原爆の日の試合
2006.8.6 東京ヴェルディ1969 vs愛媛FC 国立競技場
8月6日、原爆の日。それまでの悪天候とは違いこの日は夏らしい夏だった。だから原爆慰霊碑に花束を捧げる映像にも例年のように陽炎が立ち込めてるような気がした。ぼくはこの原爆の日に平和公園へ行ったことがない。そういう意味では映像でしかその式典を知ることがないぼくにとって同じ環境とも言える。ただし、広島と関東では圧倒的に原爆関連の報道量は違う。そしてぼくなどは平和教育を嫌というほど受けてきたのに今それについて何か説明してくれと言われたって何でできない。そう、ぼくはいつもそういう平和教育を真面目に聞いてなかったのだ。その時ぼくは一体広島にいた時何をしていたんだろうという気がした。もはや広島には住んでないし広島について何も知らない。そして学生の頃からの付き合いなんてものもぼくにはない。実はもう縁もゆかりもない地なのではなかろうか。
そんな中夕方になるとぼくは国立競技場に向かった。もう日は落ち蝕むような熱気も幾分和らいできた頃だった。ぼくは試合が始まっただろう時間に千駄ヶ谷の改札をくぐったが、駅前の人の少なさには愕然とした。さすがにヴェルディもJ2に落ちてしまったらここまで集客力がなくなったのかと。でもよく考えてみると去年もサンフレッチェとの試合で3,267人しか集められなかったのである。やっぱり人気なかったんだな。
しかし愛媛ゴール裏に入ったぼくにはそこが異様に活気付いてるのに気付くのだった。勿論愛媛のチームだからそれ程数は多くない。それでもオレンジのシャツが目立ち一体感のある応援。そしてそこまで盛り上がってたのも頷けるような躍動感のあるチームの攻撃。ああ、これはついこの前の味スタでのサンフレッチェの試合のようではないか。と思っていたらHTにいたるところで会うわ会うわ知り合いばかりだ。そう、さっきまで応援してた中にはサンフサポも結構まぎれていたのだった。そりゃそうだろう、チームに3人もレンタルで加入してる選手がいるんだから。しかももう一人完全移籍をした選手もいる。ほとんどぼくらは愛媛をサンフレッチェのサテライトのような感覚で観ることができるのだった。
試合は1-4で愛媛の勝ち。勝利に万歳する中にはぼくの仲間も大勢いた。そしてぼくもその一人。ぼくは広島のチームを応援しその為に作った仲間とこうして愛媛の勝利を喜ぶ。こうしてぼくは広島としての自覚を取り戻すのだった。サンフレッチェは意図せずしてぼくと広島をつなぎとめてくれているのだった。やっぱりぼくは広島人だ。
しかしぼくは広島人としてもうちょっと原爆や平和に関して勉強しなければならない。ああ、結局みんなこうして大人になってから勉強しとけば良かったと思うのだろう。
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