利を得たようなものである。このまま前半を終えれば万々歳だ。だが前半のアディショナルタイム2分。何でそんなにあるんだという不満はあったもののそれくらい堪え忍んでくれるだろうと軽く考えていた。

 だがそれは甘い考えだった。左サイドを突かれ深い位置まで入られたものの清水が身体を寄せたことにより苦し紛れのクロスとなった。だがこのふわっとしたゆるいボールにDF2人とGKの西川まで対応にいってしまう。まずDFの頭に当たり軌道の変わったボールに西川は対応できずファンブルしてしまう。そしてボールは無人の空間へ。そこに鹿島の大迫はシュート練習でもこれほどフリーな場面はないだろうというくらいプレッシャーのない状態で目の前のゴールにシュートを打ったのだ。アディショナルタイム、あといくらもない時間に同点団を献上してしまったのである。勿体ない、勿体ないという感情はどうしてもぬぐい去ることができなかった。

「ま、最初から前半は同点でいいというプランだったろう。そう考えればまあ順当な前半じゃなかったのかな」

 そうドクトルに言われ納得する。それでいて仙台戦といいこういうミスによる安い失点は悔やまれる。だがサンフレッチェがボールを大事にする、後ろからつなぐというサッカーをやる限り絶対に出てくる失点でもある。であれば点を入れるしかない。失点してしまった直後だというのにそれほど悔しさがこみ上げて来なかった。なぜかこの時、後半点を取りに行くのだろうという期待感の方が大きかった。

暑かった鹿島

 

2012/07/28 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 県立カシマサッカースタジアム

 

 照りつける太陽、それはスタンドに出ることを躊躇させた。ドクトルの提案で2階バックスタンド自由席で観戦することにしたのだが、そこは直射日光が降り注ぎ熱で痛いくらいだった。ただそのせいで客はほとんどなくアウェイエリアでないものの紫のレプリカを身につけていることに何の問題もなかった。ぼくらは席を陣取ると日差しを避けるように外に躍り出たのだった。

 キックオフまではまだ時間がある。ぼくらはスタジアム内のグルメタウンに繰り出したもののこれが2階席からは遠い。長い長い階段を下りなくてはならない。そして買い物を済ませた後は当然また階段を延々と上らないといけない。それはちょっと面倒だった。階段では腰を掛けて腹ごしらえしてる人がいる。日陰になって風が心地よく吹き抜けるのでそうしたい気持ちはよく分かった。

 ぼくらは買い物を終えるとそれだけで汗だくになっていたのだった。何せ暑い。気温が高い上に炭火で調理してるのだからむわっとした熱気が漂う。煙はもうもうと上空に立ちこめていた。そしてメニューはじねんじょ丼やハム焼きと一風変わってる。これらのメニューを楽しめるのは確かにアウェーエリアではできないことなのだった。

 涼しい場所を探しぼくらは時間を潰した。それぞれの買ったグルメメニューの品評会をしながら。そして日差しが弱くなってきた頃合いに再びスタンドに躍り出た。そこは見晴らしの良い席でスタジアム全体を見下ろすような感覚が味わえる。そして気付くと席は徐々に席は埋まってきた。こうなると紫のレプリカを着てることに多少の気まずさも感じるもののそこは別に気にしてる様子の人はいないのだった。

 それから程なく選手がウォーミングアップに出てきた。清水から期限付き移籍の辻尾もいる。この選手がどれだけ機能するだろうか。そして出てくるのはどのタイミングなのか。そしてこの暑さ、これらが一体試合にどれだけ影響するのだろうか。

2012年7月28日 (土)

暑さ到来

2012/07/28 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマサッカースタジアム

 

 今年の夏は涼しい。つい1週間前までそんなことを思っていた。雨が続いたせいで気温が上がらなかったが、一旦雨模様の天候が切れると今度は熱帯夜の日々となった。うだるような暑さ。夜も眠れやしない。ついに夏到来である。

 こういう本格的な夏の気候になって今シーズン初めての試合である。毎年夏になると成績を落としていったサンフレッチェ、ここからが正念場だ。逆にここをしのげればまだ見ぬものが見えてくるような気もするのだった。

 この日本特有の蒸し暑さを備えた夏、それを乗り越えるには根性だ。体力が切れても走りきる根気。暑いのは相手も一緒、要は気力の問題だ。その気力が脆弱だったせいで夏場に勝ちきれなかった。もっと精神を鍛えなければいけない。と、そんなことを思ってた時期もあった。だが、事はそんなに単純なものでもなさそうである。

 やはりどんな選手でも夏の消耗は深刻だ。特に後半になってくると自然とミスも多くなる。そう考えると夏に勝てないというのはあまりにもゲームプランがなかったことにも原因があったと考えることはできないだろうか。やはり90分戦えるペース配分や戦略というのが必要となってくる。それらの配慮が欠けていたという面もあるのではなかろうかと今になってみれば思うのだった。

 この日本独特の気候、これに対処できるのはやはり日本人監督じゃないと無理なのではなかろうか。体力の消耗などシーズン当初とはずいぶん条件が変わってくるというのを分かってるというのは大きい。それでいて欧州の最先端の戦術を用いるのには島国の日本人では限界がある。それがJリーグにおける特異性なのかもしれない。その特異性がためにJリーグで強いチームに限ってACLで勝てないのかもしれない。

 そういう意味において鹿島との対戦は注目すべきものがある。今シーズンあまり成績のかんばしくない鹿島だがJリーグにおいては強豪。そしてACLではちっとも勝てないというのは極めて日本的なチームだ。この日本的なチームに暑い時期に当たる。これこそ、夏期を占う一戦となるのではなかろうか。

2012年7月27日 (金)

スペインに勝った日本

2012/07/26 ロンドン五輪1次リーグD組 U23日本vsU23スペイン グラスゴー

 「日本、スペイン破る」の文字が朝刊の一面に載った。代表ありきの日本サッカー会にとって国際大会でのジャイアントキリングは願ってもない恩恵だった。ロンドン五輪としてはまだ開会式も始まってない影響でこの試合だけが注目される状況だった。その上での勝利というのは世間に与えたインパクトは強かった。
 そもそも今回の五輪代表、ちっとも期待されてなかった。というよりも最強メンバーと謳われたシドニー五輪代表がベスト8で終わってしまいその後アテネ五輪が1分2敗。更にその後の北京五輪に至っては3戦全敗ときて五輪において日本は順調に下降線をたどっていた。そして大会前メディアはそんな五輪代表に今回はメダル間違いなしなどと煽るものだから尚更大会が終わると情けなく見えてしまう。結果、五輪についてはサッカーは期待できないという固定観念が生まれてしまったのだった。
 そんな中でのスペイン戦。優勝候補の相手にせめて引き分けなら決勝トーナメント進出の可能性があるという見方が体勢だった。かくいうぼくもあまり大差でまけなければいいなくらいにしか思ってなかった。まったくもって予想外の結果なのだった。
 しかし、試合を観ると以外にやれてるなという気がしたのも事実である。そしてカウンターからCKを得た時チャンスだと思った。というよりサイドからのクロス、点を取るならそれがチャンスだと思ってたのは理由があった。
 現在世界最強チームとしてバルセロナが挙げられるが、そのせいで戦術本にもバルセロナを題材としたものが多い。ほぼ無敵と言われるバルセロナにおいてあえて挙げるとすればサイドからのクロスに活路があるという説があった。DFからのビルドアップを主体としてるため競り合い、パワープレーに付け入る隙があるということだった。バルセロナとスペインを同一化すると確かにスペインのDFはガツンと跳ね返すタイプのディフェンダーではないような気がした。そして実際CKから日本はゴールを奪うことができたのだった。
 更に相手にボールを取られるも切り替えの速い守備で相手にシュートを打たせないというのも利いてた。前からプレッシャーを掛けつつも後ろは人数を掛けて守る。その結果バイタルエリアでボールを回されるも一旦奪ったらカウンターのチャンスがあった。日本はこれで何度となくチャンスを創ったのだった。その作戦といい個々の選手のプレーといい眩しいものがあった。そしてこの時尚更この五輪代表の候補にすらサンフレッチェの選手がいなかったというのはどこか置いて行かれたような気分になったものだ。日本が勝つのは嬉しい。だけどそれが素直に喜べないのがもどかしいところだった。
 だけどこの流れ、南アフリカW杯に似てる。誰も期待してなくて注目度も低かったのに初戦勝利すると決勝トーナメント進出まで行き大いに沸かせるという。そうなるとこの代表に入ってる選手のチームは盛り上がるだろうな。その結果その選手の所属チームに客が押し寄せればいいことだ。サンフのように選出された選手のいないチームはせいぜいそういうチームの連れてくるお客さんに期待しようじゃないか。
 ああ、何て他人任せな。でもしょうがない。背に腹は代えられない。なのでここは精一杯五輪代表を応援することにしよう。

2012年7月20日 (金)

寿人「World Player of the Week」に選出

7月14日のJ1リーグ川崎F戦で2ゴールを挙げ、チームを首位に導いたFW佐藤寿人(広島)が、Goal.comが選ぶ「World Player of the Week」に輝いた。

yahoo!japan

Goal.comというサイトを知らないで言うのも何だが寿人が"World Player Of The Week"なるものに選出らしい。Jリーグにいながらこういうものに選出されることに希望を見出すのだった。確かに欧州はシーズンオフではあるが、だからといってそう簡単に選出されるようなものではないだろう。

 ここ何年かドイツを中心に欧州に移籍する選手が多くなったせいですっかりJリーグにいる選手はレベルが低いという穿った見方をされるようになってしまった。だがJリーグにいながら世界的な評価をされた。Jリーグは決してレベルは低くないということだ。そしてそこで点を取ってる寿人はやはりレベルが高いのだ。

 どんな形であれサンフレッチェの知名度が上がっていくのに越したことはない。そしてこの世界的評価をされた選手が今まさにサンフレッチェでプレーしている何も海外へ行かなくたって国内でこういう選手を観ることができる。これは実に幸せなことだと思うのだった。

 しかしサンフレッチェというクラブはなぜか絶対的なストライカーが出てくる。高木に始まり久保、そして寿人。地味で人気がないと言われ続けたクラブにあって応援し続けてきたのはそういうとこに魅入られたからなのだった。

2012年7月17日 (火)

首位になって

「サンフレッチェ首位おめでとう」

 そんなことを色んなところで言われる。人気もなく、万年下位争いをしているというイメージが世間では大きいのだろう。そんなクラブを健気に応援してるという目で見られてるのかもしれない。ただ、周りが言う程当の本人は至って冷静なのだった。

 そういう激励の言葉に決まってまだ終わった訳じゃないからと答えているがそれは本音なのだった。ただ首位になったというだけなら2002年だって第2節まで首位に立っていた。だがそのシーズンはその後大いに失速し最後にはJ2降格という憂き目に遭った。つまり現時点での首位というのは大した意味もないのだ。返ってこれからはより激しい立場に追い込まれたという危機感の方が強いのだった。

 といいつつ月曜には早速『エル・ゴラッソ』を買いに行き順位表を眺めうっとりとする。ゴールランキング1位は寿人、アシストランキング1位も高萩。そしてチームも1位というこんな光景は初めて観た。そしていつもなら広島での試合は扱いが小さいのに見開き2面丸ごと使われていたのは嬉しかった。さすがに首位になると扱いが違うようだ。

 そういえば試合後のダイジェスト番組でも先制点の清水のゴールが決まってピックアップされてた。改めてよくあんなの決めたと思う。ブロックを作ったCKの守備に対してペナルティエリアの外からダイレクトボレーでシュートを打つというのは理屈の上では理にかなってる。でもそれを実現させるには相当に技術的に困難なプレーなのだった。

 そのせいか月曜の祝日に親戚の叔母さんに会った時にもサンフレッチェの話が出てきた。

「広島って凄いのねえ。今首位なんでしょ。あれ、チーム名なんてんだっけ。ええと・・・、サンフレッシュ」

「・・・・・・・・」

 ぼくは5秒くらい沈黙してしまった。まあこの叔母さん、マイケル・ジャクソンのことを真顔でジャイケル・マクソンと言う人ではあるが。だがその時ふと我に返った。首位とはいえやはり世間一般でのサンフレッチェの知名度などそんなもの。せめてこの時期にその存在を広めてもらいたいと願うのだった。

2012年7月16日 (月)

川崎戦~首位

 

2012/07/14 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ 広島ビッグアーチ

 

 前半の内に3点入れたとはいえそこで安心できないのがサンフレッチェである。昨シーズンは3点入れた後5点失点するという無惨な経験をした。その為、6点入れないと勝ったという確信を得ることができない。追加点が欲しい。この調子ならいけるだろ。そう思いつつも3点入れた後からどうにもボールがつながらなくなってしまった。ミスも多くなった。結果川崎がボールを持つ時間が多くなる。まずいんじゃないか。まずい、まずいぞ。そしてさすがに選手もそれに気が付いてまた引き締まってきたのだった。

 それでも追加点が奪えない。というよりシュートまで行けないのだ。当然川崎も前からプレッシャーを掛けてくるのでビルドアップに余裕がないのだが後ろでパスを回してる内に出し所がなくついに最後尾の西川に出してロングボールで逃れるという展開が続いた。そしてそういうイーブンのボールというのはほぼ川崎のボールとしてしまうのである。なかなか毎ボールにできない状況で時間は過ぎていく。だが時間が過ぎていくのは3点差による余裕も生まれてくるのだった。

 その結果後半20分頃という予定調和の交代として寿人に代わって浩司が入る。浩司は決定的なシュートを2本放ち防戦一方だったサンフレッチェを再度攻撃へ向かわせる推進力をもたらした。

 そしてスコアは動かないものの2人目の交代があった。清水と交代するのは井波であった。大丈夫かと思うも残り10分程度という時間を考えての経験を与える為の交代だというのは明白だった。であればもう1点入っていればもっと早く出場させることができただろう。そしてもう1人の交代枠ももっと早く使うことができただろう。

 結局最後の交代はアディショナルタイムに入ってからだ。高萩と代わり大崎が入ったが、すぐに終了の笛が吹かれてしまった。大崎にももっと経験を積ませてやりたかった。これこそあと1点あればもっと早く交代できたのに。だがそんな思考はあまりにも贅沢なものであるとすぐに気付くのだった。

 ヒーローインタビューに清水と寿人が呼ばれていた。そこでインタビュアーが第一声に発したのはこの勝利により勝ち点が並びわずかゴール数で上まったことにより首位になったということだった。ついについに首位に立つことができた。が、それは逆に追われる立場になったということでサンフレッチェにとっては無きに等しい経験である。その分怖さもあった。ただ、寿人の表情はまるで意に介さないといったものだった。まだまだリーグ戦は続く。良い位置につけてるのは確かだが、まだ何も成し遂げてないというのは選手が一番わかってるようだった。

 何でも10年振りの首位ということである。ということは2002年ということなのだがこの時の首位って単に開幕2連勝しただけの話だった。しかもこのシーズン、最終的には降格してるしまるで意味のない首位だった。ということで中国新聞では18年振りという表現をしてる。むしろそっちの方がしっくりくる気がする。

 中継が終わりしばらくすると携帯にメールが届いた。タイセイさんが現地で試合後の挨拶に来た選手の画像が添付されていた。そしてあと2週間は良い気分でいられると書いていた。果たして良い気分は2週間だけのことなのだろうか。

2012年7月15日 (日)

川崎戦~先制3点

  広島は雨が降ってたようだった。スタンドが移った際、客少ないなと思ったのだが天気のせいだったようだ。午前中は広島市内で洪水注意報が出たらしい。もっとも天気が良くても入ったかどうか怪しいのだが、そういう事情を考慮しなければとても首位争いをしているチームのホームスタジアムとしては寂しい光景なのだった。

2012/07/14 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ 広島ビッグアーチ

 

 

 対戦相手の川崎はいつも煮え湯を飲まされる。噛み合わせが悪いのだろうか、いつも上手くいかない。それなのに今シーズンのアウェイの試合では大勝してしまった。これは勇気づけられたもののもしかしてその試合があったがために逆に闘志を燃やしてやって来たかもしれない。そしてベンチにいる風間監督の存在も気になる。考えれば考える程不安な要素が浮かび上がるのだった。

 開始間もなく右サイドの石川にボールが出る。中央にパスを出すもあっさりカットされてしまった。ああ、やっぱりこんなもんかと落胆した。ミキッチだったらこのポジションが最大の武器になるのだが石川では武器になりそうもない。せめて致命的なミスをしないよう祈るのだった。

 だがその後、DFで川崎のパスをカットすると真ん中の高萩へ預けカウンター。DFの裏に走る寿人にパスを出す。しかしゴール前でカットされCKとなった。おしい場面だった。セットプレーのちっとも入らないサンフレッチェにとっては決めておきたかった。が、川崎のCKの守り方を観てるとこれはチャンスかもと思えるのだった。2列のゾーンで守るという配置でまるで人に付いてない。この守り方、かつて小野監督時代のサンフがそうだった。そしてその当時はセットプレーでの失点が実に多かったのでだった。

 ボールをセットした高萩。ラインとラインの間が狙い目なのだがボールは別のあさっての方向に行ってしまった。ペナルティアリアの前、何とそこには清水がフリーで待ちかまえていたのだった。

 ボールの落下地点へまるで最初からそこへ来るとわかってたように右足を振り抜いた。ボレーシュートなのだがとても力の抜けきったフォームでジャストミートし、ボールはゴールネットに突き刺さった。開始2分のゴールだった。

 清水にとってJ1初ゴール。まだまだ知名度もない伏兵のような存在の清水が先制点を取ったというのは大きかった。川崎にとってもショックが大きかったみ違いない。そしてボールを持つと果敢に勝負に行く姿勢を魅せていた清水が結果を残したというのが良かった。努力は報われるというか本当に戦力として計算できる存在となったのが嬉しかった。

 ただしこれで浮かれてはいけないのがサンフレッチェである。こういう早い時間の先制点で浮かれているとあっさりと同点にされその内逆転されるというのを何度も経験しているのである。そしてその危機は早々に訪れた。完全に守備の裏をかかれゴール前でシュートを打たれてしまったがここは西川が早い反応と予測で防いだのだ。絶対に入ったと思った。最近の西川は神懸かり的なセーブをするようになってきたような気がするのだった。

 無事リードを守ったサンフレッチェは高い位置からプレスを掛けに行く。高萩が追う。たまらなく川崎ディフェンダーはGKへボールを渡す。その動きに反応した寿人がGKに詰める。この時プレスをかいくぐってつなごうとしたのか寿人のプレスに引っかかりボールはゴールの中へ吸い込まれていったのだった。

 2点目だ。記録は寿人のゴールである。相手のミスをかっさらったゴールだ。よく狙ってたとも言えるがこの形もかつてミシャが監督就任当初多く観られた失点パターンでもあるのだった。かつてサンフに所属した風間監督によって川崎がサンフの欠点を忠実に再現してるのは皮肉のような気がするのだった。

 更にその後カウンターにより石川が走り込んだどフリーのスペースにボールが出る。もはやこれを決めないことには話にならない。これは決めろよ、これは。そして石川は数ある選択支の中からクロスを選んだ。山なりにただ放り込んだだけのように見えたそのクロスには寿人が飛び込み3点目を決めたのだった。紛れもない石川のアシストなのだった。

 ミキッチがいなくても石川によってゴールを演出することができた。左サイドの清水もゴールを決めた。前半の早い時間に3点も入ったというのは両サイドの2人の働きが大きいのだった。

2012年7月14日 (土)

リーグ後半戦始まる

2012/07/14 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ 広島ビッグアーチ

 

 ジッとしているだけで汗がにじみ出てくるような蒸し暑さは今年初めてだったかもしれない。7月に入っても比較的涼かったせいでやっと夏らしくなったという気がする。もっともまだ沖縄以外では梅雨明け勧告はされてなく九州では1時間に108ミリという雨が降ることにより水害も起こってる。もしかしたらこの湿気もその影響があるのかもしれない。

 サンフレッチェにとって夏場は鬼門だ。シーズン初めは良くても暑いシーズンに入ると段々と成績を落としていく。そのためリーグ戦半分折り返したとこで2位という好成績ながらもちっとも舞い上がることがない。いつもよりは調子良いのかもしれないがここまでならいつもの通りなのである。問題はこの先だ。暑くなってきてどれだけ勝ち点を重ねることができるかなのだった。

 それもこれも選手層が薄いことが原因なのだろう。固定メンバーにしなければ戦えない。そしていつしか固定メンバーが負傷する。サブのメンバーが機能しない。そして体調が悪くても固定メンバーが出場する。結果試合には負けてしまうといったパターンだろうか。正に夏は試練の季節なのである。

 すでに山岸は怪我により長期離脱中だ。ミキッチも内転筋を痛めたらしい。青山も前節負傷交代をしてる。更にそろそろ累積警告で出場停止選手が出てくる頃でもあるだろう。何にしてもスタメンが気になる試合だった。

 そしてビッグアーチのピッチに出てきたのはいつものメンバーである。だがそこに石川が混じってた。ミキッチの代わりは確かに石川しかいない。だが不安だった。それでも肯定的にとらえるなら、今シーズンは出場機会を得てるのでそろそろ慣れてきた頃かもしれないのだった。石川、石川、もはや石川しか目に入らない。それは期待というより不安の目という意味合いの方が大きいのだった。

 

2012年7月12日 (木)

サンフのいないU23代表

2012/07/11 キリンチャレンジカップ U23日本vsU23ニュージーランド 国立競技場

 いよいよ2週間後と迫ったオリンピック。日本での最後の壮行試合である。かつてはオリンピックに出場というだけで湧き上がるものがあったがすでにオリンピックに出るのは当たり前というように常連化し、そのありがたみも薄れた。そのせいで近年男子サッカー、オリンピック代表というのはそれ程興味を持たれる存在となってないというのが現状である。

 そのせいで走行試合となるこの試合に客が入るのかどうか不安な面があったがさすが本番前の試合にはちゃんと入ってくれるようである。TV映りを考えても一先ず安心したのだった。

 と言っておきながらかくいうぼくも大した興味を持ってなかった。それもそのはず、サンフレッチェの選手が一人もいないのである。最終選考で落選とかそういうレベルではなく予選にすら参加してなかった。唯一GKの増田が交代要員として呼ばれてただけである。その為、とても他人事のような気がしてしまうのだった。

 ところが中にはオリンピック代表にあまり呼ばないでくれと要請をしてくるクラブがあるそうだ。チームの中心に23歳以下の選手が数名いたら大会中リーグ戦の戦いに影響するというのは理解できる。でもどうしてもある感情を抑えることができない。何て贅沢なと。23歳以下とはいえ選手を世界大会へ出場させることができる。こんな名誉なことに異議を唱えるなんてありえるだろうか。ありえない。

 サンフレッチェのようにオリンピックに何の関係もなくなってしまったようなクラブにしてみるととても寂しい事態である。かつては一杯出てた。かつては。そしてその時はチームも弱かった。それでも森崎ツインズや駒野がU23代表に選ばれることがどれだけ精神的に救われただろう。

 チームの強さとU23代表選出の関係が見事に反比例してる。強いチームでは若手の出場機会が厳しくなるのである意味当たり前のことだ。だけど育成型クラブを謳ってるサンフレッチェにおいて寂しいことに違いはない。

 本当は大崎や横竹が選ばれるのだろうと思ってた時期があった。結局彼らは見る影もなかった。果たして次のオリンピックが行われる時には候補くらいには入る選手いるのだろうか。

2012年7月 8日 (日)

磐田戦~星に願いを

2012/07/07 サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 広島ビッグアーチ

 

 ついてない。2人も負傷交代をすれば誰だってそう思っただろう。しかも交代で出場したのは中島。今シーズンナビスコカップでの出場しかない。しかもこういう膠着した試合でしょうもないミスパスをやってしまいそうで恐かった。そういえばサイドの控えであるファン・ソッコもオリンピック代表選出のためチームに帯同してない。運がない。運がなさ過ぎるぞ、この試合。

 だがここで試合が動いた。中央で受けた寿人はボールを横に散らしそれがまた中の寿人を経由してペナルティエリアに入ったそのボールに追いついたのは中島だった。そしてアウトサイドで流し込んだボールはGKの脇をするすると抜けてゴールにはいったのだった。

 中島、あの中島がである。欲しい欲しい先制点を入れたのだ。磐田の守備が良いのかとても点の入りそうな気はしなかったのに中島が今シーズン初ゴールを決めたのである。地味ながら何気に攻撃への意識が高く忘れた頃にシュートを打つのだ。それ以上によくあんなとこにいたもんだ。ボランチなのにFWの寿人を追い越してシュートしたのである。素晴らしい。

 やっぱり中島は頼りになる選手である。前へ行く意識が高いからこうやって重要な局面で決めることができる。どうしても決められた人数しか試合に出れないからチャンスに恵まれなかったが、やはりまだまだやれる選手なのだ。

 さっきまでの失望感はどこへやら。意図せずして交代が好影響を生んでることがまた嬉しいのだった。

 ただしその高揚感はすぐに恐怖感へと変わるのだった。なぜにサンフレッチェは点を入れるとこうも防戦一方になるのだろう。左サイドから駒野がクロスを入れてくる。清水もマークによく付いて自由にはやらせてないいのだがたまに入れられてしまう。そういう時が恐怖の感情に押しつぶされそうだった。

 長い、残り時間長すぎる。時間の進むのが遅い。地球が自転を辞めてしまったのではなかとさえ思える。そして右の深い位置を突破されラストパスを送られた時にはもう目も当ててられなかった。もうやられたと思った場面は他にも何度かあった。

 だがそれもシュートに精度を欠き事なきを得た。西川のファインセーブもあった。そのせいでもしかして今日は運が良いのかもしれんと考えを改めるのだった。

 そして後半半分を過ぎたとこで定番の交代だ。寿人から浩司である。それにより浩司はシャドーの位置に入ったのだがバイタルエリア中央でボールを受けた浩司は身体を反転させ左足一閃、シュートを放ったのだった。早い弾道のそのシュートはGKも防ぐことができず追加点が決まったのだった。

 勝った。さすがにこの時は確信した。すでにアディショナルタイムに入っていたことからこれは勝利を決定付けるゴールであった。

 2位、3位対決を征し順位も2位のままである。そしてやっとリーグ戦の半分を消化した。長い長い道である。だけど半分行ったとこでこの順位。誇らしくもあるが気が遠くもなるのだった。

 そしてこの試合は運が良かった。これも全ては七夕のお陰だろうと感謝するも織姫と彦星の話さえまるで覚えてない程に関心を持ってないのだった。

2012年7月 7日 (土)

磐田戦~2人の負傷者

 

2012/07/07 サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 広島ビッグアーチ

 

 ここ2日雨が続きそのせいでずいぶんと涼しい。TVのニュースでは西日本の大雨の映像が流れていたが広島もその影響は受けていたはずだ。7月にしては希な気温の低さである。これが毎年夏場に調子を落としていくサンフレッチェにとっては恵みの天候であるのだった。

 だがその曇り掛かった空のせいか客は少ないように見えた。これが首位を追うチームのホームゲームというのは寂しさがある。あの前節、ユアテックスタジアムのアウェイゴール裏の熱気は何だったんだろう。ホームとアウェイのスタンドを比べると本当に同じチームの試合なんだろうかと当惑することがあるのだった。

 七夕の日ということで笹の葉の中を選手は入場してきた。あの短冊には何が書かれているんだろう。恐らく今日勝ちますようにとか、タイトルが欲しいといったとこだろう。お願い事など面倒くさくてまるで関知しないぼくだが、そんなぼくでも神にでも頼みたい気分だった。

 試合の入り、それはゆったりとしたテンポだった。後ろでのパス回し。無理に前にボールを出そうとしないのだが磐田には前からプレッシャーを受けるのだった。それにより危なっかしいボールの奪われ方をした。そして守備に回る時間が多くなりもどかしい展開が続くのだった。

 こういう時頼りになるのがミキッチである。ボールを渡せば右サイドを駆け上がりゴール前まで運んでくれるのだ。そのスピードと技術の高さは観てる者を虜にする。さて、今日はどんなプレーを魅せてくれるのか。そして早速ドリブル突破からシュートまで持ち込んでいったのだった。

 シュートは枠をはずれるもさすにミキッチなのだった。ただ、後になって思うとこの左足でのシュートを打った時表情が険しかったような気がした。それは単にシュートを外したという落胆の表情にしては異質なものを感じてたのだがもしかしたらこの時左足の内てん筋を痛めたのかもしれにのだった。17分に早々に交代したのだった。

 これは痛い。サンフレッチェのチャンスメイクの少なくない部分をミキッチに頼ってるだけに早くもプランが崩れてしまったのだ。交代で石川が入るも戦術的な交代でないだけに勿体なさはあった。そして石川のプレーになる度にやっぱりミキッチとは違うなとため息をつくのだった。

 しかし、後半になるとチームも積極的に前に出るようになった影響か石川も思い切ったプレーするようになった。深くえぐってクロス、そんな場面が出てきたのである。結構やるじゃないかと期待感が強まるのだった。

 いける、いける。これはいけるぞ。チームも前半ほとんどなかったシュートが打てるようになってきた。最後もう半歩早ければシュートにいけたのではという場面も作りだしていた。それなのにここでまたアクシデントがある。青山が座り込んでしまったのだ。エンジンと呼ばれた青山。その青山がいなくなるということは当然大きな打撃。ミキッチに続いて青山と2人も負傷交代をせざるを得ない状況に追い込まれてしまったのだった。

2012年7月 6日 (金)

続く上位対決

2012/07/07サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 広島ビッグアーチ

 もう1週間経ってしまったのか。仙台まで行った前節は首位決戦という名目でずいぶんと取り上げられた。サッカー番組だけならまだしも翌朝の『サンデー・モーニング』というおよそサンフレッチェには縁のないような番組にも取り上げられたのはちょっとした驚きだった。やっぱり首位争いをやるって重要なことなんだな。ただでさえメディアでの露出の少ないJリーグにおいて貴重な機会を得ることができたのだった。

 首位決戦にふさわしい死闘とまで称賛された前節だったが実はその次は23位対決である。しかも対戦相手が磐田。どうしてこういう苦しい日程になったんだろう。陰謀なのだろうか。世の中の大半の陰謀説が大した根拠もないのと同じように目に見えぬ力による壮大なストーリーを考えてしまうのだった。もっとも目に見えぬ力という意味では決して的外れでもないのだが。

 上位チームとの連戦とはなってるが、実は1位から6位までの差が6ポイントしかない。単純に2試合差しかないという混戦状態は世界的にも稀だろう。どこが優勝してもおかしくないというのはリーグ戦をスリリングにしているはずだ。だがその割に世間の注目が低い。アピール不足なのだろうか。かといって有効な手段がないというのが現状である。こういう時オリンピックで余程奇跡的な成績でも収めると一時的にワッと注目されるのだろう。注目されるというのはそういう他力の要素が結構大きかったりするから難しい。

 ここ何年か磐田との対戦については呪いという言葉を使ってきた。それもこれも2010年のナビスコカップ決勝で優勝を目前としながらも磐田に負けてしまった影響が大きい。あと数分、あと数秒で終わるのを終えることができないとこに優勝というものに縁のない原因があるのだろうがあれにより磐田には絶対に負けたくないという感情が生まれたのは確かである。

 そういう相手と混戦の上位対決をやるというのもまた因縁なんだろうか。試練でありながらそこに何か見えざる意志によって導かれたかのような気もする。こういう背景をとっても結構興味深い因果関係があると思うがやっぱりマスコミには相手にされていない。実に勿体ないことだと思うのだった。

2012年7月 3日 (火)

仙台からの帰り

2012630日 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 八乙女駅までドクトルと歩いた。アウェイゴール裏だと泉中央駅よりも行きやすいのだった。昨年の虚ろな記憶で駅へと向かうが他にも駅に向かってる人多くいたので結局人の流れについて行っただけだった。

「いやあ、勝てたよなあ」とドクトルは渋い表情を見せる。「カズのバックパスでの失点、ああいうのって今シーズンになって減ってきたのにやっぱりなくならないんだなあ」

「そうですね、カズって1試合に1回ああいう致命的なミスしますよね」

「安い失点だったよなあ」

「まあミスという意味では結構みんなしてたんですよね。ただそれを他の選手が上手くフォローしていたんですよ。ただしカズの場合フォローのしようがない場所でやっちゃうんですよね。あそこで奪われたらお仕舞だという場所で。あの場面なんて単純にクリアすれば良かったのにそういう状況判断ができてないんですね」

「あと石川はあのシュート決めてればなあ。ヒーローになれたのに」

「そうですね。あれさえ決めていれば」

 そこで石川がフリーでのシュートをバーに当てたシーンを思い出した。

「でも正直ぼくは石川がシュート打つ時点で入らないと思いましたよ」

 まあそれもそうだなという顔をドクトルがする。

「というよりあれが石川じゃなくてミキッチだったら入ったかというとどうでしょうかね」

 少し考えるドクトル。だがそれはほんの一瞬のことですぐに表情が崩れた。

「そう言われると入らなかったような気がするな。やっぱり引き分けは順当というとこだったのかもしれんな」

 他にも西川が結構シュートを止めるシーンがあったような気がする。一歩間違えば勝てたというのは向こうも同じことだったかもしれない。

「それにしても・・・」ドクトルは思い出したように続けた。「石川がシュート外した時、上から見るとスタンドの人みんな頭抱えてたよ。あれは綺麗に動作が揃ってたな」

 TVカメラがもっと余分にあればそういうスタンドの様子まで映像に収めることができただろう。さぞ面白い光景だったに違いない。

 ぼくらは八乙女駅で仙台駅行きの電車を待った。行き先表示の電光掲示には時刻が表示されてないのをドクトルに言われて気付いた。

 姿を見せた地下鉄南北線。八乙女駅は2階にあるためちっとも地下鉄という気がしない。そして電車は止まるものの泉中央駅からの仙台レプリカで一杯になった車内に一瞬後ずさった。

「いや、これは乗れるかなあ」

「大丈夫でしょ。都内の通勤電車に比べればこんなのどうってことないでしょ」

 人ごみを縫うように車内を潜り込み仙台駅に向かい終電近くの新幹線を目指すのだった。

2012年7月 2日 (月)

仙台戦~そして引き分けに終わる

2012/06/30 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 

 交代が告げられたのは寿人だった。どうもミスの多かった石原から思ってたがここで浩司を入れ石原をトップへコンバートするというのは王道のパターンでもある。ただ不利な体勢でもファールを貰うことでボールを失わない寿人を代えるのは勿体ない気がした。そしてそれ以上に寿人のゴールがもっと観たいのであった。

 しかし、この交代はやはり黄金パターンだった。高萩がループでDFの裏、GKの目の前へボールを出す。そしてGKの反応する間もなく浩司が飛び出す。ダイレクトで放ったシュートはゴールにぶち込んで行った。

 逆転。その動きのあまりもの速さに一瞬どこから現れたかわからなかった。このもう1点が欲しい状況で交代出場の浩司が決める。やはりこの交代は正解だったのだ。

 ベンチのメンバーも含めて浩司に駆け寄る。アウェイゴール裏では浩司のチャントがこれでもかというように繰り返される。この首位攻防戦という大舞台で逆転ゴールを決めたというのがまるでサンフレッチェらしからぬしたたかさを感じたのだった。

 だがここで守備的になっては駄目。やはりもう1点取らないといけない。前掛かりになった仙台には隙があった。だがサイドからクロスを上げて露骨に競り合いに挑もうとする時、怖かった。サンフレッチェが手を代え品を代え攻めてるのに対して仙台は露骨にサイドからゴール前競り合い勝負ということをやる。これが結構驚異なのだった。

 後何分あるだろう。アウェイゴール裏では45分計が見えにくい。それでも終了にはまだまだ途方もない時間があるのだけは確かだった。仙台はプレスを強め圧力は増す。サンフもそれをかいくぐりボールを回す。だが後ろでプレスを受けた時、出しどころに詰まったカズは判断を間違った。力ないバックパスの行く先には誰も見方の選手がなくプレスを掛けてたウィルソンがそのまま奪って独走していった。誰も追いつくことはできない。誰もその行く手を遮ることはできない。残すはゴールマウスに立っている西川だけだった。とっさのの判断で飛び出した西川であったがあっさりとかわされ余裕でフリーのシュートを決められてしまった。残念な残念な失点であった。

 ああ、またやらかしたよとため息をついたがアウェイゴール裏のサポーターは一層コールを強めていった。まだ諦めてない。そんな気概を発した。そしてピッチの選手も再び得点をしようと息撒いた。

 3人目の交代で石川が準備してた。もしやミキッチとかと思ったがそこしかポジションがないのは明白だった。だがこの1点欲しい状況でミキッチが下がるのは痛い。しかも石川は前のナビスコカップの試合でまるで良いところがなかった。この場面での起用は荷が重いというよりまるで期待できないという方が妥当だった。

 しかし、この石川にもスピードという武器があった。前掛かりの仙台の攻撃をしのぐと前線には広大なスペースが。そのスペースへのスルーパスへ追いついたのは石川だった。

 早い。石川のドリブルに仙台ディフェンスは追いつけない。そしてGKと1対1である。真正面から放ったシュートはループ気味に弧を描き見事GK林の頭上を越えていった。そして両手を突き上げようとしたその瞬間、カツンという音が聞こえたのだった。

 石川の放ったシュートは見事にバーに当たり跳ね返ってしまった。頭を抱える。今夜のヒーローは目前だったのにわずか数センチのせいでベンチ要員のレッテルを外すことさえできなかったのだった。

 それでもまだチャンスはあるだろう。風はこちらに向いている。だがそのままスコアは動くことなく終わってしまった。

 ああ、勝てた。勝てた試合だった。そんな無念さがない訳ではない。それでもスタンドに挨拶に来た選手に拍手が響きわたったのは死闘を終えたねぎらいがあった。

 それにしても仙台って何でこんなにも強くなったんだろう。2008年にJ2で戦ってたのが信じられないのだった。もっともその頃からなぜか仙台だけには勝てなかったので相性の悪さはあるのだろう。一体いつになったらこのスタジアムでかてるのだろうか。そしてぼくも一体いつになったら遠征をして勝試合を観ることができるのだろうか。

仙台戦~同点に追いつく前半

2012/06/30 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 

ワンツーによりサクッとDFの裏へ出されたボールはウィルソンにGKとの1対1の状況とされあっさりと決められてしまった。何か最初から仙台ばかりが攻めそれを潰したりカットしたりはするもののシュートまでたどり着けなかった。何か攻撃につながらないなと思っていたら失点してしまった。実にあっさり、簡単に、呆気なくやられたという感じである。せっかくの頂上対戦が台無しである。ただしサンフレッチェはここで火が付いたのである。

 だが火が付くのが遅い。何で最初から攻めていく姿勢を見せなかったのだろう。ワントップの寿人にボールが入るとそこで左右へはたく。そこで清水など左サイドで何度となく突破をはかりチャンスを演出する。もしくはカウンターでゴール前までゴール前まで持ち込む。チャンスはあった。チャンスはあるのにシュートが打てない。最終ラインを割ったっと思ったら最後の1人がギリギリで抜かせないのだ。そのDFの堅さは尋常ではなかった。

 このチームからゴールを奪うのは無理だろう。そういう発想になったのは公式戦2試合連続無得点という事実も大きい。まだ前半も終わってないのにそんな悲観的な発想になっていた。

 それ以後仙台のシュートは西川がキャッチして事なきを得たがサンフレッチェのシュートはいずれも枠に行ってない。やはりエンジンが掛かる前に失点したのが痛かった。

 するとそれまで沈黙してたミキッチの右サイドへボールが入るようになった。右サイドにスペースができそうなるとミキッチのスピードが生きる。カミソリのようなドリブルが右サイドを疾走する。そして放ったクロス。いや、もしかしたらシュートだったかもしれない軌道のボールはGK林の前で変化した。そしてネットを揺らした。前半終了間際に同点ゴールが決まったのだった。

 軌道が変化したのは寿人がGKの前で触ったからだった。いく度となくシュートを阻んできた林もあれではどうしようもない。前半の内に振り出しに戻すことができ程なくハーフタイムを告げる笛が鳴った。同点でハーフタイムを迎えるその意味は大きい。これで条件は同等になった。

 ピッチを引き上げる選手、割れんばかりの寿人コール。どうしても勝つことができないユアテックスタジアムにおいて期待してもいい何かを感じた瞬間だった。

2012年7月 1日 (日)

仙台戦~反響する応援

2012/06/30 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 

 昨年の経験で早めに行かないと席に余裕がないというのはわかっていた。そのためキックオフ2時間前にスタジアムに着き席を確保しているとドクトルを始め他の仲間が現れた。今日は宿泊して明日帰るという仲間もいたが考えてみればたかだか90分のサッカーの試合を観に2万円以上も交通費使って来るのはいかにも無駄なようにも思えた。ふと客観的な視点で考えるとどうにも説明がつかないのだった。

 その時突然大音響で音楽が流れた。ピッチに雪崩出たのはノギザカ46というアイドルグループだった。ロックを信望するぼくがアイドルなんか当然知ってる訳もなく何がここまで盛り上がる要素があるのかわからなかった。そもそもスタジアムにアイドルを呼んで興行へ結びつけるという安直な発想がぼくには受け入れられなかった。だがそれはスカパー!との関係だよとドクトルに教わり自分の無知をさらしたのだった。

 そしてウォーミングアップに選手が入場してきた時にはアウェイゴール裏が異様に盛り上がった気がした。それが首位決戦のためだろうか。それとも屋根が付いて一体感があるせいなのだろうか。そしてピッチでベンチに入らない選手までアップをしてるのに気付きクラブとしても相当に気合いを入れてる一戦なのだという気がした。

 12位の直接対決で勝たないといけないという気持ちもある。だけど中には1位になるとマークされてガタガタと落ちてしまいそうだという声もある。なるほど、長距離レースのように2位のままずっと走り最後にピュッと出て首位で終わるというのも作戦としてはすばらしい。だから引き分けが一番いいというのも理のある考え方だ。だけどぼくはそのようなもろもろの思考を超越するある一つの想いに終始したのだった。

いい加減、遠征して勝つとこを観てみたい。

仙台へ向かう

2012/06/30 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 

「てっきり紫の服装してるかと思ったよ」

 東京駅で待ち合わせた仲間はぼくを見つけてそう言った。確かにレプリカを着て行こうかとも思った。だけど東京から新幹線であの格好というのは抵抗を感じリュックにしまってしまった。が、実際に東北新幹線のホームに上がると名古屋のレプリカを着た人が降りてきてやはりああでないとと羨望の眼差しを向けるのだった。

 車内に乗り込むとぼくはサブのメンバーで臨んでぼろ負けしたナビスコカップのことを話した。その時のレギュラーのメンバーとの差にあまりにも愕然としたことからぼくの口調は一層熱を帯び仕舞いにはうるさいと遮られてしまった。

 その内仲間は鞄から『エル・ゴラッソ』を出した。ぼくはこの新聞を金曜日に買うとサンフレッチェが勝たないというジンクスを自らに感じ試合前には買わないようにしている。だけどぼくが買ったわけじゃないから読んでも大丈夫だろうとありがたく読ませてもらうことにした。

 首位攻防戦と銘打たれている。確かに1位と2位の対決である。注目カードだ。その割には紙面の扱いは地味だった。長年サンフを応援しているとどうせサンフは隅に追いやられると卑屈な精神が生まれてくるのだった。

 だが、実際にはリーグ戦もまだ半分も消化してない時期に首位決戦というのがあまり意味をなさないというのも事実である。そしてあまり首位を狙えるということを意識し過ぎると軽く足下をすくわれるような気もする。サンフレッチェがここぞという試合で負けてしまうのは何度となく味わってきたのだ。

 それゆえぼくは至って冷静だった。さっきはうるさいと言われたのにこの試合に関しては何が起こっても動じない心境だった。そんな境地に到達することができたのもそれもそのはず、ぼくは今まで広島以外の場所へ遠征へ行って勝った試合を観たことがないだった。だったら行かなければいいのに。誰が聞いてもそう答えるだろう。そして果たしてやはり行くべきだったのか自問自答をするのだった。

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