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2024年9月15日 (日)

鹿島戦~続く70分過ぎの失点

2024年9月14日 鹿島アントラーズ vs サンフレッチェ広島 鹿島サッカースタジアム

 

 9月も中旬なのに真夏のような酷暑は続き日が傾く中でもじっとりとした湿気は常にまとわりつく。連戦の中のターンオーバーもしないサンフレッチェとしては辛い環境が続く。ただ、その中でも今節はワントップにパシエンシアを初スタメンとして入れてきた。カップ戦での途中出場ではさしたるインパクトは与えることはできなかっただけにこの試合こそで真価が問われるだろう。

 急勾配のついた鹿島サッカースタジアムのスタンドに入る。立地的に厳しいものがあるのでここのアウェイゴール裏はいつも閑散としている。が、時間の経過と共に席が埋まだし、その内会場スタッフに席を詰めるような指示が飛ぶ。後ろを見ると立ち身の人が。ただ、選手が入場してくると前から総立ちになるので結局みんな立たないといけない状態になってしまった。今まで鹿島でここまで集まったことはないだけに驚きでしかなかった。

 鹿島のリズムに乗った応援に負けじとサンフレッチェも応援に声を上げる。お互いの声量がぶつかり合う中でのキックオフ。鹿島が前に蹴り出したボールを早くも奪い前線に繋げていく。ゴール前まで迫った。が、最後は決め切ることはできない。詰めが甘いとため息が漏れるものの出だしとしては悪くない。その勢いは途絶えることなく相手ゴールに向かっていく場面が多く見れるのだった。

 その攻撃を止められカウンターに繋がるも最後はクリアで対処する。ただCKを与えた。前回対戦ではこれでやられている。ここを気をつけないといけない。マークを外すな。そして蹴り出したボール、アウトスイングのボールが入る。鹿島の選手が飛ぶとガツンと叩き込まれ次の瞬間にはゴールに入っていたのだった。

 決められた。何やってるんだ。決めたのは知念。どうもこの知念という選手はサンフレッチェの時に異様に闘志を燃やしてくる。ほぼほぼフリーで打たせてた。前回と同じパターンでの失点。しかもこちらの方が攻めていた展開でリードを許してしまうとこにガクッと項垂れてしまうのだった。

 ところがここで怯むことがなかったのがアウェイゴール裏であった。選手を鼓舞する声援は一層厚みを増していく。まだ試合は始まったばかり。そんなメッセージが込められてるかのようだった。

 そんな熱量が後押しになったか、今度はサンフレッチェにCKが訪れる。キッカーの新井がセットする。だがサンフレッチェのCKは数の割に入らない。なのでそれ程期待してる訳でもないのだがチャントに合わせてタオルマフラーを回す。新井の蹴ったボール。ゴール真正面の密集地。そこに飛び込んだパシエンシア。次の瞬間、ボールはゴールネットに突き刺さっていたのだった。

 決めた、決めた、決めたー!パシエンシア。あれだけ人数の揃ってるエリアで相手に競り勝った。その打点の強さ、タイミングの良さは素晴らしい。PK戦で枠を大きく外すキックをしただけにハズレのイメージが付き纏ったが早速結果を出した。これにより早く試合を振り出しに戻したし、自信も焦る気持ちを持たなくて済む。そういう意味でも貴重なゴールとなるのだった。

 その後もパシエンシアのプレーは光る。前線で受けて巧みなテクニックでボールキープしたことで味方の上がりを促し、サイドに出れば浮き球によって相手を抜き去るプレーが出てきた。一人でボールを収めることができ一人で打開もできる。ワールドクラスのプレーを垣間見せる度にぼくらの胸は熱く燃えたぎるのだった。

 するともう一人の欧州での実績を残した川辺が前に出てくるプレーをしてくる。左サイドスペースに出たボール。3列目から猛ダッシュで追いつき縦へ抜ける。DFが追いつきコースを塞ぐも切り抜け中に入ってくるとゴール前へ横パス。ここに詰めた松本泰志。ゴール真正面にぶち込んで入ったのだった。

 逆転、逆転、逆転。やっと川辺のああいうプレーが見れた。復帰以来バランスを取るプレーばかりしてただけに印象が薄かっただけに物足りなさを感じていたが本来であればこういった攻撃の姿が見たい。この試合は前に出る意識が強い。監督もそこに期待を寄せてるというコメントを出していたがようやくそのイメージに重なるプレーを見せたのだった。

 前半の内に1-2のリード。このリードを保つ為にもハーフタイムでのメンバー変更はなし。このまま勢いを持続させて追加点を入れておきたかった。が、こういうところで決めきれないのがいつものサンフレッチェであった。相手ゴールに近づきはするものの最後の一手でGKに止められる、DFにクリアされる、枠に入らないである。そうこうしていると想定していたパシエンシアの出場時間のリミットを迎えヴィエイラと交代する。するとここから前線でまるでプレスが掛からなくなっていくのだった。

 相手ボールが後ろに下がってもヴィエイラは足が遅いのでプレスに間に合わない。それにより余裕でビルドアップが行われ前線に収められ展開される。段々と後追いのプレーが多くなる。そうやって振り回されてる内に右サイドに侵入されマークにつくも中に通されパスを出され中央に収まると佐々木がブロックに着くも反転されシュート。グラウンダーのシュートがゴール隅にきっちりと決まってしまったのだった。

 同点。守備に人数は揃っていた。それにも関わらず綺麗に崩された。あと10分我慢ができない。どうしてゴール前に人数がいても守りきれないのか不思議でしょうがないのだった。

 ガクッと肩を落とす。だがここで逆に火が着いたかのように再び前を向く。前線へ向け人数を掛ける。ヴィエイラがペナルティエリアで受ける。そこで変なこねくりをしたが為にクリア。ゴール前へクロスが入る。ヴィエイラのヘディング。これもGK早川のセーブ。ヴィエイラ、頑張れという声を上げてしまう。

 そして疲労感の見える加藤に代わって満田が入るとまたしてもヘンテコなパスで相手にカウンターの機会を与える。そこは防いだもののやはり満田は危ない。そう思ってたら今度はカウンターで満田がドリブルで持ち上がる。DF3人を対峙しながらもミドルシュート。枠にはいってたもののこれもGK早川セーブ。最後が割れない。最後、最後の一押し。それがしたいのだがゴール前絶好のチャンスで東がパスを出してクリアされる。ああ、もう何やってるんだ。

 そんな後少しの場面をつくりながらもタイムアップ。カウンターを受けてた場面もあったので負けなくてよかったとも言える。実際に相手が外してくれたことで救われた場面も多くあった。

 それでもやはり70分を超えた辺りから失点してしまう試合コントロールの拙さは感じざるを得ない。ワントップに入ったヴィエイラがかつてのようにボールを収めてくれないというのも大きい。それなら井上を出してがむしゃらに前線のプレスをかけまくる方がよかったという声も多く出た。結果論的に言えばそうであるのだろう。

 最低限の勝ち点1を手に入れた。果たしてこの意味はどうなるのかそれはシーズンを終わってみなければわからないだけにモヤモヤ感を抱えながら渋滞の帰路についていくのだった。

2024年9月 9日 (月)

ルヴァンカップ名古屋戦~自滅の敗戦

2024年9月8日 ルヴァンカップ準々決勝第2戦 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス エディオンピースウィング広島


 9月に入り日差しは弱くなってきたとはいえ未だにじとーっとした蒸した空気がまとわりつく。妙に疲れを感じるこの気候は選手のコンディションにとっても厄介だろう。そんな中でサンフレッチェのスタメン発表に目を見張った。

 まずはワントップにヴィエイラが入っている。第1戦で加藤のとこになかなかボールが収まらなかったことで苦戦したからだろう。ヴィエイラにとっては久々のスタメンであるがだからこそ結果を出したい。というのも今シーズン怪我で出場機会が限られた中でノーゴール。その上ベンチに新加入のゴンサロ・パシエンシアが入ってきた。この試合の出来次第ではポジションを失うことにもなりかねないだけに奮闘を期待したかった。

 一方でパシエンシアとは一体どんなプレーをするのか興味は尽きなかった。欧州での実績があるとはいえそれがそのまま日本での成功に繋がるとは限らない。それだけに出番が待ち望まれる。ただそれが余裕のある中での出場であることが望まれる。アドヴァンテージが僅か1点しかないだけに失点だけはしてはいけないのだった。

 そんな試合に対して名古屋はパトリックを前線に持ってきた。フィジカルで押してくるのだろう。そこのマークは怠らないようにしたいものの実際に試合が始まると完全に名古屋に支配されてしまうのだった。前線に出してもヴィエイラはボールの来るところにはいない。そしてセカンドボールは必ず名古屋の選手に行く。そんな焦りからか、右サイド低い位置で森島のボールキープを後ろからファールに行ってしまった。守備において多大なる信頼を寄せてる中野がやってしまった。それだけ上手くいってない、余裕がないということだった。

 サイドからのFK。キッカー山中。山なりのキックにパトリックが飛ぶ。マークしなきゃいけないパトリックはなぜかフリーになり叩きつける。逆サイドに転がしたボール。GK川浪は掌ひ留めることができずゴールを割らせてしまったのだった。

 失点。呆気ない失点だった。どことなく緩い入りだった気はした。マークすべきパトリックをフリーにしたのもぬるさがあった。どうしてしまったんだろう。名古屋はこの後も硬い守備でつけ入る隙を与えない。それにより行き場を失ったボールはどんどん下がっていきいつしか追い込まれていく。名古屋ペース。完全に名古屋ペースの試合なのだった。

 そこで後半川辺に代え中島を入れる。すると急にペースが変わりヴィエイラもボールに絡めてくる。トルガイがボランチに下がることによりバランスが良くなった。それでチームは活性化されたものの今度はトルガイの得点力を活かせなくなった。ヴィエイラ、加藤とそれぞれ決定機を外す。枠に入らない。シュートは打っても決め切ることができない。かつての勝てないサンフレッチェの再現が起こっているのだった。それにより延長線に突入。過密日程で一番避けたかった事態が起こってしまったのだった。

 2回あった決定機を決められなかった加藤は見切りをつけ満田と交代した。フレッシュな満田は遠目からも狙うという積極性を見せた。だがやはり枠には入らない。ボールは前に進んでいくものの最後が崩せない。同じく決定力に欠けるヴィエイラもパシエンシアに交代したもののそれによって特に変化は起きない。このまま無為に時間だけ過ぎていく、そんな気がした時だった。右サイド高い位置でファールを受けた。絶好の位置。新井と東がボールをセットする。DFが上がりゴール前で構える。右足でも左足でも蹴れる。どんなデザインをしてくるか。固唾を飲んで見守る中蹴ったのは左足の東だった。

 ギュンという速い弾道でのキック。ゴール上隅。そこしかないというコースだった。GKランゲラックも反応できず叩き込まれたのだった。

 決まった、決まった、決まった。東のFK決まったの初めてではないだろうか。いつもいつも枠に入らない東がこのじゅうような場面で決めた。勝ち越しゴール。残り延長後半15分を耐え凌げばいい。

 時間が過ぎていく中、DF佐々木が負傷交代。イヨハが入り東を下げ越道を投入する。逃げ切り体制だ。ところがこの時間を掛けるべき場面で満田は前線でのFKを早いリスタートでショートパスを出してしまう。これを名古屋は余裕でカット。前線に振り出し永井がスピードで持ち上がる。イヨハが追いかける。切り返しに外され折り返し。ここに流れてきた選手より先に越道触った。が、そのクリアボールはそのまま自ゴールに飛んでいく。入った。入ってしまった。オウンゴール。せっかくのリードは自殺点によって相殺されたのだった。

 終わった。さすがにこの後追加点が取れることもなくPK戦へ。パシエンシアから始まり満田、中島、泰志と続いていったが中島以外みんな決めれなかった。枠に入らない、真ん中に蹴る、ボールの威力がないと負けるべくして負けたPK戦で全員成功した名古屋を尻目に敗退が決まってしまったのだった。勿体無い。自滅感が強い。何とも遺恨の残る結果となってしまった。

 点が取れない前線選手。交代で入った選手の守備の不安定さ。そして終了間際の満田のヘンテコなパス。そしてPKの下手さ。サンフレッチェとして持ってる悪癖の集大成のような試合となってしまった。

 この敗戦によりこの後続く試合に悪影響を与えなければいいが。そんな不安を抱えながらただただ哀しさだけが残っていくのだった。

2024年9月 4日 (水)

ルヴァンカップ名古屋戦~第1戦制す

2024年6月26日 ルヴァンカップ 準々決勝 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 トヨタスタジアム

 

 狂気とも言える猛暑が続いた夏、大型台風が通過したせいか気温が落ち着いてきた。ハイプレスをするサンフレッチェにしてみればありがたい。ただコンディションとしてみれば名古屋は10日の空きがあった。しかもつい2週間前に戦い敗れた雪辱がある。その高いモチベーションに加えて今回はユンカーがスタメンに入っていた。いつもいつも決めてしまう選手。こういう選手が1人いるだけで厄介である。

 対してサンフレッチェはGK大迫が代表招集で欠場。代わりに川浪が入ったものの固定メンバーでやってるだけにたまにこういうメンバー変更があった時の連携は気掛かりである。特にバックパスの処理などを狙ってる選手がいる。森島、稲垣、野上という前所属がサンフレッチェだった選手はそのやり方を熟知している。ああ、ここにも厄介な選手がいた。そしてもっとも厄介なのが長谷川監督である。どうにもこの監督はやり難い感覚があるのだった。

 同じフォーメーションによるミラーゲーム。お互い局面毎の趨勢に左右されるこの試合、なかなか落ち着かない。ボールは空中を行き来して落下した下は名古屋の選手からユンカーへ。ターンからシュート。強烈な弾道だったもののGK川浪のセーブ。距離はあったもののあそこら狙ってくるのがユンカーなのだった。

 そんなユンカーはGKからのロングキックに裏抜けする。味方のスルーパスに反応してシュート。決められた。綺麗に決められた。またしてもユンカー。なんでいつもいつもやられてしまうのか。

 だがそんな瞬間に副審の旗が上がった。VARの介入がありオフサイド。助かった。本当に助かった。映像で確認すると確かにオフサイド。それでも最後の崩しは上手かった。やはりユンカーをフリーにしてはならない。荒木がマンマークに着く。するとその後はユンカーに当てるボールは全部荒木が跳ね返すことで沈黙させてしまうのだった。

 それにより名古屋の自由は奪っていった。ところがサンフレッチェも自由にはさせてもらえない。ワントップの加藤に三國がつくことで完全に抑えられてる。前でタメができない。そして満田が前線で走り回りプレスをするもあまり効いてない。どことなく決め手がないのだった。そこで後半に入ると満田に代えてヴィエイラが入るのだった。

 長身のヴィエイラがターゲットとなる。ボールが収まる。三國も簡単には勝てなくなってきた。すると前を向く余裕ができてくる。ボールを奪った後に前線に飛び出していく活力が生まれるのだった。

 右サイド新井に出すと中盤に預ける。そこから前線右サイドのスペースへ。ちょっと厳しいパスに思えたが新井は追いついた。そして相手が追いつく手前にクロス。ゴール前に走るヴィエイラ。だが名古屋のDFも戻りが速くて可能性がない。追いつかなかったヴィエイラ。そのまま流れるかと思われるとDFの間から飛び出しきた。トルガイ、頭で押し込む。GKランゲラックが跳ぶも届かずゴールに入っていったのだった。

 トルガイ、トルガイ、トルガイ!またしても決めた。リーグ戦に続いての連続ゴールである。本来ボランチの選手と聴いていたがシャドーに入ることでその得点能力が存分に活かされてる。そういえば前に30番を着けてたには柴崎。この選手もボランチからシャドーに移り得点を重ねた。どことなく被るものがある。そしてその柴崎が全盛期の頃、チームも全盛期だったことを思い出すのだった。

 ただ先制をした後、名古屋はユンカーを下げ永井を入れてきた。また嫌な選手を入れてきた。早速後方からロングボールを放ってくる。スピードで振り切って裏へ抜ける。ペナルティエリアに入りダイレクトシュート。これにGK川浪飛び出していた。身体ごとブロックして食い止め危機を脱したのだった。

 おお、川浪。大迫がいないことで不安に感じてたがいいセービングをしている。少ない出場機会でチームを救ってる。なんて頼もしい存在なんだろう。

 そんな川浪の活躍に安堵しながらもトルガイ、川辺が下がっていくと防戦一方になっていく。だがここは無難にこの1点を守りたい。無理に攻めるよりも時間を使うプレーに徹していくのだった。

 アディショナルタイム7分。長い。とにかくボールにはマークに行きゴール前は固めてクロスが入ってきたら弾き飛ばす。そんな割り切ったプレーを続けていくことで耐え切った。見事準々決勝第1戦を制したにだった。

 ただ、リードしてるのはわずか1点。第2戦が残ってるだけにまだ喜べない。あと90分、ホームでこの点差を生かしていけることを願うのだった。

2024年9月 1日 (日)

FC東京戦~怒涛の追い上げを逃げ切る

2024年8月31日 サンフレッチェ広島 vs FC東京 エディオンピースウィング広島

 

 台風10号の影響は大きく新幹線を始め多くの交通機関に支障を与えた。その為一旦は試合の中止も危ぶまれた。幸い広島での天候は回復したもののFC東京の選手が来れるのかが心配だった。何とか交通機関の目処をつけて駆けつけてくれたことに改めてJリーグも対戦相手があってのものと思い知らされた。敵ではあるが来てくれてありがとうという気になるのだった。

 対戦相手が移動に四苦八苦してコンディションの不備を懸念する一方でサンフレッチェも過密日程による疲労感は抱えているのであまりその面でのアドバンテージはないような気がした。が、唯一塩谷だけは使わずトルガイをスタートから持ってきた。トルガイはジョーカー的な役割をしてきただけに試合が膠着した場合頭打ちになってしまうような気がした。それでいて5大リーグでの実績を残してきたこの選手のスタメンには胸躍るものもあるのだった。

 両ゴール裏の応援がこだまする中、試合は始まった。まずは無難に繋いでいく。前に圧を感じたら後ろに戻す。DFで詰まるとGK大迫に下げるとそこから逆サイドへと振る。が、このパスが緩かった。エヴェルトン・ガウディーノが食らいつく。逆サイドに上がったディエゴに出すと荒木のマークを振り切りシュート。これをGK大迫止める。ファンブルしたのを見逃さずガウディーノが詰める。が、すんでのとこでGK大迫は再び手中に収めた。

 危なかった。入ってもおかしくなかった。時々こういう後ろでのパス回しでパスミスをやらかしてしまう。実際にそれで失点をしてしまった試合もあるだけにここは大いに気をつけたいのだった。

 そんな反省もままならない内に前線をボールは繰り出すことができた。そして右のバイタルエリアで満田が持つとゴール前へクロスを蹴る。が、DFに阻まれコースが逸れると逆サイド加藤の下へ。中へ入れる。DFクリア。が、味方に当たってリフレクション。こぼれ球を拾ったのはトルガイ。ゴール前、チャンス。だがDFの寄せも速くコースに入られた。するとトルガイが放つ。ドリブルの動きから相手の股下を通すグラウンダー。すーっと地を這うボールはゴール片隅に入って行ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。なんと呆気ない。相手の守備を無効化するシュート。シュートコースを消す動きを利用してしまった。冷静沈着。力の抜けたプレー。開始5分で決めてしまったがこの選手はいつも出場してすぐに決めてしまうことに溜息が漏れそうになるのだった。

 まずは1点。ただこの1点が守れなかった試合は一杯ある。ましてやまだ開始早々であるだけにこの先制点はあまり大きなアドヴァンテージではないのだった。

 ただそれでもトルガイが中盤でボールに絡むことで展開していく。マークに2人来られたとこで取られない。それによって味方の上がる時間がつくれる。そして右サイドに出た加藤へボールが渡る。そこから簡単にゴール前へ入れるも跳ね返される。が、再び加藤の足元に来たことで再度ゴール前へグラウンダー。ニアに入ったトルラン。トラップした瞬間前を向きシュート。ブロックに入ったGK野澤の股下をスルスルスルッと抜けていきそのままゴールに吸い込まれて行ったのだった。

 2点目。チームの2点目でありトルガイの2点目でもあった。この決定率の高さはレベルが違い過ぎた。本来はボランチの選手かもしれないが前で使われるのはこの決定力の高さを期待してるのだろう。

 2-0となった前半を終え後半のメンバー交代は両者共なかった。それなのにどうも東京の方がボールを持つ時間が多くなった。前半は圧倒してただけにこの変化を切りたかった。相手の攻撃を食い止めると左サイド東にボールが渡る。オーバーラップした佐々木とのパス交換で相手をいなす。そして縦パスを入れると松本泰志が抜け出しドリブルに入る。ペナルティエリアに侵入し切り返し。ここで足が相手選手に引っかかり倒れてしまったのだった。

 ホイッスルが鳴る。指し示したペナルティスポット。そこにボールを持っていったのはトルガイだった。まあ流石に一番うまそうなのはトルガイ。である。ただ、それだけに外した時の被害も甚大なもののように思われるのだった。

 ボールをセットして助走の距離を取る。主審の笛がPKの合図を送る。コースを見極めるGK野澤。だがそんな渾身の守りもトルガイの技術は止められなかった。細かいステップの後繰り出したキックはGKの逆を突く力の抜けたシュートだった。

 3点目。そしてトルガイのハットトリック。まだフル出場してないというのにこの決定力の高さは異常である。そこに敬服しつつも他の選手もこのレベルを目指さないといけないという指標にもなる。改めてよくこんな選手来てくれたものだと陶酔するのだった。

 もはや3点差。交代のタイミングとしてはいいのかもしれない。連戦が続くだけに早目の交代をしたく、4人の選手を入れ替えた。そしてFC東京もメンバーを替えてきたのだがそこから俄然、東京が勢いを上げてきたのだった。

 特に左サイドを駆け上がってくる俵積田は厄介である。スピードがあり越道は縦への突破が止められない。それにより後追いになると折り返しを入れられる。すると中央に現れた小柏。真正面からズドンと決めてしまったのだった。

 ああ、何やってんだよとその場に崩れ落ちるのだった。残り時間は少なくなってる。なんとか踏ん張っていきたい。が、相手CKでは完全にサンフレッチェの気が抜けた。そのフッとした雰囲気を感じ取った仲川、CKではショートコーナーを使いリターンを貰い自らドリブル。守備人数の揃ったペナルティエリアに入ると角度のないとこからシュート。これが守備選手の体に当たったことでコースが変わる。するとゴール前に陣取っていた中野の体に当たることでゴールに入ってしまったのだった。

 1点差。もはやこうなるとFC東京は本気で追いつきにくる。交代で入った前線の選手がスピードを使って縦を抉ってくる。中でも右サイドは越道は抑えられないのだった。こうなるともはや守備に徹するしかなくとにかくクリアしていく。それでもセカンドボールを拾われ2次攻撃、3次攻撃と仕掛けてくる。苦しい。なんとか前線にボールをつなげることはできないのだろうか。

 相手の攻撃を止めた後、前線に預ける場所がない。そこで後ろでショートパスで繋ぐもののFC東京のプレスを掻い潜れない。だがここで中島がボールを持つことで時間をつくった。前に繋ぐことができた。カウンター発動。最後はDFにクリアされたもののCK獲得。こういう時ヴィエイラがいると時間稼ぎに威力を発揮するのだった。

 ショートコーナーからボールキープで身体を張る。その流れで再びCKを得る。そして次で相手のスローインになったもののこれで2分程度稼げた。あとは引いて守るだけ。後ろに人数を掛けてれば俵積田のスピードも活かせない。

 そしてアディショナルタイム6分を堪え無事勝利で終えることができた。3-2、ギリギリでの勝利である。FC東京は前線の選手を入れ替えてからの圧力がすざましかった。反面サンフレッチェは選手交代後に停滞してしまった。スキッベ監督がターンオーバーをしないことに疑問を感じることもあったがその理由をまざまざと見せつけられてしまったのだった。

 これによりクラブ初の7連勝。その数字は素晴らしい。更に順位も得失点差の関係で首位に躍り出た。そこも素晴らしい。だが浮き足立つことはなかった。それは3点差としながらも追い上げられた不安定さと追加点のチャンスがありつつも決めきれなかった決定力のなさである。更にこの後続く連戦を思うと厳しさしか感じないのだった。

 試合後FC東京のサポーターはチームを鼓舞するコールが続く。そんなサポーターにサンフレッチェの選手も挨拶に行くと大きな拍手で迎えられた。交通機関が麻痺する中であらゆることを駆使して駆けつけたFC東京のサポーターは実に紳士だった。そして楽勝ムードを追い上げていったチームも楽な試合はないと教えてくれた。改めていい試合だったと感謝の念を感じるのだった。

2024年8月26日 (月)

柏戦~6連勝

2024年8月25日 サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル エディオンピースウィング広島

 

 気温35度。お盆が過ぎ日差しの強さは若干緩んできたかと思いきやしっかりと高温の気温を保ってる。そして試合開始は18時半。運動量を使うサンフレッチェはそれでも不動のスタメンで揃えてきた。天皇杯から中3日、コンディションにキツさはあるだろうがやれてるのは出場のチャンスを逃したくないという選手個々の切迫感もあるだろう。結果を出してる限りは使う、スキッベ監督の哲学は徹底してるのだった。

 対する柏。アウェイでは勝てたもののたった1発のシュートを守り切ったという苦しい試合だった。後ろが固く、前線ではマテウス・サヴィオが違いをつくり出し最前線に重戦車細谷が構えている。現状今ひとつ成績で振るわないもののいつ覚醒するかわからない。それくらいのポテンシャルのあるチームなのだった。

 そんな柏は序盤にDFラインから中盤に当て小屋松が縦パス。これに細谷が抜け出しゴール前。そこに佐々木が寄せ、GK大迫が飛び出すことでブロック。が、セカンドボールをサヴィオ。グラウンダーのシュートを打ったものの中野のカバーで防いだ。危なかった。開始早々に柏の強みとも言えるプレーを見せつけられたのだった。

 その後もサヴィオの縦パスに細谷が反応しゴールまで一直線に向かう場面が訪れる。が、これもGK大迫が飛び出すことでシュート前に食い止めたのだった。そんな奪ってからの速い攻撃はサンフレッチェに攻撃への手詰まり感を与えた。下手に攻め上がれば奪ってからのカウンターが速い。その為DFラインでしかボールを回せない。すると柏のFWは最終ラインにプレッシャーを掛けてくる。プレス回避でGK大迫に下げる。するとすぐにGK方向にプレスの先を変えるので堪らずロングキックを飛ばすもののこれが柏の選手が処理する。そこ結果柏の攻撃時間が次第に多くなっていくのだった。

 我慢、我慢の時間が続く。どうにも柏の選手に比べサンフレッチェの選手の動きが重い気がする。何度か訪れたカウンターの機会も途中で萎んでしまう。その中でも特に満田のキックの精度が悪く毎試合激しい運動量でのプレスが負担となってるのかもしれない。なんだかんだ言ってやはり連戦をターンオーバーせずにやるのは無理がある気がするのだった。

 クリアしてもセカンドボールを柏に拾われてまるで水の中に顔を漬けられてるような苦しさの中、中野がボールを奪う。前線へ繰り出すとワントップの加藤に入る。囲まれるもボールキープ。するとその前で貯めた時間は新井が上がる時間を与え右サイドに出す。駆け上がる新井。連動してゴール前へ詰める満田と松本泰志。更に右サイドからもう一人中野が駆け上がってきた。そして柏のDFがゴール前に戻り切るとこでアーリークロス。これがペナルティエリア内まで上がった中野の背中に当たる。ああ、味方がブロックしてしまったと思うとボールは中野の目の前にこぼれる。前が空いた。GKとゴールの隙間を狙いシュート。速い弾道が飛ぶとファーサイドの上に突き刺さってしまうのだった。

 決まった、決まった、決まった。意図してない形で背中にボールが当たったのが逆にいい場所に落ちた。そして最後列から駆け上がりゴールを決める中野は走力もさることながらその決定力もすざましかった。圧倒的に攻められてる中、このゴールはあまりにも貴重だった。

 ただ前半でのゴールは相手に余計勢いを与えかねない。とりあえずは前半は無失点で終えたい。そして後半にテコ入れをいていきたい。無事無失点で切り抜けたもののハーフタイムを挟んだ後半はメンバーの変更はなかった。ここも勝ってるのに替える必要はないというスキッベ監督の哲学なのだろうか。

 体力的に厳しいのでは、そんな懸念は全くの杞憂とでもいうように後半の方が動きが良くなる。相手の攻撃の芽を摘み前掛かりになる。追加点を狙いにいくも柏の守備は崩れない。左サイドに展開し佐々木が最終ラインから攻撃参加。東、松本泰志と3人の関係から縦のスペースに出ると泰志が抜け出す。ゴール前目掛けてボールを入れる。ブロックに戻ったDF。が、次の瞬間にはゴールネットが揺れていた。入った。入ったのだった。ブロックに足を出したのがオウンゴールとなったのだった。

 2点目。まさかこんな形で追加点になるとは思わなかったもののこれはほとんど泰志のゴールだった。DFにしてみればクリアしなければゴール真正面に詰められるので体を投げ出した結果である。結局メンバーを替えないまま2点目を入れたのは大きなアドバンテージなのだった。

 その後まず最初にボランチの塩谷を下げたのは完全に疲労を考慮してのことだった。代わったのがFWのヴィエイラ。怪我から復帰してというものあまりいいパフォーマンスをしてないだけにこの交代に首を傾げたもののこの日のヴィエイラは違った。まずボールが収まる。のっそりとした動きをしてる割にそこに当てれば足元に収めてくれるのである。それにより全体の押し上げができるのはチームに余裕を与えた。

 相手の攻撃を受けても中盤の底で奪うことができ、縦へ出すと加藤が受けた。単独で持ち上がる。古賀が身体を寄せる。切り返しにより抜いた。と思った瞬間倒れた。手を使って倒された。完全なる決定機。笛が鳴り主審が掲げたのはレッドカード。柏はここで1人退場になったのだった。

 これにより更に勝利に近づくことができた。実際この後は押せ押せムードだった。ヴィエイラがゴール前でGKとの1対1の場面が訪れる。GK松本が飛び出すとアウトに掛けて放ったシュートは枠の外。ヴィエイラ、それは決めろよという嘆きを漏らしてしまう。他にも東がゴール前フリーでシュートを放てばバーに当てる。そして交代で入ったトルガイは新井の絶妙なクロスをボレーを放つも浮かせる。入らない。よりによってトルガイまで決定的場面で外してしまう。改めて得点力というものは水物なんだと思い知らされるのだった。

 そして最後、中島がミドルシュートを放ったとこで試合終了。この試合を2-0で終えることができたのだった。

 外国人選手の怪我により消去法で加藤がワントップを務めているがそれも段々と形になってきた。加藤のキープ力を生かしてサイドの選手が上がっていくというのがパターンとなりつつある。特に最終ラインから駆け上がる中野は相手が捕まえることができない上にシュートの決定力が高い。それぞれの選手が結果を出すことでそれがチームの成績につながるいい循環ができているのだった。

 幸い次の試合は1週間空く。カップ戦が残ってるサンフレッチェにしてみればこれでも大きな休養期間である。その後また連戦となるだけにコンディションが整い一人でも多く怪我人が戻ってきてほしいと願うのだった。

2024年8月22日 (木)

天皇杯愛媛戦~トルガイの魔法

2024年8月21日 天皇杯ラウンド16 愛媛FC vs サンフレッチェ広島 ニンジニアスタジアム

 

 天皇杯が残ってるというのは幸せなこと。昨シーズンが早々に敗退した為にそれは痛感するものの過密日程ではある。それだけにターンオーバーをするのかと思いきや3日前のリーグ戦と同じメンバーを組んできた。昨シーズンはメンバーを入れ替えたことでJ2栃木に負けたという苦い経験のせいだろう。

 ところが対戦相手の愛媛は完全なるメンバーの入れ替えをやってきた。そしてその中にはかつてサンフレッチェに所属した森脇良太がいる。初優勝に貢献した選手であり、入団間もなくこの愛媛FCへレンタル移籍して戻ってきた。他にも高萩、近くは川村が同じような経緯を辿りチームの中心となった。そういう意味でありがたいクラブであるが、愛媛にしてみればそれ故に叩きのめしたいというモチベーションがあるのが予想された。

 平日の夜ではあるが5,111人という観客の中試合は始まった。とっかかりこそさんフレッチェはカテゴリーの差を見せつけて愛媛にボールを触らせなかったものの徐々に愛媛の全身全霊を懸けたプレスに自由が効かなくなる。守備時には人数を掛けて5バックを整え奪ってからは速攻を掛けてくる。低い位置からのロングボールはなぜか前線に通るのはそれだけさんフレッチェが前掛かりになってるからだろうか。最終ラインを抜け出した。GK大迫と1対1。絶体絶命と思われたとこでのシュートは枠を外れたことで救われる。そしてこのシュートを打った選手、藤原というらしいがサンフレッチェユース出身ということを知る。この後この藤原が幾度となく危険なプレーに絡んでくるのだった。

 中盤での競り合いではボールを収めチームに前を向かせる。そして中盤からワンタッチで裏へボールが出ると抜け出した。荒木が着いたが広大に空いたシュートコースに打った。が、これも枠に収めることができず安堵のため息が出る。やはりこの試合に対する意気込みは強い。ただそれでもなんとか無失点で抑えてるのは決定力のなさに助けられてる部分はあるのだった。

 対してサンフレッチェにもチャンスは生まれてはいる。中盤で繋がらないと見ると前線へのロングボールにより裏抜けを誘う。が、その悉くを加藤はオフサイドに掛かってしまう。やはりこの辺が生粋のストライカータイプじゃない加藤をワントップに据えてるマイナス面がある。なんとか打開しようとFKのリスタートから川辺が意表をつくミドルシュートを放つも枠外。そして今度はゴール前の混戦で受けた加藤が振り向きざまシュート。が、これはGK徳重に防がれてしまう。うう、入らない。加藤はシュートは打つもののどうもGKに反応されてしまうのだった。

 なんとなく愛媛の方が押してるような雰囲気になってくる。そこには森脇が大声でチームを引っ張る姿があった。J1チームと対戦する貴重な機会だけに愛媛のプレーには執念がある。対してサンフレッチェは連戦からかどうにも動きが重いように見えてきた。やはりこの辺でコンディションの差があるのだろうか。そんな懸念に囚われながら前半を終えたのだった。

 そして後半、塩谷に代え中島が入ってきた。一人代えたくらいじゃどうにもならない。そう考えていたもののここで急にチームのギアが上がったのだった。中島がパスを散らし満田がそれを追う為に走る。それによりチームが押し上げることができ、前線でのボール回しができるようになっていった。前が詰まるとやり直し再び逆サイドから攻めていく。シュートがブロックされてもセカンドボールを収めて2次攻撃、3次攻撃と繋げる。もはや後は決めるだけ。が、この決めるだけがあまりにも遠いのだった。

 あと一押し、この一押しが欲しい。ここで選手交代。川辺、新井に代わってトルガイ、越道である。特にトルガイは違いを見せるプレーをするだけに上手く活かしたい。すると早々に右のボックス近くで加藤が受けた。DF2人がマークにつくもかわしてグラウンダーでゴールへ飛ばす。ゴール前に詰めたトルガイの足元に入る。コースを切るDF。フェイント、フェイントでシュート。このモーションに釣られ2人のDFは倒れシュートはガラ空きのゴールに叩き込まれていったのだった。

 決まった、決まった、決めた!トルガイ入って間もないゴール。まさにそれは魔術師の極みだった。シュートブロックに入った相手を倒すというのはセレッソ戦の再現だった。まるで漫画のようなプレー。『黒子のバスケ』の赤司というキャラクターを思い出させるのだった。

 これで点を取らないといけなくなった愛媛。当然攻撃的に来る意思はあるもののサンフレッチェも運動量を下げずにプレスで防ぐ。そして奪ってからはパスで引き剥がし中盤のトルガイへ。前を向き縦パス。加藤が最前線で受ける。ターンをして2人のDFと対峙するもシュート。相手の股下を縫ったグラウンダーはゴールの隅に走っていきそのままゴールに吸い込まれていったのだった。

 追加点。加藤、加藤が決めた。この試合も何度もオフサイドに掛かりシュートを打ってもGKに阻まれてた加藤がやっと決め切ることができた。努力が報われた。歓喜しつつもそこに安堵していた。が、それを演出したのはトルガイのパスだった。入って早々2点に絡んだトルガイはまさにこのステージでは異質な存在だった。後半の体力の落ちた時間にこの選手を出すのは反則技かもしれない。だがそれができるのも相手を消耗させたチームのパフォーマンスがあってこそだった。

 あと何点取れるか。そんな期待をしつつも試合はこのままのスコアで終わることになった。まあカップ戦なので点差が開いても無意味ではある。無難に試合を閉じることができたのは堅実だった。

 これによりベスト8進出が決まった。リーグ戦もルヴァンカップもACL2もある中で厳しい日程になってくる。そして今回の愛媛FCがそうであったように楽に勝てる相手はどこにもない。ただここを切り抜けることができればクラブとしても一段ステータスを上げることができる。それだけ他にもこのスタメンに割っていける選手が出てくることを願うのだった。

2024年8月18日 (日)

名古屋戦~熱き勝利

2024年8月17日 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 トヨタスタジアム

 

 台風一過の影響か、尋常じゃない暑さに汗が滴り落ちる。豊田市駅からの道はひたすら真っ直ぐなものの直射日光が拷問のように照りつける。そしてスタジアムは見えてきたのに歩いても歩いても近づかない。まるでそれは月のように近づくにつれ遠ざかってるかのようだった。

 その為、スタジアムに辿り着くとホッとした。周囲には田畑が広がり長閑な風景。このロケーションで、どこから人が湧いて来るのか不可解であった。そしてスタンドに入ると屋根があるお陰で日差しから逃れることができたのはありがたく、体感温度がスッと下がったような感覚があった。

 選手のアップが終わり日が落ちてくると両ゴール裏は満席に近い状態となった。4万人の収容人数を誇るこのスタジアムがほぼ埋め尽くされてるのは圧巻だった。

 そこに照明が落とされる。瞬間スタンドのペンライトが煌めく。そんな中でのメンバー紹介。音響がこだます中、野上、稲垣、森島、パトリックと元サンフレッチェの名前が呼ばれると盛り上がってしまう。そしてゴール裏のチャントが繰り出されると選手は入場した。サンフレッチェは前節と同じメンバーだった。

 森島によるキックオフ。ロングボールの応酬にボールが宙を行き交っていたものの落ち着きを見せると名古屋は引いて守るのだった。結果後ろでボールは握れるものの前に進めない。前方にパスの出しどころがないのだった。最終ラインで左右に揺らしていくものの食いついて来ない。そこに業を煮やし縦パスを入れる。バクっと食いつくようにカットされカウンター。懸命な戻りで何とか食い止めたものの嫌らしい。油断がならない。ああ、長谷川監督はいつもこうやって悩ます。サンフレッチェにとっての障壁。どこのチームで指揮をしてもやり難い戦いをしてくるのだった。

 後ろで回す分には取りに来ない。そこで不用意なバックパスをGKに出すとそこを狙ってプレスを掛けてくる。なので中盤を飛ばしロングボールを放つ。これに満田が抜け出しシュートレンジに入る。DFによるスライディング。これをかわしてぎゃくを突きシュート。が、これが枠を大きく外してしまう。切り返しをしたまでは良かったものの枠に入らない。そこにぼくらは天を仰ぐのだった。

 ところがこの日の満田はいつも以上にシュートの意識が高く遠目からでもミドルシュートを放つ。強力な弾道でCKを誘発する。前目のポジションで出場してるだけに得点へのこだわりを見せている。そしてGKへのバックパスには誰よりも猛烈なプレスを掛けにいく。それによりキックにブレが生じさせることで相手ボールになるのを防ぐのだった。

 ただ、そんな満田の奮闘も空しく前半はスコアレスのまま終わる。そこそこ有利に進めてい流ものの何処となく決定的な崩しがない。後半から交代によりギアを上げるかと思いきやそのままだったのはバランスを優先したんだろう。ワントップの加藤も頑張ってはいるがなかなかそこを起点としての形ができなかった。それだけにCKを得た時にはそれを生かしたかった。名古屋の守備が崩れないだけにこのチャンスをものにしたい。

 しかし、新井からのキックは味方に渡ることはなかくこぼれた。ただその瞬間を見逃さず荒木がシュート。が、壁に当たりリフレクション。それを拾い右への展開から新井のクロス。左に流れ再び中野が入れるとゴール前のゴチャゴチャした中を荒木が脚を振る。当たり損ね。が、これが相手の間隙を縫うシュートとなりゴールに吸い込まれたのだった。

 ドワーッと立ち上がるアウェイゴール裏。激昂した荒木がスタンドへ駆け寄る。DFである荒木のゴールなどそう滅多に観れるものではない。それがこの緊迫した試合で風穴を開けたことに狂喜乱舞するのだった。

 先制の勢いは続き相手への自由を奪う。特にワントップのパトリックは荒木がガッチリとマークして収めさせない。ただワントップの比較で言えばサンフレッチェも加藤陸次樹のとこで起点になりきってない。加藤も奮闘はしている。裏抜けを狙ったり強烈な弾道のボールをトラップで収めたり。だがストライカーとしての存在感が薄いのは否めないのだった。

 現実に先制点を奪ったのはDFの荒木。そこにボールを入れたのもDFの中野。やはり本職のワントップに入るべき選手がみんな怪我をしてるのでこういうとこで点を取らないといけない必然を感じてしまった。

 そしてそんなDFの貢献はそれで終わらなかった。パス回しの中で右サイドから中野が同サイドの新井に出すことで前を向く。最終ラインに張ってた満田に出すと背後のDFから逃げるドリブルから松本泰志へ預ける。ワンタッチで叩いたのは右サイドのスペース。ここに中野がオーバーラップしていた。GKランゲラックと1対1。だがコースがないとゴール前を横切るパス。ここに詰めたのが加藤。転がりながらもゴールに叩き込むのだった。

 決まった、決まった、決まった。加藤が決めた。中野の守備から攻撃への切り替えも凄かったがこれまで献身的にワントップをやっていた加藤にゴールが生まれたことにアウェイゴール裏は喜びを爆発されるのだった。

 繰り出される陸次樹コール。もはやこれで決まった。むしろここからもっと記録を伸ばすべく点をとっていきたい。そんな気運に押され加藤、川辺を下げ井上愛簾、トルガイを入れるのだった。

 すると名古屋はパトリックに代えユンカーを出してきた。動くにしては遅い気がした。ここから2点差は追いつけるはずがない。そんな感覚に囚われていた時、押し込まれたことでブロックを敷いてゴール前を固めると左サイドからの展開。稲垣に入りゴール前へクロス。最終ラインの隙間を捉えるとそこに入ってきたユンカー。頭に当て決めた。ほんの一瞬のプレーだった。そこを突いてきた。それを決めるのがユンカーなのだった。

 いつもいつもユンカーには決められる。1点差になったことで余裕がなくなった。もはや点差を開くという野望よりも堅実な勝ち点3が優先されるようになった。前線へ出るとボールキープに固執する愛簾。だが若さ故か簡単に力負けしてしまう。勢いのある時はいいがこういう時に相手の嫌がるプレーというのができない。なので無難にクリアする場面が増えてくる。アディショナルタイム5分が掲示されタイムアップの笛を待ち焦がれる。相手ボールがラインを割ると一層大きな歓声がアウェイゴール裏から発せられる。ユンカーのマークは荒木が離さない。全体的に下り目になるのは致し方ない。もはや守りに徹することでついに鳴った。終了のホイッスルが鳴り響くとピッチに崩れ倒れたのはサンフレッチェの選手なのだった。

 勝ち点3。最後はユンカーの脅威に曝されつつも10年ぶりにこのスタジアムで勝った。そんなに長く勝ってなかったことに気が遠くなっていたものの一定の区切りがついたことに安堵する。そしてこの勝利に沸騰するようなコールがアウェイゴール裏から繰り出される。

 この結果により2位に浮上した。まだまだ苦しい戦いは続く。怪我人の多いFWの中で加藤にゴールがあったのは明るい材料であるが流石に加藤一人では負担が大き過ぎる。そんな不安要素を抱えながらもとりあえずはこの勝利を喜ぶ。暑い暑い名古屋での一戦はより熱く次戦への希望を繋いでいくのだった。

2024年8月12日 (月)

セレッソ戦~交代メンバーの的中

2024年8月11日 サンフレッチェ広島 vs セレッソ大阪 エディオンピースウィング広島

 

 開始間もない時間、GKキム・ジンヒョンのロングフィードがサイドでルーカス・フェルナンデスに通った。サイドをえぐりクロス。ゴール前にレオセアラ。が、ヘディングはDFの寄せもあり枠に飛ばさせなかったのは幸いした。セレッソの外国人選手3人でフィニッシュまで持って行ったのは突出した能力を見せつけられた。

 そんな個のレベルの高さに加えセレッソは組織だった守備を構築する。ワントップに入った加藤にはなかなかいい形でボールが入らない。ある程度後ろでは持たせてくれる。だけど中はガッチリと固められた上にサイドに振ったら速い寄せがある。付け入る隙がない。更に迂闊に前にチャレンジすると奪われた後が厄介である。なかなかボールが奪えない上に前線へ繰り出すと為田のようなドリブラーもいる。そして登里がオーバーラップから高速のクロスを入れた時、やられたと覚悟した。が、この時味方が詰めることができずゴール前を素通りしたことで安堵の息を吐くのだった。

 そんな鋭い攻撃により勢いを増したことでサイドからのドリブルをどんどん仕掛けてくる。そして右を切り裂きペナルティエリアに突進しようとするとこで中野がカット。早いタイミングで縦に出し速攻。満田がゴール前へのフィード。ファーに流れて東のシュートはDFのブロック。だがこのこぼれをここまで上がってきた中野がシュート。枠には入らなかった。が、自身が奪ったボールを預けることで自らシュートまで行った中野のプレーは圧巻だった。ただそれだけにここまでやっても枠にシュートが行かないことに守備の固さを感じざるを得なかった。

 一進一退。そんな言葉が当て嵌まる前半だった。前をむけば失点のリスクができ下がっていれば攻撃の糸口が掴めない。ベルギーから復帰した川辺が先発しただけにもっと違いを出せるかと思っていたものの流石に一人選手が入った程度では大勢には影響しないようだ。その為、打開策として後半から守備的ボランチの塩谷を下げワントップにヴィエイラを投入した。これによりターゲットができる。膠着状態を打破するのには正攻法な交代だった。

 そして早速その機会が訪れる。右サイド新井に入ると早いタイミングでクロス。ゴール前でヴィエイラ合わす。が、枠を逸れていく。最高のクロスと最高のタイミングだった。これを枠に入れられない。前半、加藤も完全なるフリーの状態で打ったヘディングシュートを決めきれなかった。切り札として出したはずのヴィエイラが切り札になってない。むしろ前線での守備がぬるいことでセレッソにやりやすさを与えてる。とはいえ他にFWはいないので頼るしかないだった。

 ここで川辺と新井に交代を告げられトルガイと越道が入ることでペースを上げようとする。が、満田の果敢なるプレスが行き過ぎを見せタックルが完全に遅れて入ってしまう。うずくまる鳥海。前半で1枚カードを貰ってるだけに正直2枚目も覚悟した。ただここは注意だけで済まされたことに安堵する。でもやっぱり危ない。満田にいつ2枚目が出てもおかしくはない。そう判断したスキッベ監督は満田に代え中島を投入。この緊迫した場面で18歳の選手を入れるというのは何とも違和感があったものの仕方のない処置だった。

 ところがこの中島が交代間も無くイエローを貰ってしまう。一体何をやってるんだ。これでは交代した意味がないではないか。そしてそんな時に今度はヴィエイラは倒れてしまった。また脚を痛めたようである。これにより途中出場にも関わらず負傷途中交代である。そして投入されたのがまたしても若き17歳の井上愛簾であった。まだ実績のない選手に頼らないといけないのだった。

 中盤で中島にボールが入ると素早い寄せでセレッソが絡め取りに来る。それを不可解にすら感じる足技ですり抜けて味方に渡すと右サイドの越道に出る。縦に行くと思いきやワンタッチで中央へのダイアゴナルパス。スルスルすると上がってきた松本泰志の足元へ流れるもスルー。愛簾が受けるも前を向けず落とすとトルガイ。前にはセレッソの壁。が、次の瞬間その厚く重なった壁のほんの隙間にスルスルスルとシュートが放たれるとそのままゴールの隅に潜り込んで入ったのだった。

 何が起こったのかわからなかった。あれだけDFの人数の揃ってるとこに打っても入る訳が無い。そんな固定観念を打ち破るシュートが決まったとこに沸きあがった。決まった、決まった、決めてくれた。トルガイ、凄い、凄すぎる。やはりヨーロッパのトップリーグでプレーしてた実力は伊達じゃなかったのだった。

 これで先制することができた。当然セレッソは点を取りにくる。またしても右サイドから仕掛けてくる。越道が対応して相手クロスをブロック。ゴールラインを割りCKかと思いきやゴールキックの判定。これでセレッソの攻撃を着ることができたのは救われた。そしてGK大迫のキックに加藤が頭で前線へとフリック。右サイドで相手選手の前に出るも果敢にも愛簾がそこへ競る。先に触ることができ前に繰り出す。ゴール前へ向かってグラウンダーのクロスを流す。ゴール前で受けたトルガイ。シュートモーションに詰めるDF。フェイントでずらし、キックフェイントでずらす。そしてシュート。2人、3人と詰め寄ったにも関わらず逆と取り決めてしまったのだった。

 決まった、決まった、決まった。トルガイ2ゴール。そして愛簾の2アシスト。流石に決まった。この時間での2点差にもはや確信めいたものがあった。実際この後チームは更に前を向き追加点を狙っていった。もはや誰もが結果を残したい。そんな野望に満ちた時間となったもののやはりセレッソも一方的に崩れることはなくこのままスコアは動くことなく終わったのだった。

 予定外の交代もあった中、交代した選手が結果を残した。采配は当たったとも言えるしそれができるだけのメンバーが揃った。特にトルガイのゴール前での落ち着きはチームに新たな武器となり得るものだった。そして若い越道、中島、愛簾がメンバーに食い込んできている。そこに新陳代謝が産まれそうな予感があるのだった。

 開幕以来怪我人が多く、その都度悩まされてきたのだがそれがいい循環になりつつある。新スタジアムの空気はそれを後押ししている。後半戦も試合が多くあるだけにこの勢いを続けていきたい。トルガイのゴール前での落ち着き、これを他の選手が吸収してくれるとチームとしてもう一段上のレベルにいけそうな気がするのだった。

2024年8月 8日 (木)

ヴェルディ戦~貴重な1点をもぎ取る

2024年8月7日 東京ヴェルディ vs サンフレッチェ広島 味の素スタジアム


 まとわりつくような熱気は夕方に差し掛かり幾分和らいできた。上空には鈍い色の雲が立ち込め一雨降りそうな様相を呈している。これだけ暑いと夕立は僅かながらでも涼気をもたらせてくれる。ただ濡れたくもないと感情が錯綜するのはもはや意識が朦朧としてるせいかもしれない。

 中断期間開けの初戦。この間にサンフレッチェは大橋がイングランド2部ブラックバーンへ移籍してしまい絶対的な得点源を失った。更に川村、野津田というボランチの選手がそれぞれ海外移籍。一気に戦力が脆弱になったもののトルガイ・アルスランの加入は電撃だった。そしてそれに追い討ちをかけるように川辺駿のベルギーリーグからの復帰。一気に厚くなった中盤、だが一方でFWに関しての補強はなく、スタメンはボランチにトルガイを入れてそれぞれがポジションを一つ上げる。松本泰志がシャドーに入り加藤がワントップであるがまあ大方の予想通りでもあった。

 選手の入場時間を迎える。その時には空は暗くなっていた。季節柄、日没には早いことで雨雲に覆われてることが窺い知れた。風が舞いスタンドまで空気が入り乱れる。そんな中でのキックオフ。どことなくボールの処理にミスが目立つような気がしたのは乱気流のせいかもしれなかった。

 突然閃光が走る。それに遅れて地響きのような雷鳴が聞こえる。その音はどんどん大きくなり稲光もよりはっきりと存在を示し出した。主審により試合の中断を告げられる。それによりピッチ上から選手が消えると滝のような雨が降り出した。昼間に熱せられた空気が落ち着いてくる。あまり長い時間中断が続くと帰りの時間が気にかかる。ぼくらはそんなことを話しながらジッと嵐が過ぎ去るのを待つのだった。

 雨は次第に勢力を弱め雷もなくなった。完全に天候が回復したとこで再び選手が現れアップを始める。そして身体が温まったとこで試合再開。間を置いたことで幾らか戦況が変わるかと思いきや完全にヴェルディのペースだった。前からのプレスが掛からない。ヴェルディはパスワークが上手い。走って走って追い詰めてもお互いを補完する動きでスルスルと抜け出して気づいた時にはサイドを駆け上がってる。そして縦を切るとカットイン。切り込み、切り込み、シュート。その一連の動きについて行けない。シュートの精度のなさに助けられたもののシュート数で上回れてるのは明白だった。

 どことなく攻め手がない。アルスランが相手の逆を突いたパスを出すものの受ける泰志が相手を引き剥がせない。かと言ってロングキックを蹴ったとこでDFに対応されてGKマテウスの掌に渡ってしまう。丁寧にショートパスを繋いで押し上げても右サイド新井のクロスは今ひとつ精度がない。やはり大橋の抜けた穴を感じる。前線で収める選手がいない。相手に競り勝てない。シュートまで持って行けない。そんな前半が終わった瞬間、正直ホッとした。パスを繋ぐサッカーが通用しない。それもそのはず、相手にはかつてサンフレッチェ指導した城福監督がいる。ここに来てそれを痛感させられてしまうのだった。

 後半に向けて選手が現れる。交代はない。それでどうやってペースを変えるのだ。だが後半のキックオフからガツっとプレッシングに行く。少し反応が速くなったかもしれない。それでもスルスルとすり抜けて押し上げをはかる。懸命なるディフェンス。相手のシュートを止めセカンドボールを拾うと縦へ繰り出す。それを受けると相手が準備する前にゴール前へボールを入れる。遅効一辺倒だった前半と替わって縦へ速い攻撃に切り替えるのだった。それにより加藤がシュートを放つことができ、間違いなくいい方向へ向かっているのだった。

 満田は前線で走りパスコースを限定させる。それにより相手のビルドアップも段々と質を落として行くことでパスカットが生まれる。そこから再び攻撃が始まる。シュートの本数が増える。はね返されてもセカンドボールを拾い再び攻撃。いける、いける、いける。あと少し。もう少しでも仕留めることができる。ここで選手交代はアルスランに代えてヴィエイラだった。明確なターゲットができたのだった。

 ところがこのヴィエイラ、ここで収めればというとこでオフサイド。相手と競ればハンド。挙げ句の果てはチェイシングが遅いものだからボールを奪えない。いいとこまでは行きながらもやはりこれではヴェルディの壁を打ち破ることはできない。そこでヴィエイラの運動量のなさの分まで走った満田を下げて中島を入れるとギアが一段上がって行くのだった。

 前線の守備が嵌ることで苦し紛れに出したパスを狩ることができる。そこからサイドを起点に押し上げができる。攻撃の人数が多くなる。クロスが入る。跳ね返されてもセカンドボールを拾える。ゴールに向かうプレーが多くなりCKを得ると中島がキッカーとしてコーナーに立つのだった。

 新井が務めていたキッカーの役割を代えたのはこの日のCKがパッとしなかったからだろう。だが中島の蹴ったボールはゴール前の混戦の中に入り溢れる。それを荒木がシュート。ブロック。その溢れを佐々木が振り抜く。ニアの隅。ダイレクトで叩き込んだのだった。

 入った、入った、入った。歓喜に沸くアウェイゴール裏。硬い硬いヴェルディの壁を遂にこじ開けた。サポーターの下へ駆け寄る佐々木。1点が入った。もぎ取った。本当にもぎ取ったという得点だった。

 残り時間はもう僅か。当然ヴェルディは攻めてくる。これを人数を掛けて跳ね返す。だがここにきてヴェルディのパスワークが冴え渡ってくる。ボールに対してマークにはつくもののそのことごとくを外されてしまう。それにより右サイドを抉られシュート。が、その都度GK大迫のセーブに助けられるのだった。

 堪えて堪えて堪えしのぐ。若い選手の多いヴェルディはここにきてその鋭さを増してきた。そしてボール奪取によりポッカリ空いた前線のスペースに出すと最前線にいたヴィエイラはオフサイド。何をやってるんだとタオルマフラーを噛みちぎってしまいそうになる。

 もはや繋ぐことは期待できない。割り切って安全なプレーとなっていく。ロングボールを蹴る度にこれで何秒稼げたかと計算する。そしてスローインを得た時歓声が上がる。更にここからCKを得た時には一層大きい歓声が上がりそこからキックインしたと同時に終了の笛が鳴り響くことで勝利が決定づけられたのだった。

 歓喜に包まれるアウェイゴール裏。その中で試合時間が長引いたせいで急いで帰る人の姿もあった。苦しい苦しい勝利だった。こういう試合を制したのは大きい。だが一方で大橋移籍後の新しい形が観れなかったのも事実。果たしてこれをどうアップデートしていくのか。そんなことを考えながらも駅へ向かって歩を進めて行くのだった。

2024年7月22日 (月)

鳥栖戦~中断前に2連勝

2024年6月26日 サガン鳥栖 vs サンフレッチェ広島 駅前不動産スタジアム

 

 全国的な猛暑。座ってるだけでじっとり汗ばんでしまう。それに加え日没が遅く涼しくなる気配は一向に訪れず、明るいままのキックオフはまるでデーゲームのようでもあった。

 ピッチには病気により欠場した佐々木に代わり初スタメンのイヨハが入っている。当然佐々木の強度は期待できそうもなく、鳥栖はそこを攻めてきそうである。今までも東が代役で入ったことがあるが、やはりそこを狙われた。そして左CBへ向けてボールが飛んだ。するとイヨハは弾き返していた。そして競り合いにおいてはマイボールにすると自陣でのボール回しにおいて停滞感がない。むしろやれてる。佐々木の代役、いや、次なる主力へとアピールをしているのだった。

 そんなイヨハの守備に安堵しながらも鳥栖はサイドにボールを預けてくる。左サイドでは中原がグイグイとドリブルで押し込んでくる。食い止めたいイヨハが前を塞ぐとカットインからバイタルエリアに入られる。そこからシュートへと持っていかれるがここは荒木がコースを切ることで枠にいかない。だがそこで安堵すると今度は右から横山が仕掛けてくる。スピードに乗ったドリブル。守備で破綻を見せることのない中野が振り切られる。ペナルティエリアに入られ折り返し。マルセロ・ヒアンのシュートは荒木のブロックにより食い止めることができた。だが鳥栖の両サイドの脅威は続く。こんなにも速く切れ味のあるドリブルがあることに戸惑いは隠せなかった。

 更に狭いスペースにパスを通すことでポケットに入られシュート。これをGK大迫が飛び出すことによりシュートが逸れる。だがこの後も鳥栖の攻撃は続きシュートを打たれる場面が続く。その度に大迫のビッグセーブによって救われる。まずい、このままだといずれ守備も守りきれなくなる。それだけにマイボールの時間をつくりたいものの前線がまるで機能してないのだった。

 前線のターゲットであるヴィエイラに出しても収まりが悪い。そのせいでせっかくマルコスがいるのに相手ボールにばかりなってしまう。そして前から嵌めようにもヴィエイラのスピードがないので簡単にプレスを回避されて前線へ運ばれてしまう。それによって再びサンフレッチェは守勢に回らざるを得なくなるのだった。

 そんな時相手シュートが枠を外れゴールキックになったことにホッとする。とりあえず一息つくことはできた。GK大迫によるゴールキックが飛ぶ。最前線のヴィエイラ目掛けてボールが飛ぶ。競り合いから頭に当てる。それが後ろに逸れフリックとなるとマルコスが抜け出した。完全にGKと1対1。ここでゴールに向かうボールへダイレクトシュート。バウンドをしながらゴールに向かう。GK朴一圭が飛びつくもゴールの隅に吸い込まれていったのだった。

 入った、入った、入った。圧倒的に悪い流れの中、1本のゴールキックで決まった。相手が力でねじ伏せようとしてただけに出鼻を挫くことができた。守って、守って、守り続ける中、先制したことに試合巧者を感じる。それだけに早いところ追加点を決めておきたい。相手が猛攻を仕掛ける展開は続くだろう。だからこそカウンターによる得点の積み重ねは相手に攻撃することのリスクを与えることができるのだった。

 だが実際には鳥栖の攻撃が続き、前半を終了した時には失点が出なかったことに安堵する。とりあえずこの流れを切った。後半に入って仕切り直し。今度こそ優位に試合を進めよう。そんなことを思って臨んだ後半戦、鳥栖のロングボールから始まるのだった。

 大きく上がったボール、荒木が追うがマルセロ・ヒアンに身体を入れられ後追いになるとゴールを向かれた。イヨハがサポートに走る。が、マルセロ・ヒアンのシュート。グラウンダーのGK大迫の股下を走るボール。触ることすらできずそのままゴールに入ってしまうのだった。

 失点。何たること。あまりにも呆気なかった。再び振り出しに戻ってしまった。あまり攻め手がない中、1点を守り切ることができなかったのは痛かった。どうにも前線が活性化されない。シュートシーンがない訳でもないのだがヴィエイラはCKに合わせるも枠の外、マルコスも左からのシュートは決めきれない、新井のクロスからの東のヘッドも枠に入らない。その反面鳥栖の攻撃はますます圧を強めてきている。一体いつまでこの苦境を耐え切ることができるだろうか。

 もはや限界を感じたスキッベ監督はマルコス、ヴィエイラを下げて満田、加藤の投入を決断する。2人共負傷明けの為、あまり長い時間のプレーはさせたくなかっただろう。だがどこかで切り札としては考えてたはずだ。それだけにこの交代こそが勝負の分かれ目でもあるのだった。

 するとここからペースが変わってくる。スペースが空きオープンな展開に。そして満田の2度追い、3度追いが鳥栖のビルドアップに窮屈さを与え進行を鈍らせる。そしてそのもたつきがボール奪取につながり前線へのフィードを生むと加藤が球際勝負を制しマイボールにすることで高い位置を確保すると鳥栖に余裕がなくなっていった。

 鳥栖のクリアも繋がらずサンフレッチェが拾うことで再び前線へ繰り出されるとペナルティエリアへ。これをクリアされるも味方に当たることで再度ゴールに向かう。DFの圧に左に逃すと加藤がクロス。これは山を越え逆サイドに流れ新井が拾う。中にいた松本泰志に預ける。中野がオーバーラップ。その動きにDFが釣られたその一瞬の隙を逃さなかった。中に切り込みシュート。鋭い弾道。わずかに開いたスペースを抜け吸い込まれた。

 入った、入った、入った。勝ち越しゴール。これをシュートを打っても打っても枠に入れられない泰志が決めたのである。喜びを爆発させる泰志。そこはやっと決めることができたという達成感もあるだろう。

 このままリードを保てば勝つことができる。時間的にも守るのか攻めるのか微妙な時間である。だがここは攻める方を選んだ。時間稼ぎではなくゴールを目指す。これこそが加藤と満田がいることによる効果である。右サイドに出たボールに加藤がフリーで受けた。そこで溜めを入れゴール前へのグラウンダー。ニアで東が潰れる。そして中央に飛び出した大橋。GKの逆を突き押し込んだのだった。

 3点目。この時間での2点差は大きい。勝利がグッと近づいてきた。もはや守りに入ってもいい。だけどまだ攻める。手を緩めることはない。ゴール前を固める鳥栖にシュートはブロック。リフレクションを満田が拾う。逆に動かし、動かしシュート。グラウンダーのボール、ゴールの隅にスルスルスルと入って入ったのだった。

 4点目。決まった。ダメ押しゴール。こういうスペースのない中でも決める。これこそが満田の真骨頂だった。そして2点目以降のゴールには加藤がほぼ絡んでいた。2人が活躍できる状況、これこそが待ち望んでいたものだった。

 1-4、大量点により締めくくることができた。マルコス、ヴィエイラのブラジル人コンビではあまり攻撃の形がつくれなかったがこの2人がペースを変えた試合もある。逆にこの試合は満田と加藤がペースを変えた。お互いに違った個性によっていい循環ができている。そして松本泰志がゴールを決めたこととイヨハがでて勝ったというのも大きなプラス要因だった。

 いい形で中断期間に入れた。ACL2、天皇杯、ルヴァンカップ、Jリーグ。多くの試合が待ち受けてるだけによりチーム力を高めたい。過密日程前にしばしの休息を幸福な感情で迎えることができるのだった。

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    このブログを読んでる人ならすでに知ってるだろうから今更リンクを貼るのが恥ずかしい気もする。 何せこのサイト1997年から毎日更新してるというのが凄い。 過去の記事などはぼくも参考にさせてもらうことも多い。 継続は力なりというが実際には継続するのに力がいる。 そういう意味でも管理人のせと☆ひできさんは偉大である。
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    自分サッカーやグルメについてのブログということです。 かなり熱心に応援してる方のようです。
  • ひろしま日記&サンフレッチェコーナー
    試合を時系列で紹介したりかなり凝った内容となってます。 現地の様子など行った人でしか分からないことがあり興味深いです。 試合に行った人も行けなかった人も楽しめるのではないでしょうか。
  • ゆみしん徒然の書
    ゆみしんさんのブログ。本当に色んなスタジアムに観戦に出かけて現地の様子をレポートしてます。観戦者視点でそれぞれのスタジアムの様子が分かり現地に行く時の参考になりそうです。
  • Scud Sanfrecce
    MICRAさんのサイト。ここの特集のコーナーは必見。サンフレッチェはなぜ人気がないかという考察については今までに見ない観点がある。是非一度読んでください。
  • ヒロシマ・コーリング
    今そこにある危機。サンフレッチェにはメディアが少ない。その為妙にぬるい記事が目立つ。そんな甘い現状にこのまま放置していいのかという危機感を感じた時発言していく。

ぼくのミュージック・ライフ

  • Songs Remains the Same
    Led Zeppelin: 聖なる館
    数あるレッド・ツェッペリンの名曲の中でもこれが特に好き。この曲はダブルネック・ギターがあったからこそできたような曲でこういう変則的なギターを使いこなしてるという意味でもジミー・ペイジは凄い。ロックの歴史の中で数々のギターを使ったギタリストはいたがこうしてちゃんと曲のクオリティーを保った形で生かした例というのは他にないのではないだろうか。だからぼくはレッド・ツェッペリンのライブではこの曲が一番聴きたい。そういう意味でDVD、CD含めてライブの音源が一枚しかないというのは勿体無い。だからツェッペリンの海賊版はやたらと高いんだろう。 (★★★★★)
  • モータウン・ジャンク
    Manic Street Preachers: ジェネレーション・テロリスト
     ぼくはこの曲を聴いた時はぶっ飛んでしまった。パンクのエモーショナルな躍動感がありそれでいてヴォーカルの高い声。パンクとは一線を引いてるようでその情熱はパンクだった。ハードロックとも言えないその曲調はこのバンドの大きな特徴だった。  元々このバンド、2枚組みのアルバムを出して解散すると豪語してたが結局15年経った今でも活動している。しかもCDは当時より売れて作品の評価も高くなってる。同時期に出たバンドがまるで残ってないことからすると相当に快挙である。それについて本人達ももっともらしいコメントを出すがそれがいかにも洗練されてる。パンク的でありながら教養のある人達だというのが分かる。そのどうしようもなくハチャメチャでありそうでいながら実はごくマトモな人達というギャップが親近感を呼んでる。だからこのバンドの曲は歌詞までジックリと読んでしまう。  しかし、この人達の作品は結構多く全部網羅するのは骨が折れる。この音楽へのバイタリティ、これだけは間違いなく本物だということだ。 (★★★★★)
  • ルイ・ルイ
    Johnny Thunders: New Rose Collection
     ジョニー・サンダースの死後に出たライブ音源とアコースティック・ギターによるスタジオ録音を音源に編集したアルバム。その中でもこの曲とDo You Love Meは圧巻だった。ラジカセで録ったような音源であるが、それが逆に臨場感を出している。分かる人にしか分からないという作品だ。  ちなみに現在このCDが売ってるのかどうか知らない。これだけセンスのある人がこんなカルト的な存在で終わってしまったのは理不尽な気がする。だからこそ好きな人にはよりたまらない存在になってしまうのだ。 (★★★★)
  • ロクサーヌ
    Police: ロクサーヌ
     これが売春婦に関する歌だと知ったのはずっと後のこと。歌詞も分からずずっとこの曲を聴いていた。勿論歌詞を知ってからもこの曲は大好きな曲だけど。  本当かどうか知らないけどこの曲の入ってるファースト・アルバムはわざと下手に演奏したらしい。理由は当時パンク・ニュー・ウェーブのブームの中でスタイルを合わせたということだろう。そしてセカンド・アルバムでは実力に見合った演奏で上手くなったと思わせたらしい。そういわれてみるとファーストでは音数が少ないシンプルな曲が多いような気がする。このバンド、5作しかアルバムがないのだがそういう抜け目なさというのは元から持ってたようだ。5作とも素晴らしく駄作のないバンドだった。 (★★★★★)

ぼくのブック・ライフ

  • トニー・サンチェス: 悪魔を憐れむ歌
    ローリング・ストーンズの暴露本である。現在は改題され『夜をぶっとばせ』になってるがタイトルといいブックカバーといい前の方がシックリしていた。 ストーンズというのはぼくが最も影響を受けたバンドの内の一つだが、ここまで無茶苦茶をやってそしてそれが逆に彼らのダークなイメージにつながった。まさにロック・バンドの典型である。どんなに悪ぶっても彼らのようにはなれないし彼らのような影響力は出せないだろう。 時代をロックと女とクスリと共に駆け巡り気付けば巨大産業に飲み込まれていったストーンズ。作者はそんなストーンズに最後は身も心もすり減らされてしまったらしい。それでも未だに活動しているストーンズはある意味怪物だ。 ぼくとしてはこの本の訳者中江昌彦の翻訳もその場に居合わせたような感覚になるのが良かった。他にも『レス・ダン・ゼロ』などもいい雰囲気を出してた。今まで本なんか読んだこともなかったぼくが高校生の時読んで凄いショックを受けたのをよく覚えてる。当時のブックカバーの最後に「END]という文字が書かれてたが読後その文字が見た目以上に大きく見えたものだ。 (★★★★★)
  • 落合信彦: 第四帝国
     まず最初に断っておこう。これはトンデモ本である。ここに書かれてる内容は根も葉もないことと言っていい。そもそもこの落合信彦という人がゴースト・ライターを使ってマトモに取材してるかどうか怪しい。本人いわくCIAに100人も友人がいるというから情報には事欠かないということらしいがこれではアメリカ政府のトップシークレットがなぜか来るというUFO研究者と言ってることが変わらない。そういえばUFOに関しての記述もこの本ではありオリジナルな展開を見せてるのは興味深かった。  内容はナチス・ドイツの残党が世界各地で暗躍してるというものでヒトラーは生きてる、UFOは実はナチスが造ったというファンタジーが溢れてる。その展開はちょっとしたSFといっていい。  事の真実なんてどうでもいい。ただ単純にエンターテイメントとして読めば何の問題もないだろう。誰も「ゴルゴ13」を読んで事実と違うと言わないだろう。それと同じことだ。  しかしこの人、いかにも事実というように書くのが上手い。文章も簡単でスラスラと読めるので展開のテンポがいいのである。だから知らないうちに読んでしまってるという感じになる。そのスタイルはぼくもずいぶんと参考にさせてもらった。  まあ実際はゴースト・ライターなんだが。 (★★★)
  • ニック・ホーンビィ: ぼくのプレミア・ライフ
     このブログの元ネタとなった本。この本との出合いはサンフレッチェの応援仲間に渡されたことだ。その存在は知ってたものの読む機会がなかったのでありがたかった。  内容はというとアーセナルを応援する著者のその観戦生活といったとこだがこれを読むと結構日本のサポーターもプレミアのサポーターも変わらないとこがあるのがわかる。退屈な、退屈なアーセナルというタイトルには笑ってしまった。なぜなら分かり過ぎるくらい分かる心情だからだ。ぼくもサンフレッチェを応援してて何度同じことを感じただろう。  今やアーセナルはプレミア・リーグでも優勝しチャンピオンズ・リーグでも決勝に進出するような存在。一方ぼくの応援するサンフレッチェ広島はJリーグの1部リーグで常に降格の危機を感じるクラブ。でもその根っこは同じである。海外サッカー好きにはJリーグをバカにする傾向があるがそういう人には分からない内容かもしれない。 (★★★★★)

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  • Jリーグ2010特命PR部員 Miles