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2024年12月 9日 (月)

ガンバ戦~虚しき最終戦

2024年12月8日 ガンバ大阪 vs サンフレッチェ広島 パナソニックスタジアム吹田


 最終節。この試合に勝って神戸が負けると優勝という条件は多くのサポーターを大阪に結集させた。2階のアウェイエリアは完売。その熱気はホームのサポーターに負けてなかった。機運は高い。前節大勝した雰囲気はそのまま継続してる。この試合は勝とう。その上で最終順位を待とうではないか。そんな想いを抱いて試合に臨んだ。

 ボールに対して前からプレス、プレス、プレス。が、それがガンバの攻撃を停滞させるどころかことごとくかわすことで前に進める。そして右サイドに出されるとウェリントンのドリブル。これに中野はついていけない。更に最終ラインの塩谷まで負けてしまう。サイドをえぐりラストパス。これをギリギリのとこで防ぐのだがウェリントンは乗ってきた。ボールを受ければ縦に行ける。個でも突破できるしパスを出してもどこにでも通る。それはもう人数が違うかのような錯覚さえ起きるのだった。

 それによりガンバの選手は個々が有機的に動く。そして局面では個で競り負けない。どこをどうやってもサンフレッチェに盛り返す要素がない。守備の網をすり抜けて前進するガンバの攻撃にクリアするのが精一杯。そしてクリアしてもことごとくセカンドボールを拾われる。何とかCKにすることで一旦は流れを切った。だがCKである。

 ここで蹴り込まれたボールを一旦はクリアするもまたしてもセカンドボールを拾われると折り返しからゴール前、ゴール真正面から難もなく押し込まれてしまった。守備の人数は揃ってるはずなのに誰もその動きを止めることができなかった。かくして早々にして勝利への機運は水を差されてしまったのだった。

 早く追いつきたい。追いつきたいが上手くいかない。どうしても盛り返せない。今シーズンガンバには1回も勝ってないが相性の悪さが露呈してしまった。攻撃しようにも後ろでばかりボールを回す。前に出すと激しいプレッシャーにすぐに潰される。そんな時間が続き後半戦へ。ピエロスが相手チャージにより負傷するもファールは取られず。これによりパシエンシアに交代したがそこまでの負傷を負わされててファールにもしない判定には疑問が残るもゲームは続く。そんな時左サイド高い位置でに入った。中央へ向けクロス。最終ラインで加藤が胸トラップ、収める。ボールの落下と共にシュート。DFに当たることで軌道が変わり入った。振り出しに戻すことができたのだった。

 加藤、加藤、加藤!この劣勢な状況で決め切ることができた。ここから。勝とう、勝とう。が、ここでVARにチェックが入る。スロービデオで再生画面を観たが加藤はラインを出てなかった。ただその隣にいたパシエンシアが出ていたものの加藤がトラップした瞬間後ろに下がったのでプレーに関与したとは思えない。それなのに下した判定はオフサイド。え、という驚きは隠せなかった。笹原主審は自分で映像のチェックをすることもなしに一方的にオフサイドと決めてしまった。あ、この人はガンバを勝たせたいのだ。そう思った瞬間判定が偏ってるように感じる。接触プレーではサンフレッチェの選手が倒れても笛を吹かない。もはやピッチの敵は1人多いのと変わらないのだった。

 そんな中で再びゴールを目指すサンフレッチェ。押し込む場面もあったもののここでいつもの悪癖が出る。ラストパスが出たのにふかしてしまう。泰志がふかし、トルライも枠を捉えられない。そして東がエリア内で素晴らしいフェイントで相手をかわしたもののシュートは上をいく。決めきれない。本当に決めきれない。結局この決定力不足によって取りこぼした今シーズン。それを象徴するような場面のオンパレードなのだった。

 早く点が欲しいサンフレッチェであるがその意に反して攻めてるのは圧倒的にガンバ。奪えないボールにたまりかねてファール。そこでFK。距離はあるもののサイドからのボール。これは跳ね返せるだろうと思ったそのボールはファーに。ダワンが折り返すと中央に入られ決められた。2失点目。呆気ない。あまりにも呆気ない追加点を決められてしまったのだった。

 もはやこれで終わった感はあった。攻めても攻めても奪えないゴールをガンバはあまりにも簡単にやってのける。事実、セットプレーの数ではサンフレッチェが上回ってる。だがそのどれも不発。可能性すら感じさせない。数あるCKをガンバは本当に余裕を持って弾き返してしまうのだった。点が入らない、点が入らない。まるで今シーズンの悪い時の集大成を見せられてるかのようだった。そんな切迫した状況にまたしてもガンバはゴールへと迫ってくる。守備の人数は揃ってる。が、そんな中を中央を割られ簡単に3点目を献上してしまった。

 終了。もはやその文字しか浮かばなかった。さすがに負けるにしてもこれは酷かった。浦和戦といい、絶対に勝たないといけない試合で大敗をしてしまうのも今シーズンを象徴していた。空しい。虚しさに蝕まれる。最後の最後でこんな情けない試合を見さされるとは思ってもいなかった。

 もはやここから勝つことは考えてないだろう。が、東に代えて柏を投入した。ここにきて退団の決まってるベテラン選手を入れるとこにチームの引き出しのなさを痛感せざるを得なかった。もはや打手なし。そんな打ちのめされた気分で迎える残り時間、左サイドの柏に入るとカットインからクロス。これを点で合わせた加藤。ファーへ向かったヘディングシュートはゴールに入ったのだった。

 決まった。今度の今度こそは文句のないゴール。笠原主審、取り消すことはできないぞという嫌味の一つも言いたくなったが終了間近のゴールはまさに焼け石に水だった。だがゼロのまま終わるよりはよっぽどいい。だからこそよく決めたとも言える。ただその一方でアシストを決めたのが退団する柏というのが何とも皮肉なのだった。

 そして3-1でゲームを終え、今期の日程を終了した。最終的には2位。優勝を逃したどころか3位の町田が負けたことでこの順位で終えたというのが決まりが悪かった。最後の最後でボロ負け。それでこの順位というのは運が良かったのかもしれないがやはりポッカリと空いた虚無感は拭えない。新スタジアムができ観客数を伸ばしたものの何かが足りなかった。その足りなかったものはやはり熱量だったろうとパナソニックスタジアムのガンバの盛り上がりを見るにつけ認めざるを得ないことなのだった。

2024年12月 6日 (金)

東方戦~弾みのついた試合

2024年12月5日 AFCチャンピオンズリーグ2 グループステージMD6 サンフレッチェ広島 vs 東方 エディオンピースウイング広島

 

 平日の17:00。何とも中途半端な時間での開催であるが、これはグループステージの最終節ということで他の試合と同時刻に設定した結果らしい。ただ、観客動員に関しては当然マイナス要素であり、どんな悲惨な状況になるだろうと思いきや1万人を満たない程度にはスタンドは埋まったのだった。

 そして引退の決まった青山がキャプテンマークを着けてピッチに出る。そこに応援に熱が籠る。更に退団の決まった柏もいる一方、越道、中島といった若手を始め出場機会の少ない選手が入っている。それでいてワントップにパシエンシア、GKに大迫というレギュラーメンバーが入ってるとこは単なる記念試合にしないという意思の表れでもあった。

 東方からのキックオフ。ボールが放たれるとスタートから全速力でのプレスが始まる。まるで何かに取り憑かれたかのよう。それはそうである。満田、マルコスのように何がなんでも結果を残したい選手もいる。そしてパシエンシアにしても2ヶ月もゴールから遠ざかってる。そして何よりも青山のホームラストマッチという舞台を無駄にしたくないという想いは熱量を帯びさせた。もはや双方にとって消化試合でしかないのに本気で勝ちにいったのであった。

 プレスで追い込み、追い込み、高い位置で奪いに行こうとするもののそこをすり抜けられると右サイドをワンツーで裏を取られる。ドリブルで切り込むウー・ユーシー。細谷が相対すると切り返しで逆を突かれシュート。ニアに放たれたボールはGK大迫も対処できずゴールにぶち込まれてしまったのだった。

 失点。何ということ。細谷は完全に1対1で負けてしまった。確かに相手のプレーが上手かったのはあるがだからこそ厳しい目を向けたい。出場機会が欲しいのであればこういうのを相手にしなければいけない。押せ押せムードの中での先の失点は確かに水を差された面はあったものの相手にこういう選手がいることはありがたいことでもあった。

 早くも追う展開になったサンフレッチェはやはり高い運動量で相手を押し込めていく。相手もラインを整えて簡単に中を割らせない。その分ミドルシュートが多くなるもののいずれも枠に飛ばない。それでも消極的な時はそれすらもないだけに勝ちへの執念は感じる。ただ、いいとこまではいくけど最後が決まらないといういつものジレンマに陥るのだった。

 そんな時間が続くことで次第にジリジリとしてきたが密集したペナルティエリアへボールが入った。パシエンシアがボールコントロールに時間を掛ける。それにより前を閉じられる。相手との混乱の中でボールがこぼれる。満田が拾いスペースへと落とした。そこへ駆け上がった志知がミドルシュート。強烈な弾道はGKブロックもこぼれる。そこを見逃さず突っ込んできた選手がいた。ふわっと浮かしたループシュートがゴールに入った。

 同点。押し込んだ。そしてこれを決めたのが青山。本人にとってのホームラストゲームに決めた。このゴールにスタジアムは沸騰する。このゴールが引き金となり一層サンフレッチェの攻撃に拍車がかかっていくのだった。

 だがこのまま前半は1-1ドローのまま終える。後半いつものパターンではパシエンシアは交代であるがメンバー交代はなし。出来る限りこのメンバーでやらせたいという監督の意図が伺えた。それに応えるべく越道が右サイドを縦へ仕掛けクロスを上げる。入り乱れるゴール前。ファーに流れたパシエンシアが合わせた。ヘディングで勝ち越しゴールを決めたのだった。

 ゴールが決まると流れるBGMが鳴り響く。パシエンシア、パシエンシア、パシエンシア!本人にとっても久々のゴール。だけどそれ以上にぼくらも観たかった。これで逆転。最低限のノルマは達成した。だがこんなものでは足りなかった。

 お祭り状態になるスタジアムにおいて、東方も火を消していなかった。隙を伺ってはカウンターを仕掛けてくる。完全な2対2の局面をつくられたものの松本大弥が個の対応で防ぐ。そこに本人も手応えを感じたか、攻撃でも気を吐いた。最終ラインからトップのパシエンシアへ縦パスを入れるとそのまま右サイドを駆け上がっていく。中盤を経由して右に出ると大弥の中央へのグラウンダー。そこに入ってきた中島。ミドルレンジながらもシュート。これがゴール隅に突き刺さり3点目を決めたのだった。

 中島、中島、中島!このゴールを演出した大弥も凄い。もはやこれで勝利は確信できた。もっと観ていたいという気分になったもののここでパシエンシアに代えピエロスが入る。残り時間を考えてリーグ戦へ弾みをつけさせたい選手の投入である。するとこのピエロスが魅せた。左サイドから運ばれたボールを満田が受けるとドリブルから相手のマークを引き剥がすパスをピエロスへ。DFのマークに遭いながらも身体の向きを変えると一振り。その一瞬の出来事にシュートを打ったという気すらしなかったもののゴール隅に吸い込まれていったのだった。

 4点目。ピエロス、ピエロス、ピエロス!もうお祭り状態が止まらない。こうなると皆が皆結果を残したい。中島、満田に代わって川辺、トルガイが入ると余計に前掛かりも待っていく。あと1点、あと1点。とにかくゴールが観たかった。トルガイが、ピエロスが、とシュートを放っていく。決めきれずにその度に次への渇望が湧く。確かにこの試合には何の意味もない。だけどそれがリーグ戦最終戦へ向けての勢いに繋がるのがわかっているのだった。

 かくして4-1のまま試合を終えた。充足感がありながらもう1点が奪えなかったことへの残念さがあるのは2008年J2での最終戦にあと1点が奪えず100ゴール達成できなかった時の感覚に近いものがあった。

 結果を出して欲しい外国人FWが決め、次の世代を担う中島も決め、そして引退する青山が決めた。出来過ぎの内容である。この勢いをこのままリーグ最終戦へと持っていきたい。全ては3日後の決戦の為に。

2024年12月 3日 (火)

札幌戦~大勝、青山へのはなむけ

202412月1日 サンフレッチェ広島 vs コンサドーレ札幌 エディオンピースウィング広島

 

 後半、パシエンシアに代えてピエロスが入ってきた。シュートは放ったものの肝心なところでこね回してチャンスを潰した場面が目立った為に交代はやむを得ないとこもある。が、ピエロスはピエロスでせっかくのチャンスをオフサイドで潰すという悪癖があるだけにあまりあてにはならない。ただ前線のプレスだけは強度を発揮できる。上手くいけばこの1点差を守るのに貢献できるかもしれない。

 そしてその目論見は当たり札幌は容易に押上ができなくなっていった。後ろでのパス回しに引っ掛かる場面が見受けられるようになっていき松本泰志のプレスがガツンと嵌る。コントロールを失った札幌はGK菅野へバックパス。これを逃さなかった加藤。猛然とダッシュで球際を搔っ攫うと倒された。ピーッと主審の笛が響く。PK。加藤の読みと初動の速さで追加点のチャンスを得たのだった。

 キッカーはトルガイ。技術の高いトルガイなら大丈夫だろうと思いきや緊張はする。これが入るか入らないかで大きく変わる。じっとゴールを見据えるトルガイ。主審のホイッスルが鳴る。ゆっくりとしたモーションからキック。真っすぐな弾道。だが右に倒れたGK菅野の脇をすり抜けるとゴールに突き刺さったのだった。

 3点目。これにより2点差。これは大きなゴールだった。トルガイのキックは取れそうな珠だった。それなのに菅野の身体をすり抜けたのは不思議だった。それこそはピッチの魔法使いなのだろう。この選手は難しいことを簡単にやり遂げてしまうのだった。

 沸き立つスタジアム。こうなるともう交代の動向が気になる。ピッチの横では引退を決めた青山がアップを始める。当然そこに目が行く。ただ2点差はまだ安心していいスコアではない。1点返されるとわからない。そこで中島がトルガイとの交代で入る。青山が引退する中で若い中島の投入。これは世代の交代を目の当たりにする光景のようだった。この流れを継続さすべく中島のプレーが光る。まだまだ勢いは続いていく。そんな機運が高まる。

 すると左サイドにフリーでボールが入る。ショートカウンターの流れでクロス。これに走りこんだのはピエロス。点で合わせるとガツンとゴールにぶち込んだのだった。

 4点目。

 ピエロス、ピエロス、ピエロス。今までこういう展開の時いつもオフサイドになっていたがこの時はちゃんとラインを意識できたみたいだ。恐らく点差による余裕もあったのだろう。だがこれにより勝ちを意識することができた。そして青山の登場である。川辺との交代でピッチに出すことができた。

 青山がリーグ戦でこのスタジアムでプレーするのはこれで最後。目に焼き付けようと一層熱が入る。勢いは衰えるどころか一層高くなる。そしてこの流れでCKを得るのだった。キッカーは東。左サイドからのアウトに掛かったボールが飛ぶ。それにピエロス。ヘディングが決まり今日2点目を挙げたのだった。

 駄目押し。もはや勝利は確信できた。残り時間わずか。この展開で東を下げる。入ったのは今期で退団の決まった柏。青山、柏という今までずっとチームの主軸と引っ張ってきた選手が最後にピッチに立てたのは奇跡だった。そしてこの交代からも相手ゴールに迫るシーンが訪れる。雪崩うつように駆け上がる選手の中に柏もいた。ラストパスが入り左からのシュート。決まったと思った瞬間ガツンという音を出してポストに跳ね返されてしまった。

 あれが決まっていれば。もっと劇的な終わり方ができただろう。そんな贅沢なことを思いながらも刻々と終了の時間が近づきつつある。もう少し続いてほしい。もう少し観たい。そんな願いを切り刻むように終了のホイッスルは鳴り響いていったのだった。

 5-1。最後はワンサイドゲームになった。それは札幌がすでに降格が決まっていたという難しい精神状態といったことも関係しただろう。そんな中でも最後の最後まで応援していた札幌サポーターには敬服する。ミシャが指揮したサッカーは決して劣ったものではなかった。ほんのちょっとした歯車の掛け違いによって上手くいかなくなるというのは同じミシャの指揮下にいたチームとして共鳴できるとこもあるのだった。

 いよいよ残り1節を残すのみとなった。次勝つかどうかによって順位の持つ意味は大きく変わる。だけどその後の青山の引退セレモニーはそんなことさえ些細なことにすら感じてしまった。かつての不人気クラブがこうして満員にすることができ、選手としてその生き字引のような青山が去る。一つの役目を終えたのだろうがその役目はあまりにも大きかった。その為にも最後は大きな成果が欲しいとはこの日スタジアムにいた誰もが思うとこであるのだった。

札幌戦~東のFK

2024年12月1日 サンフレッチェ広島 vs コンサドーレ 札幌札幌ドーム

 

 首位を狙える順位にいながらの3連敗はダメージが大きかった。それに加え得点がDFの中野の1点のみというのが絶望感を助長する。点が取れない。とにかく点が取れない。もはや勝たないと3位に転落してしまうというところまで追い込まれた。勝たないといけない。勝たないと行けない。そういう切迫した状況は精神に圧迫感を与え当然プレーにも影響する。しかも相手は降格の決まった札幌。こういう肩の荷が落ちたチームは妙に伸び伸びとプレーできるようになることがある。やり難い。本当にやり難い対戦となるのだった。

 そういう背景からか、この日のゴール裏は熱量が高かった。その声援はスタジアムに渦を巻きチームに活力を与える。背中を押されたチームはキックオフから飛ばしていくのだった。

 前からのプレス。それは相手を追い込みラインを下げさせる。剥がされたら後ろの選手がカバー。奪ってからのパスワーク。中央でパシエンシアに入るとシュート。足を滑らし力無く転がる。GK菅野は難なくキャッチ。そこから札幌ボールになるも連動した守備により網にかけ再び前を向くのだった。

 負けじと札幌もプレス強度を上げる。だがトルガイの巧みなボールタッチによりファールになる。そこでクイックスタート。左サイドの東に出る。CB2人がラインを整える。そこへグラウンダーのクロス。その弾道は弧を描き逆サイドへ進むと加藤。歩幅を合わせダイレクトでシュート。ボールはファーサイドへ。GK菅野が飛ぶも及ばずゴールに流れ込んだ。

 決まった。陸次樹、陸次樹、陸次樹!

 先制点に場内は沸騰する。加藤は雄叫びを上げる。しばらくゴールのなかった加藤にゴールが生まれたのは朗報。しかも加藤のゴールは盛り上がる。やはり本来ストライカーであるべき加藤が決めるというのは格別のものがある。取って欲しい人が取る。それはテンションを更に上げるbのだった。

 この流れで2点目。2点目が欲しい。最近ゼロで抑えられた試合がない為に追加点は必須だった。ところがこの後から札幌もプレスを掻い潜れるようになりサイドからの切り崩しに掛かる。ドリブル、ワンツーを使った崩し。捕まえきれない。そしてその混乱にいるなかで右サイドでスローインを入れられるとワンツーから縦へ。抜け出した近藤。ゴールライン際で折り返し。ゴール前で待ち構えてた鈴木武蔵。当てるだけでニアにシュート決め切ったのだった。

 同点。これは痛い。せめて前半だけでも耐えたかった。せっかく先制したのにあっさりやられてしまったのは湘南戦と一緒。それ故に思い出した。あの試合で後半に入っても一方的にやられ逆転負けしたのを。ああ、またあの負の連鎖が始まるのか。そんなネガティブな感情に支配されてしまうのだった。

 札幌も持ち前のパスワークを見せてくる。その連動性はかつてサンフレッチェで指揮してきたミシャの仕込んだもの。嵌れば厄介である。松本泰志がボールホルダーへとガツンとぶつかる。それによりボールを奪うとショートカウンター。パシエンシアに入れるとペナルティエリアで1対1。シュート。これをGK菅野セーブ。決め切ることができなかった。

 これにより札幌に傾きかけた流れが徐々に変わっていく。それにより札幌はファールで止めると右サイドでのFKを得る。キッカーは東。ゴールまでは遠いもののサンフレッチェにはヘディングに強いDFがゴール前にポジションを取る。そしてそこを目指したボールが入る。山なりに弧を描いたボール。誰か触れ。触れず抜けていく。するとゴール隅に直接入って行ったのだった。

 ゴール、ゴール、ゴール。まさか、まさかの展開である。恐らくは誰かが頭で合わせることを想定したボールだったのだろう。だからこそGK菅野も中央を意識したポジショニングをした。それにより素通りしたボールに対処できなかったのだった。

 再びリード。前半アディショナルタイムに決め、このままハーフタイムに入る。リードをしたまま後半に入れるというのは大きなアドバンテージとなるのだった。

2024年11月30日 (土)

カヤFCイロイロ戦~偶発性のゴール

2024/11/28 AFCチャンピオンズリーグ グループステージMD5 カヤFCイロイロ vs サンフレッチェ広島 Rizal Memorial Sports Complex


 もはやグループステージでの勝ち抜けは決まった。それだけに出場機会のない選手主体のチームとなるのは予想できただけにそれはそれで楽しみでもあった。かくしてピッチに現れたのは細谷、松本大弥、越道、中島、井上愛簾、木吹という若手主体だった。そこにマルコス、満田が引っ張るというのが伺える。2人にしてもアピールの場だったが両サイドに位置する茶島、志知のベテランも結果が欲しい試合だった。

 とはいえアウェイのスタジアムは閑散としておりどことなくモチベーションの持っていき方が難しい。少ない観客によるチームを鼓舞するコールはあまりアウェイの圧力を感じない。それどころかその声援の中にはサンフレッチェのコールも聞こえる。それは日本から駆けつけたサポーターだった。なんと、フィリピンにまで行くサポーターがいた。その行動力には敬服する。むしろこういう人がいるだけに無駄にできない試合なのだった。

 ボールはサンフレッチェが支配する。カヤの選手は猛ダッシュでプレスをしてくる。寄せが速い。パスワークに余裕が生まれない。カヤの選手の動きが速い。どうしてこんなにスペースを埋められるのか。ピッチが狭く感じる。あ、ピッチが狭い。だから余裕が感じられる瞬間が訪れないのだった。

 相手の出足が速い為サイドで深くえぐることができると間髪入れずクロスを入れる。が、どういう訳かボールが浮いてしまう。もっと速いライナー性のボールが欲しい。そこにヤキモキしながらも人工芝のせいかもしれない。ただそれらを差し引いてもやはりレギュラー組とはプレーの精度が違うのは認めざるを得ないことだった。

 それでも一応はシュートチャンスまでは漕ぎ着けた。あとは決めるだけ。この決めるだけがどうしてもできない。ゴール前にボールが出ると中央を固められ打っても枠にいけない。そんなもたついた攻撃をいいことにカヤはスローインを縦に放り込んできた。それにより感じられる完全にフリーでサイドを駆け上がる。そして深く抉るとクロス。低い弾道のボールがゴール前を横切る。これに飛び込んだカヤの選手。GK田中もコースを切りにいった身のの逆に転がされるとそのままゴールに入ってしまった。失点。なんてこった。何でもないようなプレーで簡単にやられてしまったことに暗澹たるものを感じるのだった。

 さすがにこれではマズイと判断されたか、ハーフタイムを挟んでメンバー交代がある。新井、中野、松本泰志。主力を3人も入れてしまった。できる限り避けたかった事態だった。だがこの後、更に最悪の事態になる。その交代で入った新井がピッチで倒れ立ち上がれない。タンカで運ばれ柏と交代したもののほんのちょっとの出場で怪我をしてしまったのは不運としか言いようがない。大事なリーグ戦も控えてるだけにこれは大きな痛手だった。

 そんなハプニングがあったもののわずか3選手の入れ替えでチームは前を向けるようになった。左サイドからのクロスが逆サイドに飛ぶと満田がゴール前に放り込む。クリアからのセカンドボールが溢れる。そこに喰らい付いた愛簾。素早くクリアする相手DF。が、これが愛簾に当たりリフレクションがごーるに向かう。GK届かず。そしてゴール隅に転がって行ったのだった。

 おおおおっ、愛簾!プロ初ゴール。間違いなく狙ったものではないだろう。だけどそんなことは関係ない。そもそもがあの位置にいたことにより生まれたゴール。立派なものだった

 同点に気をよくしたチームは前線に雪崩を打つように出て行く。満田がミドルシュートを放つ。枠に行かない。それならばと前線でフリックを入れ泰志の飛び出しを使う。これはオフサイド。あと一歩。あと一歩が届かない。結局最後が決めきれないといういつものパターンが繰り返されもどかしさが積もる。レギュラー組を入れてもゴールが奪えないことに愕然としてしまうのだった。

 その時だった。左サイドサイドで泰志が抜けると早いタイミングでクロス。逆サイドに流れると満田が折り返し。マルコスが詰めるもヒットせずDFのクリア。が、そこに詰めていた愛簾に当たりリフレクションのボールがグラウンダーで走る。一直線の球はそのままゴールへと突き刺さったのだった。

 同点。

 思わぬ形でのゴールであったがゴールはゴールである。だが結局のところカヤのゴールもゴールに向かって行ったが為に起こった。そして愛簾のゴールも同様である。ゴールに向かえば何かしらの偶発性が起こる可能性がある。愛簾のプロ初ゴールにはそんなことを啓発させるものがあった。

 試合はこのまま1-1のドロー。少なくとも負けなくてよかった。そして若き戦力となるべき愛簾が結果を残したのも希望を生んだ。そういう意味では価値ある一戦だったろう。この後すぐに日本に向けて飛び立つチームにとってこれがリーグ戦にいい循環をもたらせることを願うのだった。

2024年11月11日 (月)

浦和戦~希望なき3連敗

20241110日 浦和レッドダイヤモンズ vs サンフレッチェ広島 埼玉スタジアム2002

 

 ACL2から中2日。その前は1週間の中断期間がありリーグ終盤にかけて何ともコンディションの維持の難しいスケジュールである。せっかく首位に立ったサンフレッチェが2連敗してしまったのもこれによって勢いを削がれた面はある。一番盛り上がるリーグの佳境に入ってこんなに中断、中断、中断となるのはどうにかならないものだろうか。

 そうは言ってもこの試合は勝たないと後がないサンフレッチェは試合開始から飛ばしていき浦和のゴールに襲い掛かる。まずは中野の上りからクロスが入ると中央に飛び込むプレーが飛び出すとそれを皮切りにどんどんと攻撃へと沸き上がっていく。右から左からとクロスが飛びシュートが放たれる。そして相手のファールを貰いFKCKとチャンスが続く。が、決めきれない。どれもこれも精度がない。まずもって枠に入らない。たまに入ったとしてもGK西川のファインセーブに阻まれる。焦れて焦れて焦れまくる。その結果余計に前掛かりになることによって浦和に1本のカウンターが生まれるのだった。

 中野がボールに追いつくもクリアは空振り。それにより松尾がボールをとられるとシュート。中野がブロックに足を伸ばしたものの間に合わずゴールの片隅ギリギリに決まってしまったのだった。鮮やか。ここまで何本もシュート打っても決めきれないサンフレッチェに対してたった1本で決めきる決定力。両者の違いをまざまざと見せられてしまった。

 このゴールによって自信を持った浦和は後半、攻撃へと前に出てくるようになった。それに対して慎重に慎重にボールを扱うサンフレッチェ。マイボールにしても持ち上がる速度が遅いそれはまるで相手の守備が戻るのを待ってるかのようだった。そしてそんな密集したゴールにクロスを送っても跳ね返される。正直ワンパターンだった。自分で撃たずにパスを選ぶ。それにより浦和は余計に守りやすくなり奪った後のカウンターが面白いように決まるのだった。

 右サイドの裏を取られ縦を抜けられるとゴール前に2人ゾーンを固める。するとライナー性のクロスが飛んでくると2人の間を狙ってリンセン。ガツンと顔に当てるとゴールに向かって軌道を変えてしまったのだった。

 決められた。またしても綺麗に決められた。2点差で苦しい。それでも1点差に詰められれば。中盤高い位置からの松本泰士のスルーパスに加藤が抜け出る。完全にGK西川との1対1。シュートを流し込む。が、枠を外してしまった。ガクッと倒れるアウェイゴール裏。サンフレッチェの決定力の低さを象徴するような場面に両チームの差を見せつけられたのだった。

 尻に火のついたサンフレッチェ。攻撃的選手をどんどん送り込む。パシエンシア、満田、ヴィエイラ、ピエロス。そうして送り込めば送り込む程ゴール前で渋滞を起こしお互いがお互いを邪魔にする展開に。そして手数を掛けずに打てばいいとこをパスを出す。パスをしてパスをしてパスをして最後はふんわりとしたクロス。相手にしてみれば簡単にクリアできる。その結果セカンドボールを拾われるもサイドに2人掛かりで追い詰める。だがこれを抜かれてしまう。がら空きのスペース。全速力で戻るDF。ゴール前まで侵入されるとラストパス。それを原口元気。綺麗なシュートを叩き込み3点目を決めたのだった。

 3点差。試合としては終了してしまった。だが最後に爪痕くらいは残したい。最後の最後せめて1点だけでも返したい。それなのになぜかバックパスをしてGKに返してしまう。その結果ロングキックは相手ボールになってわざわざ相手に時間を与えてやるのだった。

 そんな不毛な時間を過ごすことにより終了。0-3という屈辱的なスコアで終わってしまったのだった。3連敗、しかもスコアは段々と悪くなっているのだった。

 点が入らない。その上で失点が続く。希望的な要素がどこにもない。そもそもが試合プランが見え透いている。先に先制して相手を畳みかけるつもりだろうから最初さえ我慢して後からペースを握る作戦に乗せられてしまった。勝たなきゃいけない心理を突かれてしまっている。それ故に3試合連続して同じパターンで負けてしまうのだった。

 残り2試合。このまま力づくで攻撃をする試合を続けていくのか。それとも更にそれの上をいく心理戦を仕掛けていくのか。いずれにせよシーズンやり切ったという感覚で最後は終わりたいのだった。

2024年11月 8日 (金)

シドニーFC戦~予選リーグ突破

2024年11月7日 AFCチャンピオンズリーグ2 グループステージ シドニーFC vs サンフレッチェ広島 Jubilee Stadium


 リーグ戦を大詰めにいる中、ACL2でオーストリアまで行くというのはなかなかにハードなことだった。それを踏まえてスタメンはGK大迫、右CBの塩谷を除いてサブメンバーで構成された。が、その中には満田はいるしマルコスもいる。実力的には試合に出ておかしくない選手だ。そういう選手にしてみればやっと巡ってきたチャンス。チームの中心となる活躍をしてチームでの序列を上げたいはずだった。

 ところがシドニーの選手のレベルが高いだけあってなかなか上手くいかない。ボールが取れない。そして相手のプレスを掻い潜れない。もはやこれは個々のアピールというよりまずはこの試合を無事に終わらせなければならない。勝てればいいがそれが難しいとなると引き分けでもいい。とにかく負けさえしなければグループステージ突破が見えてくるのだった。

 そんな中、満田が右サイドのポケットに入り込む。GKの前を抜けるグラウンダーのボール。ガラ空きの逆サイド!そこに入り込んだマルコスが打った。が、威力のないストレートボールはGKがキャッチ。ああ、マルコスならもっと弾むシュートが打てるはずだろ。やはり長いリハビリ期間はプレーの鋭さを奪ったのだろうか。試合の中でもあまり目立ったプレーはできてないような気がするのだった。

 それに引き換えシドニーのボール扱いの上手さが目立つ。プレスに行けば逆を取られ人数を掛ければ縦パスを入れられる。そして守備に追われる展開が続くことで重心が低くなる。バイタルエリアに守備が偏る。だがそんな狭い場所でさえ切り抜けていきラストパスを送るとシュート。完全に崩されたと思った先にはGK大迫。鋭い反応で足を伸ばしブロック。ああ、救われた。大迫じゃなかったらまずやられていただろう。

 この劣勢の中、急造3バックはよく耐えている。松本大弥も志知も相手に食らいついている。そして辛抱の末にカウンター。満田に入り前を向くも遠目からのシュート。GKが前に出てたからの判断だろうが精度があまりにもなかった。そこが相手に威圧感を与えるまでにもいってないような気がするのだった。

 そんな低いボール支配率の中ではなかなかパスが通らない。それでも相手の低い位置でのショートパスにプレッシャーを掛けると取り切る。満田が受け左サイドからペナルティエリアに侵入。逆サイドへ振ると飛び込んだのは柏。ボールを捉えた。が、枠に飛ばない。。絶好のチャンスだった。あれを決められないと厳しい。もはやこの試合、引き分けなら御の字だろう。主力を温存してるだけにそれでも結果としては価値があるだろう。

 ところが後半も進んでくると主力の中野を入れてきた。ある程度守備固めの意味合いもあるだろう。そんな中野へも相手のプレスが入る。右の低い位置で追い込まれた。だがここで粘りを見せ相手を出し抜き縦へ抜ける。右サイドを駆け上がる。絶好のカウンターは得点にこそ繋がらなかったもののレギュラー組のレベルの高さを感じさせる。そして加藤、ピエロスという攻撃の主軸までピッチに出すのだった。

 その瞬間である。左サイドに出たボールを追い越す動き。最終ラインの志知がオーバーラップを見せるとそれに呼応した縦パス。フリーで抜けた志知。左足でクロス。鋭い弾道が飛ぶ。ニアに飛び込んだのは加藤。ヘディングを放つとゴール隅に入れてしまったのだった。

 陸次樹、陸次樹、陸次樹!ここまで我慢して我慢して温存してきた加藤は出場して間も無く決めてしまった。これがレギュラー組の力。が、それを引き出したのは志知のクロス。出場機会に恵まれていない志知はアシストという結果を残したのだった。

 久々にスキッベ監督の采配が当たった。だがまだ勝った訳じゃない。事実、ここからシドニーの怒涛の攻撃が始まる。技巧的なフェイントで茶島を抜き去り折り返し。ダイレクトシュートはGK大迫のファインセーブ。その後も決定的なピンチを最後の砦として防ぎ切ることで試合終了の笛を聴くことができた。勝った、勝てた、勝てたこれで4勝0敗。これでグループステージ突破が決まったのだった。

 大きな勝利。リーグ戦2連敗の萎んだ空気を変えることができた。加藤が久々にゴールできたというのも大きい。やはり勝利こそ一番の薬である。残されたリーグ戦の3試合。この勝利がいいシーズンの終わり方に繋がってくれることをただただ祈っているのだった。

2024年11月 4日 (月)

京都戦~試練の敗戦

2024年11月3日 サンフレッチェ広島 vs 京都サンガF.C. エディオンピースウィング広島

 

 逆転負けをした前節。そのショックは計り知れなくこの試合に勝つことは至上命題とさえされた。勝つことが当たり前、勝たないと始まらない。一番上の順位に収まる為のプレッシャーは大きかった。が、そんな気概も1週間リーグ戦が中断したことで薄まってしまったような感がある。Jリーグの問題はこういうとこにもある。終盤を迎えて佳境に入ってるにも関わらず中断、中断、中断で連続性が失われる。一番盛り上がるとこに水を注されるような感がある。このようなレギュレーションになってしまうからには秋春制への移行はやむを得ないのかもしれない。

 この試合に向けサンフレッチェは若干メンバーをいじってきた。新井を先発することにより中野を右ストッパーへとポジションを下げる。これはスピードとテクニックのあるエリアル対策である。そう、京都はこのエリアルが加入してからというもの見違える程強くなってしまった。たった一人でチームを変えてしまったストライカー。11試合10ゴールという実力はチート級である。そしてそれに呼応するように他の選手も勢いを増していきチームとしてもいい相乗効果を生み出したのだ。

 そんな京都に対してサンフレッチェは真正面からぶつかるべく飛ばしていった。そして前線でのスローインからの繋ぎで松本泰志がシュートを放つ。ただこれはGK真正面。それでも点を取りに行くと姿勢は見せることができたのだった。

 このシュートを皮切りにサンフレッチェは中盤での寄せからボール奪取をすると前線へと向かうプレーが続く。特にボランチ川辺の飛び出しの多さが目についた。それだけ早い時間に点を入れようという意気込みを感じる。ただ決め切ることができない。普段1、2回しか攻撃参加しない川辺がここまで上がってるのに仕留められないことに焦りを感じる。体力の消耗を押し殺しての攻め上がりに結果が伴わない。そんなもたつきを見せる間に京都はラファエル、トゥーリオのスピードを使ったカウンターを見せ始める。GK大迫のファインセーブによって最後は閉じたもののあのスピードは驚異だった。そしてここから京都の攻撃が続くようになってくる。

 攻撃参加でどんどん上がってくる京都。だがその為に奪ってから一人引き剥がしたら左サイドに広大なスペースが広がっていた。そこに走り込んだトルラン。加藤のパスを受けるとゴールを目掛けたドリブル。パシエンシアに出すとペナルティエリア。DFを背負いながらもターンから中央へ。それを中野がシュート。これをGK太田が止めた。決めきれなかった。決定的チャンスを逃してしまったのだった。

 その後もゴール前のクロスのこぼれ球を駆け上がった新井が放つも枠の外。そして再びカウンターから右のポケットに入った川辺のクロスをパシエンシアが放つもGK太田のセーブ。入らない。入らない、入らない、入らない。シュートを放つも入らないサンフレッチェの姿がまたしても現れてきた。すると京都は余計に攻撃に勢いを持って出ていくことができる。ボールにアタックするもののまるで取ることができない。京都はフィニッシュで終わることができる。完全に京都がゲームを支配した中で前半を終えたのは救われた気分でもあった。

 ところがハーフタイムを挟んだメンバー交代はなし。加入以来初めてパシエンシアの続けての起用となった。ところが京都の勢いは止まらず一方的な展開に。プレスに行けば行く程パスを通され前を向かれる。押し込まれれば押し込まれるほど後ろから湧き出るように攻撃参加が増える。跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。そんな圧倒的劣性状態の中、簡単に左サイドをパスで抜かれボールにマークをつくも折り返し。それを平戸に渡りダイレクトシュート。全くフリーの状態で打ったシュートはGK大迫は触ることすらできずゴールに叩き込まれてしまったのだった。

 失点。よりによって追う展開になってしまった。狂喜乱舞する京都。そしてこれでアウェイゴール裏の声援は一層熱を帯びる。それに対してどことなくホームの声援は迫力がない。明らかに町田戦で見せたような熱気がない。ここが中断期間があった難しさである。この時点でひっくり返すことの困難さは容易に想像できた。

 それでも同点に追いつくべく相手ゴールに迫る場面はつくりだす。人数を掛けた守備にゴール前の落としからトルガイがシュート。が、これが浮いてしまう。あのシュートの上手いトルガイがこんな決定機で枠に入れられないとは。パシエンシアもシュートチャンスはあったものの決めきれない。サンフレッチェに来ると段々決定力が落ちるのはどういうことなんだろうと頭を抱えてしまうのだった。

 どこをどうやっても壁をこじ開けられない状況に前線の選手を次々に入れていく。ピエロス、満田、ヴィエイラ、マルコス。だがその分削ったのが中盤の選手だけにボールの繋ぎ役がなく前線へ蹴り込むだけの単調な攻撃になっていく。前線に放り込めば放り込むだけ相手は余裕でクリア。むしろそこからボールを取られてカウンターを受けてしまう場面ができてピンチが増えてしまうという有様だった。そして最後は京都のゲームコントロールにより試合終了。絶対に勝たないといけない試合に見事に負けてしまったのだった。

 2連敗。そもそも前線の選手が点が取れない。FWに脅威がある京都はそこにマークが行く為に他が開くというアドバンテージがあったのが大きい。ただこうなることはある程度わかっていたことではあった。どことなく弛緩した空気。それは残留争いをしてる京都とは明らかにモチベーションの違いを生み出していた。

 残り3試合。これで首位からは転落した。ライバルの神戸が3連勝するともはや望みはない。それでも3連勝しないと優勝できなかったとしてもシーズンを終わった時のモチベーションに大きく関わることになる。ルヴァンカップ敗退、天皇杯敗退、そして残されたのはJリーグ。何も得ることができなかったシーズンで終わるかもしれない。それでも最後の最後まで喰らい付いていけるか。ここからが本当の正念場なのであった。

2024年10月24日 (木)

シドニー戦~海外クラブに勝ち切る

2024年10月23日 ACL2 グループE サンフレッチェ広島 vs シドニーFC エディオンピースウィング広島


 大きい。

 ピッチに入ってきたシドニーの選手は総じて身体が大きく体格がよかった。果たしてこのチームがどんなサッカーを仕掛けてくるか。体格を生かして肉弾戦でくるか。そんな懸念があったものの繋いできた。確実に足元に通してくる。その為パスコースを限定して追い込んでいくもののなかなかボールが取れない。上手い。個々のボールキープが巧み。ターンから一気に剥がされる。ああいうボールの扱い方は日本では見ない。このレベルの高さを見越していたのかACL2において初めてリーグ戦メンバーをぶつけてきたのだった。

 ガツン。球際の競り合いには当然フィジカルを使ってくる。だがサンフレッチェも負けてはいない。トップを狙ったロングボールにも荒木が飛ぶ。高い打点。が、横から入られるとバランスを崩し落下した。笛が鳴りゲームが止まる。立ち上がれない荒木。続行不能と判断され塩谷が準備をしたが、開始早々CBの交代を余儀なくされてしまったのだった。

 DFの右に塩谷が入ることで中央には中野が入った。それにより中野のところからサイドに向けてのロングキックが出る。それにより一旦は追い込んだと思ったシドニーの寄せから一気に裏返ることで混乱を与える。更に塩谷も右サイドの縦へのフィードに新井が裏抜けすする。相対するシドニーの選手はそこまでスピードがなく深く抉るとクロス。ゴール前に詰め寄った選手の頭上を超え逆サイドへ。その落下点で東。地表スレスレで放ったシュートはグラウンダーを極め一直線にファーへ走るとゴールの隅に突き刺さったのだった。

 どわあああっ!

 スタジアムが蠢く。決めた、決めた。普段あれだけシュートが入らないと言っていた東が高い技術でのダイレクトシュートを決めた。場内アナウンスが東の名前を呼ぶ。そしてそれに釣られて皆がシュンキと叫ぶ。その瞬間実感した。やれる。このチームはこの相手に対してもやっていけるんだと。

 それからというもの右サイドのスペースに面白いようにボールが出る。新井が走り再びクロス。タイミングはいい。が、最後の最後でパシエンシアの放ったシュートは枠外。いや、せめて枠には入れてくれよと声が出る。そして徐々にペースを取り戻してきたシドニーが攻勢に出ると一気にゴール前のまで押し切られシュート。やられたと思ったがボールは跳ね返った。GK大迫のブロック。防ぎ切ったことで一段と歓声が上がる。そしてこのまま前半を終えたことは幸運だったのか。それとも取るべきとこで取れなかったのか。先制しつつ後半に逆転された湘南戦が思い起こされる。果たしてシドニーは後半どんなサッカーを仕掛けてくるだろう。

 すると後半頭からパシエンシアに代えピエロスの投入があった。確かにパシエンシアに収まりがなかった。そしてイエローカードも貰ってしまった。が、ピエロスもファールが多い。それ以上にやたらとオフサイドに掛かる傾向がある。すると後半開始早々早速オフサイドに掛かったことでこの交代はどうなのかという疑問を感じざるを得ないのだった。

 相手のDFへはプレッシャーを掛けてはくれるものの行きすぎてファールを取られることがある。なんか危なっかしい。ここでカードを貰うようなことがあれば交代した意味がない。逆転負けをした湘南戦の記憶が蘇る。最後の最後、チャンスを潰しまくったピエロス。オフサイドになりつつも最後のパスが全然繋がってなかったことでどっち道決められなかっただろと呆れられた。追加点のイメージがないのだった。

 ところが前線でトルガイが相手ボールを絡め取る。左サイドに持ち上がり中へ入れる。ゴール前で受けたピエロス。逆サイドを向こうとターンするも対応したDF。更に回るピエロスはゴールを向きシュート。相手GKも反応できずゴールに叩き込まれて行ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。さっきまでボロクソ言ってたことも忘れて立ち上がり雄叫びを上げる。追加点、追加点、追加点。これは大きい。本当に大きい追加点なのだった。ここに来ていよいよ勝ちというものを意識するようになるのだった。

 ここまま引き下がることのできないシドニー。徐々にサンフレッチェの陣地を侵食していき守備に追われる。食い止めてもクリアするのが精一杯。セカンドボールを拾われる。もはや繋ぐ余裕はなくゴールキックになると露骨に時間を掛けるようになる。そんな中トルガイに代わって中島が入るとフィジカルの差に局面で負けてしまい再び形勢が不利になる。GK大迫に戻され蹴り出すとサイドラインを割ってしまう。大迫はこういう押されてる場面は特にキックミスをやらかしてしまう。そしてこのスローインから左サイドを抉られ中央のバイタルエリアへ。人数の揃ったゴール前のの網の目を縫うようにパスがすり抜けシュートもすり抜ける。スルスルスルとゴールに入って行ったのだった。

 やられた。これだけ人数が揃っていても守りきれない。ただ残り時間が少ないことは救いだった。アディショナルタイム5分を凌ぎ切ることで見事ACL2の3連勝を重ねたのだった。

 勝った、勝てた。東のスーパーゴールとピエロスのゴール前での強さにより仕留めることができた。ただ、こちらの手の内がわかった次回戦では尚更苦戦する可能性も感じた。ただグループ首位。そこに沸き立つ。リーグ戦の負けを引きずることがなかったことでこの試合をキッカケにまた勝利を続けていけることを願っていくのだった。

2024年10月19日 (土)

湘南戦~呪いのスタジアム

 勝つと俄然有利になる試合。絶対に勝ちに行く。そんな機運を込めて乗り込んだ平塚の地には連勝中のメンバーから変更を加えたのは驚きだった。中島を中盤に入れワントップは加藤。少し前線の圧力が低い気がしたがベンチメンバーは超攻撃的。そのメッセージは勝ちに行けというものであるのは明白だった。

 まだ明るさのあるものの選手入場と共に照明に火が灯され夕方へと移っていく。そんな中でのキックオフ。速いプレスで相手を押し込み奪ってからは個でのボール捌きで相手のプレスをかわす。その個々の選手のスキルでいえば圧倒的に相手を凌駕している。ただ残念なのはその後であった。ゴールに向かうプレーがない。ボールを支配してるようでいてシュートが打てない。唯一トルガイだけは相手を外してシュートを打つ姿勢を見せたもののブロックに阻まれる。そしてそこで得たCKはことごとくチャンスにならない。ああ、得点の匂いがない。やはりトップにターゲットとなれる選手がいないと駄目なんだ。そんな諦めすら感じてしまうのだった。

 それでもこの流れは絶対に取らなきゃいけない流れ。左右に散らし的を絞らせない。左でつくって右サイドに振るとフリーで受けた中野。前が空いてるのを見逃さずにシュート。弾丸シュート。ファーサイドに飛ぶ。その速い弾道は矢のようにゴールの中に叩き込まれていったのだった。

 ゴール。決して簡単なシュートではなかった。それでも中野に出したのはその能力を信じていたから。速く鋭いボール。光陰矢の如し。あのシュートを打たれたら相手はたまらない。そしてアウェイエリアにいるぼくらもたまらなく盛り上がるのだった。

 前半の内に先制したことで更なる得点を上げる時間がある。そして先制の勢いは続く。相手の攻撃を網にかけ前線に繋げることで加藤に渡る。自らゴールに向かってドリブル。そしてゴールを真正面に据えるとパス。え、自分で打たないのか。サイドから流れてきた味方選手には渡るもののそこからシュートが打てない。相手のブロックが速かった。そしてここで得たCKがまたまるで決まらない。その後もCKはあったもののまるで決まらない。まだ川辺が蹴ってる内はよかったものの中島のキックは夢も希望もなく逆に相手のカウンターに繋げてしまうのだった。

 攻めてるのに仕留められない。それは残留争いをしてる湘南の執念もあるだろう。が、サンフレッチェのシュートがとにかく入らない。ボックス内で打った東のシュートは当たり損ねでGK上福元がキャッチ。トルガイの落としから放った川辺のシュートはバーに弾き返される。松本泰志の放ったシュートは枠に入らない。入らない、入らない。入らないシュート。ここまで優位に進めていてどうしてもここまでシュートが入らないのか。ただシュートを打ってるだけマシなのかもしれない。加藤に至っては再び訪れたカウンターの場面、またしてもパスをしてしまうことでチャンスを潰してしまった。何であそこで打たないのか。攻撃の選手として得点ランクに乗りたいというような野望はないのだろうか。

 そんなグダグダなゴール前のプレーは相手に勢いを与えカウンターでペナルティエリアに侵入される。そこを荒木が食い止める。が、リスクを抱えながらも繋ごうとすることで相手に奪われるとカバーに入った川辺のクリア。これがゴールラインを割りCKを与えてしまうのだった。なんか嫌な予感がする。ここで堪えないといけない。するとこのCKの折り返しを後ろ向きでゴール前へ。それを詰められシュート。入った。決められてしまった。あれだけ一方的に展開だったのにこんなワンプレーでやられたことに愕然としてしまうのだった。

 ところがここでVARが入る。ハイキックにより佐々木の顔に足が入っていた。ノーゴール。ファールの判定に救われたのだった。これにより前半0-1のまま終えることができた。

 後半、予想外にメンバーの交代はなかった。対して湘南は2枚替えをしてきた。するとここから湘南が息を吹き返す。前の圧力が強まりボールゴールに迫るようになってくる。そんな混乱の内にペナルティエリアに入られGK大迫飛び出す。シュートは止めたもののリフレクション。それを詰められ同点とされてしまうのだった。

 何やってるんだ。信じられないように気の抜けたプレーに見えた。あんなに簡単にペナルティエリアに侵入されあんなに簡単にこぼれ球を詰められる。ゴールを守る意識が希薄。そして湘南はこのゴールによって俄然攻勢を強めていくのだった。

 お互いゴールに迫るオープンな展開。だがサンフレッチェの攻撃は最後のとこでシュートではなくパスを出すのでちっとも怖くない。そんな中相手のこぼれ球を収めようとした中島。全くフリーの状態なのに転けてしまった。その機を逃さず湘南のカウンター。守備に戻るDF陣。そしてここでもボールに行った荒木が転けた。運良く湘南はシュートを外してくれたもののどうしてサンフレッチェの選手はここまで転けてしまうのか不思議でしょうがなかった。

 そしてついに中島に代えてピエロスを入れる。そしてその後荒木の負傷交代で新井を入れる。が、戦況は一向に上向かない。最後にトルガイに代えて満田を投入するも残り時間3分。交代のタイミングが遅すぎたのと交代人数を3人で留めたのは勿体無さがあった。だが前線の満田にボールが入るとゴールに向かって持ち上がる。3人に囲まれつつも右のスペースに出すとピエロス。が、これがオフサイド。何であそこでオフサイドに掛かってしまうのか。ピエロスはいつもいつもチャンスでオフサイドに掛かる。そして肝心なとこでファールをする。点を取りたい状況で入れるには何とも頼りにならないのだった。

 そんな勝ち越しのチャンスを潰した後、今度は畑にペナルティエリアに侵入される。GK大迫がアタックしようとするとターンをして折り返し。そこへ駆け上がった田中が勢いそのままシュート。これがゴールに突き刺さってしまったのだった。

 逆転。後数分で終わる試合をよりによって失点してしまった。歓喜に沸くレモンガススタジアム。必死に立ち直らせようと声を上げるサンフレッチェサポーターの存在を霞ませてしまう。そしてそのままあえなく敗戦。何とも後味の悪い終わり方をしてしまった。

 最後の失点のシーン、守備の人数は揃っていた。相手の攻撃を跳ね返せなかった。そして決めるべきとこで決めきれなかったのが最後に響いた。ゴールを決めたのはサイドバックの中野のスーパーゴール。どうもこのチームは本来点を取るべきポジションの選手が点が取れない。それなのに交代で活力を与えようとする采配も後手に回った。そしていつもいつもこのスタジアムでは負けてしまう相性の悪さ。もうここには絶対に来たくない。そう思いながら毎年毎年行っては敗戦のショックを引きずって帰るのだがそれは一体いつになったら克服されるのだろう。こういう呪いのようなジンクスが破れないのもサンフレッチェの伝統なのかもしれないのだった。

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     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
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    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

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  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
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     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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