チュンソン、サウサンプトンへ移籍
もう新聞紙上ではちょくちょくと記事が賑わってたことによりようやく正式発表されたかという感じなのだがついにチュンソンの移籍が決まってしまった。柏木、槙野、チュンソンと毎年主力メンバーが一人ずつ抜けていく。生え抜き、もしくはチュンソンのように広島に来て能力を開花させた選手が抜かれるということは育成型クラブとしての成功とも言えるが一方でそういった選手の吸引力を持ってない証でもあるのだった。
李忠成、2009年シーズン途中に加入したこの選手は決して期待されてた訳ではなかった。北京オリンピック代表という実績はあるもののその後所属チームの柏では徐々に出場機会を減らし最後にはベンチにも入らないようになってしまった。もしかしたらサンフへの移籍が決まっていたからの処置かもしれないがその移籍は戦力外と言っていいだろう。この当時この選手を取った意味がよく分からないという空気があったものだ。
事実、加入したシーズン途中出場で出場機会はあったもののどうも噛み合わないという印象が大きかった。ゴールがないという結果のみならず流れを止める悪循環があった。結局このシーズン、ノーゴールで終わりやはりこんなものだったと失望したものである。
そして翌シーズン、ACLの消化試合とも言える最後の試合で移籍後初のゴールを決める。それによりそれによりこれから爆発してくれるのではと淡い期待を抱くもリーグ戦ではやはり結果が出ない。それにより出場機会はなくなりぼくらの記憶にもチュンソンの存在は忘れ去られようとした。
その転機が現れたのがエース佐藤寿人の怪我だった。ほとんど怪我らしい怪我をしたことのない寿人の離脱は大きな痛手だったがこの時代役とされたのは山崎だった。ところが運悪くこのタイミングで山崎まで負傷離脱をしてしまう。そこでワントップとして起用されたのがチュンソンだった。第3FWという地位にいたチュンソンの起用は言わば苦肉の策というとこだった。
しかし、ここでサンフ移籍後初ゴールを決めてしまう。不幸中の幸いとばかりに喜んだが以後出場を続けゴールを続ける。3試合までは運が良かったと思ったがさすがにそれ以後も1試合1ゴール決めるという実績を積み上げるとこれは本物だと信頼を寄せるようになった。それにより負傷の癒えた佐藤寿人も一時的にではあるがポジションを失ったかのような状態になってしまった。
そして2011年シーズン、ミシャはワントップに寿人を据えチュンソンを2シャドーの左へと据える。それにより寿人と2人で30ゴール目指すとまで豪語したが確かにそれだけの可能性は秘めていた。そして実際シーズン序盤は得点を重ねた。特にチュンソンの得点力は突出しており1試合1ゴールという確実性のため日本代表に選ばれたことは別に驚きもしなかった。
その後チュンソンが最も注目されたのはアジアカップ決勝で長友の左サイドからのクロスをボレーシュートで決めた決勝点だ。あの形、サンフレッチェではすでに観た光景だったのであのクロスの先にチュンソンの姿を確認した瞬間もう決まったと思ったものだった。
柏でベンチにも入れなかったチュンソンが日本代表でも注目される選手となった。それは間違いなくサンフレッチェに来たからだろう。マークを外す動き、裏を狙う動きというのは明らかに寿人の影響を受けたと言える。そしてミシャのサッカーがチュンソンに新たな境地を与えたとも言える。それ故にチュンソンは生え抜きの選手と同じような愛着をもたらせたのだった。
その頃からだろう、海外移籍の噂が出たのは。ただ、皮肉なことにそれ以後ゴールが遠ざかってしまうようになってしまった。チュンソンの得点力の低下と共にチームも得点が取れなくなり知らない内にチュンソンのゴールに頼るようになっていたのに気付かされたものだった。
身体のキレてる時はドリブルで2、3人ぶっちぎってシュートを打った。またはとんでもないミドルシュートを決めたこともある。そういう普通の選手がマネできないことをする割に結構簡単なシュートを外してるのだ。恐らくそういうのをきっちり決めることができれば得点王にもなれただろうしチームももっと勝ち点を重ねることができたのだ。
チュンソンのイングランド移籍の報道はTVのニュースでも取り上げられた。だけどその紹介は「日本代表の」という肩書だった。「サンフレッチェ広島」という言葉は全く出なかったことに寂しさを憶えた。その辺にJリーグ、もしくはサンフレッチェのブランドの低さを感じずにいられなかった。結局それ故に選手を留めることができないんだろうという現実を知るのだった。
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おっしゃるとおりサンフレッチェのブランド力は低いと言えると思います。ユース出身の選手の何人が生涯このクラブでやりたいと思っているか・・
ただ、日本では結局どのクラブも大差無いのかもしれません。強いて言うなら優勝できそうなチームに行きたいという気持ちはわからないでもないです。私もミシャが槙野まで呼んで、もうJリーグ見るのも嫌だなと思ってしまいましたが、森保監督、寿人たちに期待し、ここから継続して応援するのが真のサポーターの第一歩と思って応援しつづけようと思います。
投稿: まさ | 2012年1月19日 (木) 22時37分
>まささん
長く応援してれば色々なことがあるでしょう。それでもかつての本当に客が入らなかった頃を考えればまだ良くなった方です。
共に応援していきましょう。
投稿: Miles | 2012年1月25日 (水) 15時43分