等身大の希望を抱かせる青山敏弘
他クラブからオファーはなかった。意外だった。地味ながらもこの選手のクオリティーの高さと運動量の多さは魅力なはずだった。U22代表としてオリンピック予選にも出場してるので格クラブの目に留まらないはずはない。プレーが評価されなかったんだろうか、それとも怪我の影響か。
青山敏弘はどこかついてない印象がある。チームがJ2に落ちたのはスタメンで出てた試合が多くあるのだからこの選手にも責任はある。だけどどこかそうじゃないと反論したくなる、そんな雰囲気がある。この選手のせいにしたくない、この選手は悪くなかったという戦犯から外したくなってしまう感情が出てくるのだ。
これはどうしてだろう。やはり高校選手権の地方予選決勝でゴールを主審のミスジャッジでゴールと認められずに敗退してしまったことによるのだろうか。いや、そんなアマチュア時代の悲劇をいつまでも引きずってもしょうがない。やはりこの選手の場合ミシャに抜擢されてからその能力の高さに驚かされたというのがあったからだ。2006年、まさかこんな凄い選手がサンフレッチェにいたとは思わなかった。豊富な運動量、アグレッシブな守備、意表を突くロングシュート。どれもこれもが標準のレベルを超えてた。
その青山が2007年シーズン期待通りの活躍をしたかというと首を捻らざるを得ない。シーズンを通してもっとやれるはずなのにな、もっといいパスが出せるはずなのにな、シュート打たないのかなといったどこかもどかしさがあった。もしかしたらぼくらの印象の方が強くて実際に青山よりも大きいものを頭に思い描いているからだろうか。それともシーズン終わりに怪我をしてしまったというのもあり体調が良くなかったのだろうか。
とはいえ元ブラジル代表の肩書きを持つベットをベンチに追いやったのは紛れもないこの青山だ。ベットも来た当初は救世主だったが段々そのパス制度の低さや無理なパスを出すといったことが目に付くようになりから周りの印象があった。それでもピッチのどこにでも顔を出す縦横無尽な運動量で相手の攻撃の目を摘んだのである。ただもっとまともなパスが出せればというとこだったのだが青山はそれを持ってたのだった。
本人はスピードがないから常に動くことによってスピードを補ってるということだった。陸上でいえばスプリンターではなく長距離ランナーのようである。そして顔に似合わないアグレッシブな守備。その激しさにカードを貰うこともあるがこれは本人も譲れない部分とスタイルを変えるつもりはないようだ。ただそういうプレースタイルもスタメンに定着してからぼくらは知ることになった。ほとんどどんな選手か分からないので数年で消える選手だとも思ってた。それだけにこの選手は無名だけど戦力になった久保や服部と同じ流れを汲むものを感じさせるのだった。
物静かでナイーブな雰囲気。それなのに時折放つ大胆なシュート。2006年鹿島戦で見せた35mシュート。やっぱりもう一度見たい。カズのポジションが中盤に戻ることからチーム内での競争が高くなるだろうがここで終わる選手ではないはずだ。正直カズや浩司に感じてた期待よりもっと真近な期間での活躍を期待してるのだった。ということでこの選手には等身大の目を向けているのだった。
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