『4-2-3-1』
「3-4-1-2と4-2-3-1が対峙すればサイドの関係はそれぞれ1対2になり3-4-1-2は、そこで人数不足を招きます。『4』の両サイドはおのずと低くなる。5-2-1-2同然となるのです。後ろに人が多いので、高い位置でのプレスはかかりにくい。ボールを奪う位置も低くなります。相手ゴールまでの距離は遠いし、攻撃を仕掛ける人数も少ない。パスコースも少ないので、どうしてもロングボールを用いたカウンターになりがちです。前の3人に個人能力が極めて高い選手を揃えてない限り、なかなかそれは決まりにくい。攻撃の幅も出しにくいので、攻撃者とボール、すなわちパスの出所と受け手は、同時にディフェンダーの視界に収まってしまう。カウンターは簡単に決まりません」
98~99シーズン、デポルティーボ・ラコルーニャの監督に就任し、翌年スペインリーグ優勝、チャンピオンズリーグ5シーズン連続出場という快挙を挙げたバビエル・イルレッタの言葉である。欧州サッカーにそれ程詳しくないぼくがこの人の台詞にこうも目を引かれたのはあまりにもサンフレッチェの現状と適合してるからだった。これはまるでサンフレッチェのことを言ってるようではないか。まるで目隠しされた相手にこちらの行動を全て見透かされてるような気持ちの悪い感覚に陥った。サッカーは戦術じゃないという人もいるがそうでもないような気がしてきた。
こういう議論になった時、まず監督なんて関係ないと言うのはサッカー経験者に多い。しかも県の代表とか高いレベルでやった人程そういう傾向が強くぼくのような選手経験のない者がいくら異論を唱えようと聞く耳を持たない。そして経験者がそう言うのだからやっぱりそうなのかとぼくのような者は思ってしまうのだがやはりそうでもないという目覚めを与えてくれた。サッカーに戦術は大切だ。そしてその戦術を取り入れるのは監督。となれば監督の存在はとてつもなく大きいことになる。やはりミシャじゃ駄目だ、即刻ヨーロッパの有能な監督を獲得せねばならない。
そう熱くなろうとした時ぼくの中に眠ってた冷静な感性が呼び止めた。それだけじゃないと。勝てばいいのか。優勝すればいいのか。そういうものなのかと。確かに優勝すればそれは嬉しい。嬉しいが血肉騒ぐような興奮を得られるだろうか。それはないような気がする。一体この我侭な感情は何なんだろう。それは小野監督時代ずっと味合わされた違和感であった。大して勝てもしなかったがあの人が監督をしている限り勝っても素直に喜ぶことができなかった。外国人FW優先、生え抜きの選手を簡単に干してしまう、裕福なクラブでもないのに他から選手の補強頻繁にをする、そんなのサンフレッチェだったか?金がないなりに無名の久保竜彦を発掘し戦力外の沢田謙太郎を再生させユースから選手を供給できるようにして森崎ツインズや駒野といった選手が出てきたんじゃないのか?このチームを応援した経緯は色々あるだろうがぼくらの応援するチームはそういうチームじゃなかったのか?逆にそういう選手だからこそ本当に応援する気になるんじゃないのか?
そう考えた時、ミシャはある意味サンフレッチェの意向に沿ってる監督である気がしてきた。少なくとも青山、柏木という若手をレギュラークラスに押し上げたという実績はある。そして槙野もスタメンになり平繁、高萩、高柳にもチャンスを与えてる。自分が連れてきたはずのダバツを優遇するということもない。優れてるかどうかは別にしてサンフレッチェにとって外れてる監督ではないのだ。ただその能力となるとこんな1冊の本を読んだだけで欠点が露呈してしまうくらいなのだからやっぱりちょっと・・・というとこなんだろう。
サッカー監督というのは思った以上に色んな要素を持ってる。いかに優れた戦術をもってようとクラブに気に入られなければどうにもならない。逆にクラブにも気に入られサポーターにも愛された原博美みたいに知識がある割にはそれ程の成績を残したという印象がない監督もいる。ということでやっぱりサッカーは戦術じゃないのかなという気になってくる。でも間違いなくこの本はぼくのサッカーの概念にあるヒントを与えてくれたのは事実である。サッカーは知れば知るだけ面白みが増すという要素の一端を垣間見たような気がする。そしてサンフが毎度毎度同じような戦いをしてアップアップになった後でさも自慢げにこういう知識をひけらかせる。これぞ観戦後の醍醐味だ。
といってこういうことしてるからあの人濃いとか言って後ろ指差されるんだろうな。
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自分はサンフレはもちろんデポルも大好きなのでイルレタ懐かしいですわ!今のデポルは、シーズン途中からリーガでは唯一の5バックにしてやたら好調なんですが・・・←どうでもいいですねo(_ _*)o
思い切ったシステム変更も見てみたいなぁと。サンフレ4バックとかどうですかね?ただそうなるとストヤンが今ほど活きないかも?
投稿: ティビスタ | 2008年4月27日 (日) 04時40分
海外サッカーは疎いのでそういう情報は参考になります。
でもあまりにもこの本がサンフレッチェのことを言ってるようでしたので読んでて頭を抱えてしまいました。
そんなに高い本じゃないので読んでみてください。
面白いですよ。
投稿: Miles | 2008年4月27日 (日) 06時38分