雨の朝、千葉に死す
うだるような熱帯夜が明けぼくの身体には汗がビッショリとまとわり付いてた。睡眠をしたという感覚はなくかえって疲れたような気がする。ああたまらん、これはもはや人間の睡眠する環境ではない。こんなんでどうやって眠れというんだ。ぼくはこの不快さを取り除くため公園に行こうとした。早朝の公園、そこにはぼくの場所がある。公園の真ん中、広く空いた広っぱは誰もいない。ぼくはそこでよくサッカーの練習をするのだった。ぼくのお気に入りの練習はFKだ。ベッカムの教則DVDを買って以来ぼくにもできそうな気がしたのだ。そしてその通りにやると確かに曲がるキックはやってて面白い。ついでに腕の振りまで真似をしてすっかりベッカムの気分になる。頭の中には満員のオールドトラッフォードのピッチにいるイメージを浮かべるのだった。
それらの行為はぼくの自己満足以外何者でもない。FKなんて普通に草サッカーをやってるとそんな場面出て来ないしもしあったとしてもそんな貴重な場面にぼくが蹴らせてもらえる訳がない。だからいくら曲がるキックを蹴ろうとそれは何の意味もないことである。そもそもぼくのキックの精度だって10回に1回くらい狙ったとこに行くというレベルだ。恥ずかしくて人前で蹴れたような代物ではない。
だけどぼくは懲りもせず公園に行こうとした。が、それを上空から落ちる雨音がぼくの足を止めさせてしまったのだった。
雨、よりによって雨である。あのあだるような夜中はちっとも降らなかったのに世が明けたら雨である。せっかく仕事が休みだったぼくにとってこの時点で今日一日が台無しにさせられたような気になった。そこまで言うなら雨が降っても行けば良さそうだがこれが公園の地盤が粘土質なもので雨が降るととてもじゃないが滑ってボールが蹴れない。ぼくは以前この公園で軸足を滑らせて転んだことが何回もある。あれは誰も見てないとはいえかっこ悪いものだ。
ぼくはサッカーの練習をやるとすればここしか知らない。プロになるような選手は当然毎日練習してるのだろうが一体どこで練習してるんだろうか。それともプロになるような子供はJリーグのジュニアユースから上がるからそんな心配はいらないというとこだろうか。そういえばぼくが親父チームで試合をやるにも毎年試合場所の問題が出てくる。つまり日本はサッカーをやるには過酷な環境なのだ。これで日本はサッカーが弱いと国内で揶揄される。理不尽といえば理不尽だ。それじゃぼくが金持ちになったら誰でも使える芝生のフルコートを4面くらい造ってやろう。ってそんなの100年構想どころじゃなく100万年構想くらいになってしまう。それじゃその前に金持ちになる方法を考えよう。それこそ100万年掛かるじゃないか。ああ、結局庶民はこんなことばかり考えて朽ちていくんだろうな。
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