FC東京戦~観戦での出会い
2009/05/05 サンフレッチェ広島vs FC東京 広島ビッグアーチ
徳山から山陽本線に乗った頃は暑いくらいの陽気で夕方からにわか雨という予報も現実味を感じさせなかった。果たしてこういう日のナイトゲームはどういう格好をしていったらいいものか、判断に迷った。そのまま広島で1泊して東京に帰る身としてはなるべく荷物は少なくしたい。難しいさじ加減であったがこの時少なくともぼくはカッパは用意しなかったのだった。
前節14,584人しか入らなかったことと2試合連続のスコアレスドローという条件を考えると客足は期待できなかった。広島の中心地ではフラワーフェスティバルも開催されそっちに客足を奪われてるという要素もありそうだがそちらはあまり関係ないだろうという気がしていた。だってぼくが広島にいる時2、3回行ったらもう飽きてしまってあんなつまらないものはないと思ってたくらいだから。つまり他にもっと面白いものがあればそっちに行くに決まってるというくらいのものであると理解している。
ところが岩国を過ぎると一斉に乗客が増えぼくと同じ横川に降りると皆路面電車の方に向かって行ったのである。やはりフラワーフェスティバルは人気があるとさっきまでの確信めいたものにいささか後ろめたさを感じるのだった。
ただぼくはそれらの人波とは離れバス停に歩を進めた。紫のレプリカで誰が何と言おうとビッグアーチに行くんだと無言のアピールをしている気分であった。といってほとんどの人がそんなの毛ほども気にしてないのだろう。シャトルバスの時間が早いこともあり紫の人が本当にぼく一人だったのはやはり心細さを憶えてきたのだった。
その時背中をポンと叩かれた。関東の仲間のSさんだ。地獄に仏のように救われた気分になったがシャトルバスを待たないでも別のバスでも行けるということで本当の意味で救われたのだった。そしたら他にも一緒に行きたいということで付いてきた人もいた。ぼくがレプリカを着てたから何でも知ってると思われたようだが実際に救ったのはSさんなのであった。
そして一行はバスに乗り込んだがそこは志賀直哉の表現そのまま、トンネルを抜けると大雨だった。その風景にゲンナリとしてしまったのである。そしてカッパを用意してない自分の準備の悪さを呪ってしまった。
バスを降りると歩道橋の下へ雨宿りをした。まるで試合のある時間を狙って降ってるようでお天道様というものに悪態をつきたかった。ただし横川では晴れてただけにビッグアーチの場所ふぁ天候の悪さを呼んでるような気もした。
「すみません、スタジアムってどうやって行くんですか?よろしければ一緒に行ってもいいですか?」
そう声を掛けてきたのは2人組みの女性だった。勿論Sさんの案内で一緒に行くことになったが大阪から来たということだった。そこでぼくらも関東の人間で同じ遠征組という意味で親近感が沸いた。
コンビニでカッパを買ったもののそんなことをしてるのはぼく一人、普通天気予報を確認して用意するものなのだろう。そしてスタジアムへ進みがてら話をすると2人は親子だというのを知った。お母さんがあまりにも若々しかったので親子と気付かなかったのである。どうやら娘さんの方が好きでお母さんは付き添いだそうだ。
ぼくは調子に乗って関東でのサポーターの活動を教えると興味を持って聞いてもらえた。以前女の子にロックの話をしているとあまりにもくど過ぎて心ここにあらずという顔をされたのを思い出し程ほどにするよう苦心した。
その後Sさんは応援の準備があるとサッサと行ってしまったがぼくはその親子と一緒に観戦することになった。いつものようにバックスタンドの端に座ったがその内ドクトルが姿を現した。
「あ、この2人大阪から来たんですよ」
ドクトルは自らを自己紹介しつつも一体どこで知り合ったんだという顔をしていた。ぼくはあえてそこでは詳しく説明しなかった。だってドクトルとはしょっちゅう会うからいくらでも説明する機会があるからだった。
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