FC東京戦~勝つべき選手
2010/08/21 FC東京vsサンフレッチェ広島 味の素スタジアム
「前半の内に決めときたかったよなあ」
「そうだよなあ、チャンスはあっただけにね。こういうのを決めないとその内流れが向こうに行ってしまうんだよな」
「だけど決めきれないのはまだしもシュートを打たないというのはどうにかならないものだろうか。高萩なんて昨シーズンはミドルシュートとか決めてたんだけどな。森脇にしてもシュートを打つのに迷いがなかったのに」
そう、このチームは何でこんなにもシュートを打たなくなってしまったんだろう。そこがまた勝利を予感させてくれない要素なのだった。でも今日は勝たないと本当にこのまま降格争いということにもなりかねない。ハーフタイムぼくらはそんな会話をして後半はメンバーを替えてくるだろうという結論に達した。
しかし、ピッチに現れた選手は前半と全く一緒だった。不満の多かった高萩が交代することなかったということはミシャは相当に信頼を寄せているらしかった。
そして後半、前半の良い流れが続いた。てっきり相手に対策を練られて後手を踏んでしまうと思っていたのだが攻めることができた。相変わらず森脇は見方の頭上を越すようなクロスを上げている。それだったらいっそのことシュート打てばいいのに。枠に入らないにしてもそっちの方がよっぽど相手に脅威を与えるだろう。
そして今度は高萩がゴール前ぽっかり空いた瞬間シュートを打つのかと思ったらパスを出した。もうそのパスを出した瞬間に頭を抱えてしまった。どうしてみんなシュートを打たないんだ。そんなもどかしい展開が続いたのである。
チャンスとなるやシュート。入らなくてもいいからそういう積極的な姿勢が欲しい。そんな時ゴール左前で服部がボールを受けた。打て!と叫んだ。が、どうせ服部のことだからパスをすると諦めていたもののシュートを打ったのである。しかもそのボールは見事に反対側のネットに突き刺さってしまった。
ウオーッと立ち上がった。まさか服部が決めるとは。シュートを打つこと自体が珍しい服部がこう着状態を破る先制点を入れたのである。何て幸運な現場に居合わせたことか。服部のゴールを生で観たのは初めてかもしれなかった。今ではほとんど見かけることのない17番のレプリカの番号が誇らしかった。
だが、そのゴールもその後の寿人のゴールでインパクトが一気に吹き飛んでしまった。これも貴重な追加点ではあった。これでほぼ勝利を確実なものにしたと言っていいだろう。だけどゴールを決めた時の盛り上がり、決めるべき人が決めたという高揚感、こういうものを寿人は持っていた。やはりそれがストライカーとの違いなのだろう。
ここ数試合ゴールのない寿人には懐疑的な眼を向けざるを得なかった。だがこのゴールの後チュンソンと交代するとその差は歴然としていた。あのボール、寿人だったらマイボールにしてただろう、突破していただろう、そんな場面が一杯あり実はシュートだけの選手ではないと改めて感じさせたのだった。
そしていよいよ勝利を確信したのはストヤノフが倒れた姿を見た時だった。
「ストヤノフがああいうことをやった時はもう勝てる時だよ」
ドクトルも余裕の表情を浮かべながら話したが実はその倒れた選手と森脇なのだった。またストヤノフが時間稼ぎで巧妙に倒れてると先入観で決め付けてしまったのだった。
だが森脇も守備では1対1でボールを奪取したり普段観れないプレーが観れた。そういえば2得点とも右から左へボールを振ってから決まってる。そしてゴールを決めた服部よりも目立ってたのだった。右サイドはいつも失点の原因とされ泣き所だったがこの日は最も見応えのある箇所となっていた。勝利が決まった時あれだけボロクソ言ってたのに賞賛を送っていたのであった。
試合終了の整列を終えゴール裏に来た選手の中には交代で退いた高萩の姿もあった。その時両足にアイシングをしているのに気付きやはりまだコンディションが整ってないようだった。そしてこれも後で気付いたのだが服部のゴールは高萩のアシストなのだった。
交代させろだの何だの言っていたがこの時ばかりはミシャの頑固さに感謝した。シュートを打たない人が打って駄目だと思った人が実は活躍してて決めるべき人が決めた。手放しでは喜べないがと仲間は言っていたがぼくはそれに同意しながらも気持ちの面ではただその勝利に酔いしれたのだった。
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お疲れ様でした。快勝と言ってもいいと思います。FC東京は等々力でのサンフレッチェ広島を見ているようでした。
ちなみに今回観戦のジンクスは破れてしまいましたが、いい方の結果だったので全く問題ないです(o^-^o)。
投稿: ゆみしん | 2010年8月23日 (月) 22時21分
>ゆみしんさん
観戦ジンクスが破れたことは結果的に良かったですね。
FC東京戦は相手が良くなかったという要素も大きいですが、どんなチームも悪い時はあるんだとどこか安心した気分にもなりました。
投稿: Miles | 2010年8月26日 (木) 15時51分