大宮戦の記憶
2005.5.14 大宮アルディージャvsサンフレッチェ広島 熊谷陸上競技場
大宮サッカー場改修の為とてつもなく人里離れた場所での開催となった。駅から普通に歩いて来れる距離でもなく熊谷という地理的に不便な場所では人を集めるには困難な場所だった。その割に入った観客は7,163人、大宮にしてみれば普段と大して変わらない程度入っていたのだった。
ピッチにはゴミ袋を持った年配のスタッフが何やら拾って歩いてた。それはハーフタイムでも行われ何を拾ってるのか皆理解できなかったが後で分かったとこだが石を拾っていたらしい。ということは普段使ってないスタジアムというのは明白だった。少なくともサッカーでは使ってないんだろう。
そういうピッチの関係があったか分からないが試合はパスのつながらないおおよそ面白いと形容できないものとなった。これにはこの日の強風という天候も大きく関係したかもしれない。それでも何とか攻めあがろうとするサンフレッチェのボールは前線に行く度に大宮のDFトニーニョが悉く跳ね返すという展開だった。シュートまで行けない、これではスコアレスドローで終わってしまうのは致し方ないと諦めていた。大宮も攻める時間はあったものの時間の経過と共にまるでJ2のような超守備的サッカーをして試合として低調なものとなった。
ここでサンフレッチェは76分に前田俊介を投入する。ドリブルを駆使する前田は膠着状態を打破するには的確な人材だがもっと早く入れて欲しかったともどかしくなった。62分に浩司が大木と交代で入ったが小野監督は大体この時間に予定調和的に交代を行ってそれでも上手くいかなかったら知りに火のついたように最後に前田のようなジョーカーを切る。言わばこの当時は困った時の前田という使い方をしてたのである。
ただいかんせん時間が短い。14分で結果を出せというのはいくら何でも唐突ではなかろうか。そういう小野の采配のつたなさも感じたのだが前田俊介というのは出てくるだけで何かをしてくれそうな気配がある。膠着状態を打破してくれと願うのだった。
だが現実的にこの短い時間で何ができる訳ではない。このままスコアレスドローに終わるだろうと諦めたような心境もあった。そしてロスタイム、本当に諦めていた。つまらない。本当につまらないとしか表せないような試合だった。どうしてもっと攻めあがらないのか、どうしてシュートを打たないのか、どうして型にはまったことしかできないのか。もどかしさや落胆ややるせなさが入り混じってた。そしてその時だった。前田俊介がゴールしたのだった。
半ば諦めてた時だった。淀んだ空気に一気に閃光が走った。ドドドドドドーッとアウェイゴール裏が弾けとんだ。人数は少なかったがそんなことここでは忘れてしまった。というよりその数席をも埋め尽くすような気持ちの高ぶりが起こった。
ロスタイムのゴール、これはもう決勝点だった。これはもう前田によって勝った試合だった。この類い稀なる才能を持ったストライカーはこれからもっと登場するだろう。スタメンに入るのもそう遠くないことだろう。そんなことを思ったものだが結局使われるのはいつも残り時間が少なくなってからだった。その使い方にはいつももどかしさを感じたものである。
この前シーズン昇格した大宮は当然勝って然るべき相手だった。それだけにスコアレスドローというのは負けに等しい結果だった。それなのに大宮はこのシーズン以来ずっとJ1に居続けている。そしてサンフレッチェは1度降格した。どこかにJ1にいるのが当たり前という慢心があったのかもしれない。J1へ復帰した今シーズン、今度はサンフレッチェが挑戦者になる番なのだった。
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