ドラゴンと呼ばれた男
久保竜彦の復帰が決まった。予感はあった。キャリア最後の地として広島を選ぶのは当然だった。まあまだキャリアが終わると決まった訳じゃないがこのところの怪我によるコンディション不良はもうそれ程長く選手生活が続けられないと考えさせられるのだった。昨シーズン横浜FCで8試合出場、1得点というのが全てを表してる。
それが故に手放しで喜ぶこともできない。正直一体年間何試合出場できるのか。そして本当に戦力になるのだろうか。リハビリだけで1年間終わってしまうのではないだろうか。そんな不安が過ぎるのである。ただベストコンディションの久保は本当に凄い。凄かったからこそサンフレッチェはカウンター主体の戦術で勝ち星を挙げていったのだ。久保の一発で勝てたという試合が何試合もあった。そしてそれは久保がまぎれもないストライカーである証だった。
もし、久保がもう2年早く関東のチームに行ってたら日韓W杯には選ばれただろう。サンフレッチェは人気がないので久保の活躍を見た人が少なかった。得点を挙げるといっても得点王争いをする訳じゃない。ただ毎年10点以上は取るというだけだ。その数字だけを見れば大したことないような気がする。だけど久保のゴールはそういう数字には表れないとこにあるのだった。
ストライカーと呼べる日本人選手を挙げてみろと言われて一体どれだけの名前が出てくるだろう。例えば3-0で勝ってる試合でもしくは0-3で負けてる試合で終了間際にゴールする。得点数はあるがほとんどがPK。それで年間10得点以上あると言ったってそんなのストライカーと言えるだろうか。2003年にいたマルセロがまさにこのタイプだった。チーム内得点王とはいっても肝心なところでいつもシュートを外す。その癖どうでもいいようなところでゴールを決める。そんな選手に10番を付けてたものだから10番はもはや外国人FWの指定席のようになってしまった。あの久保竜彦の10番に較べると重みがまるで違ったのだった。
ただ正直なところ今のサポーターの中には当時の久保を知らない人は多いだろう。日本人離れした豪快なシュート、インタビューになると「はい」しか答えないこと、好不調の波が激しいこと。これら全てが久保だ。それら全てを包めて久保こそサンフレッチェを象徴する選手だ。全くの無名選手だったということも久保らしい。
寿人と久保の2トップ。できることなら日本代表で見たかったが思わぬ形で実現しそうだ。でも寿人と久保のチャントって被ってるよな。本家本元は久保だがそこはどうするんだろう。まあそれ以前に本当に久保がトップコンディションを維持できるかどうかが問題だ。帰ってきてくれて嬉しいと思う反面本当に使えるのだろうかという不安が入り混じる。今シーズンはずっとそんなことを考えるシーズンとなりそうだ。
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