山東戦~厳しい勝利
2010/04/13 ACLグループリーグ 山東魯能vsサンフレッチェ広島 山東省体育中心体育場(済南)
まさに信じられない失点だった。自陣のコーナーポスト付近でボールを奪った。攻められていたので敵もうようよいる。このチャンスを潰すまいと尚もボールを奪おうと激しいプレッシャーが入る。前半終了まで時間がない。こういう時セイフティにクリアすべきだろう。それなのにこともあろうに中央にパスをした。そんなの敵がいるに決まっているじゃないかと叫んでしまったがゴール正面にいる敵に見事にそのパスが渡り豪快なシュートを打たれた。一度はブロックするも再び豪快に蹴りこまれてしまい先制点をゆるしてしまったのだった。ああ、この光景。何とサンフレッチェらしいことか・・・。
後半、点の欲しいサンフレッチェはパスは回せどシュートに行けない状況が続く。ペナルティエリアさえも入れない。この光景もよく見る。そしてその内ボールを取られ逆襲をファールで止め危険な位置でのFKを与えてしまう。これもよく見る光景なのだった。言ってみればサンフの欠点ともいうべき場面のオンパレードだった。これは駄目だ。ハーフタイムで別カードがスコアレスドローという情報が入りもはやこの試合が消化試合でしかなくなったことからこのまま何もできず散っていくのもしょうがないと割り切ろうと気持ちを押さえ込む努力を始めだした。
そんな時閃光が走った。まだ守備の整わない山東ペナルティエリア前でボールを持った寿人はDFの裏にスルーパスを通した。それを予期してたかのように裏に抜け出した浩司がゴールに流し込んだのだった。そのコースの絶妙さはGKも手の下しようがない鮮やかなものでオフサイドでノーゴールにされるのかと思った。しかし立派にゴールとして認められたのであった。
よし、これから逆転を狙うぞと意気込んだがここで交代で入ったのがチュンソンだった。サンフレッチェに入って以来全くゴールがなく単なる時間稼ぎ要因ぐらいにしか感じない。そしてもう一人入ったのが公式戦初出場の石川。この2人の出場にもうこの試合の勝利は捨てて試合経験を優先したように見えたのだった。
だが、その全く期待してなかった。チュンソンが逆転ゴールを決めたのだった。流れるようなゴール前のパス回しのフィニッシュを綺麗な形で決めてしまった。シュートを打つ選手、途中から入って点を決められる選手、そして勝利をもたらせてくれる選手、そんな選手がずっと欲しかった。まさかそれがチュンソンだとは思いもよらなかった。
そんな気分の良さの残り10分の時点で吹き飛んだ。またしてもミスとファールのオンパレード。どうしてそんなに簡単に相手にチャンスを与えてしまうのだろう。危険な位置でのFKを与えてしまってこともあろうに西川はそのボールの軌道を読み誤り実にイージーなボールを取り損ねてしまった。あれは素人でも取れる球。そう言われてもしょうがないミスだった。
これでいよいよ両者点を取ろうという意識が大きくなり山東もゴール前を人数を掛けて固めるということがなくなっていった。こういう展開の方がサンフレッチェにしてみればやりやすいらしくチャンスの量も増えていった。そして何気に石川がボールに絡んでいるのだった。その石川、ペナルティエリアでボールを受け目の前のGKのせいでシュートが打てなかったのかボールを中央に落とした。それを走りこんだチュンソンがドカーンとゴールに叩き込んだのだった。
逆転ゴール。チュンソンの2ゴールと石川のアシストによりこの試合は勝利で終わった。もはや決勝リーグの夢は絶たれた。それなのにこの高揚感は何だろう。ただ良い思い出作りができただけだろうか。そんなことはない。この経験は血肉化された。これで国内のリーグ戦はもっとタフな試合ができるようになるだろう。そう、アデレード戦の後そう思って見事にJリーグで2連敗してしまった。つまり現実はそう簡単でもないということなんだが今はそんな妄想に浸っていたいのだった。
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