大邱FC戦~PKによる先制

2019年4月10日 アジアチャンピオンズリーグ 予選リーグ サンフレッチェ広島vs 大邱FC 広島広域公園陸上競技場

 全国的に底冷えする気温の中、平日のナイトゲームに駆けつけてくれる観客はやはり少なかった。そういう意味ではホームの利を生かせてない。いや、元々韓国のチームとの対戦でそんなものは存在しない。あるのはむしろ不可解なPKの判定なのだった。
 5年前、1試合で2回PK判定を取られたことがあった。他のJリーグチームでもなぜか韓国のチームとやる時だけPKを取られる。これはピッチ以外の力が働いてる。そう考えるのは無理もない話だろう。
 そんな厄介な相手にどう戦うべきか。メンバーとして選んだのはリーグ戦の成熟した守備陣をそのまま使うことだった。その上でスターティングメンバーを4人変更。レギュラー組とアピールに努めたい選手のバランスの取れた布陣となった。
 渡、清水、東、稲垣がアピールをしたい4人である。攻撃に特徴のある選手が多いだけに積極的に攻撃を仕掛ける姿勢が出た。それが好転し早々にCKを得る。ここでせめて競り合いには勝ちたいと思うもヘッドで弾かれてしまった。ただクリアが上に行ってしまった故にセカンドボールを確保すればビッグチャンスが生まれる。そんな落下ボールの奪い合いの場面で野上が相手のキックを足に受けてしまった。次の瞬間、野上が倒れると共にホイッスルの甲高い音が響き渡ったのだった。
 駆け寄る主審。手はペナルティスポットを差している。PK、PKである。まさかそんなことがあるとは。PKが貰えたのである。
 ボールをセットしたのはドウグラス・ヴィエイラ。ゆっくりとした助走からのキック。んだGK。コースは合っていた。が、シュートの威力が上回っており、GKの掌を弾き飛ばして入ったのだった。
 先制点。うおおおお、やった。まさかまさかの展開である。だが浮足立ってはいられない。まだまだ試合は始まったばかり。大邱FCは追いつこうと際どいプレーをやってくるだろう。実際、渡などかなり強引なタックルを受けて倒された。でもそんなものに怯んでいる場合ではない。まだまだアピールしないといけない。
 DFの佐々木もオーバーラップでドリブルを仕掛ける。相手を抜いたとこで並走してきた渡がスイッチする。そしてドリブル、ドリブル。更にドリブルで入るとシュート。ファーサイド、わずかに空いてた隙間へと流し込んでいったのだった。
 入った、入った、入った!ゴール、ゴール、ゴール、ゴール!
 渡の元にチームメートが駆け寄る。ACL、2試合連続のゴール。2点差、このゴールは大きかった。そして何より渡のゴールというのが嬉しい。昨シーズンが消化不良で終わっただけに覚醒へのキッカケとなりそうな予感がした。そしてこの時気付いたのだった。柴崎、野上、佐々木といった今レギュラーを張ってる選手がJ2から移籍してきた選手が2年目以降に活躍したというのを。その実績を踏まえると渡も今がまさに日の昇る瞬間なのかもしれないのだった。
 かといって2点差ではまだ余裕がない。守備陣はゴール前にブロックを敷いて侵入を許さない。それでもコンビプレーにより最終ラインを抜かれそうになるも身体を当てシュートを前に飛ばさせない。シュートらしいシュートにいかせない。まさに鉄壁。そしてワントップのヴィエイラに代わって大型の皆川が入ったことにより、いよいよ守備固めに入るのだった。
 皆川は前線で競る。イーブンのボールだったら大抵は勝つことができる。その為に手を使って制空権を確保する。だがそんな競り合い中の肘が相手の顔に入り、カードを貰ってしまう。すでに1度カードを貰ってたので退場。1人少ない状態になってしまった。
 それでも不幸中の幸いなのが90分を迎えたということである。後はアディショナルタイムだけ。よりによってこういう時にゴール真正面にFKを与えてしまった。距離はあるけど狙ってきた。だがその弾丸のようなシュートはゴールバーの上を超えていった。それによりずい分と時間を稼ぐことができた。それによりそのまま2-0で勝つことができたのだった。
 ACL、2勝1敗。充分決勝トーナメント進出を狙える成績である。ここまで来たら狙うべきだ。でもそれでいてレギュラーでない選手を使わないといけない。勝ちつつも他の選手も使っていきたい。実に難しい課題に城福監督は取り組まなければいけないのだった。
 5年前はPKに泣いた。そして今回はPKで勝利のキッカケをつくってもらえた。審判には泣かされもし、笑わされもするって再認識させられた。果たしてアウェイの試合ではどうだろう。勿論そこは笑って終わりたいに決まっているのだが。

2019年5月22日 (水)

メルボルン戦~控え選手のアピール

2019年5月22日 ACL予選リーグ メルボルン・ヴィクトリーvsサンフレッチェ広島 メルボルン・レクタンギュラースタジアム

 予選リーグ1位通過決定。対するメルボルンも敗退が決まってる。その為この試合は紛れもない消化試合である。当然ながらメンバーは出場機会の少ない選手が中心となる。が、翻ってそれはまたとないアピールの機会。熱いプレーが観れることだろう。
 そんな予想は見事に的中し、メルボルンにボールの取りどころを与えずパスによりどんどんゴールに迫っていく。そしてCKを得ると松本大哉がニアで逸らしファーサイドに飛び込んだ松本泰志。見事頭で合わし先制点を叩き込んだのだった。
 松本泰志のプロ初ゴール。幸先いいスタート。まだまだ点が取れるだろう。そして清水や水本がミドルシュートを放つ。積極的である。ただその後シュートがめっきり打てなくなってしまった。それもこれもプレーに正確性がないからだった。
 シュートパスを駆使してつないでいくもパスが合わない。それによってボールを奪われると本田が絶妙なスルーパスを送る。飛び出したGK林。そのお陰なのだろうか、シュートは枠を外してくれた。危ない。本田は警戒しなければならない。ただ本田のボールキープには3人掛かりでも取ることができないのだった。
 そこでもたついているとメルボルンの選手はどんどん前掛かりになる。そして気づいたら自陣に引きこもって守備一辺倒になる。跳ね返してもそのボールの先に皆川は見事にいない。例えいたとしてもボールキープができない。お陰でサンフレッチェは押し上げることができずに再びゴール前の守備に翻弄されるのだった。
 せっかく勝ってるのにまたこういう展開になるのか。
 時間が60分を超えるとますますその傾向は強まる。魔の時間帯である。トップの皆川を残して全員ペナルティエリア前で相手に攻撃を食い止めようと悪戦苦闘する。左右前後、目まぐるしくパスを回される。そして耐え切れなくなり倒してしまった。ペナルティエリア前からのFKである。ああ、と喘ぎながらも入りはしないだろうと思っていた。だが甘かった。決められてしまった。本田を囮としてトイボネンに決められたのだった。
 時間70分。またこの時間帯にやられた。毎回毎回同じパターンである。アピールすべき選手達はちっともアピールになってない。これでいいんだろうか。
 そんな焦りからか、攻撃への姿勢を強めていった。パスでつなげるも、無駄に手数を掛けることなく前に進める。そしてエリア前森島に入る。サイドに落とす。ちょっとずれたかと思ったが皆川がいた。ダイレクトシュート。豪快なそのシュートはファーサイドに見事に突き刺さった。
 皆川、皆川、皆川。シュートすら打てなかった皆川が停滞した雰囲気もろとも吹き飛ばしたのだった。今シーズン初ゴール。今まで散々揶揄したものの、喜びを爆発してしまうのだった。
 そのゴールは間違いなくチームに活力を与えた。中盤で森島が受けると前はDFが揃ってなかった。そこで迷わずミドルシュート。アウトサイドに回転したボールはゴールにぶち込まれた。3点目。森島初ゴール。爽快だ。実に爽快なゴールだった。
 失点したことによりゲームをコントロールできない未熟さを露呈させた。それでいてその失点がスイッチとなった。結果としてあのゴールが覚醒させた。皆川、森島はいいアピールになったはずだ。
 そして1-3で勝てた。リーグ戦5連敗によりどんより曇った雨空の中に一筋の光を観たような心境だった。これはリーグ戦にもいい影響を与えるだろう。そんな単純なものじゃないのは分かっているものの、そう思い込みたいのは仕方なかった。

2019年5月17日 (金)

鳥栖戦~5連敗

2019年5月17日 サンフレッチェ広島vs サガン鳥栖 エディオンスタジアム広島

 4連敗。さすがにこの戦績は自信を失ってしまいさしたる期待も持たなくなってしまった。だがここでメンバーを4人も替えてきた。特にACLで結果を出している清水がキャプテンマークを着けて初スタメンになってたことに俄然応援のボルテージは上がるのだった。
 その清水が左サイドで高い位置を取るとクロスを入れる。左の柏も連携から切り崩そうとする。が、どれも有効的な脅威となっていない。クロスは簡単に弾き返され、崩しにいたっては中途半端に終わる。もはや攻撃のパターンが読まれてる。意外性、個の強さ、ドリブルでの切込み、ミドルシュート。どれを取っても足りない。結果、いいとこまで来てるようで相手はちっとも脅威を感じてないのだった。
 それでも相手にシュートを打たせてないことでこちらが優位に立ってる、そんな感覚に陥る。その感覚は実に危険である。確かにいくらでもボールを回せる。詰めてきたら後ろに下げてGKからやり直し。そこでプレッシャーに来たらギャップを生んでパスで前に運んでいく。上手い、と感嘆するもそこから先が続かない。いや、シュートまでは行ける。行けるのだが決まらない。欠けている。何かが欠けているのだった。
 ついには最終ラインの荒木がオーバーラップからクロスを上げる。柴崎ヘッド。が、GK真正面。セカンドボールを拾い再びクロスが入るもゴール前のファールで止められてしまった。
 そんな攻めあぐねをしている内に鳥栖はどんどん圧力を強めていった。プレスをいなそうにもパスミスをしてつながらない。そしてまた攻められる。65分、大体これくらいの時間から防戦一方になる傾向があるがそれは今節も変わらない。守備から入ってワンパターンな攻撃にゴールを割れないのも同じなら、時間による試合展開も同じパターン。どうしてこうも毎回毎回同じ失敗を繰り返すのだろうと疑問に感じてきた。
 鳥栖に金崎が交代で入る。前線でどんなに孤立しても単独で受けたボールは絶対にマイボールにする。対して同じく途中交代で入った渡はボールキープができない。ドリブルを仕掛けてもシュート、もしくはラストパスを出すまではいけない。この両ストライカーの勝負という意味では完全に金崎に負けていた。だとしたら頼るはトップのドウグラス・ヴィエイラしかいないのだった。
 すると川辺が前線まで上がる。シュートレンジ、前が空いている。素早く寄せた鳥栖のDF。が、そこからフリーのドウグラスに出た。いける。だがこの時ドグはよりによってワントラップしてしまった。その余計なプレー一つでコースを塞がれブロックされてしまったのだった。
 ああ、ドウグラスよ。どうしてあそこでダイレクトにシュート打たないんだよ。どうやらこのチームはストライカーと呼べる選手がいないようだ。
 更に柏が切り返しを2度もして完全にフリーな状態から放ったクロスに柴崎がバイシクル。GKがキャッチ。そして今度は中央で受けた柴崎シュート。GK真正面。ああ、元々中盤の選手である柴崎にはシュート力がない。でも印象に残るシュートは柴崎が一番打ってるのだった。
 そんなことを繰り返していく内、鳥栖のCK。一旦は跳ね返すもセカンドボールはまた鳥栖。そして単純にクロスを入れてきた。サロモンソンヘディングでクリア。だがボールはそのまま後ろへ飛んでいき弧を描いてゴールに吸い込まれてしまった。
 失点。オウンゴール。唖然とした。単純なクロスに対して鳥栖は完璧に蓋をしてるのにサンフレッチェの守備はなんと脆いこと。喜ぶ鳥栖の選手を尻目にもはや敗戦は覚悟した。失点した時間も前節と同じである。同じことの繰り返し。もう勝てない。こんなに早い時期に城福監督の引き出しのなさが露呈されてしまったとは。
 5連敗。結局このまま負けてしまった。とにかく点が取れない。100万本クロスを入れても中で合わす選手に圧倒的にパワーが不足している。もう今シーズン勝つことはできないだろう。城福監督は一度負けだすともう立て直すことができない。本気で次の監督を考えた方がいい時期に来てる。またヨンソン監督に来てもらうか。少なくとも今試合観ててちっとも面白くないのは確かなのだった。

2019年5月12日 (日)

仙台戦~悲劇の4連敗

仙台戦~悲劇の4連敗

2019年5月12日 ベガルタ仙台vs サンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム仙台

 それは悲劇としか言いようがなかった。正直これを記事にするのは身を切るように辛い。忘却の彼方に解き放ちたい。これは悲劇。もしくは憤怒の再現。ああ、この敗戦をどう例えればいいんだろう。試合の入りはよかった。入りはよかったのだった。
 開始早々、サンフレッチェは柏のクロスからドウグラス・ヴィエイラが合わせて先制した。それはDFを背にしながらも脚を伸ばしただけ。後ろのディフェンダーもまさかあそこまで足が伸びるとは思わなかっただろう。ドウグラスの脚の長さは想像の範疇を越えていたのだった。
 そこからというものブロックを形成して仙台の攻めどころをなくしてしまう。ボールは持たせているけど際どいとこまではいけない。カットされるとカウンター。サイドの柏やエミルが上がる。そこからシュートに結び付くチャンスもあった。ペナルティエリア内での混戦では相手の手に当たった場面もあった。飯田主審が笛を吹かなかった為にPKにはならなかったが、相手の攻撃をよく絡めとりそれを逆に自分たちの攻撃につなげるという循環が上手くいってた。1点あればこのまま逃げ切れるという自信があった。
 それでももう1点あれば安泰。エミルがタイミングを見計らった飛び出しからペナルティエリアへ入るりシュート。DFに阻まれ枠に入らなかった。だが手に当たった。当たったはずだった。なのにまたしても飯田主審は笛を吹かなかった。1度ならず2度までも。これは審判のレベルが低いということだろうか。それともサンフレッチェには勝って欲しくないという恣意性があったのだろうか。いずれにしても飯田主審は吹くべき場面で吹かなかったのであった。
 そして残り40分を迎えたとこで佐々木に代わりルーキーの荒木が入る。ACLではいいパフォーマンスをしてただけにチャンスを与える為にも間違った交代ではなかった。ところがここでディフェンスの強度が徐々に薄まっていった。仙台がいいように攻撃してくる。もはやボールを持たせてるとは言えない。完全にボールを持たれたのだった。それにたまりかねて野津田、パトリックをドウグラス、柴崎に代えていれたのだった。
 ところが前への推進力を期待されて投入された2人、全く流れを変えることができなかった。守って守って守ってばかり。前に行けたかと思うとすぐに相手の守備の網にかかってしまう。どうして攻撃に人数を割いてる相手に対してあそこまでボールを奪われるのか、不思議で不思議でしょうがないのだった。
 そしてサイドをえぐられてしまう。食らいつくも折り返された。すると真正面に入ったハモン・ロペスに打たれた。ゴール前に数人いるにも関わらず決められてしまった。その時間
86分。あと数分堪えることができなかったのだろうか。だがこれで攻めなきゃいけなくなった。それなのに攻撃が中途半端に終わってしまう。そこが仙台に尚更活力を与え逆襲へつなげていく。ゴールラインまでへ突き進む。しがみつく野津田。だがまたしても中に入れられると叩き込まれてしまった。この時、ゴール前には4人もの選手がいたにも関わらず防ぐことができなかった。ああ、たった2人の攻撃を数人いて止められなかった。対してサンフレッチェは1人の相手もかわすことができずシュートを決めることができなかった。
 この終盤の8分により逆転、敗戦が決まった。何とも滑稽である。情けなくもあった。マリアナ海溝よりも深い哀しみに沈んでしまう。仙台に劇的勝利をプレゼントしたようなものだった。
 点が取れない、佐々木がいないと守備が破綻する、傾いた流れを引き戻せない。あらゆる課題が浮かび上がる。そして攻撃ではドウグラスがいないと点が取れないというのが確証された。昨シーズンあれだけ点を取ってたパトリックはちっとも脅威を与えなくなってしまった。ACLであれだけ結果を出した渡はちっとも点が取れない。野津田に至ってはシュートすら打ってない。もはやドウグラスがいない限り勝つことはできないようだ。
 パトリックという特定の選手に依存することの危うさを昨シーズン嫌というほど味わったはずである。その為、ドウグラスが機能したことに喜んだら今度はパトリックがトーンダウンしてしまったのであった。
 4連敗。いよいよ勝てなくなってきた。体調が万全でないドウグラスをどれだけ使えるかに掛かっているのだろうか。

2019年5月 8日 (水)

広州恒大戦~グループステージ首位

2019年5月8日 アジアチャンピオンズリーグ予選リーグ サンフレッチェ広島vs 広州恒大 広島広域公園陸上競技場

 日の落ちてきたスタジアムの上空は夜へと橋渡しするように蒼い色彩が闇へと溶けていった。照明の落ちたピッチ。さながらそれは嵐の前の静けさである。予選リーグ突破を掛けてどちらも負けられない試合。厳しい試合になるのは目に見えていた。
 前回対戦した時の攻撃圧力。ブラジル代表のパウリーニョなど錚々たるメンバーは資金力の大きさを見せつけられる。ただ、こういった相手と戦う絶好の機会でもある。特に若手である荒木、東、森島、大迫にとってはいい経験になるはずだ。
 胸を借りるつもりで挑む決選、サンフレッチェは守備から試合に入るのだった。
 前線からの追い込み、素早い身体の寄せ、ブロックを形成した守備は相手の自由を奪っていた。後ろで掴んでカウンターという狙いであるがそこは広州も予測できてるようでなかなか攻撃の機会が訪れない。が、清水が中盤でボールをもぎ取るとそこから攻撃が始まる。後ろに回し2人目、3人目が連動して前に進めていきサイドに入ると折り返してミドルシュート。入りはしなかったがずいぶん思い切ったプレーをしたことに心強くなるのだった。
 そこからというもの、ボールを持てる時間が長くなり清水からクロスが入る。合わせられないがCK。これも合わせられない。だがそんな攻撃を続いていく。相手の逆を突くパスがどんどん前に突き動かす。左サイドへ通す。野津田がクロス。ターゲットのパトリックは走っていたもののDFがクリア。それでもCKになった。いい流れである。
 するとこのCKを低い弾道で蹴られた。ニアに飛び込んだ佐々木。それを防ごうとなだれ込む広州の選手。すると次の瞬間ゴールの中にボールが入っていた。入った。入った、入った、入った。先制点だ。
 正直何が起こったのか分からなかった。佐々木のゴールかと思っていたものの、どうやら広州のオウンゴールだったらしい。キックが巧みだったのだろう。それが佐々木の動きと相まって広州の守備に混乱を与えたようだ。まだ広州シュートを打たせてないだけにこれで有利に試合を進められそうだ。
 最終ラインから上がった佐々木がミドルシュートを打つ、森島がサイドからクロスを上げる、東もクロスを上げる。いい流れだ。カウンターへの警戒も怠らず追加点が取れてもおかしくはない。だが時間の経過と共に段々とその精度が落ちてきた。
 サイドでのパス交換。パス、パス、パス、パスの後ミスパス。カットされるとカウンター。前線に運ばれミドルシュート。入らなかった。それは助かったが攻撃時のミスからピンチを招くというのはこの後の流れを変えてしまった。
 次第に広州の支配時間が多くなる。ミドルシュートを打たれるようになる。そして右サイドを突破されると無理な態勢からもクロス。真正面からシュート。ジャストミートした瞬間もう駄目かと思ったもののカバーに入った野上によりブロック。命拾いしたのだった。
 その後は守備一辺倒。前線に味方がいないので跳ね返すのが精一杯。柏が森島に代わって入るもドリブルを生かす機会がない。セカンドボールが拾えない。パトリックにボールが収まらない。
そのパトリックに代わって得点力のない皆川が入る。だが皆川は身体を張ることができる。ハイボールで競り合うことができる。そして何より時間を稼ぐボールキープをすることができるのだった。
もはや時間を稼ぐだけ。もはや誰もゴールを奪おうとはしていない。ボールを持てば深い位置まで持ち運ぶがそこから中をえぐることはない。堪えて堪えて堪えて時間を使う。そしてタイムアップを迎え首位で決勝トーナメント進出を決めたのだった。
初めてのACLグループステージ首位通過。初戦、広州に2-0で負けた時には誰も通過できると思ってなかった。そして何よりリーグ戦で出れないメンバーが勝ち進むことによって自分の出場機会を得てるというのが頼もしかった。
あと1試合、消化試合として残ってる。1位通過が決まっただけにどんなメンバーが出てくるのか、そんな楽しみもできたのだった。

2019年5月 3日 (金)

マリノス戦~世紀の誤審による3連敗

2019年5月3日 サンフレッチェ広島vs横浜Fマリノス エディオンスタジアム広島

 10連休の間、よく晴れたエディオンスタジアムは背景の緑がよく映えていた。その気候の良さもあってかずいぶん沢山の観客でスタンドは埋め尽くされてた。雰囲気は上々。2連敗の後だけにもう負ける訳にはいかない。そんな意気込みを感じつつ、一抹の不安があったのは確かだった。哀しいことにサンフレッチェは客の入った試合に限って負けるという傾向があるのだった。
 更に渡のワントップもマイナス要素だった。ドウグラス・ヴィエイラが怪我をして他に適役がいないとはいえ、渡のワントップではチームに点が取れない。どことなく迫力に欠け、実際ここ2試合点が取れてないのであった。
 それでもサンフレッチェの組織的守備はボールホルダーを前後で挟み込むことで摘み取っていってた。攻撃の起点を与えていない。そんな余裕が柏のドリブルで何度も駆け上がるシーンをつくった。ただクロスを上げても中で合わせる選手がいない。そこで柏が左サイドを駆け上がると佐々木のオーバーラップを待つものの、裏へ出したパスはオフサイド。スルーパスが通用しないのだった。
 手詰まりであった。ブロックを敷いてボールカットしても素早い攻撃へと移ることができず相手が帰陣してからの遅攻になるので手詰まりとなる。そして無理に味方にラストパスを送ろうとするとことごとくカット。どれもこれも攻撃が中途半端に終わる。それが相手に恐怖心を与えないのだった。
 そんな攻めあぐねに前掛かりになってしまう。すると悪い取られ方をするとDFの裏に広大なスペースができていた。ロングボールで抜け出されるとゴールまでドリブル。斜めからシュートと見せかけるとGK大迫は見事につり出されてしまい倒れるとゴールラインぎりぎりの角度から打たれてしまった。入った。文句の言いようのないゴールである。1対1の対応に負けた大迫。あそこにフリーで走りこませたDF。ボールは持ちつつも攻撃を完結できなかった攻撃陣。色んな要素がありながら間違いなく言えるのはマリノスは少ないチャンスを確実にモノにしたというとこである。一方サンフレッチェは100万回チャンスがあっても決められないような雰囲気があった。
 ゴール前の密集地で渡に入る。胸トラップからバイシクルシュートを放つ。が、当たり損ね。柏からクロスに柴崎がDFの背後を突いた。が、当てることができない。DF2人しかいない敵陣でドリブルで抜け出た。が、パスをカットされてしまう。そのどのプレーもゴールに直結するものでありながら精度のなさが災いしてる。精度、精度がないのだ。
 野津田のFK。サロモンソンのクロス。それらも全てGKが直接キャッチ。そして稲垣が中央からミドルシュートを放てば地球の裏側へでも飛んでしまうのではないかというような大きく外れたボールを蹴ってしまう。数打てば当たると言わんばかりの有様である。ああ、どうしてみんなここまでシュートが下手なんだろう。
 ついに切り札としてパトリックが入る。すると途端に前線目掛けてロングボールが入るようになる。それが攻撃の圧力を高めCKを得るとパトリックが合わせる。が、叩きつけたボールは枠の外に転がしてしまう。ああ、入らない。そして今度は右からのクロスに川辺が合わせる。これもGKが掻き出した。ああ、枠に入れただけでも良かったのかもしれないがあんな真正面からのヘディングを決めることができないのか。
 と、ここで多大なる違和感を感じた。すると後にスロー映像で確認したのだが入っていた。完全にゴールラインは割っていた。それをゴールとして認めなかった。ああ、誤審である。審判はとんでもないチョンボをやらかしてしまった。ついに審判までゴールを見落としてしまったのである。
 だが最後の最後にCK。これに吉野がドフリーで合わせた。決まった、と立ち上がろうとしたもののボールは真下に叩きつけられゴールには向かわないのだった。
 唖然とした。あんなヘディングは普通にシュートするより難しい。どうして単純にゴールに向かわすということができないのだろう。あれが全てを物語ってた。やはり今のサンフレッチェは100万回チャンスがあっても決めることができないという確信が持てたのだった。
 これにより3連敗が決まった。そして3試合ノーゴール。皆前半の似たような時間にわずかなチャンスを決められたというのも一緒である。負けるにしても同じパターンで負け続けてるというのは進歩がないということではなかろうか。
そしてこうやって連敗が嵩むと城福監督はどんどん采配が硬直化してしまう。それだけにあの誤審への恨めしさは到底拭い去ることができないのだった。

2019年4月28日 (日)

名古屋戦~課題の圧し掛かる2連敗

2019年4月28日 名古屋グランパスvsサンフレッチェ広島 トヨタスタジアム

 高くせり上がった四方のスタンド。ぎっしりと埋まった観客の光景は壮観だった。後にそれは4万人という発表があったがサンフレッチェがどんなにがんばってもできない動員数だった。観客の声援が降り注ぐ。アウェイゴール裏も紫のサポーターが埋め尽くしているものの、数では到底敵うことができない。そんなスタジアムの空気が名古屋の攻撃を活性化させてるかのようだった。
 守ってばかりいるサンフレッチェ。上手く防いだかと思ったら前に運ぶことができない。攻撃に行こうとすると摘み取られる。名古屋の方がプレスの掛け方が上手い。ポジションがいい。連携が取れている。攻撃へ向かうとピンチになるという一方的な試合なのだった。
 それでも最後の最後は人数を掛け何とか粘りとおす。ボールホルダーへのチェックを怠らない。だが名古屋はそんなサンフレッチェの守備の間、間を狙ってパスを通してくる。そしてサイドのスペースに出されたボールにジョーが横パス。真ん中へ向かう選手を追うサロモノソン。ここは潰した。が、このプレーでGK大迫とサロモンソンが交錯してしまうとルーズボールを押し込まれてしまった。失点。先制点を与えてしまった。
 多少不運な形はあるかもしれない。でもそれまでに攻められすぎた。名古屋にはもはや攻撃のことしか頭になかったはず。サンフレッチェがあまりにも自分たちの時間をつくれない為に勢いを与えてしまったのだ。前半は守備から入る。そんな指示があったのかもしれないがそうであれば守備をしてる時間に失点をするというまるで作戦が裏目に出た形だった。
 後半に入り、攻撃に転じようとするもやはり流れは変わらず。ショートパスをつないでつないでばかりでちっとも前に進まない。名古屋が機能的に攻めてるのに対して実にもどかしい。まるで匍匐前進をしているかのようだ。
 左サイドから崩そうとパスをしてパスをしてパスをする。そして煮詰まったとこで逆サイドに出すもゴールラインを越えそうだ。と思った時、サロモンソンが飛び出して追いついた。ダイレクトで折り返し。柏がシュート。が、ミートすることができずゴールの枠を外れてしまったのだった。
 だがそのプレーはサンフレッチェを前に突き進む力を与えた。DFの壁を突き崩すようなボールが入る。ゴール前に入った柴崎。まさにゴールの真正面。が、決めきれない。これもヒットさせることができなかった。
 更にはサロモンソンがが右サイドから単独突破をはかっていくものの吉田にブロックされてしまう。吉田は鳥栖にいる時からいつも立ちはだかっている。サンフレッチェにとって吉田は鬼門である。吉田がいるだけで局面で勝てる気がしないのだった。
 ここで中盤の松本に代えてFWの皆川が入る。前線にターゲットができたことでアーリークロスが入る。皆川の頭の上を飛んでしまう。もう少しプレーに正確性が持てないものだろうかと悔やむと名古屋はそういう攻めきれなかったボールを上手く回収して攻めてくる。前掛かりになってるものだからスペースが空いてる。スルーパスが面白いように出されその都度DFは全速力でボールホルダーを追いかける。これを決められたらお終いであるものの、最後の最後で防ぐ。ここまで踏ん張ることができるだけに前半の失点が余計に悔やまれる。
 そして悔やみはCKを蹴られた時にも起こった。CKのボールをGK大迫がキャッチするとロングスロー。川辺が受けてドリブル。完全に独走。ドリブル、ドリブル、ドリブルからゴール前へフィード。が、正確性が足りず最後には摘まれてしまった。ああ、あと一歩ゴールに詰めた選手に合わないんだよな。
 それからもサイドからのクロスがあった。皆川が合わせるもポスト。入らない。皆川のヘディングは本当に入らない。あと一歩が入らない。ほんのあと数センチというとこでゴールを決めることができないのだった。
 そしてそのあと一歩は最後まで詰めることができなかった。1-0、2連敗。ついに連敗をしてしまった。昨シーズンここでズルズル沈み込んでしまった。果たして今シーズンは盛り返すことができるだろうか。そしてワントップを渡が入るようになって負けるようになったのも頭が痛い。やはりドウグラス・ヴィエイラかパトリックがいないと駄目なんだろうか。
シーズン序盤にして早くも試練が訪れてしまったのだった。

2019年4月24日 (水)

大邱戦~ルーキー荒木のゴール

2019年4月23日 アジアチャンピオンズリーグ・グループステージ 大邱FC vs サンフレッチェ広島 フォレストアリーナ

 初戦をアウェイで落としたことでやはり今回もACLは消化試合となって終わってしまうのかと諦めていたらその後ホームで2連勝。それにより予選リーグ突破の芽が出てきたことで俄然やる気が出てきたのだが、さすがにアウェイでは厳しいだろうというのが正直なとこだった。会場のフォレストアリーナはサッカー専用スタジアム。チームカラーのスカイブルーの色彩に染まったスタンドはとても洗練された印象を醸し出していた。
 そんなアウェイの地にサンフレッチェは若手を中心にメンバーをターンオーヴァーをしてきた。東、森島という攻撃陣だけでなくDFに荒木という若手が入り、ベテランの水本、稲垣、清水、パトリックが入る。その誰もがレギュラーで出てもおかしくないにも関わらず満足な出場機会を得てない。それだけにアピールのチャンスでもある。トーナメントの大会であるが故に勝つ限りは使ってもらえるのである。
 そんなぎらぎらした気概からキャプテンの清水を中心にチームとしてまとまってる。一進一退の均衡を保っている。が、徐々に大邱の前に突き進むパワーの前に重心が下がっていくようになる。それでもDFが崩れることはない。水本など1対1で負けることなく食い止めてる。最後にシュートを打たれたとしてもGK大迫は掌に収める。パンチングで逃れると2次攻撃を受けるがキャッチすることでマイボールとすることができる。これが大迫がGKでいることによる大きなポイントなのだった。
 そんな大邱の攻撃に耐えてる内に攻撃の機会も訪れる。森島も臆せずミドルシュートを放つ。DFに弾かれてしまったがその気概がいい。そして少なくともCKを得ることができた。
何度かあったCKではフィジカルに優る韓国の選手には勝てなかった。密集したゴール前。ところが放ったキックはニアサイド。飛び込んだ荒木がヒット。ゴールネットが揺れた。荒木のダイビングヘッドはゴールへと叩き込まれたのだった。
 先制、先制、先制。ドワーッと駆け降りるアウェイゴール裏のサポーター達。ルーキーの荒木が決めたとによりその興奮はひとしおだった。守備の選手だがこういうセットプレーでもヘディングを決めるというのは頼もしい。守備でも競り合いの強さを期待してしまうのだった。
 そしてここからが本番である。大邱は追いつこうと前線への圧力を強める。テクニックがあり鋭い切込みをするセシーニョ、高さとしなやかさを持ったエドガルがゴール前で脅威を高める。ドリブルで切り込む、テクニックでかわす、アーリークロスによるパワープレー。それら一連のプレー実に効果的だった。が、それも身体を張りゴールに鍵をかけたのだった。
 荒木もドリブルを仕掛ける相手に対して飛び込まず、粘った挙句に摘み取った。駆け引きにも長けている。点を取っただけでなく守備でもちゃんと機能してるのだった。
そんなゴールを許さない守備がカウンターを呼んだ。パトリックへ向けたスルーパス。スピードのあるパトリックは追いつくのだった。
 ゴールに迫るパトリック。追加点が入ればかなり楽になる。だがシュートを打つも後追いをしたDFに詰められてしまう。あと一歩、もう一つ早いタイミングで打てば枠に飛んでいた。慎重になり過ぎた。周りを使うことでプレーの幅を広げているパトリックだが、今はその繊細さと強引との間でこういう千載一遇のチャンスで駆け引きで迷いが生じているようだ。
 そんな中、後半も半分くら過ぎたとこで水本は佐々木と交代した。後には若手の東と森島が野津田と渡に交代へ。イエローカードとの兼ね合い、そして終盤へ向け、より強いプレッシングから逃げ切りへと掛かったことを伺わせた。
 終盤に近付くに従い圧力が増していく。審判の笛も混迷を深める。ホームサポーターの声援。それらが渦となって押し寄せる。堪えて堪えて堪え抜く時間。息は苦しくなり心臓の鼓動が高鳴る。真正面からのFKでは緊張が最高点に達する。だがそれを外してくれるとタイムアップの笛は響き渡ったのだった。
勝った、勝てた。歓喜が身体中を駆け巡る。抑えきれない解放感。まさかまさかのグループ首位である。よくやった、荒木。そして他の若手選手達。これがチームの底上げにもなり自身も実績を重ねていける。
でもまだ予選リーグ突破が決まった訳じゃない。昨シーズンのルヴァンカップでもメンバー総入れ替えで一時は勝ち続けた。だが結局最後は勝ち切ることができずに決勝トーナメントに進出できなかった。その苦い記憶が残ってるだけにまだまだ気を抜く訳にはいかないのだった。

2019年4月19日 (金)

東京戦〜負けた直接対決

2919年4月19日 サンフレッチェ広島vsFC東京 エディオンスタジアム広島

首位攻防戦。
去年もこんなこと言ったなあ。そんなことを思い出しふと苦笑いが浮かぶ 。結局のところ両方とも優勝できなかった。なのでこの時期の順位はそんなに関係ないということが実証されて、試合へ臨む意識も過剰になることなく、単なるリーグ戦の1試合でしかなかった。
そんな達観した気持ちでいたものの、平日のナイトゲームとは思えない観客がいて自分の冷めた装いに恥辱を感じるのだった。更にスタメンの発表でワントップに渡が入ってることで息が荒くなった。ここ数試合のゴールという結果には他のFWを押しのけてついにトップというポジションを手にしたのだった。
勝ちたい。勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。そんな情念がふつふつと沸き立った。首位決戦。だからこそ勝たねばならないのだ。
そんな情念を持つも攻撃という意味ではまるで活路が見いだせなかった。ストロングポイントである左サイドの柏は縦へのドリブルができない。クロスが上げられない。そして中央はというと蟻の入る隙間もないくらいにびっしりと守備を構築され攻めあぐねる。その結果中途半端な攻撃で終わってしまうとロングボールを蹴られてしまう。永井が走る。快速が追いつけばビッグチャンスになる。そんなシンプルな攻撃だった。が、俄然そちらの方が相手に与える脅威は大きいのだった。
サンフレッチェもそういうカウンターには警戒はしてる。攻撃を遅らすことができれば全員戻ってブロックを敷く。だがFC東京と比べると盤石には見えない。それもそのはず、永井がボールを持つとスピードだけでぶち抜くからだ。その度にサンフレッチェの土塁はナイフで突き刺されたような瓦解を見せる。永井が切り裂きその折り返しのパスを高萩が打つ。真正面のシュートだったが足にヒットしなかったお陰で枠を外してくれたのは幸運だった。
しかし、その前にはディエゴ・オリベイラの折り返しをシュートするという場面があった。ポストに当たったことで難を逃れたが間違いなくそういう危うい場面はFC東京の方がつくり出してる。サンフレッチェの攻撃は全てのパターンが読まれてるかのようだ。それもそのはず、東京の長谷川監督はサンフレッチェの試合には絶大なる老獪さを発揮する人なのだった。
パスをつなぐだけでは駄目。そこで自陣から最前線の長いボールを入れる。ターンをして前に繰り出す。だがラストパスはゴールラインを割ってしまった。ワンタッチ多かった。更に右のサロモンソンも敵の背後を突いて上手く抜け出したのに最後は摘まれてしまった。これもワンタッチ余計な気がした。手数を掛けてしまい却ってそれが仇となってしまってるようだった。
FC東京の攻撃は効率的だ。その違いを生み出してるのは高萩のワンタッチパスだった。永井やディエゴがパワーで壁を崩そうとしてるのに比べて高萩はほんの小さな穴に針を突くようなパスを入れて岩をも砕くようだった。
最終ラインに入ってくるボールにクリアで対処するもそれは一杯一杯のような余裕のなさを感じた。まるでどこから襲撃されるかわからない。そのタイミングもその位置もその角度もまるで五里霧中。そしてゴール正面に来たボールには頭に当てるのが精一杯になり横にルーズボールが落ちる。それを拾われ横パスはディエゴ・オリベイラへ。シュート。吉野の懸命なスライディングも大迫の横っ飛びも空しくゴールに突き刺さったのだった。ああ、決められた。ほんのわずかな瞬間である。あのワンチャンスを決められてしまった。
もはやこれでお手上げ。そんな気がした。それもそのはず、サンフレッチェにはチャンスらしいチャンスがまるで訪れなかったから。どこをどうやってもシュートすら打てそうになかった。
が、そんな時、渡が中盤からドリブルでゴールに向かった。個で打開していきCKを得たのだった。
ああ、渡。諦めてない。
そしてそのプレーに触発されたかのように川辺がミドルシュート。更にはサイドからもクロスが入るようになる。でも徹底的に東京は跳ね返す。クリアする。もはや競り合いにすらなってないと思いきや、短いクリアボールを渡が胸トラップ、落ちるボールをボレーシュート。弾丸のようなボールがゴールに放たれた。
ガンッ!
ゴールポストの乾いた音と共にボールは弾き出されてしまった。ああ、入ったと思ったんだが。でもここにきてああいうシュートを打つ渡に大きな希望を見出した。
ところが反撃はここまで。0-1で負けてしまったのだ。そういえば昨シーズンも初めて負けたのが東京だった。また今年も同じパターンを繰り返すのかよと自嘲気味になる。
勝敗は点を入れたか入れなかったかの違いだ。決めたディエゴ。決められなかった渡。少々酷な評価だがワントップのポジション争いの中での敗戦は印象としてはよくない。それでも最終的に一番ゴールを近づける動きをしたのは渡。できればもっと早い時間にそれをやってほしかった。それがないから東京は気持ちよく攻めることができた。
過大な要求なのは分かってる。それでも渡には負けて欲しくなかった。ディエゴに負けて欲しくなかった。あのポストに当たったシュート、あと何センチずれたら入っていたんだろう。ただの枠外シュートでしかないはずなのにあのシーンだけずっと残像として残っているのだった。

2019年4月15日 (月)

神戸戦~渡の2ゴール

2019年4月14日 ヴィッセル神戸vs サンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

 1点追う形でハーフタイムを迎え後半に入る。それでも大勢は変わらない。神戸がボールを持つと付いていけない。せめてイニエスタだけにはボールを入れさせたくない。といってそこだけマークしてると右に振り左に振られる。そうやって惑されるといつの間にかイニエスタがボールを持ってる。今度はどこに出してくるか。わからない。読めない。掴みどころがない。神戸の攻撃に完全に幻惑されてるのだった。
 プレスを掛けるも徹底的に取れない。逆にマイボールになった時には神戸の圧力に負けてロングボールに逃げる。するとそれをまた神戸に処理される。パトリックはターゲットとして機能してない。ついに交代を告げられると悔しそうに振舞ってた。自分でもうまくいってないと感じてたのだろう。だが代わりに入った皆川は得点力がない。その為、同点の期待は到底望めそうにないのだった。
 左サイドで柏と野津田がパス交換。そこから打開を試みるも神戸DFが集まり次第に窮屈になってくる。もうそこから攻撃を組み立てることがわかっているのでそこへ人数を掛けられる。その分、右にスペースがあったのだろう。中盤の底である川辺が右に上がるとボールが入りクロス。密集するゴール前。渡が競り勝つ。ボールが浮かぶ。野津田が当てた。更にゴールの前に立った柏が頭を振ることによりボールはゴールネットを揺らせたのだった。
追いついた、追いついた、追いついた。もう絶対このまま点が入らず終わるんだと思っていた。まさかまさかの展開である。柏も野津田もさっきまで左サイドいたのによくゴールエリアまで走ってきたものだ。混戦状態の中、訳も分からず入ったようにも見えたが決して偶然ではなかった。
このままいけば一先ず負けはない。アウェイで勝ち点1なら十分である。前半、追いついたと安堵すると簡単に勝ち越しゴールを再び決められたことがトラウマになっている。とくかく失点だけはふせぎたい。
 そう思っているとまたしてもイニエスタがペナルティーエリアに侵入してきた。吉野がマッチアップ。だが取れない。取れない、取れない、取れな。そしてCKに逃げたのが精一杯だった。
またしてもプレー。緊張が走る。イニエスタのキックには一瞬たりとも気が抜けない。が、 さすがに2回もやられたとあってこれは跳ね返すことができた。だが古橋のドリブルを防ぐ流れの中でまたしてもCK。今度蹴るのはポドルスキ。これをGK大迫キャッチ。それによりボールをつなげることができる。中盤を経由して縦パスが入ると川辺がドリブル。ペナルティエリアに侵入、そしてクロス。が、大きすぎた。と思ったら逆サイドでサロモンソンが拾う。クロス。フワッと浮いたクロスは誰も触ることができない。そう見えたそのボールに下がりながらも脚を投げ出した渡。それがヒットしゴールに入った。
逆転、逆転、逆転!2度追いついた後、逆転してしまった。しかもそれが渡のゴール。身体を投げ出すアクロバティックなシュートはかつてのエース、久保竜彦を思い出させた。そんな郷愁も入り混じりその喜びは僥倖と化すのだった。
このゴールは神戸の精神に大きなダメージを与えた。それからというものサンフレッチェに俄然勢いが増す。前半から飛ばしてる柏の運動量が止まらない。縦パスを受けると迷わずドリブル。DFに立ちふさがれるとまたぎのフェイント、そこから野津田へスルーパス。ボールに追いつきクロス。ゴール前、合わせた。渡のダイビングシュート。わずかな時間で2点も決めてしまった。そしてそのどちらもFWらしいゴールだった。
駄目押しとも言える追加点。この時間で2点差は大きい。ここから渡を稲垣、サロモンソンを清水と交代させていきいよいよ守備への意識を高める。ポドルスキの弾丸シュートは大迫が止め、DFが剥がされゴール前までの侵入にはボランチの松本がカバーをし、皆が最後まで走り神戸の攻撃に対処した。それが功を奏し2-4というスコアで終わることができたのだった。
イニエスタがいると勝てないのか。2度勝ち越された時にはそう思ってしまった。でもそれを追いつき追い越した。そして何よりもうれしいのは渡の2ゴールであった。
ストライカーというのは単純にゴールが多いだけではない。その選手が決めることによって大きく盛り上げチームを勢いづける性質を持つ。そんな存在になることを入団してきた時から期待していた。そしてこの試合の2つのゴールはその理想像に大きく近づくものであった。

神戸戦~イニエスタの実力

2019年4月14日 ヴィッセル神戸vs サンフレッチェ広島 ノエビアスタジアム神戸

 天候の影響か、ピッチの上には屋根が掛かっており上を見上げても空は見えない。そういう意味も含めてノエビアスタジアム神戸は日本で一番近代的なスタジアムである。そこにイニエスタ、ポドルスキといった世界的に知名度のある選手が試合に出る、更にはオーナーが楽天というIT企業ということもあって時代の先端をいってる雰囲気があるのだった。
 前回ここで対戦した時にはイニエスタにやられてしまった。今回こそはやられたくない。ところがFWのウェリントンはフィジカルの強さを優位性とし、ロングボールをことごとく収めてしまうことにより神戸の攻撃を機能させてしまう。更には古橋が右サイドをドリブルで何度も駆け上がることによって佐々木は守備で後手を踏む場面をつくられてしまうのだった。
 そんなボール支配率を奪われてる中、前からのプレッシングで相手の自由を奪おうとする。それはある時は好走し、マイボールにできるもののその後が続かない。高い位置でチャレンジしたパスを入れようとするとことごとくカットされる。読まれている。予めどこにパスを送ろうとするか予測されているのだった。
 久々に出場したパトリックもロングボールでの競り合いに勝ててない。そのせいで神戸の方が攻撃にパワーがある。イニエスタを中心に取りどころのないボール回しを繰り出す。変幻自在。どこにどう回してくるのか読めない。分からない。掴めない。そのあまりもの取りどころのなさに渡は思わず強く当たってしまいファールを取られ、FKを与えてしまったのだった。
ボール前に立ったイニエスタ。ゴールまでは距離がある。それほど心配することはなさそうだ。イニエスタ蹴る。大きく弧を描いたボールが跳ぶ。パトリックの頭上を超えると抜け出したのはウェリントン。綺麗に頭で合わされ決められてしまった。
ああ、またイニエスタである。あんなピンポイントなボールを出してくるとは。やっぱりワールドクラスだった。そこへの警戒が薄かった。その後もイニエスタがボールを持つと意表を突いたディフェンスラインを切り裂くスルーパスが出る。やっぱり危ない。次元の違う選手だ。
先制されたことで悠長に自陣で固めて奪えばいいという訳にもいかなくなった。前からプレスを掛ける。が、なかなか取りどころがない。最前線のパトリックも脅威となってない。これは打つ手がない。中盤でボールをカットする。左サイド、縦へ柏を走らせるパス。が、ダンクレーに余裕で身体を入れられGKへとつなげられる。が、この時柏は縦へ全力疾走してた。その勢いの進路を中へずらすとボールに届いた。それを折り返し。中にいたパトリック。決めた。パトリックの今季初ゴールである。
マシンガンポーズをした後神へのお祈りをしたパトリック。やっと決めることができてホッとした面もあるだろう。絶対的エースであるはずだったはずがここ数試合出場できてないというもどかしさがあったはずだ。
そんなパトリックのゴールによって早々に振り出しに戻すことができた。ここから、ここからである。だがボールが上手く運べない。ハーフウェイラインを越えた辺りから神戸の網に掛かってしまい効率よくボールを奪われる。パスで翻弄する神戸に対して激しいチェックで対処するもウェリントンへの辺りはファールとなってしまった。また自陣でのFK。イニエスタのキックに今度はどんな陣形で対応すべきなのか。
そんなことを考えあぐねているとボールはゴール前へすでに出ていた。猛然と走る古橋。気づいた柏が慌てて走るも追いつけない。飛び出すGK大迫。だがその動きをわずかに外したキックでファーサイドに転がされると入ってしまった。ああ、決めた古橋も上手かったが、またしてもイニエスタである。セットプレーで相手の集中が切れてる隙に出してしまう抜け目なさ。この選手には一瞬たりとも気が抜けないというのを思い知らされたのだった。

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サンフレッチェの魂~リンク集

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    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
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    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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