清水戦~メンタルの弱さ
「浩司のあのポジショニングはありえないよね」
ぼくの隣に座ってたOさんは言った。全く走ってないということだがそう言われてみれば動いてない。だからDFからボールの出し所がなく後ろでボールを廻してるだけの状態になる。そして一発を狙ってロングボールを蹴るが全部跳ね返され逆襲を受けることになる。そして堪えて堪えて何とかボールを奪ったらまたパスの出し所がない。柏木は攻守にわたって動き回ってるというのに中盤に人がいない。戸田はDFからボールをもらうがそこからがない。単に中盤に行けば他にスペースができるし自分でボールを持つことができる。それなのにそれをしないというのは自らボールを持つことを拒否してるということ。恐らくビビッてるんだろう。ボールを持てばミスをするかもしれない。それならば敵の背後でパスの来ない所にいた方が無難なんだ。少なくともそこには自分から状況を打開しようとする意思は見出せなかった。
「代えるんなら浩司だろうな」
そんな声が囁かれたのだが最初に交代したのは戸田だった。確かにかなり深い位置で信じられないようなミスをしてたがそれでもミスを償おうとしてた。本人もこの交代は納得してないようで試合後のコメントでは不満を露わにしてた。
中盤がいない。
そんな状況は今に始まったことじゃない。それなのにそれに関して改善の兆しがちっとも見えなかった。一体今まで何のトレーニングをしてたのか。試合運びにしてもせっかく柏木が得点したというのにそのすぐ後に失点してる。本当にプロとしての力量に疑問を感じてしまう。ロスタイムに失点したり1点の重みを感じてないように思える。そしてついに一体どうしてこんなことを繰り返すのかという疑問を抱くようになるのだった。
「メンタルが弱い」
Hさんが口走った。確かにあり得ない時間での失点、ドリブルをしない、ボールを呼ぶ動きをしないといったことはそう言えるかもしれない。そして公太がゴールエリアでキーパーと1対1になりながらもシュートを打たずにパスを出した時それを確信させられた。
「あれを打たないかよ」
ぼくの周りにいた人はみなそう口走った。
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