興奮よ、もう一度
2001.3.11 鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島 国立競技場
ぼくが本当にサンフレッチェに心を奪われたのはこの試合だった。3試合目の生観戦となったこの試合、ヴァレリー・ニポニムシ監督になっての初めての公式戦である。
スタジアムのアウェイ席には10人くらいの声だしサポーター。ホームのアントラーズと比べると差は歴然だった。
こんなものだろう。広島のチームを応援するなんてことは単に郷土愛だけである。ぼく自身知ってる選手も多くないし。だけどその無名選手が多いというのもどこか広島らしい。そしてこの閑散としたアウェイゴール裏も広島らしい。地元でさしたる人気のないこと、それもまた広島らしい。
そんなことを考えながら迎えたキックオフだった。しかしその笛が吹かれた瞬間ぼくは驚きを隠せなかった。
3トップという布陣で右の藤本、左の高橋とよく動き廻る。ボールにもよく絡み突破を試みクロスを上げシュートを打つ。そして真ん中で久保が鋭い動きだしを魅せゴールに迫る。中盤では球際を踏ん張りボールをカットすればパスを廻す。そのクルクル廻るパス廻しはアントラーズを翻弄していた。そしてその勢いのまま16分でトゥーリオがゴール。ポポビッチに代わって入った新人選手は本当に上手い選手に見えた。その後も藤本がバイシクルを狙ったりと積極的だった。そのサッカーはもう興奮というものだった。
しかし、アントラーズが後半自力を見せ2点入れられ負けてしまった。負けてしまった。このサッカーをやってて負けてしまった。この時本当に悔しかった。しかしこの悔しいという気持ち、これこそがサンフレッチェの虜になった証明であった。
それ以来ぼくはずっとあの鹿島戦の興奮を追い求めている。3トップという言葉には憧れがある。だから監督がガジエフになろうと木村になろうとずっとあのアントラーズ戦をもう一度観れることを期待してた。その度にその期待はことごとく裏切られてきたもののどこかでその片鱗を見せることはあった。それがなおさらあのヴァレリーのサッカーをやったこのチームの幻想となった。そしてその幻想の頂点が小野猛である。イングランドで修行をした理論派のこの監督ならまたあのサッカーを観れるかもしれないと期待したものだ。だけどそれは最初こそ良かったもののフェードアウトするかのようにつまらないチームになってしまった。考えてみればもう久保も高橋も藤本もトゥーリオもいない。あのサッカーはできる訳がない。それなのに何でサンフレッチェを応援してるのか。それは自分でも分からないが明らかに今は森崎兄弟や駒野や寿人を応援している。服部や下田のようにあの頃からいる選手もいるが今ぼくが求めてるものは当時の再現を望んでいない。そこは今の選手での最高のパフォーマンスを期待してるだけだ。そしてその最高のパフォーマンスをやった時こそ、またあの最高の興奮が得られるだろう。
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