ナビスコカップ決勝~芋粥
2010/11/03 ナビスコカップ決勝 ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島 国立霞ヶ関競技場
それはあと3分くらいのことだった。1-2でリードしてる展開で終了のホイッスルを待つだけだった。磐田が先制するもどこか入っちゃったといった感じのゴールだったためにすぐに逆転できるような気がした。その予感はミキッチの突破からチュンソンのゴールが生まれその後山岸のGKとの1対1を冷静にコースに決めるシュートでもはや決着がついたとばかり思った。すでにアディショナルタイムの表示も示され時間の経過を待ち望んでいたのである。だがそれでいてどこか物足りないものも感じていたのだった。 それはまずミシャの采配があった。残りの交代カードとして寿人を出すのだと思ったらDFの横竹だった。これはもう守備に入るというメッセージでしかない。最後まで攻撃に行く姿勢を見せて欲しかった。CKではもはやゴール前へのキックではなくコーナーでのキープで時間稼ぎを選んでしまった。まだそんなことするには早いよとドクトルは言ったがぼくもそんな気がした。そして何よりも3点目が入るチャンスがありながらそれをことごとく外すのである。本当にあれを外すかよというシュート、もしくは打つべきところでパスをだしてしまう。取るべきところで点を取らない、大体負けるパターンはそういったものなのだがこの試合での失敗もその負けるパターンであった。 ドタドタと攻められてはクリアするもセカンドボールが拾えない。それでもあと数分堪えれば勝つことができる。ただこんなんでタイトル獲っていいのだろうかという疑問が浮かんできたのも事実だった。最後まで貪欲にゴールを目指す。それがサンフレッチェのサッカーでありそれがあるから気持ちが高ぶるのである。念願のタイトル、勝利を目の前にしてこんなもんかなという感情もあったのも事実だった。 CK、こんな終了間際のセットプレーなんて入る訳がない。それなのに入ってしまったのである。しかも入れたのは前田。またしても前田だ。いつも前田。前田もサンフレッチェが相手だと絶対にゴールを決められるという自信があるのではなかろうか。それ以上にいつもやられる相手をマークしてないんだろうかと疑問をもつのであった。 勝利を目前とした終了間際での同点。この状況、どう考えても磐田の方が有利だった。この先サンフレッチェが点を取るとしたらどうしたらいいのかさっぱり分からなかった。そもそもチームは守備のメンバーで固めている。カウンターでチュンソンを狙うが疲労もあり上手くいかない。それ以上にチュンソンには1試合で1回ゴールを決めると神通力が消えてしまうというのである。だからどんなに難しいゴールを決めようと2点目、3点目は取れないのだ。1試合で1ゴール決めるのなら上等かもしれない。だけどそれが分かってるなら寿人に代えて欲しかった。そこが物足りなさとして感じてた部分でありそして自分で自分の首を絞めるような状態になったのだった。 延長戦、ふらふらになりながらもよくがんばったと言ってやりたい。でも条件は同じながらも磐田は2ゴールもサクサクッと決めてしまった。それでも勝利を信じて疑わないサンフサポの声援が続いたもののこの守備の弱さはこの大舞台であってもいかんなく発揮されたのである。その後槙野が直接FKを決めるももう1点はとても遠いような気がした。なぜなら磐田の得点はどれも簡単に決めたものであるのに対してサンフレッチェのゴールは全てがスーパーゴールである。その得点を挙げることの労力に関して言えば歴然としていた。 そして完全に負けを認めざるをえなくなったのはまたしても前田だった。ペナルティエリアに3人もいながら全てを交わして西川の頭上を越えるループシュートを決めた。前田、前田である。勝利も前田が崩しわずかな希望も全て前田が崩してしまった。本当に本当に邪魔な存在だ。 かくして5-3という決勝としては大差でのスコアとなってしまいあえなく敗れ去ってしまったのだった。またしても準優勝。シルバーコレクター。Jリーグオリジナル10チームの中で唯一ノータイトルという不名誉な実績はまた継続してしまったのである。その悔しさと苛立ち、表に出すまいとこらえるので必死だった。 ふと芥川龍之介の『芋粥』を思い出した。身分の低い下男が一度芋粥を死ぬほど食べてみたいと憧れてたものの実際にたらふく食べれる量の芋粥を振舞われた時、もう辟易してしまったという話だった。90分で勝利を目前とした時その気分はこの芋粥に似ていたかもしれない。ずっと手に届かないだけにその憧れだけが増幅していった。そして手に入れたらその価値が落ちてしまいかねない。これはある意味まだタイトルを獲ってはいけないということだったのかもしれない。少なくともぼくはそう理解するようにしたのだった。
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昨日はテレビ観戦でしたが、4-2になった時点で悔しくて涙が出てテレビを切ってしまいました。
録画していたので後で見ましたけど槙野はよくやったと思う。個人攻撃はいけないが、一誠の出来が最悪だったので寿人の交代枠がなくなってしまったようですね。一部でイリアン退団か?という噂もあるようですが一誠を切って欲しいです。
サイドはミカ、山岸と日本でも1番いいのではと思いますが、実は弱点は2シャドーにあると思います。攻撃的なチームといわれるけどそれは昨年までの話。シャドーはほとんど点を取っていません。点を取るのではなくパスを回すのが目標なのか?と思うときが多いです。
それと、槙野。本当に残留してもらわないと困ります。柏木、槙野と連続で出て行ったらファンは減るでしょう。育成チームというのは育成した選手が出て行かずそのメンバーで優勝を狙わないと意味が無いと思います。
長々と書いてしまいましたが、本当に昨日はつらかった。いつまでシルバーコレクターなんでしょうか?
投稿: まさ | 2010年11月 4日 (木) 18時56分
お疲れ様でした。非常にいい試合だったと思います。両チームの選手にお疲れ様と言いたいです。チームとしてまだ優勝する実力がなかったということでしょう。
投稿: ゆみしん | 2010年11月 4日 (木) 20時55分
>まささん
熱の入ったコメントありがとうございます。
ふつふつと悔しさが思い出されました。
メンバーの動向は気になりますね。
一体どうなるんでしょうか。
>ゆみしんさん
おっしゃる通りですね。
いつかまたこの舞台に立ちたいです。
これも一つの通過点と考えることにします。
投稿: Miles | 2010年11月 5日 (金) 12時03分