いきなり、サッカーが上手くなる!
『いきなり、サッカーが上手くなる!』
野暮なタイトルの本だ。まるでこれは誰でも80点取れる英語テキストみたいなニュアンスである。実際にはどんなテキスト使おうと勉強して勉強して中身を暗記するくらいにならなければ同じことである。つまりはそのテキストを買っただけでもう安心してしまうようなタイトル、これは返って危険である。それでいながらぼくはこの本を手に取った。それもそのはず、寿人が表紙を飾っているからだ。さらに核心インタビューとして得点力不足に終止符を打つ男と紹介されてる。確かにどうやったら点を取れるかということについて寿人以上に適任者はいないだろう。
しかしこの本のメインテーマは「二軸サッカー」である。キックではなく走りと姿勢こそが大切ということだ。その為に二軸走行というものが注目されるようになってきたのは知ってる人は知ってるだろう。日本人選手がシュートを外すのもよく転ぶのも一軸走行をしてるからだということだ。つまり身体の中心線の一軸と左右両足による二軸という違いである。トップレベルの外国人選手はこの二軸走行をしているためにキックの後の動作が止まらない、ボールにパワーが伝えやすい、転ばないということがあるらしい。以前このテーマを『サッカー批評』で初めて読んだ時衝撃を受けてしまった。ぼくらは日本人選手がシュートをふかしたりトラップミスをしたりするのは精神的なものだと考えてた。しかし実はその走りに問題があったようである。それを簡単に説明してそのトレーニング方法まで掲載されている。今まで同じテーマで関連本もこれが一番写真が多くて分かりやすいだろう。
これでぼくも二軸走行を覚えてサッカーが上手くなる。まるで誰も知らないCIAの機密情報を得たかのような感覚になってしまう。そしてぼくは勉強もせずに英語のテストで80点取れる気になってしまうのだ。そして実際にサッカーの試合をやって打ちのめされて帰ってくるのだ。
こんな本、本来サッカーの指導者にでも読んでもらわないと意味がない。ぼくも幼児のサッカー教室でお手伝いはしているが自分ができないものを教えられる訳がない。といって実際の指導者がこういうのを読むとどう感じるのだろうか。中には今までやってきたこと全否定されてるようで受け入れられないのではなかろうか。その辺指導者の方々が柔軟なことを期待したい。
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