鹿島への道②~魂の抜けた試合
2007/06/16 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 カシマスタジアム
惨敗、5-1、虐殺。まるでもぬけの殻のような試合を見せられた。戦う気持ちがない、勝つ気がない、闘志がない、全てのふがいない言葉が当てはまるような戦いぶりだった。これは一体どうしたことなのだ。ウェズレイがいないから?いや、そんな単純なことではないだろう。
正直なところゴール裏のサポーターも元気がなかった。なぜか魂の抜けたような状態だった。いつもより人数が少なかったせいだろうか。でもこれよりも少ないのに盛り上がった試合はある。3週間の中断期間の後だからみんな待ちに待った試合じゃなかったのだろうか。冬眠から覚めたばかり、気の抜けたサイダー、アルコールのないビールのように弛緩した空気が流れていた。それはどこかこの試合は勝って当たり前という過信によるものだったと言っていいだろう。過去にサンフレッチェはこのカシマスタジアムで結構勝っている。だからこのスタジアムに悪いイメージがなかった。そしてこのところの戦績の良さがいつでも点が取れるという安堵感になってしまったみたいだ。
実際サンフレッチェにはチャンスがあった。完全な得点のタイミングで放たれたシュートはバーに当たったり枠を逸れたり力なく転がってキーパーにキャッチされたりとチャンスをことごとく潰していた。特に浩司のシュートが入らなくなったのはショックだった。もう浩司からは得点を期待できないのか。今シーズン1点も取れてないというのはどういうことなんだ。
しかし、同点にした場面は寿人、平繁、柏木と美しい攻撃で決めた。その得点の質は鹿島には絶対にできないことだった。だからこそ得点はいつでもできそうだった。それがこの試合でのヌルさに拍車を掛けたのかもしれない。それからはボールに対する執念、勝つという意思、ゴールへの渇望というものがまるで感じられなかった。その内勝てる。そんな空気が漂ってた。それは自信ではなく過信であった。
ゴール裏はこのような状況になっても野次が飛ぶわけでもなくブーイングが起こるでもなく淡々としていた。選手以上にこの状況に無反応だった。みんながみんな魂が抜けたような状況だった。そしてこのぼくもその状態に大して変わりはない。
自分なりにこの状況を打破しようとコアサポの中に入り声だしに加わる。声を張り上げる。それでも何か乗り切れない。一体どうしてしまったんだろう。周りが乗り切れないのではなくぼく自身も乗り切れない不思議な感覚だった。まるで湿ったマッチで必死に火を付けようとしているようだった。
試合後の挨拶では何の反応もなくただ呆然とチッピに視線を落とすサポーターがいた。何が哀しいといってこの敗戦に悔しいという感覚がないということだった。やられてしまったというより勝たせてあげたと言ってもいい試合だ。その証拠に3失点目までは守りのミスのような防げる失点だった。残り2点は完全なカウンター。そして鹿島の選手はあれだけ点差を広げながらも露骨に時間稼ぎをしていた。余裕はなかったんだろう。それだけに勝つチャンスをふいにしてしまったのが勿体ない。ただ悔しいという感覚はない。
本当にどうしたんだろう。おかしい、何かがおかしい。今シーズンガンバ大阪と磐田に惨敗してるがこの時は本当に打ちのめされた気分だった。それがないというのが深刻だ。ホームではこんな試合して欲しくない。そして関東でもこんな試合あってはならない。勝っても負けてもどうでもいい、そんなことあってはならない。サンフレッチェはぼくが最も血肉騒ぐ存在のはずだから。
最近のコメント